週間情報通信ニュースインデックスno.1192 2019/08/31


1.スパコン「京」引退、後継「富岳」と入れ替え始まる(8.30 日経XTECH)
  理化学研究所(理研)は2019年8月30日、スーパーコンピューター「京」の全電源を停止し、システムをシャットダウンした。2012年9月に計算資源の共用を始めて以来、研究機関の他、200社以上の企業が利用した。同日、理研は京を設置する計算科学研究センター(神戸市)で「シャットダウンセレモニー」を開催。関係者が集まり「別れ」を惜しんだ。

 京は約1100億円を投じる国家プロジェクトだった。理研と富士通が共同開発し、演算性能は10.51PFLOPS(ペタフロップス、1秒当たりの浮動小数点演算回数)を記録。2011年6月と11月には、スパコンの演算性能ランキング「TOP500」で世界1位を獲得した。その後、2019年6月に同ランキング20位まで退いたが、ビッグデータ処理で重要なグラフ解析能力を競うランキング「Graph500」では9期連続で世界1位を維持した。

 シャットダウンした京は撤去され、その跡地には後継となるスパコン「富岳(ふがく)」を設置する。スパコン向けのCPUとして、世界で初めて英アーム(Arm)の命令セットアーキテクチャーを採用するのが特徴だ。アプリケーションの実行性能で京の100倍を目指す。富岳の開発は2014年に始まっており、共用は2021年度となる。

 「京は並列計算技術における、わが国の歴史的な転換点として名を残すだろう」。理化学研究所 計算科学研究センター長の松岡聡氏はこのように語り、同セレモニーを締めくくった。

 

2.日本貿易保険の元顧問が入札情報漏えいなどで逮捕、ラック社員も書類送検へ(8.29 日経XTECH)
  警視庁は2019年8月29日、政府が全額出資する日本貿易保険のシステム開発の入札をめぐり、同社の元顧問を公契約関係競売等妨害の容疑で逮捕した。

 逮捕されたのは日本貿易保険と業務委託契約を結んでいた浅原泉容疑者で、次期貿易保険システムの開発に関して助言や支援をする立場にあった。容疑はセキュリティーベンダーのラックの社員に入札関連の情報を漏らしたり提案書の作成を一部支援したりしたもの。日本貿易保険は同日、「今回の事態を厳粛に受け止め、再発防止に取り組んでいく」とするコメントを発表した。

 一部報道によると、警視庁はラックの社員も書類送検する方針だ。ラックは日経 xTECHの取材に対し「具体的に何も聞いていない。当社社員が日本貿易保険側の不適切行為に不当に関与した事実は認められないと結論を出した2018年12月の報告書の立場は変わらない」(コーポレート・コミュニケーション室)と回答した。

 

3.整備遅れの楽天モバイルと拍子抜けの携帯大手3社、料金競争は加速するのか(8.30 日経XTECH)
  電気通信事業法が改正される2019年10月を控え、楽天モバイルの料金プランを見極めたうえで新たな料金施策を打ち出すとした携帯大手3社。楽天モバイルが小規模な形でサービスを開始するとしたことで、大手3社は同社の戦略を見極められず思惑が外れた格好となった。一方、その楽天モバイルのインフラ整備に遅れが生じているとの報道が出るなど、順調ではない様子を見せている。10月以降の携帯電話業界の競争環境はどうなっていくのだろうか。

 2019年7月から8月までにかけて、携帯電話大手3社が第1四半期決算を発表。分離プランを採用した新料金プランを導入したNTTドコモが減収減益、それに対抗して新料金プランを打ち出したKDDIも増収減益となった一方、対抗策を打ち出していないソフトバンクは増収増益となり、久しぶりに3社の明暗が分かれる決算となった。

 減益となってでも2社が新料金プラン導入など様々な施策を打ち出したのは、2019年10月に向けた対策でもある。同月には競争促進のため、分離プランの導入義務化などを定めた電気通信事業法の改正が予定されているほか、楽天モバイルが携帯電話事業者として新規参入を予定しており、料金競争が加速すると見られているからだ。

 だが電気通信事業法の改正に関しては、2019年6月に総務省が公表した「モバイル市場の競争促進に向けた制度整備(案)」がそのまま施行された場合、「いわゆる“2年縛り”の違約金上限が1000円になる」「通信契約にひも付かない端末代の値引き上限が2万円に制限される」など、分離プラン以外にも多くの規制が導入される可能性がある。また楽天モバイルに関しても、まだ具体的なサービスや料金プランが発表されておらず、どのような戦略を打ち出してくるのか見極められない状況だ。

 そうした状況を受けて、携帯3社の決算説明会では2019年10月に向けた対応について言及する場面が見られた。そして3社とも共通していたのが、楽天モバイルの料金プランを見極めたうえで、新たな料金施策を打ち出すということであった。

 だが楽天モバイルの親会社である楽天が2019年8月8日に実施した決算説明会で、そうした携帯3社の思惑が外れる出来事があった。それは楽天の代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏が、楽天モバイルの携帯電話サービスについて「ホップ・ステップ・ジャンプでやっていこうと考えている」と話したことだ。

 これは要するに、サービスを3段階で展開するというもの。2019年10月の開始当初は提供する人数を絞り小規模でサービスを提供する「ホップ」、ネットワークの様子を見ながら1?2カ月後にはオンラインのみで会員を募ってサービスを提供する「ステップ」、その後実店舗などでも大規模にサービスを提供する「ジャンプ」という展開になるという。

 だが、その楽天モバイルに関しても気になる報道がある。それは2019年8月15日に実施された記者会見で総務大臣の石田真敏氏が、楽天モバイルの基地局整備に遅れがあり、計画の修正を要請したと話したことだ。各種報道によると、楽天モバイルは2019年6月末時点で3432の基地局を整備する計画を打ち出していたが、人員確保が遅れたためその計画を大幅に下回ったとされている。

 楽天モバイルは完全な新規参入事業者であり、ネットワーク整備に関しては実績がない。それ故に新しい取り組みができる半面、インフラ整備に関しては携帯3社と比べ実績やノウハウが不足しており、さらには基地局などを設置する場所を持っていないことから、不安視する向きが少なからずあったのは事実だ。

 携帯電話3社は楽天モバイルの戦略を見極められず、見切り発車で料金施策を打つ必要に迫られた。その楽天モバイルもインフラ整備の遅れで、サービス当初からつまずく可能性が出てきた。それ故大きな節目になると見られる2019年10月は、現時点で明確な勝者が見当たらない混沌とした状況で迎えることが確実で、行政側の思惑通り料金競争が進むかは不透明になってきたと言えそうだ。

 

4.NTTコムの「OCN」が輻輳状態、Windows Updateが原因か(8.29 日経XTECH)
 NTTコミュニケーションズは2019年8月29日、インターネット接続サービス「OCN」など一部サービスにおいて通信が混雑する「輻輳(ふくそう)」が発生していると発表した。同日午前8時30分頃から発生し、「なかなかつながらない」「通信速度が遅くてタイムアウトする」といった状態が起こっているという。

 同社は輻輳の原因を「Windows Updateによる予期せぬトラフィック増加」とみている。「通信設備の故障は起こっておらず、マイクロソフト宛ての通信が網内で明らかに増えている。今回に限ってなぜ輻輳につながったかは調査中」(広報室)という。輻輳が発生しているサービスは「OCN」「Arcstar Universal One L2ベストエフォートアクセス/L3ベストエフォートアクセス」。輻輳状態は徐々に回復しつつある。

 今回のWindows Updateは修正モジュールのサイズが大きく、通常は深夜の配信が午前8時30分頃になり、企業の始業時刻と重なった影響が有力とみられる。 

 

5.AWS大障害、冗長構成でも障害あったと公式に認める(8.28 日経XTECH)
  米アマゾン ウェブ サービス(Amazon Web Services)は2019年8月23日に発生したクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」東京リージョンの大規模障害に関して同月28日、新しい報告をWebサイトに掲示した。障害が発生したサービスを追加したほか、利用企業が複数のアベイラビリティーゾーン(独立性の高いデータセンター群、AZ)横断の冗長構成にしたシステムにも一部で障害(予期せぬ影響)があったと認めた。

 障害が発生していたサービスとして追加したのは日経 xTECHの既報の通り、アプリケーションロードバランサーの「Amazon ALB」、インメモリーキャッシュの「Amazon ElastiCache」、データウエアハウスの「Amazon Redshift」、仮想デスクトップの「Amazon Workspaces」などだ。仮想マシンの「Amazon EC2」、そのディスク「Amazon EBS」、リレーショナルデータベースの「Amazon RDS」については大規模障害が起きた同月23日の時点で公表していた。

 RDS、ALB、ElastiCache、Redshift、WorkspacesはいずれもEC2とEBSを基盤として動作していると推察される。EC2、EBSの障害が波及した形だ。AWSはこれまでそれらのサービスがEC2とEBSを基盤として動作していることを公表していなかったが、同月28日の報告では「基盤としているEC2インスタンスが影響を受けた場合には、当該AZ(アベイラビリティーゾーン)の他のサービス(RDS、Redshift、ElastiCacheおよびWorkspaces等)にも影響がありました」としている。

 このうち冗長構成の要となるサービスであるALBについては、東京リージョンの複数のAZで冗長構成にしていたシステムでも特定の条件下で想定より高い割合でエラーを返すといった「予期せぬ影響」があったことを確認したという。これにより利用企業によっては冗長構成や運用の見直しが必要になるだろう。

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