週間情報通信ニュースインデックスno.1190 2019/08/17


1.ファーウェイが独自の「鴻蒙OS(Harmony OS)」発表、Android代替を視野(8.9 日経XTECH)
  中国の華為技術(ファーウェイ)は2019年8月9日、独自OS「鴻蒙OS(Harmony OS)」を発表した。スマートフォンやタブレット端末に限らず、さまざまな機器を対象とする。スマホやタブレット端末向けは2020年の商用化を目指す。同社は現在、スマホやタブレット端末に米グーグル(Google)の「Android」を採用しているが、鴻蒙OSに切り替えられる体制を整える。 

 中国東莞市松山湖にある同社の研究開発拠点で開催した開発者向けイベント「Huawei Developer Conference 2019」で明らかにした。コンシューマー事業グループ最高経営責任者(CEO)の余承東氏は、鴻蒙OSの特徴として、(1)スマホやタブレット端末、パソコン、ウエアラブル機器、自動車などさまざまな機器に使えること、(2)LinuxやLinuxベースのAndroidとの互換性を持つこと、(3)時間確定的処理が可能なエンジンを搭載していること、(4)Androidに比べてセキュリティーに優れること、(5)オープンソースソフトウエア(OSS)であること、などを挙げた。 

 ファーウェイは、2019年5月に米商務省の禁輸対象リスト(エンティティーリスト)に追加されたことで、Androidの今後の使用が危ぶまれており、独自OSへの切り替えを示唆していた。グーグルは既存のファーウェイ製品について2019年8月19日まではサポートを継続することを表明したが、その後は不透明である。 

 さまざまな機器に使えるようにするため、鴻蒙OSはモジュラー構造になっており、機能やサイズを自在に調整できるという。「これまでは機器に合わせて異なるOSを使い分ける必要があったが、鴻蒙OSはあらゆる機器をカバーできる」(余氏)。 

 2019年に「バージョン1.0」、2020年に「2.0」、2021年に「3.0」をリリースする予定である。適用可能な機器の種類を段階的に増やす。併せて、統合開発環境(IDE)も提供する。

2.総務相、楽天に携帯基地局遅れで「修正計画の提出」を要請(8.15 日経XTECH)
 石田真敏総務相は2019年8月15日の閣議後の記者会見で、10月に携帯電話事業に新規参入する楽天モバイルの携帯基地局の開設状況について「6月末時点において計画からの進捗に遅れが見られた」として、「修正計画の提出及び実行を要請した」ことを明らかにした。

 総務省は7月17日、楽天モバイルに対し2019年度末までの開設数計画値を達成するための修正計画の提出を要請したという。「総務省としては、楽天モバイルについて引き続き、携帯基地局整備の進捗状況を確認するとともに、サービスが適切に提供されるように取り組んでいきたい」(石田氏)と強調した。

 楽天モバイルの親会社である楽天の三木谷浩史会長兼社長は2019年8月8日の決算会見で、基地局設置の進捗について「もう1、2週間早く進めば良いが、多少幅を持たせてやっているので予定通り」と説明していた。一方で「10月1日時点では(利用者数などを限定する)スモールローンチになる」と述べ、全面的なサービス開始はずれ込むとしていた。

 

3.5Gの「リリース15とその先」が分かるWebセミナー、3GPP/ATIS開催(8.9 日経XTECH)
 移動通信の標準化団体3GPP(Third Generation Partnership Project)は2019年8月6日、5G標準化の状況を解説するオンラインセミナー「ATIS/3GPP Webinar 5G Standards Developments in Release 15 and Beyond」の概要を、自身のニュースリリースに掲載した(3GPPのニュースリリース)。パートナー団体であるATIS(Alliance for Telecommunications Industry Solutions)と共同で開催する。YouTubeのATIS/3GPP オンラインセミナーサイトにて視聴可能となっているほか、プレゼンテーション資料(PDF形式)についても、ATIS/3GPP オンラインセミナー資料閲覧サイトから閲覧可能となっている。

 現在、3GPPでの5G仕様標準化活動を牽引する要求仕様には、4つの源流がある。ITU-R(国際電気通信連合無線通信部門)の定義するIMT-2020(5G)によるもの、既存の4G機能の5Gでの継続サポート要求、通信業界からの新機能要求、その他業界からの新機能要求の4つだ。リリース15では、市場要求に基づきeMBB(enhanced mobile broadband、高速大容量通信)を主要な要件としながらも、mIoT(高密度な機器配置での対応も含む)、クリティカルコミュニケーション(産業自動化や触覚による通信(tactile internet)を含む)、ネットワーク管理などの分野についても検討も行われた。

 リリース16では、2020年中盤での標準化完了に向け、海事、衛星、放送、スマートシティ、公共事業など、様々な業界からの要求仕様への対応を行っている。さらにリリース17に向けては、自動運転や5Gによる鉄道管理、音声や映像サービス、インターネットによる対話式サービス(network controlled interactive services、NCIS)、マルチSIM対応端末の実現などに向けた検討を進めていく。

 

4.エリクソンがプライベート4G/5G、ドイツに続いてフィンランドでも(8.8 日経XTECH)
スウェーデンEricsson(エリクソン)は2019年8月6日、フィンランドの通信事業者であるElisaと、プライベートネットワークのパイロット試験を完了したと発表した(Ericssonのニュースリリース1)。フィンランドの企業で高まる、ネットワークへのさらなる高信頼性と高性能化への要求に対応するための施策としている。

 Ericssonは既に、公共事業や鉱業、港湾や空港、工場など、様々な業界にプライベートネットワークを提供。2019年6月には、ドイツの電気自動車メーカーe.GO Mobileと、プライベートネットワーク構築に向け5G基幹ネットワークと5G NRソリューションを提供する旨の契約を締結している。

 プライベートネットワークでは、通信事業者が提供する既存の資源を使って、企業自身が、社内に特化したカスタマイズを行い、独自管理することができる。企業内に閉じた運用となり、あらかじめ定義しておいた端末からしかアクセスできないため、高いレベルの安全性と性能を確保することができる。

 今回の試験は、Elisaの施設にて、「Ericsson Enterprise Core」と4G/5G向けルーター「Ericsson Router 6000 series」、屋内型スモールセル「Radio Dot System」を含む、「Ericsson Private Networks」ソリューションを使って実施した。Ericsson Private Networksは、ユーザー企業が自身のプライベートネットワーク内で、ユーザー、端末、通信量などを管理できる環境を提供。拡張性が高く、ミッションクリティカルなブロードバンドを実現可能なソリューションとなっている。

 同社では、こうした新しい通信技術を導入することで、産業界での生産性の強化や効率改善を推進することができるようになるとしている。 

 

5.超高速な新規格「IEEE 802.11ax」の対応機がいよいよ登場、Wi-Fi最新事情(8.5 日経XTECH)
 ノートPCやスマホなどのネット接続に欠かせないWi-Fi(無線LAN)。その技術は着々と進化し、新しい規格が登場している。今回は、こうしたWi-Fi規格の最新動向を紹介する。

 Wi-Fi規格はIEEE 802.11(無印などと呼ぶこともある)に始まり、後からより高速な802.11b/g/a/n/acが追加されていった。現在最もよく使われているのは、2014年に正式認定されたIEEE 802.11acである。

 新規格はしばらくお目見えしていないが、次世代規格であるIEEE 802.11axの登場が控えている。現在は技術仕様案(ドラフト)がまとめられ、現在はその技術案の確定作業が進行中だ。何事もなければ、このまま2020年6月に規格として正式に認定される予定である。

 既にIEEE 802.11axのドラフトを基に設計され、「IEEE 802.11axドラフト版対応」をうたうWi-Fi製品が各社から発売されている。日本では2018年から出始めており、最近製品数が増えてきている。

 さらに2018年、Wi-Fi規格として言う場合の呼称変更が発表された。IEEE 802.11axからは、無線LANの規格の世代を基にしたブランド名が付けられる。IEEE 802.11axは、Wi-Fi規格が誕生してから6世代目の規格なので「Wi-Fi 6(Wi-Fi CERTIFIED 6)」となる。

 Wi-Fi 6ことIEEE 802.11axは、IEEE 802.11acを高速化させた上位規格だ。規格上の最大通信速度はIEEE 802.11acが6.9Gビット/秒だったのに対し、IEEE 802.11axは最大9.6Gビット/秒と超高速になっている。無線LAN機器の増加に伴い、パケット同士の干渉による通信効率の低下や通信時間の減少といった問題を回避するために、MU-MIMO(マルチユーザーMIMO)やOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)などが規格に採用されている。

 IEEE 802.11axは、5GHz帯と2.4GHz帯を利用する。IEEE 802.11acやIEEE 802.11nはもちろんのこと、IEEE 802.11gやIEEE 802.11bなど過去の機器との互換性が確保される。ただし、IEEE 802.11axは5GHz帯と2.4GHz帯で最大通信速度が異なり、2.4GHz帯は5GHz帯より低くなる。

 IEEE 802.11axを利用するには、無線LANルーターはもちろんのこと、ノートPCやスマホといった子機側もこの規格に対応している必要がある。国内で入手できる802.11axドラフト版対応無線LANルーターとして、台湾・華碩電脳(エイスース、ASUS)の「RT-AX88U」(実勢価格は税別4万6880円)、米ネットギア(NETGEAR)の「Nighthawk AX4(RAX40-100JPS)」(直販価格は税込み2万9657円)などが発売済み。国内メーカーは、エレコムが2019年秋に「WRC-X3000GS」(価格未定)を投入する予定になっている。

 IEEE 802.11axドラフト版に対応した子機はまだないに等しい。海外も含めて見ると、韓国サムスン電子(Samsung Electronics)のスマホ「Galaxy S10」シリーズのグローバルモデルが対応している。また海外の展示会などでは、IEEE 802.11axドラフト版対応のノートPCも多数発表されており、日本国内での登場も時間の問題とみられる。対応製品は徐々に増えつつある。

 無線LANのセキュリティーに関しては、「WPA2(Wi-Fi Protected Access 2)」という暗号化方式が長く使われていた。しかしWPA2は2017年に「KRACKs」(Key Reinstallation AttaCKs)と呼ばれる致命的な脆弱性が発見された。その対策として、14年ぶりに「WPA3」という暗号化方式が新たに発表されている。

 WPA3を使うにはWi-Fiルーターはもちろん、PCやスマホなど子機側の対応も必須となる。しかし現時点では、WPA3対応製品はほとんどない。国内では法人向け無線LANルーターで対応ファームウエアが提供されている程度だ。

 IEEE 802.11ahは、「Wi-Fi HaLow」とも呼ばれているIoT機器向けの規格である。少ない消費電力で広いエリアをカバーする無線通信技術LPWA(Low Power Wide Area)に分類されることもある。国内では920MHz帯を使う予定だ。通信速度は他の無線LAN規格よりかなり低い一方で、伝送距離は最大1km程度と長い。街頭の宣伝モニターや監視カメラなどでの活用が見込まれる。

 ただしIEEE 802.11ahは、国内ではまだ使用できない。使用するには電波法の省令改正が必要になる。

       

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