週間情報通信ニュースインデックスno.1188 2019/07/27


1.米司法省がスプリントとTモバイルの合併承認、4社体制維持に向けて条件(7.27 日経XTECH)
 米司法省は2019年7月26日(米国時間)、ソフトバンクグループ傘下で米携帯電話4位のスプリント(Sprint)と、同3位のTモバイルUS(T-Mobile US)の経営統合を条件付きで承認すると発表した。

 これまでの報道通り、司法省は両社合併後も4社体制を維持すべく、米衛星放送大手ディッシュ・ネットワーク(Dish Network)を「第4の事業者」に仕立てる構えだ。合併を承認する条件として、スプリントのプリペイド事業や一部の周波数をディッシュに譲渡することを求めた。ディッシュに対する基地局設置場所やネットワークの貸し出しなどについても細かな条件を付けた。

 スプリントとTモバイルUSの合併を巡っては、規制当局の1つである対米外国投資委員会(CFIUS)が2018年12月に承認済み。米連邦通信委員会(FCC)は2019年5月に合併を支持する委員長らの声明を公表しており、近く正式に承認する見通し。両社は7〜9月期中にも最終承認を済ませ、2019年後半の合併実現を期待するとした。

 

2.iPhoneの「eSIM」はMVNO復活の切り札になるか?(7.26 日経XTECH)
 DMM.comの「DMM mobile」が楽天モバイルに買収されるなど、引き続き厳しい状況にあるMVNO(仮想移動体通信事業者)。だがMVNO大手のインターネットイニシアティブ(IIJ)がeSIM向け通信サービスのベータ版を開始したことで、新たな市場の可能性が出てきた。eSIMはMVNOにとって救世主となり得るのだろうか。

 携帯電話大手の攻勢で苦戦が続くMVNOだが、2019年7月9日、そのMVNOに関して大きなニュースが舞い込んだ。DMM.comがMVNOとして運営する「DMM mobile」などの事業を楽天モバイルに譲渡するというものだ。

 DMM.comがDMM mobileを楽天に売却した経緯の詳細は公表されていないが、その根底にはやはり現在のMVNOを取り巻く市場環境の厳しさが影響したものと考えられる。DMM.comとしては今後MVNOの市況が好転するのは難しく成長は見込めないと判断し、本業のコンテンツ配信サービスに集中するべく今回の措置に至ったと言えそうだ。

 DMM mobileやFREETELだけでなく、ビッグローブやLINEモバイルなども含めると、有力MVNOが楽天モバイルを含む携帯電話大手に買収されるという動きが継続的に起こっていることが分かる。低価格を武器に契約数を伸ばしてきたMVNOにとって、市場環境の厳しさが変わっていない様子がうかがえる。

 だが一方で、MVNOの新たな成長領域の兆しも見え始めている。それは「IIJmio」ブランドでモバイル通信サービスを提供するMVNO大手のIIJが2019年7月4日に発表した「ライトスタートプラン(eSIMベータ版)」だ。

 IIJmio提供開始した「ライトスタートプラン(eSIMベータ版)」は、対応機種でQRコードを読み込むことでeSIMにプロファイルを追加できる。

 このプランは従来のICカード型SIMを用いたものではなく、遠隔から書き換え可能で端末に組み込まれているSIMである「eSIM(embedded SIM)」に向けた通信サービス。2019年7月18日にサービス提供が開始されており、月額1520円で6GBのデータ通信容量が利用できる。最大のポイントは、日本のMVNOが初めて提供する個人向けのeSIM対応サービスであることだ。

 日本で販売されているデバイスの中で、eSIMに対応した製品はそれほど多くはない。だがそれでも、米マイクロソフト(Microsoft)の「Surface Pro LTE Advanced」などWindowsパソコンや、日本国内でリンクスインターナショナルが販売しているAndroid端末「Gemini PDA」、そして「iPhone XS」「iPhone XS Max」「iPhone XR」「12.9インチiPad Pro(第3世代)」など米アップル(Apple)製品のいくつかに採用されている。

 今回のサービスではそれらの端末で、あらかじめ発行しておいた専用のQRコードを読み取ることにより、eSIMの中にプロファイル(通信をするのに必要な設定情報)を追加してデータ通信ができるようになるとのこと。これまでeSIM向けの通信サービスは、主に海外企業が提供する国際ローミング用のサービスくらいしか選択肢がなかっただけに、国内の事業者がeSIMによる通信サービスを提供する意味合いは大きい。

 特に大きな意味合いを持つのは、やはりeSIMを搭載したiPhoneに向けてサービスを提供できることだ。実はiPhone XS/XS Max/XRシリーズは、通常の物理SIMとeSIMによるデュアルSIM構成なのだが、これまでeSIMに対応した国内事業者のスマートフォン向け通信サービスが存在しなかったため、ほとんど使われていなかった。

 だが今回、IIJがeSIM対応サービスを提供したことで、SIMロックの解除が必要にはなるものの、携帯電話大手の物理SIMとIIJのeSIMによるサービスを同時に利用できるようになる。これにより例えば、携帯電話大手の通信サービスは通話と最小限のデータ通信に絞り、主なデータ通信はIIJのeSIMで賄うことで、iPhoneで既存の電話番号を維持しながら通信料の大幅な節約ができるようになる。

 それはすなわち、MVNOは直接iPhoneを販売しなくても、携帯電話大手のiPhone利用者のデータ通信需要を奪える可能性が生まれたことを意味する。携帯電話大手は、解約のしやすさなどもあってスマートフォンなどのeSIMに向けた通信サービスの提供には消極的であることから、MVNOにとって大きなビジネスチャンスが広がったと考えられる。レッドオーシャンとなったMVNOにおいて、eSIM向けサービスは新たに生まれたブルーオーシャンと言えそうだ。

 とはいえeSIM向けサービスの提供は、自社で加入者管理機能(HLR/HSS)を運用する「フルMVNO」としてSIMを独自に発行できるIIJだからこそ可能なのであり、他のMVNOが容易に追随ができないのもまた確かである。

 IIJのサービスもまだベータ版という位置付けで、他の契約回線とのデータシェアができないなど、完全に環境が整っているわけではない。そもそもiPhone以外のeSIM搭載端末が少ないという課題もあることから、eSIM向けのサービスが続々登場するとは考えにくいだろう。

 だが、eSIM向けのサービスがMVNOのキラーサービスの1つとなる可能性を秘めていることは確かだ。IIJは今後、訪日外国人向けのプリペイドeSIMサービスの提供など、eSIMを活用した新たなサービス開発を進めていく考えだという。今後の市場競争を見据える上でも、MVNOのeSIMに対する取り組みは大いに注目されるところだ。

 

3.データを伴わないロボット活用に意味は無い、NECのロボット戦略 次の一手(7.26 日経XTECH)
 「ロボットの導入検討から稼働開始までの期間を、今の6カ月から半分の3カ月に縮められる」――。新たに産業用ロボットのシステムインテグレーション(ロボットSI)事業に参入したNECは、競合との差異化についてこう自信を見せる。

 現在は、目的や周辺環境に合わせてロボットシステムを作り込んでいることが多い。それだと、最適なロボットシステムは得られるが、どうしても時間やコストがかかる。それは、ロボット活用がなかなか進まない原因でもあったし、ロボットSI事業の利益率が低くなりがちな原因でもあった。

 NECは、そのような現状に一石を投じようとしている。ロボットシステムを都度一から構築するのではなく、ロボットシステムを構成する標準的なモジュールを事前に用意しておき、目的や周辺環境に合わせてモジュールを組み合わせることで多様な要求に対応するという発想である。

 同社が2019年2月に提供を開始した「ロボット導入トータルサポートパッケージ」は、そうした発想に基づいている。同パッケージは、(1)導入コンサルティングや自動化ライン設計などのサービス、(2)ロボットやハンド、センサーなどロボットシステムの構成要素、(3)稼働状況管理システム、から成る。

 メインターゲットは、電機メーカーや精密機器メーカー、およびそのサプライヤーなど。工場の組み立てラインへの導入を想定している。具体的には、「ねじ締め」「樹脂塗布」「圧着」「外観検査」といった工程が対象である。

 特筆すべき点は、人との協働や“シフト交代”を視野に入れていることだ。シフト交代とは、例えばある工程を昼のシフトでは人が、夜のシフトではロボットシステムが担当するような運用を指す。「作業者の確保が難しい夜間帯から自動化したいというニーズが多い」(NECスマートインダストリー本部ものづくり戦略グループ技術主幹の北野芳直氏)。

 そのため、同パッケージのロボットシステムは基本的に幅600mmの台車上に構築する。組み立てラインでは、各工程が600mmぐらいの間隔で並んでいることが多い。台車であれば、特定の工程だけを入れ替えることで、人とロボットのシフト交代を手軽に実現できる。標準のロボットアームとしては、デンソーウェーブの協働ロボット「COBOTTA(コボッタ)」と、協働ロボット専業のデンマークのユニバーサルロボット(Universal Robots)の製品を中心に採用している。

 NECが力を注ぐのは、ロボットアームに取り付けるユニットの開発である。ねじ締めや樹脂塗布といった工程をこなすためのユニットを多数そろえており、ユーザー企業は用途に合ったユニットを選ぶだけで済む。ユニットを付け替えれば他の工程に転用できる。

 稼働状況管理システムのようなソフトウエアも売りの1つだ。NECのIoT(Internet of Things)基盤「NEC Industrial IoT Platform」と連携し、ロボットシステムのデータを収集・分析することで、稼働状況や品質を可視化したり、改善につなげたりすることが可能である。「ロボット活用の利点は、工程や製品の状況をデジタルデータで可視化しやすくなること。それによって、品質や生産性をもっと高められるようになる」(同社の北野氏)。裏を返せば、データ収集・分析を伴わない単なるロボット活用では、もはや効果は薄いということだ。

 多くのロボットSI事業者は、制御技術のようなOT(Operational Technology)には強くても、IoTをはじめとする最新のITには強くない。一方、IT企業はOTが分からない。NECは、OTとITの両方を押さえていることを武器に、ロボットSI事業の拡大を図る。ロボット導入トータルサポートパッケージの価格は、1200万円(税別)から。2021年度(2022年3月期)までに累計売上高は150億円、顧客数は100社を目指す。

 

4.レノボが恒例の全社テレワーク「既に慣れた、五輪時も対応できる」(7.25 日経XTECH)
 レノボ・ジャパンは2019年7月24日、グループ4社の従業員約2000人を対象に「全社一斉テレワークデー」を実施した。同社は2020年7〜8月の東京五輪・パラリンピック期間中に約2週間連続の全社一斉テレワークデーを予定している。NECレノボ・ジャパングループの上南順生執行役員人事本部長は「社員たちは既に十分テレワークに慣れており、このまま問題なく対応できると考えている」と自信を示した。

 同社は2015年12月に回数制限のないテレワーク制度を施行。社員への定着を図るため2016年以降毎年、東日本大震災が起きた3月11日の前後に全社一斉テレワークデーを実施している。加えて2017年からは、政府が7月24日に展開している「テレワーク・デイ」にも全社一斉テレワークを実施している。

 今回は7月24日を全社一斉テレワークデーとし、工場や個人情報を取り扱うコールセンターなど一部部署を除き全従業員が自宅やコワーキングスペースなどで業務にあたった。併せて7月23〜31日に連続して3日間以上のテレワークを実施することを推奨するほか、同期間中のコワーキングスペースの利用料をに最大3回まで会社負担とする。普段は約600人が勤務している東京・秋葉原の本社執務スペースは、ほとんど人がおらず閑散としていた。

 テレワークを実施する際の条件は、前日までに上司へ申請するほか、テレワーク中はビジネスチャットツール「Teams」を在席状態にする。上南執行役員は「全社一斉テレワークデーを始めた当初は、みんなが仕事をしなくなるのではという不安もあったが、実際にはむしろ成果が増えた」と語る。

 従業員へのアンケートでも、テレワークを週1回以上実施する従業員が60%に上ったほか、生産性が「向上した」と考える従業員が47%、ワークライフバランスが「改善した」と考える従業員が76%となっており、生産性の向上と従業員の満足度向上を両立できているとする。同社はテレワークのさらなる普及に向け、(1)部門や管理職によるテレワークの取得難度の平準化(2)自宅でのテレワークが困難な従業員に向けたコワーキングスペースの利用支援の充実(3)社内からしかアクセスできない業務システムの改修――などを進めていくとしている。

 

5.SI事業者に人気の注目技術とは?調査で興味深い事実が判明(7.23 日経XTECH)
 システムインテグレーション(SI)に使う要素技術の将来性を明らかにする目的で情報サービス産業協会(JISA)が会員企業の技術者を対象に調査した『情報技術マップ』の2019年6月発行版がまとまった。11カテゴリー119の要素技術に対し2019年3月末までに42社の1491人が回答した。

 「利用する計画がある技術」の順位を見ると「クラウド型データウエアハウス」が1位だ。同技術は2014年版調査で6位に初登場、その後8位、12位、8位と来て昨年は2位に浮上していた。続く2位には技術なのかやや疑問だが「デザイン思考」が入り、3位は「テキストマイニング」だった。1位と3位に加え、4位のデータマイニング、6位のクラウド型RDBMS、8位のクラウドデータ連携技術などデータ分析・活用に関連する技術が上位に来ている。ただしこれらの利用実績の順位はまだ低い。

 今回、例年とは違う動きとしてメインフレームやCOBOLの利用実績順位が上がった。メインフレームは継続利用する意向が119位と最下位だが利用実績は前年の66位から35位へ、同104位のCOBOLは54位が31位へランクアップした。改元や消費税率変更、レガシーシステム更改の影響だろう。

 ウォーターフォール開発、商用RDBMS、Windows系サーバーOSは利用実績順位の1〜3位を占めた。「SI三種の神器」は過去5年間、変わらない。

 先端技術の影響度についても調査した。SI業界への影響が「高い」「やや高い」という回答を選択した割合を見ると、AI(人工知能)の64%、IoTの61%、ビッグデータ分析の56%、ロボットの44%という順だがいずれの数値も前年より下がっている。先端技術の調査と評価を進めるに伴い、課題が見え始めたのではないか。

       

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