週間情報通信ニュースインデックスno.1183 2019/06/22


1.パナソニックが病院用の自律搬送ロボ拡販へ、人手不足への「特効薬」になるか(6.21 日経XTECH)
 パナソニックは2019年6月21日、病院や公共施設向けの「自律搬送ロボット HOSPI(ホスピー)」に関する報道陣向け説明会を開いた。2013年に製品化し、5つの病院で15台の稼働実績があるものの、まだ大きな事業に育っていない。2019年5月にバッテリーや走行性能を強化した新モデルを投入。折からの人手不足を追い風に、事業拡大を図る。

 HOSPI事業を担当するパナソニック プロダクションエンジニアリングの内山博之ロボティクス事業推進部長は「新モデルは病院での利便性を高め、空港など公共施設での利用ニーズにも応えられるようにした。今後は年間販売数20台を目指したい」と意気込みを語った。

 HOSPIは最大秒速1メートルで、指定した目的地まで平たんな廊下やスロープを自律走行する。エレベーターに制御装置を取り付けて連動させれば、自分で乗って上下移動もできる。

 工場用の無人搬送装置などはあらかじめ決められたルートしか走行できず、障害物があれば停止することが多い。これに対し、HOSPIは人間を含む障害物を回避しながら自律走行する。

 登録した目的地を定期巡回したり、複数の目的地を指定した順に巡回したりする機能も備える。HOSPIは血液や尿などの検体や薬剤といった荷物を標準モデルで最大20キログラム搬送できる。積載容量を拡張した「HOSPI Cargo」モデルは最大60キログラムを搬送できる。

 本体価格はHOSPI Signageで1300万円(税別)程度で、他にエレベーター制御装置改修など設備費用がかかる。

 

2.日本企業はディスラプションに対応するリーダーシップの欠如が明白――ガートナー(6.21 ITmedia)
 同調査は、世界89カ国の主要産業に携わる企業のCIO(最高情報責任者)とITリーダー3102人を対象に2018年4月17日〜6月22日に実施し、日本からの回答者数は134人だった。

デジタルビジネスイニシアチブが進んでいない日本企業  世界の企業は、デジタルビジネスへの取り組みを「開始段階」から「拡大段階」へと移行しつつあるが、日本企業は4分の3以上が、デジタル化のプロセスに着手する「開始段階」を完了していないことが分かった。

 また、31%は「デジタルイニシアチブなし」または「デジタルイニシアチブの『願望/目標』のみがある」と回答していた。日本企業は、世界の企業の動きに追随できておらず、デジタルビジネスへの取り組みにおいて、世界との差が拡大していると指摘する。

 日本企業のCIOが世界の企業に後れを取っている要因は、「変化に対するリーダーシップ/計画/実行力が弱い」ことと、「IT/ビジネスリソースの人数が不十分」にあると分析している。

日本企業が直面する組織文化の障壁  「CIOとして目標を達成する上で最大の障壁となるのは何か」という複数回答可の質問で、日本企業と世界の企業を比較して特に顕著な差が表れたのは、「レガシーシステムの保守」だった。日本の回答者の30%が、「レガシーシステムの保守で身動きが取れておらず、デジタルビジネスへの変化に着手することに注力していない」と回答していた。

組織文化の障壁から生まれる問題とは?  日本企業では、組織文化の障壁として「チェンジリーダーシップの弱さ」に次いで、「IT部門とビジネス部門間の関係が効果的でない」「組織全体でイノベーションが進んでいない」という回答が多かった。これらの3つの項目を障壁として回答したCIO/ITリーダーの割合は、先進企業のみならず、世界の平均的企業比較しても日本が最も高く、日本企業のCIO/ITリーダーがこれらをデジタルイニシアチブの前進を阻む最も一般的な文化的障壁と捉えていることが伺えるとしている。

 ガートナーは、世界が常に変化し、不確実性とディスラプション(破壊)がもたらされるデジタル時代においては、企業は、従来のような確固とした案件に対するテクノロジーへの投資から、ある種新たな分野に向けた“賭け”のような戦略的投資へとシフトすることが求められ、それには、新たなマインドセットが必要になると説明する。

 「どのテクノロジーが『ゲームチェンジャー(いままでのやり方を根底から変えてしまうようなもの)』になると思うか」という質問では、日本企業と世界の企業のどちらも、「AI」が他を大きく引き離してトップの回答となった。

 一方、その次に挙げられたテクノロジーは、世界では「データ/アナリティクス」「クラウド」と続いたが、日本企業では「IoT」「ブロックチェーン」が続いた。日本企業がデータ/アナリティクスと回答した割合は、世界の企業に比べて非常に低い割合となった。

 また、AIは、ゲームチェンジャーになるテクノロジーとして、日本企業と世界の企業からトップに挙げられたものの、「AIへの投資」に関しては、違いが見られた。日本企業では、AIは「人材不足を補う自動化の手段」として捉えられることが多く、海外の企業では、「データドリブンなビジネスへの布石」と認識されていることが分かった。

 ガートナーによると、ほとんどの日本企業は、データ/アナリティクスに投資をして、経験や勘に頼った経営からデータドリブンな経営へと本格的に舵を切るまでに至っていないという。この状況に問題意識を持つ優秀な現場のスタッフが“勇気を出して”立ち上がり、社内外の利害関係者を巻き込み、本気でデジタル化を推進するようになれば、30年前に日本企業が世界のイノベーションをリードしたように、今からでも後れを取り戻し、デジタル化をリードできる日本企業が出現するはずだとしている。

 

3.Wi-Fi 6とは? IoT時代に最適な無線LAN「IEEE 802.11ax」(6.17 ITmedia)
 2019年度後半に最終承認される予定の無線LAN規格「IEEE 802.11ax」。Wi-Fi 6とも呼ばれる新たな規格がいよいよ実装され、既にReadyな状態で製品出荷も始まっている。

 ここで無線LAN規格の変遷を振り返ってみよう。1997年に標準化された2.4GHz帯の「IEEE 802.11」を皮切りに、1999年には2.4GHzの高速化規格「IEEE 802.11b」と5GHz帯の「IEEE802.11a」が、2003年には2.4GHz帯でさらに高速化した「IEEE 802.11g」が、2009年には送受信双方で複数アンテナを送受信双方に搭載することで通信品質を向上させるMIMO(Multi-Input Multi-Output)を実装した「IEEE 802.11n」が標準規格として策定された。そして現在最も高速な規格として利用されているのが、2013年に標準化された「IEEE 802.11ac」だ。

 そして、2019年後半に最終承認が予定されているのが、今回紹介する「IEEE 802.11ax」という規格。IEEE 802.11ax自体は2017年にドラフト2.0版の修正が行われており、2018年5月にさらに改良したドラフト3.0版が策定された。今後最終承認されるのはドラフト3.0版を基にした仕様だ。

 IEEE 802.11axは、現在最終承認待ちの新たな無線LAN規格であり、IEEE 802.11acの拡張として登場したもの。5GHz帯のみの対応だったIEEE 802.11acとは異なり、IEEE 802.11n同様に2.4GHz帯にも対応しており、160MHz幅を利用した場合、最大無線(PHY)レートは理論値ながら9.6Gbpsとなる。また、MIMO使用時には最大8ユーザーが同時接続可能な規格だ。PHYレートが6.9GbpsだったIEEE 802.11acに比べると1.4倍ほど向上、同時接続も2倍まで拡大することになる。

 PHYレートだけを見るとスループットが劇的に向上したようには感じないが、実はIEEE 802.11axが目指すのは単一端末のスループットではない。その目的は、無線空間を高効率(High Efficiency:HE)に利用することで、接続する複数端末全体のスループットを増やすことにある。ようは端末単体でのスループットを重視するのではなく、無線空間全体を最適な形で利用できるようにした規格なのだ。屋外環境も想定し電力効率を改善させることも目標の1つとなっている。

 なお、Wi-Fi Allianceは「IEEE 802.11ax」「第6世代のWi-Fi」ではなく「Wi-Fi 6」と呼ぶことがアナウンスされている。この変更に合わせて、IEEE 802.11nは「Wi-Fi 4」、IEEE 802.11acは「Wi-Fi 5」と呼ぶことになる。

 新たな規格が策定される無線LANだが、今回のIEEE 802.11ax策定にはどんな背景があるのだろうか。

 それは、多くの人がさまざまなデバイスから無線LANを経由してネットワークにアクセスし、遅延に敏感な音声や映像も当たり前のように無線LAN経由で配信されるといった、現代的な無線LANのトラフィック過多の状況が背景にある。広帯域の無線LANが求められているのだ。

 さらに、小さなデータをやりとりするIoTデバイスもこの無線LAN環境を利用することで、ネットワーク全体の通信速度を低下させることが懸念されている。特にペイロード部分が短いショートパケットが多数飛び交えば、1ユーザーが1チャンネルを占有する従来型のOFDMと呼ばれる変調方式では複数ユーザーが同時にアクセスできず、つながりにくくなってしまう。しかも、パケットのやりとりが発生するたびに他の通信をチェックし、空いたタイミングで通信するCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)を採用する無線LANでは、ショートパケットが数多くやりとりされると、なかなか無線空間で送信するタイミングが訪れない。その結果、調査段階で十分なスループットが見込めたはずが、実運用で通信品質が安定しないこともあり得る。それらの解決策として期待されているのが、IEEE 802.11axというわけだ。

4.家電の遠隔コントロールや自宅の様子を確認できる「UQ × with HOME」6月24日提供開始(6.21 ITmedia)
 UQコミュニケーションズとUQモバイル沖縄は6月24日、両社がKDDIの「with HOME」(「au HOME」のコラボレーション版)の提携パートナーとして、ホームIoTサービス「UQ × with HOME」の提供を開始する。

 UQ × with HOMEは「UQ mobile」のスマートフォンと「with HOME デバイス」を活用し、遠隔操作での家電のコントロールやセンサー・ネットワークカメラを介して玄関ドアの開閉状況や宅内の様子などを確認できるサービス。プランは使い方に合わせて選べる「おすすめセットプラン」と、自身でデバイスを自由に選べる「基本プラン」を用意している。

 外出先から家族やペットの様子を確認できる「みまもりセット」、スマホで自宅の家電をコントロールできる「家電コントロールセット」、2つのセットを組み合わせた「みまもり&家電コントロールセット」、スマートスピーカー利用者向けの「リモコンセット」などをラインアップ。導入時のデバイス設置・設定が不安な利用者には有料の「訪問設置サポート」も提供する。

 

5.Amazonのレジなし店舗だけではない 「小売業×AI」の可能性と課題(6.21 ITmedia)
 本人確認と決済承認手段の方法として、人工知能(AI)技術を利用する実験的取り組みが始まっている。ただしAI技術には、依然として倫理的な課題が残っている。

 小売業界や決済業界では、実店舗で顧客が商品を手に取ると、店内のセンサーがそれを検知し、POS(販売時点情報管理)レジスターを通さずに精算を完了できるAIシステムの利用も始まっている。すでにAmazon.comなどの小売企業がこうしたレジなし店舗の実現に取り組んでおり、顧客はレジ待ちの長い列に並ばなくて済む。

 支払いプロセスには、画像情報の処理技術であるコンピュータビジョンが使用されている。クレジットカードやその他の支払い方式の、本人確認と決済承認手段の方法として、顔認識を利用する実験的取り組みが始まっている。

 顔認識や身ぶりの検出、音声認識を利用すると、本人確認の不正が非常に困難になる利点がある。いずれは、現金やクレジットカードを使わずに顔や音声だけで支払いや送金を承認できる日がやってきそうだ。

 小売企業の間では、個別のユーザーの興味や行動データを基に、最適化した情報を提供するハイパーパーソナライゼーションの手法を取り入れる動きが広がりつつある。支払いや融資の手続きにこの手法を導入することで、顧客に合った商品やサービスを提供したり、顧客の普段の支出パターンを学習したりすることが可能になる。

 AIシステムによって与信審査や本人確認を自動化し、顧客の信用度を決定することには、倫理的な問題もある。こうしたAIシステムを導入する際には、AIシステムを含めた意思決定プロセスを十分に説明できることが重要になる。

 規制が厳しく、意思決定プロセスの説明が必要とされる企業では、プロセスに人が介在する方がよいだろう。AIシステムは不正取引をリアルタイムに検知したり、オンデマンドで商品を購入できるようにしたり、顧客サービスを向上させたりすることに強力な効果を発揮する。その多大な利点を活用するためには、AIエンジンを適切にトレーニングすることと、必要に応じて意思決定の理由を説明できるようにすることが重要だ。

     

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