週間情報通信ニュースインデックスno.1180 2019/06/01


1.ロボットを動かす深層学習、建機制御や物流ピッキング、散らかった部屋の片付けまで(5.30 日経XTECH)
 ディープラーニング(深層学習)はどこまで来たのか――。日経BPが開催した技術カンファレンス「テクノロジーNEXT 2019」(2019年5月27〜30日、ホテル雅叙園東京)で、「ロボット×ディープラーニングの最前線」と題するセッションが2019年5月27日に開かれた。深層学習を用いてロボットを自律動作させる技術を開発する大手やスタートアップ各社が登壇し、開発事例について講演した。

 東京大学松尾研究室発ベンチャーであるDeepX 代表取締役の那須野薫氏は、同社が開発する深層強化学習を用いた2つの事例を紹介した。まず1つが、ゼネコンのフジタと共同開発する油圧ショベルの自動掘削技術である。油圧ショベルにカメラを取り付けてアームの姿勢や位置を認識し、操作レバーをモーターで自動制御する技術で、アームの制御モデルの作成に深層強化学習を利用した。もう1つが、機械メーカーのイシダと共同開発するパスタの定量盛り付け作業の自動化である。パスタは不定形でやわらかく、ロボットハンドで指定量をつかんでピッキングするのが難しい。人間が目分量で実現している機能を再現するために、麺を1本単位で認識する画像認識アルゴリズムを開発した。

 デンソーウェーブとAI(人工知能)開発ベンチャーのエクサウィザーズは、共同で開発するマルチモーダルAIロボットについて講演。登壇したデンソーウェーブの澤田洋祐氏(FA・ロボット事業部 製品企画室 室長)とエクサウィザーズの浅谷学嗣氏(Robot Tech部 部長)が、カメラの画像や圧力センサーなど複数のセンサー情報を基に、粉や液体といった不定形の物体を秤量する技術の開発事例を紹介した。言語化の難しい“さじ加減”をロボットで実現するために、人間の動作を手本にロボットの動作を学習させる模倣学習を採用した。

 Preferred Networksの海野裕也氏(執行役員 ロボットソリューションズ担当VP)は、「CEATEC JAPAN 2018」で同社が出展した「全自動お片付けロボットシステム」を支える深層学習ベースの画像認識技術と自然言語処理技術について講演した。このロボットは、家庭内の約300種類の物体を識別し、「そこの靴下を洗濯かごに入れて」などと声をかけると指定されたものをつかんで移動させられるパーソナルロボットシステムである。海野氏は、工場で使われる産業用ロボットと比べたパーソナルロボットの難しさとして、認識する物体の種類の多さや環境の流動性、ユーザーとのインタラクション性などを指摘。「これまで工場でしか使えなかったロボット技術を、誰でもどこでも使えるようにできるのが深層学習の強み」(海野氏)と、深層学習の有用性を強調した。

2.“AI×シミュレーション”で生産状況の変動を予測し、生産プロセスを最適化――NECと産総研が共同検証(5.31 ITmedia)
NECと産業技術総合研究所(産総研)は2019年5月30日、両者が共同開発した「希少事象発見技術」を強化し、生産プロセスや生産計画の事前評価に適用する実証実験を2018年9月〜2019年3月に実施したと発表した。

 実証実験の結果、多品種混流生産プロセスの評価を効率化し、評価に要する時間を削減できることを確認。「生産状況の変動を想定し、生産プロセスや生産計画の最適化を支援するAI技術」として実証できたとしている。この技術により、専門家が1週間要していた評価作業を1日程度に短縮できると見込まれ、新規生産プロセスの早期構築や既存生産プロセスでの迅速な生産計画変更が可能になるという。

 希少事象発見技術は、少ないデータで機械学習を成立させ、まれに起こる事象でも効率的に予測する技術。発生確率が極めて低いために製品の設計段階では発見が難しい不具合を、AIが学習しながらシミュレーションを繰り返して効率的に見つけ出せる。

 NEC、産総研ならびに神戸製鋼は、今後も共同研究を継続し、生産プロセスの専門家とともに、設備計画や生産計画の立案を支援するAIとシミュレーションの融合技術の研究開発を進め、産業への応用を検討していくとしている。

3.データを仕事に生かせる日本企業は「たった3%」、課題は人事にある(5.28 キーマンズネット)
ガートナー ジャパンは2019年5月27日、国内企業を対象としたデータ活用の取り組み状況に関する調査結果を発表した。それによると、全社的にデータを利活用している企業は20%、データの利活用からビジネス成果を十分に得ている企業は全体の3%という現状が明らかになった。

 まず、日本国内のユーザー企業にデータ利活用の状況を尋ねたところ、「全社的に利活用している」と答えた企業は20%、「一部の事業・組織で利活用している」と答えた企業の割合は36%で、過半数の企業でデータを利活用していた。

 それに対して「経営層から要望があるが、利活用できていない」は8%、「現場から要望があるが、利活用できていない」は10%で、活用したいとの要望はあるもののできていない企業が2割近くあった。また、「利活用しておらず、要望もない」は25%だった。

 次に、現時点で活用可能なデータからビジネスに十分な成果を得られているかを尋ねたところ、「十分に得ている」と回答した割合はわずか3%。「ある程度得ている」と回答した34%を加えても、4割に満たない。「あまり得ていない」と回答した割合は31%、「まったく得ていない」は11%だった。

 この結果を、データを「全社的に利活用している」と答えた全体の20%の企業に限定して見ても、ビジネス上の成果を「十分に得ている」と答えた割合は12%。データを「一部の事業・組織で利活用している」と回答した36%の企業で見ると、ビジネス上の成果を「十分に得ている」と答えた割合は1%だった。日本では半数以上の企業がデータを利活用しているものの、ビジネスで成果を得ている企業は少ない現状が明らかになった。

 なお、今回の調査の対象は、日本全国の従業員数20人以上のITユーザー企業。ランダムに選んだ約5200社のうち承諾を得た約2900社にアンケート調査を実施し、750社から有効回答を得た。

4.成田空港“顔パス”で搭乗OK 20年春スタート 顔認証端末を公開(5.31 ITmedia)
成田国際空港は5月31日、2020年春から導入する顔認証を使った搭乗手続きシステム「OneID」の端末を報道陣向けに公開した。空港でチェックイン時に顔写真を登録すれば、保安検査や搭乗ゲートなどを"顔パス"で通過できる。スタッフの不足などで空港の処理能力が下がる中、増加するインバウンド需要などに新技術で対応する構えだ。

 チェックインカウンターに設置した登録端末でパスポートを読み取り、同時に端末内蔵のカメラで搭乗者の顔を撮影する。パスポートの顔写真と搭乗者が一致したら、搭乗チケットなどの情報とひも付けてシステムに一時保存する。

 荷物の預け入れも無人端末に顔を向けるだけで受付が完了する。パスポートや搭乗券の提示は不要のため、搭乗者は両手の空いた状態で手荷物にタグを付けられるといったメリットもありそうだ。

 顔認証技術にはNECの「NeoFace」を採用。チェックイン時に取得した顔写真などのデータは長期保存しないとしている。

 日本航空や全日空がOneIDでの搭乗を予定しているが、対応する便や具体的なサービス運用開始日は未定だ。

5.2019年に盛り上がる「データ分析トレンド」トップ10とは?――ガートナー(5.31 ITmedia)
ガートナー ジャパン(以下、ガートナー)は2019年5月30日、2022〜2024年の間に重大なディスラプション(破壊)をもたらす恐れのある、「2019年のデータ/アナリティクステクノロジートレンド」のトップ10を発表した。同社によれば、デジタルディスラプションは、膨大なデータやデータ環境の複雑化をもたらすと同時に、「新たな機会を創出する」という。

 同社のアナリストでシニアプリンシパルを務める一志達也氏は、同レポートに「データとアナリティクスには、多くの期待と注目が集まっている。一方、多くの企業では人材が不足し、自社でどのようにそうした技術を活用すれば良いかといった基本的な部分で足踏みしている。

 技術の進化はスキル不足を補い、データとアナリティクスの活用を容易にする。それらを使いこなし、自社のビジネス成果につなげられるよう、人材の確保と組織力の向上に努める必要がある」と記している。

 ここでは、ガートナーが今回発表したトレンドのうち、トップ3を紹介する。同社は、「トレンドが自社や市場全体にもたらすインパクトを精査し、必要なものを最適なタイミングで取り入れていかなければ、競争優位性を失い、取り残される恐れがある」として、変化するトレンドへの理解を深め、ビジネス価値に基づいて優先順位を付けることが重要だと説明する。

トレンド1:拡張アナリティクス(Augmented Analytics)  ガートナーが「データ/アナリティクス分野での次のディスラプション」とするのが、拡張アナリティクスだ。データ準備や洞察の生成、洞察の可視化を自動化する技術で、普及すれば、これらのプロセスでデータサイエンティストが直接手を動かす必要がなくなるという。

トレンド2:自然言語処理(NLP)/会話型アナリティクス(Conversational Analytics)  自然言語処理は、データに関する問い合わせや、表示された洞察の説明を得るための操作をより容易にする。クエリ操作に自然言語を活用することで、一般ユーザーでもデータとアナリティクスをより簡単に活用できるようになる。ガートナーは、「2020年までに、分析クエリの50%が、検索や自然言語処理、音声によって生成されるか、自動生成される」と予測する。

トレンド3:継続的なインテリジェンス(Continuous Intelligence)  ガートナーによると、継続的なインテリジェンスとは、リアルタイムのアナリティクスをビジネスプロセスに統合するもの。常に最新のデータを分析してイベントに対するアクションを処方し、意思決定を自動化したり自動化を支援したりするという。



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