週間情報通信ニュースインデックスno.1179 2019/05/25


1.日本企業のデジタル化はなぜ世界から遅れてしまったのか、デロイトがグローバル調査(5.24 日経XTECH)
デロイトトーマツグループは2019年5月24日、最新のデジタル技術のトレンドをまとめた「Tech Trends 2019 日本版」の説明会を開いた。今後のビジネスを変革する技術について同社がグローバルでまとめた「Tech Trends」に、日本の動向や日本企業への影響を加えて解説したもの。日本版は2015年から5回目の発刊となる。

 「日本企業のデジタル化の取り組みはグローバルの潮流とはスピード感が異なる。昨年、この場で海外と比べてだいぶ後れを取っていると話したが、今回さらに離された印象だ」。説明会に登壇した同社の安井望CTO(最高技術責任者)はこう指摘し、日本企業がデジタル活用で遅れている現状を訴えた。

 安井CTOは企業の戦略を左右する重要技術として9つの技術を示し、それらがどう活用されるかを「過去」「現在」「未来」に分けて紹介した。中でも「アナリティクス」「クラウド」「デジタルエクスペリエンス」が「3本柱」であるとし、「今後デジタルを使い経営を変革していくには必ず必要な技術。企業はこれらの技術がどう進化していくかを常に把握しておかなければならない」と説明した。

 セキュリティー技術などを指す「リスク」については、個々の技術よりも「現在はコンプライアンスに注目が集まっている」とした。AI(人工知能)や自動化が実用化されたことで、使いこなすための倫理観や、AIの振る舞いについて企業がどう責任を負うかという点に関心が集まっているという。「経営者は今後、技術だけでなくコンプライアンスについても強く意識しなければいけない段階に入っている」と訴えた。

 ブロックチェーンについては日本の技術者不足を指摘した。グローバルでは業種を問わず基礎技術として使われているが、日本は金融機関など一部での活用にとどまっており、「今後も活用が進むのは先になるだろう」と述べた。

 説明会では、第5世代移動通信システム(5G)に関するグローバルの調査も紹介した。同社の調べによると、世界の通信事業者51社が2020年末までに、5Gサービスを提供する予定という。5Gが本格化すればエッジコンピューティングが広まり、「サーバーと端末側の処理がシームレスでつながり、スマホの世界で想像もつかなかったことができるようになるだろう」と話した。

 なぜ日本企業がデジタル化で出遅れるのか。その理由を安井CTOは「日本企業は相変わらず全てベンダーに任せている」点にあると指摘した。

 「海外は相当な数のIT人材を自社で抱え、自分たちで取り組む意識がある。こういった環境の違いが、日本と海外とのスピード感の違いになっている」と続けた安いCTOはスイスのクルーズ会社が船に100億ドルを投じてネット環境を整えた事例を紹介。「こういった大胆な投資をできる点が日本の経営者とは異なる」と強調した。

2.実在しない人物の顔をAIで生成、フリー素材として公開 「AI人物写真素材」商用利用もOK(5.23 ITmedia)
写真素材サイトを運営するACワークスはこのほど、人工知能(AI)で生成した、実在しない人物の顔画像を、「AI人物写真素材」としてβ公開した。許可を得て収集した写真だけを使い、機械学習を用いて生成。モデルから写真の使用許可を得る必要なく「安全に利用できる」としている。写真ACに会員登録すればダウンロードでき、改変や商用利用もOKだ。

 画像を生成するAIと画像を評価するAIを「敵対」させ、精度を向上させていくディープラーニングアルゴリズム「GAN」(Generative Adversarial Network:敵対的生成ネットワーク)を活用して生成した。

 さまざまな肌色の老若男女の素材があり、いかにも実在しそうな自然な人物画像も多い。「研究段階のため品質に問題がある」としており、顔のバランスや背景などが不自然になっている画像も。ダウンロードできる素材のサイズは各256×256ピクセルと小さめだ。

 同社は「AI人物素材のメリットは、実際の人物写真を使う場合にあり得る、被写体から写真使用許可を撤回されるなどの問題が起こりえないこと」と説明。今後、学習データの量を増やし、より高い解像度で安定した品質の画像を生成できるよう研究を続けるとしている。

3.Huawei日本法人「スマホ新端末に影響なし、安心して購入・使用を」と声明(6.24 ITmedia)
米Googleが中国Huaweiとの取り引きを停止したと伝えられ、HuaweiのAndroidスマートフォンへの影響が懸念されている問題で、日本法人のファーウェイ・ジャパンは5月23日、「発売済み・発売予定のスマートフォンやタブレットについて、使用やセキュリティアップデート、アフターサービスなどが影響を受けることはない。安心して購入・使用してほしい」との声明を出した。

 声明は「Google社のアナウンスに関するファーウェイ・ジャパンからのメッセージ」というタイトルで、全文は以下の通り。

  「AndroidはスマートフォンのOSとして常にオープンソースであり、当社は重要なグローバルパートナーとして、Androidの発展と成長に非常に重要な貢献をしてまいりました。当社はユーザーや業界にとって有益なAndroidエコシステムを引き続き発展させて参ります。

 Huawei、Honorブランドについて世界で販売済み及び販売している、また日本で今回発表したスマートフォン、タブレットにおいて、その使用、今後のセキュリティアップデート、アフターサービスなどが影響を受けることはありません。安心して、ご購入、ご使用ください。」

4.国内IT市場、2019年はプラス成長で18兆807億円規模、2023年まで2.4%で堅調 クラウドシフトへの対応が鍵――IDC調べ(5.24 ITmedia)
IDC Japanは2019年5月23日、国内IT市場の産業分野別/企業規模別の2019〜2023年の予測を発表した。

 2019年の国内経済は、米国を中心とした保護主義政策による世界経済の減速リスクが懸念されていたが、グローバル経済は引き続き順調に拡大。大手製造業を中心に多くの企業で高い業績を上げており、2019年から2023年にかけて平均で前年比1.0%増のGDP成長率を達成すると見ている。

 そうした経済状況を背景に、2019年の国内IT市場では、2020年1月の「Windows 7」のサポート終了に伴うPCの更新需要に加え、同年10月に予定されている「消費税増税/軽減税率制度」への対応を目的にした関連システムの刷新、改修が見込まれることから、市場規模は18兆807億円で前年比3.4%のプラス成長を予測している。

 特に、既存システムの刷新や「働き方改革」を契機とした業務効率化を目的とする新規のシステム導入/開発が堅調なことから、関連ソフトウェアやIaaS(Infrastructure as a Service)が市場の成長をけん引。また、Windows 7のサポート終了による「Windows 10」への買い替え需要や、消費税増税前の駆け込み需要により、法人向けや教育分野を中心にPC市場も高い成長率を示しているという。

 今後、全産業分野/企業規模で始まる「クラウドシフト」に合わせて、ユーザー企業自身の事業構造や業態の変化に柔軟に対応できるようなITリソースをクラウド経由で提供するサブスクリプションモデルに積極的にシフトする必要性が高まっており、IDCが提起する「第3のプラットフォーム」と「イノベーションアクセラレーター」を活用した提案がより重要になりつつあるという。

 なお、第3のプラットフォームとは、「クラウド、モビリティー、ビッグデータ、ソーシャル技術」で構成されるIT市場を支えるテクノロジープラットフォーム。イノベーションアクセラレーターは、第3のプラットフォーム技術と組み合わせることで企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の原動力となる6つの技術で、「IoT、コグニティブ/AI、次世代セキュリティ、3Dプリンティング、AR/VR、ロボティクス」を挙げている。

5.適応ネットワーク制御技術で自動運転向けリアルタイム通信 NECとNICTが実験(5.24 ITmedia)
 NECは2019年5月23日、自動運転を見据えた安全運転支援に適応ネットワーク制御技術が効果的だと発表した。

 これは同年3月に、NECが国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と連携して実施したフィールド実験の結果だ。実験は、自動運転を想定し、適応ネットワーク制御技術を活用して周辺情報をリアルタイム共有するもの。この実験には総務省の委託研究「電波資源拡大のための研究開発〜多数デバイスを収容する携帯電話網に関する高効率通信方式の研究開発〜」の成果が含まれる。

 同実験は「携帯電話網の通信が混雑している場合でも、リアルタイム通信を確保する」ことが目的。

 IoT(モノのインターネット)の普及に伴い、自動車の自動運転や、工場や倉庫での搬送車の自動運行など、リアルタイム通信を活用するサービスが期待されている。これらのサービスでは、携帯電話網を活用して位置情報やカメラ画像などの周辺情報をリアルタイム共有して衝突を回避するなど安全な自動運行を確保する必要がある。

 ところが既存の携帯電話網では、無線基地局に接続する端末数が増えるほど、端末1台当たりの通信遅延が増加する。通信遅延に影響を与える無線品質は、端末ごとに異なる上、刻々と変動する。例えば多くの車両が集まる交通量の多い交差点などでは通信遅延が発生しやすくなる。この状況で安定的に無線品質を確保することが困難だった。

 3月に実施した実験では、神奈川県横須賀市の横須賀リサーチパーク内で、車両の位置情報を定期的に送信する通信モジュールを載せた車両を走行させた。通信設備には、5G(第5世代移動通信システム)の商用化を見据え、適応ネットワーク制御技術を搭載したNECの「MEC」(Multi-access Edge Computing)サーバと、5G要件のうち多数接続性と低遅延性を満たす無線アクセス技術を実装したNICTの5G基地局を利用した。

 交差点では、多数の車両が基地局と通信するという混雑した状況だったが、車両同士で遅延時間が100ミリ秒以内になるよう携帯電話網の通信遅延を抑制した結果、注意喚起情報をリアルタイム共有できたという。これによって、混雑した通信環境でも、安全運転支援に向けて信頼性の高いサービスを安定して提供可能だとしている。

 NECは、今後、工場や倉庫での自動搬送車の他、警備ロボットや災害時の調査ロボット、検査や宅配のためのドローン自動運行などにも、適応ネットワーク制御技術の応用を目指すという。



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