週間情報通信ニュースインデックスno.1176 2019/04/27


1.日立・富士通・NECの18年度通期決算、明暗くっきり(4.26 日経クロステック)
 令和の開始を5日後に控える2019年4月26日、富士通とNEC、日立製作所の国産IT大手3社がそろって2019年3月期の連結決算(国際会計基準)を公表した。全社の業績で見ると1兆円を稼ぐまでに成長したIoT(インターネット・オブ・シングズ)基盤「Lumada」を擁する日立が増収増益、構造改革による損失を出し切ったNECは増収減益、構造改革に着手した富士通は減収減益と色が分かれた。

3社の全社業績と予想
企業名 年度 売上高(前年同期比) 営業利益(前年同期比)
日立製作所 *1 2018年度 9兆4806億円(1.2%) 7549億円(5.6%)
2019年度(予想) 9兆円(▲5.1%) 7650億円(1.3%)
富士通 2018年度 3兆9524億円(▲3.6%) 1302億円(▲28.6%)
2019年度(予想) 3兆7500億円(▲5.1%) 1300億円(▲0.2%)
NEC 2018年度 2兆9134億円(2.4%) 585億円(▲8.4%)
2019年度(予想) 2兆9500億円(1.3%) 1100億円(88.0%)
 ただITサービスの業績で見ると各社とも好調といえる。日立は2019年3月期の増収増益から2020年3月期は減収減益に転じるが、Lumada事業の拡大に向けて600億円の成長投資を投じるためだ。

 NECは2019年3月期はWindows 7のパソコンから「10」のパソコンに買い替える特需のプラスと構造改革費用のマイナスが作用して増収減益だったが、2020年3月期は双方が消え、営業利益が4割近く伸びる減収増益を見込む。3兆円を稼ぎITサービス国内トップの富士通は営業利益が前年度をわずか0.8%下回る増収減益だったが、公共系の需要増が続き、2020年3月期は増収増益の予測である。

 日立製作所は売上高が前期比1.2%増の9兆4806億円で、営業利益は同5.6%増の7549億円の増収増益だった。情報・通信システムのセグメントも売上収益(売上高)は同2.8%増の2兆659億円、営業利益は同19%増の2252億円と増収増益だった。

 事業の柱にすべく注力するのがLumadaだ。西山光秋執行役専務CFO(最高財務責任者)はLumada事業の売上収益が同12%増の1兆1270億円まで拡大したと明かした。

 巨額投資を使って日立はLumadaをIT分野以外でも適用しやすくするよう改善する。Lumadaを活用できる「デジタル人材の育成・強化にも注力する」(西山CFO)。

 NECは売上高が同2.4%増の2兆9134億円、営業利益が同8.4%減の585億円で増収減益だった。グローバルを除く全てのセグメントで売上高が伸びたが、希望退職者の募集による人員削減などの構造改革費用の計上が響いて減益となった。

 国内SI事業である「エンタープライズ」セグメントは売上高が同6.4%増の4350億円、営業利益が同1.7%減の351億円で増収減益だった。AI(人工知能)やIoT分野での先行投資がかさんだための減益だ。新野隆社長は「当社がもともと強みを持つ金融業向け、流通・サービス業向けを中心にSI事業が好調だった」と総括した。

 2020年3月期のエンタープライズセグメントの売上高は前年並みの4350億円を見込むものの、上振れする可能性もある。「引き続き流通・サービス業向けなどの受注が好調なため、前年並みというのは保守的な予想」(新野社長)だからだ。

 NECは2019年3月期に、構造改革とそれに伴う一時的な損失として約350億円の計上を済ませた。新野社長は「今年1年はターンアラウンド(反転攻勢)の年にしたい」と意気込む。12年ぶりに中間配当を再開し、従業員の賞与原資を100億円積み増すなど株主や社員に前向きな施策を打ち出した。

 成長基軸としてNECはデジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズ刈り取りにかける。「2019年4月に組織を再編し、DX分野の新事業に社内リソースを大きくシフトさせた」(新野社長)。アクセンチュアをはじめ先行する競合企業に勝るコンサルティング力と技術力を発揮できるかが課題だ。

2.AI搭載の「3D警備員」が活躍 セコムら4社がバーチャル警備システムを開発(4.26 ITmedia)
 セコムとAGC、ディー・エヌ・エー(DeNA)、NTTドコモの4社は2019年4月25日、警備や受付業務に向けた「バーチャル警備システム」の試作機を開発したと発表した。セコムのセキュリティに関するノウハウと、AGCの高反射率ミラーディスプレイ技術、DeNAの音声合成技術やキャラクターデザイン、NTTドコモの通信技術を組み合わせ、2020年の発売に向けて実用化を進める。

 バーチャル警備システムは、これまで常駐の警備員が提供してきた業務のうち「警戒監視」や「受付」などを提供するもの。高反射率のミラーディスプレイに周辺環境を写り込ませ、設置場所に違和感なく溶け込ませながら、鏡像の中に3Dモデルの「バーチャル警備員」を立体的に浮かび上がらせる。

 バーチャル警備員は、来訪者から話しかけられると、AIで音声や顔、持ち物などを認識した上で、実際に語りかけるような合成音声によって自動応答する。相手の背丈に合わせ、場合によっては腰をかがめて目線を合わせて応対する。必要な場合は常駐の警備員が遠隔で対応可能だ。

3.利用者数はLINEの1割、携帯3社の「打倒LINE」は新サービスで劣勢を覆せるか(4.23 日経クロステック)
 NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの3社は2019年4月23日、携帯電話番号だけでやり取りできるメッセージングサービス「+メッセージ(プラスメッセージ)」の機能拡張を発表した。2019年5月以降に企業の公式アカウントの運用を始め、企業と利用者がメッセージをやり取りできるようにする。サービスの利便性を高めて先行するLINEに対抗する。

 同日開催された発表会では、公式アカウントの利用例として金融機関における住所変更やレストランの予約、携帯電話会社の契約サポートなどを紹介した。企業の公式アカウントは携帯3社による審査を通過すると、認証を得たことを示す「認証済みマーク」がアカウントの横に表示される。

 +メッセージはSMS(ショート・メッセージ・サービス)の進化版とされ、2018年5月にスタートした。携帯電話番号だけで送り先を指定でき、テキストや動画、スタンプをやりとりできるのが特徴だ。3社は明言しないが、「打倒LINE」と目されるサービスだ。

 発表会では2019年4月時点の+メッセージ利用者数が3社合計で800万人と明かされた。3社の携帯電話の契約数はフィーチャーフォンを含め、合計で1億7000万件とされるため、十分に浸透しているとはいえない。

4.グーグルがクラウド戦略大転換、新サービスAnthosでAWSに挑む(4.23 日経クロステック)
 グーグル(米Google)が提供するクラウドサービス「Google Cloud Platform(GCP)」が、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドの推進に大きく舵を切った。GCPとオンプレミス環境や他社クラウドの併用を容易にする狙いだ。

 Google Cloud カスタマーエンジニア 技術部長の佐藤聖規氏は「企業システムは複雑なので、1つのクラウドで管理するのは現実的ではない」とその理由を話す。これまで以上に企業ユーザーをGCPへ取り込もうと、従来の自社パブリッククラウド一本槍の姿勢を改め「ハイブリッドクラウドは正しい」(佐藤氏)という立ち位置から、戦略を練り直したわけだ。

 ハイブリッドクラウド実現の鍵を握るのが、GCPの年次イベント「Google Cloud Next '19」(4月9〜11日に米サンフランシスコで開催)で提供開始が発表された「Anthos(アンソス)」である。

 Anthosの中心には、コンテナのオーケストレーターツール「Kubernetes」のマネージドサービス「Google Kubernetes Engine(GKE)」がある。これに、管理ツール「Anthos Config Management」やサービスメッシュ管理の「Istio」などを組み合わせ、アプリの実行、管理基盤を提供。GKE上のコンテナクラスターに対して「構成管理やポリシー管理などを可能にする」(佐藤氏)。

 Anthosはこれまで「Cloud Services Platform」という名称で開発してきたものを、一般提供(GA)のタイミングで名称変更した。また、仮想マシンをコンテナに自動変換する「Anthos Migrate」をラインナップに加えた。

5.日本企業はサイバー攻撃の検知能力が12カ国中最低、調査で判明した弱点(4.22 日経クロステック)
 日本を含むアジアの企業は他の地域の企業よりもサイバー攻撃の発見が遅く、予防対策も後手に回っている??。

 グローバルに顧客を抱えるセキュリティー会社の調査から、日本企業のサイバー攻撃対策の弱さや意識の低さが明らかになった。サイバー攻撃の発見が欧米企業に比べて遅いうえ、最新の対策技術に関する知識も少なく、有効に投資できていないという。

 調査結果を公表したのは英ソフォス(Sophos)と米ファイア・アイ(FireEye)の2社だ。

 ソフォスの調査は世界12カ国の3100社を対象に、CIO(最高情報責任者)などITの意思決定者にインタビューしてまとめた。従業員100人以上の企業が対象で、100?1000人未満の中堅企業と1000人以上の大企業がそれぞれ1550社ずつとなるように調査対象を選んだ。日本では200社を調査した。

 目に付くのは他国に比べた日本の攻撃検知の能力の低さだ。調査では対象企業の68%が2018年にサイバー攻撃を受けたと回答。最大の被害を受けた攻撃について、侵入から検知までにかかった時間は平均13時間だった。国別ではカナダやブラジルが平均10時間、米国が同12時間だったのに対し、日本は同17時間もかかり、12カ国で最下位だった。

 ほかに日本が際立って低かったのが、新しいサイバー攻撃対策技術への関心の低さだ。従来のウイルス対策ソフトに代わる端末側の対策ソフトとして普及しつつある「EDR(エンドポイント・ディテクション・アンド・レスポンス)」ソフトの導入意向を聞いたところ、日本は34%にとどまった。他国は8割を超えており、日本との差は歴然だ。EDRは振る舞い検知やゼロデイ攻撃検知、ログ分析などから脅威を検知して、侵害を封じ込める対策ソフトである。

 回答対象はEDRを未導入の1990社で、他の11カ国はインドの99%を筆頭に大企業か中堅企業かを問わず、導入意向が高かった。「サイバー攻撃対策について技術動向を理解し、投資を判断できる人や体制が(日本企業では)できていない」。日本での導入意向が低い理由について、ソフォス日本法人の佐々木潤世営業本部セキュリティソリューションコンサルタント兼セキュリティエバンジェリストはこう指摘する。

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