週間情報通信ニュースインデックスno.1167 2019/02/16


1.北陸銀行、スマホだけで口座開設できるアプリを提供開始(2.15 日経クロステック)
 北陸銀行は2019年2月15日、スマートフォンアプリだけで口座開設や住所変更などの手続きを完結できる「口座開設&お手続きアプリ」を発表した。2月18日から提供する。アプリは日本IBMと共同開発した。

 新しいアプリでできる手続きは銀行口座の開設や、投資信託口座の開設、デビットカードの申し込み、住所変更の手続きなど。店舗を訪ねたり本人確認書類を郵送したりする必要はない。ユーザーはアプリの指示に従って、スマートフォンのカメ  ユーザーが自分の写真を撮影する際、免許証を手に持って顔と一緒に写すようアプリが指示するほか、免許証の持ち方も指定する。行員が目視で写真をチェックして、なりすましや偽造による口座開設を防ぐ。これは、2018年11月30日に施行された改正犯罪収益移転防止法に基づく、非対面による本人確認となる。本人確認が終わり次第、北陸銀行がユーザーの自宅にキャッシュカードやインターネットバンキングサービスのパスワードを郵送する流れだ。

2.7部門で首位交代、「パートナー満足度調査 2019」結果発表(2.15 日経クロステック)
 16部門の1位獲得企業は表の通りである。大手ITベンダーでは富士通が6冠を獲得し、強さが際立った。
「パートナー満足度調査 2019」の1位獲得企業
サーバー 富士通
法人向けPC 富士通
ストレージ 富士通
ネットワーク機器 ヤマハ
ネットワークサービス 富士通
テレワーク支援(仮想デスクトップ/オンラインストレージ) ヴイエムウェア
サーバー仮想化ソフト ヴイエムウェア
データベースソフト 富士通
クラウド基盤サービス(IaaS、PaaS) アマゾン ウェブ サービス
統合運用管理ソフト(クライアント系)*1 Sky、富士通
統合運用管理ソフト(サーバー/ネットワーク系) NEC
ERPパッケージ オービックビジネスコンサルタント
グループウエア(ビジネスチャット含む) サイボウズ
セキュリティ対策製品 フォーティネットジャパン
ビデオ/音声会議システム製品 シスコシステムズ
RPAソフト NTTデータ 

3.TOTO、NTTコムのクラウドからAWSにリプレース(2.14 日経クロステック)
 TOTOは同社のシステム基盤に米アマゾン・ウェブ・サービスのパブリッククラウド「Amazon Web Services(AWS)」の採用を決めた。受発注などの基幹業務システムだけでなく、3D CADや電話システムを含めて順次パブリッククラウドで稼働させる。一部のシステムは2018年11月から移行を始めており、2022年までに移行を終える計画だ。

 同社は2018年10月に業務システムの実行環境を自社サーバーからNTTコミュニケーションズのプライベートクラウドに移し終えたばかりだった。それにもかかわらずAWSへのリプレースに踏み切ったのは、BCP(事業継続計画)を考慮してサーバーの冗長性や災害対応を強化するのに加え、AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)関連のサービスの柔軟な利用を考えたためだ。

 BCPを本格的に考慮し始めたのは2011年3月11日の東日本大震災で仙台の営業所が被災したのがきっかけだった。TOTOは震災を機に自社のサーバールームの大幅縮小へと舵(かじ)を切った。仙台営業所内のサーバーラックが倒れ、壁を突き破った。受発注データや見積もり、図面データを取り出せなくなり、顧客やパートナーからの問い合わせに支障をきたした。停電やネットワークの断線があり、本社のある北九州市から遠隔でデータを復旧することも困難を極めた。結果、本社から作業員を派遣し、バックアップデータを持ち帰り、リストアすることとなった。

 この経験から2012年に自社サーバーの約8割をクラウドへ移すと決めた。災害対応のみならず、当時同社はROA(総資産営業利益率)をKPI(重要業績評価指標)の1つに掲げ、2011年度に5%だったROAを、2014年度には7%にするという数値目標を掲げた。「過剰な設備投資をやめ、ガバナンスを効かせるという意味でも重要な施策だった」(TOTOの角田誠一情報企画本部情報企画部企画主幹)。その後、サーバーの契約期間満了に合わせて少しずつNTTコミュニケーションズのプライベートクラウドに移行。2018年10月に移行を完了した。

 AWSへの移行を始めたのはその翌月の2018年11月。TOTOはプライベートクラウドへの移行を進めながら、2017年にパブリッククラウドサービスの比較検討を始めた。当初からAWSに移行しなかったのは、プライベートクラウドの採用を決めた2012年当時は業務システムに「パブリッククラウドを利用するのが一般的ではなかった」(角田企画主幹)からだ。

 その後AWSをはじめとしたパブリッククラウドが業務にも浸透し、市場を席巻。コストやサーバーの冗長性、サービスの取捨選択の柔軟性を鑑み、プライベートからパブリッククラウドへの移行を決めた。「例えば(電話システムをパブリッククラウドに移行することで)災害対応1つとっても受信できるコール数を状況に応じて柔軟に増減できる」(角田企画主幹)。

 AWSの採用によって、最新の技術を応用したサービスを自社の経営に生かすことも視野に入れる。TOTOは2022年度までの中期経営計画でAIやIoTを活用し、サプライチェーンや工場の最適化をうたう。それにより、2018年度から2022年度までの5年間で400億円のコスト削減を見積もる。移行に次ぐ移行で初期投資の増大は避けられない一方、攻めの投資で中長期的なコストメリットを捻出していく考えだ。

4.「むなしいAI」に終止符を打つ 対話システム構築の秘策(2.14 日経クロステック)
 数多くのSF(サイエンス・フィクション)小説や映画作品に描かれてきた、人間のように人と対話するAI(人工知能)――。AIの開発や導入は各所で進むが、こうしたAIはまだ実現していない。対話システム研究の現状とこれからの青写真を、日本電信電話(NTT) NTTコミュニケーション科学基礎研究所 兼 NTTメディアインテリジェンス研究所 知識メディアプロジェクト 知識言語基盤技術グループ 主任研究員(上席特別研究員)の東中竜一郎氏に聞いた。

最近の対話システム研究開発トレンドについて教えてください。
 対話システムには2つのタイプがあります。まず、いわゆるAIスピーカー(スマートスピーカー)に代表されるような、ユーザーが何かお願いをすると応えてくれる「タスク指向型」。米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)の対話エージェント「Alexa(アレクサ)」がかなり先行しています。もう1つが、「非タスク指向型」と呼ばれるタイプです。このタイプは、おしゃべりや雑談ができるエンターテインメント性や、ユーザーがシステムと「仲良くなれる」ことを重視します。

 タスク指向型は(手間をかけて)作りこめば実現できるところがあるので、ビジネス向けで開発が進む一方、研究では後者のタイプ、雑談対話システムの開発が盛んです。特に、AI分野のトップ国際学会「IJCAI(International Joint Conference on Artificial Intelligence)」では、ほとんどの論文が、入力発話に対する応答をディープラーニング(深層学習)で生成、出力するシステムに関するものになってきています。

雑談対話システムの現在の研究課題は何でしょうか。

 特に最近の流行りは、一貫したキャラクターで応答するやり取りをどう実現するかです。日々のアシスタントのような対話システムを考えたときに、ずっと長く使ってもらうためには、仲間感や信頼感を持てるかどうかということが重要になります。

 対話機能を実現するために大量の人の雑多なデータを学習させると、いろいろな人の個性や価値観が混ざったシステムになってしまいます。一度「好き」と言ったものを後で「嫌い」と言ってしまったり、出身地が聞くたびに変わってしまったりすると、文脈の一貫性を壊すことにつながります。実際、機械学習のトップ国際学会「NeurIPS(旧NIPS) 2018」では、米フェイスブック(Facebook)が中心となって、チャットボットの一貫性を評価するコンペ「The Conversational Intelligence Challenge 2 (ConvAI2)」を実施しました。ボットの学習には、与えられたプロフィール(ペルソナ)に基づいて話す人間同士の対話データを利用しています。

こうしたデータを集めやすくする仕組みが重要になりそうですね。

 はい。NTTはドワンゴと共同で、キャラクターAIをファンと一緒に育成するプロジェクト「なりきり質問応答」を実施しています(なりきり質問応答のサイト)。有名人やアニメのキャラクターをターゲットに、そのキャラが「言いそうなこと」をファンが投稿するプラットフォームです。ユーザーは、そのキャラクターに聞いてみたい質問や、その質問に対してキャラが言いそうな回答を投稿します。そのキャラクターがいかにも言いそうなせりふには、他のユーザーが「いいね」に相当する「ポイね!」を付けられる仕組みを取り入れて、AIの精度を高める工夫をしています。モデルにしたのは、YouTuberのマックスむらいさんと、ライトノベル「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」に登場するキャラクター「新垣あやせ」の2人です。2017年にプロジェクトを始めてデータを集め、「ニコニコ超会議 2018」などでAIをお披露目しました。

 AIのデータは、手間をかけて人手で作成するとコストがかかるし、持続的ではなくなってしまいます。そこで、放っておいてもデータが集まる仕組みがあれば、対話研究において有益だろうと考えて始めたのが、このプロジェクトです。参考にしたのはWikipediaです。みんなが喜んでそこにコンテンツを投稿してくれる仕組みがあれば、新しい対話アルゴリズムの開発促進につながる。ファンが途絶えないアニメのキャラクターとか、有名人などを中心に据えれば、ずっとデータが書き込まれていくはずです。特にあやせの場合、データが集まるペースはかなり速く、20日で1万ペアくらいのデータが集まっていました。

5.なぜスクショ?スマホネイティブ世代がコピペしない理由(2.8 日経クロステック)
スクショ」という言葉をご存じだろうか。スクリーンショットの略で、スマートフォンなどの画面を画像として保存することだ。言葉自体は以前からあるが、今どきの若者のネット文化を読み解くうえで、大事なキーワードになっている。

 2018年12月にTwitterのあるつぶやきが話題になった。それは「友人や妹がサイトの情報を送ってくるとき、スクショで送ってくる。若い人たちはURLの概念を知らないのではないか?」といった内容だ。

 中でも10代の若者はスクショを多用する。Twitterを使っていると、Webページの画面がそのまま貼り付けられたツイートを見かけることがある。Webページを紹介するとき、URLをツイートするのではなく、スクショを送ってくる。

 筆者には2人の娘がいる。そのため、スクショとよく遭遇する。中学生である下の娘は、部活で必要な用具を買ってほしいと母である筆者に頼むとき、LINEにネット店舗のページのスクショを貼り付けて送ってくる。いちいちネット店舗を探して検索するのは面倒なので商品ページのURLを送ってきてほしいと思うのだが、彼女にとってはURLではなくスクショで送る方が自然なのだ。

 ドメイン名といった知識はなかったが、URLがインターネット上の住所のようなものであることは分かっている。それでもURLをコピー&ペースト(コピペ)して誰かに送ったことはないという。

 なぜURLのコピペをしないのか。スマホのWebブラウザーでURLをコピーし、LINEのトークへ貼り付ける手順を娘に見せたところ、「面倒臭い」の一言が返ってきた。それでもコピペ操作を教えてみると、ある事実に気付いた。彼女は文字列を選択し、コピーしてペーストするという操作に慣れていない。スマホの使い過ぎと親である筆者に叱られるほど、彼女はスマホのヘビーユーザー。なのに、文字列をコピペする機会がほとんどないようだ。

 背景には、若い世代はWebブラウザーをあまり使わないという実態がある。TesTee(テスティー)は2018年11月に「【スクショ解析】スクリーンタイムに関する調査(https://lab.testee.co/screen-time)」を公表した。この調査はスマホアプリの利用時間が分かる「スクリーンタイム」というiPhoneの機能を利用し、全年代の男女686人にスクリーンタイムのスクショを送付してもらう形で実施した。利用時間の上位3つに入るアプリを集計し、名前が出たアプリを年代別にランキングにしたのが以下の表だ。

 20代と30代以上の人は、Webブラウザー(Safari)が2位に大差を付けてダントツの1位だった。20代と30代以上の大多数の人にとって、Webブラウザーは利用時間の上位3つに入るほど、使用頻度が高いスマホアプリである。これに対し、10代の上位はYouTube、LINE、Instagramが占める。Safariは4位。利用時間のトップ3に入るほど、Webブラウザーを頻繁に使う10代の若者は3割強しかいない。10代の人はファッションやコスメの情報はInstagram、好きなアーティストやゲームの情報はTwitterで検索するといった使い方をしているようだ。

 動画アプリやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)アプリはコンテンツをワンタップでシェアできるボタンを用意している。だからURLや投稿内容をわざわざコピペする機会がほとんどない。

 なぜかというと「ギガが足りない」からだ。某携帯電話会社のコマーシャルで有名になったが、若い世代は1カ月のデータ通信量の残りのことを「ギガ」と呼ぶ。ギガとは「GB(ギガバイト)」のこと。つまり、データ量の単位なのだが、若者の間ではいつの間にか「ギガが減る」「ギガが足りない」といった具合に、データ通信量の残りを指す言葉になっている。

 スクショは早く確実に情報をシェアできる手段であることも見逃せない。例えば、リンク先(URL)はタップ(クリック)されない可能性がある。だが「画像なら絶対に見る」と信じられているようだ。みんな経験していることだと思うが、URLでシェアされた記事は、時間があるときに読もうと思いつつも、多くは見ないまま忘れ去られる。相手に「絶対に見てほしい」、しかも「今すぐ見てほしい」ときは、スクショで送るのが有効である。そのことに若者は気付いている。

 若い世代はスクショが持つ多くのメリットを知っており、最も早く効率的に情報をシェアする方法として多用している。スマホネイティブの若者の考え方や行動様式は、パソコン世代とは明らかに異なる。スクショに対する捉え方はその代表といえる。何でもスクショして画像でシェアするというのは、スマホネイティブの若者にしてみれば、ごく自然な行動なのだ。

 ただし、これはスマホ利用を前提にした話。パソコンを使っていれば、URLで共有した方が何かと便利だ。スマホネイティブ世代が社会人になって、日常的にパソコンを使うようになったとき、コピペのメリットを初めて知ることになるのかもしれない。

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