週間情報通信ニュースインデックスno.1158 2018/12/08


1.日本で加速する脱パスワード、ヤフーがFIDOアライアンスのボードメンバーに(12.7 日経クロステック)
  次世代認証技術の国際規格標準化を目指す非営利団体「FIDO(ファイド)アライアンス」は2018年12月7日、生体情報などを使った認証技術「FIDO認証」における日本の近況や同アライアンスの活動に関する発表会を開いた。FIDOアライアンスの戦略方針の意思決定にかかわるボードメンバーに新たにヤフーが加わったほか、KDDIとLINEが新たにWebオンライン認証に対応した規格である「FIDO2」を取得したと発表した。

 FIDO認証ではユーザーの端末内で本人認証を完了し、その結果のみをサーバーに送る。生体情報が端末の外に出ないため、セキュリティーや利便性に優れるとされる。FIDO2を取得すると、例えばスマートフォンで指紋などによる本人認証をして、パスワードを使わずに各種のWebサービスにログインできるようになる。

 FIDOアライアンスには米グーグル(Google)や米マイクロソフト(Microsoft)、中国のアリババ集団など37社が加入している。日本はNTTドコモとLINEがこれまで加入し、新たにヤフーが加わった。ヤフーは2018年10月にサービス事業者として世界で初めてFIDO2を商用導入し、「Yahoo! JAPAN ID」のログインに使えるようにしている。

 FIDO認証を導入する国内企業は増え始めているという。2018年2月にソフトバンクが、11月に三菱UFJ銀行がそれぞれ提供するスマホアプリへのログインをFIDO準拠とした。富士通とアフラックは2018年12月17日に、がん保険の診断給付金のオンライン支払いにFIDO認証を導入する。富士通は2019年の上期をめどに同社の静脈認証技術をFIDO2に対応させる。

2.クアルコム、5Gスマホ向け「Snapdragon 855」の詳細を発表(12.7 日経クロステック)
  米Qualcomm(クアルコム)は自社イベント「Snapdragon Technology Summit」(2018年12月4日〜6日、ハワイ)2日目となる2018年12月5日、商用5G端末向けプラットフォーム「Qualcomm Snapdragon 855」の仕様など詳細情報を公表した。Snapdragon 855は7nmプロセスを採用し、CPUとして「Qualcomm Kryo 485」を搭載。前世代製品に比べて45%の性能改善を実現した。GPUは「Qualcomm Adreno 640」を搭載し、こちらも前版よりグラフィック処理が20%高速になっている。

 Snapdragon 855は「Snapdragon X50 5Gモデム」との併用で、6GHz未満周波数帯とミリ波帯両方での5G対応を可能にすると同時に、「Snapdragon X24 LTEモデム」3)によって、マルチギガビットの4Gコネクティビティーも実現。加えて、「Qualcomm Wi-Fi 6対応モバイルプラットフォーム」でWi-Fi 6に、「Qualcomm 60GHz Wi-Fiモバイルプラットローム」でIEEE 802.11ayにも対応。10Gビット/秒の速度と、有線に匹敵する低遅延性を実現している。

 AI(人工知能)処理性能は7TOPS(Trillion Operations Per Second、1秒間に7兆処理)超の性能を持つ第4世代のマルチコアAIエンジンを搭載。前世代製品からAI性能を3倍に向上している。これらは、「Qualcomm Hexagon 690 Processor」に新設計のHexagon Tensor Accelerator(HTA)や4基のHexagon Vector eXtensions(HVX)などを搭載し、GPUのAdreno 640のAIアクセラレート機能を強化。CPUのKryo 485にAI性能を促進する命令の追加で実現している。

 カメラ機能では、画像処理プロセッサ(Image Signal Processor、ISP)に「Qualcomm Spectra 380」を搭載。「Computer Vision(CV)」機能を使って、最新鋭のコンピューターフォトグラフィックやビデオキャプチャー機能を実現している。具体的には、リアルタイムで10億色、60フレーム/秒の画像を4K HDRの解像度でキャプチャー可能な機能を提供する。新規格「HDR10+」にも対応している。

 このほか、エンターテインメント機能としては、「Snapdragon Elite Gaming」で次世代レベルのゲーム体験を提供。セキュリティー機能としては、超音波での画面内指紋認証機能を実現する「Qualcomm 3D Sonic Sensor」が搭載されている。

 Snapdragon 855は、既に顧客へのサンプル出荷を開始しており、搭載デバイスは2019年前半にも販売開始される予定としている。

3.DXに重要なのは企業理念、NRIが2024年までの展望を発表(12.6 日経クロステック)
 野村総合研究所(NRI)は2018年12月6日、ICTとメディア市場の展望をまとめた「ITナビゲーター2019年版」を発表した。NRIが2024年までに注目すべきトレンドの1つとして挙げたのが、「第5世代移動通信システム(5G)で加速するデジタルトランスフォーメーション(DX)」だ。

 予測を2024年に据えた理由について、NRIの北俊一コンサルティング事業本部パートナーは「『2024年問題』として2つの大きな問題が発生するため」と説明。2つの問題として、2024年に50歳以上の人口が5割を超えること、そして、加入電話網(PSTN)がIP網に切り替わることを挙げた。北パートナーは「こうした時代に備えて企業は、2019年から始まる5Gなど新たな技術を使って、DXに取り組まねばならない」と指摘する。

 DXを実行するために欠かせないのが「何度も自己変革可能な企業になること」(北パートナー)だ。5Gに加え、AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)といったツールを活用して変革する一方で、「企業として何を守り、何を捨てるのかという企業理念や哲学が重要になる」と説明した。

 NRIはこのほかに、「eスポーツ」「中国・深センのエコシステム」「産業用ドローン市場」を注目の分野として提示。産業用ドローン市場については、「2020年に人がいる地域で操作を補助する人なしに飛行が可能になる見込みだ。現在は農業での利用が中心になっているが、2020年には用途が拡大するのではないか」(名武大智ICTメディア・サービス産業コンサルティング部 副主任コンサルタント)との見方を示した。 

4.Dash Buttonの仕組みでIoT歯ブラシを自動交換、サンスターがアマゾン国内初サービス採用(12.5 日経クロステック)
  サンスターは2018年12月5日、歯ブラシに取り付けるIoT(インターネット・オブ・シングズ)機器「G・U・M PLAY(ガム・プレイ)」において、アマゾンジャパンが同日に日本で提供開始した自動再注文サービス「Amazon Dash Replenishment(以下、DRS)」に対応したと発表した。ガム・プレイの専用スマートフォンアプリと連携し、ユーザーが登録した歯ブラシの数が残り1本になると事前に選んだ歯ブラシなどを自動で再注文する。

 ガム・プレイは加速度センサーを内蔵する歯ブラシ用アタッチメントで、Bluetoothを使って専用アプリと連携する。歯科衛生士の磨き方にどれだけ近いかを採点したり、子供がゲーム感覚で歯を磨いたりできる4つのアプリを提供している。DRSは米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)の「Dash Button」と同様の商品再注文サービスを提供する仕組み。Dash Buttonがボタンを押すと日用品を注文するのに対し、DRSは消耗品の残量や使用期限を感知するセンサーなどを組み込んだ対応機器を通じて、アマゾンのサイトに選択済みの交換品を自動的に再注文する。

 サンスターは1日3回の歯磨きで約1カ月(約90回)での歯ブラシ交換を推奨している。同社の調査では交換時期を過ぎて毛先が広がった場合、奥歯の歯間部の歯垢除去率が45%落ちるという。それにもかかわらず「1000人中6割超が2カ月以上同じ歯ブラシを使い続けている。理由は購入時期や交換時期が分からないから」とサンスターの仮屋光広マーケティング本部オーラルケアマーケティング部長兼GUMブランドマネージャーは話す。

5.データ解析とAIで飲食店支援、創業100年の老舗が開発(12.5 日経クロステック)
  IT活用で経営効率化を進めるゑびや(三重県伊勢市)は2018年12月4日、自社のノウハウを詰め込み外販しているサービス業向け経営支援ツール「Touch Point BI」について、導入事例を日本マイクロソフトが開催したイベントで紹介した。

 Touch Point BIは、曜日や祝日、天気予報やその他関連データを基に、独自アルゴリズムによって翌日の来客数を平均9割の的中率で予測する。顔認識AIによる来店客の男女比や年齢層といった属性データも組み合わせ、「勘と経験ではなくECサイトのようにデータと理論に基づく店舗経営ができる」(ゑびや社長兼EBILAB社長の小田島春樹氏)。

 イベントでは神奈川県でうどん店チェーン「里のうどん」を運営するワンオータスの事例を紹介した。神奈川県藤沢市のショッピングモール「テラスモール湘南」にあるフードコートの店舗でTouch Point BIを導入済み。ワンオータスの大槻貴史営業統括兼店長は「早朝は20代女性の来店が多いというデータを基に、午前の早い時間だけ女性向けのお茶漬けメニューを用意した」などの活用例を挙げる。

 データに基づく地道な施策によりフードコートにある8店舗中、1坪当たりの売上高が6位から4位まで上がった。鎌倉の店舗でも導入した結果、2018年9月と11月には他店舗が売り上げを落とすなか、過去最高の売上高を更新した。ワンオータスの西嶋芳生社長は「システム屋ではなく飲食店自身のノウハウが詰まった本当に求めていたツール」と評価する。今後は11ある国内外の全店舗でTouch Point BIを導入する計画だ。

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