週間情報通信ニュースインデックスno.1152 2018/10/27


1.ソフトバンクが都内で5Gデモ披露、「圏外ギリギリでも4K配信可能」(10.26 日経クロステック)
   ソフトバンクは2018年10月25日、東京都港区内で第5世代移動通信システム(5G)の実証実験の様子を報道関係者に公開した。基地局から離れて電界強度が弱くなった状態でも、4K画質の360度カメラから動画のストリーミング配信が可能であることなどをアピールした。

 実証実験はオフィスビルなどが建ち並ぶ港区の芝大門エリアで実施。4.7GHz帯(4.59G〜4.69GHz、上下比率3:7)の5G基地局を約200メートル間隔で3基設置した。時速15キロメートルほどでエリア内を走行するバスの上に4K画質の360度カメラを取り付け、撮影した映像を車載の5G端末を介してアップロードした。同じエリア内を走行する別のバスにも5G端末を取り付け、5G回線経由でストリーミングを受信し、車内のテレビとVRゴーグルに映した。動画のビットレートは20M〜30Mbps程度である。

 5G端末のアンテナは車体の外に8本取り付けた。一方、基地局は3カ所とも64素子のアンテナを使っている。上り通信時は4素子、下り通信時は8素子を使うMIMO構成で、基地局から端末の方角へ電波の指向性を高める「ビームフォーミング」と、端末の移動に追随して電波の方角を変えていく「ビームトラッキング」の両方の技術を実装している。

 実験では、現在通信中の基地局から届く電波の電界強度と、近隣の別の基地局から届く電波の電界強度の両方について、端末側で常に把握していることを表示。電界強度が一定の条件になると通信先の基地局を変更する「ハンドオーバー」が起こり、その際も動画が途切れないことを実演した。

 ソフトバンクの山田大輔先端技術試験課課長代行は「5Gは周波数帯が高いためエリアの構築が難しいとされるが、実証実験を通じて、実際には問題なくエリアを構築できることを確認できた」と話す。ともに移動する2台の端末による4K動画の配信については、「例えば救急車で運ばれる途中の患者を、病院へ駆けつける途中の医師が遠隔で診るといった応用が、5Gならば実現できる」(同社の船吉秀人先端事業企画部部長)とする。

 

2.昭文社、QRコードのシールで高齢者や迷子の帰宅を助ける「おかえりQR」 (10.26 日経クロステック)
   昭文社は2018年10月26日、認知症などで帰宅が困難な高齢者や道に迷った子供の居場所を家族らに発信して帰宅を支援するシール型QRコード「おかえりQR」の販売を始めたと発表した。価格は3240円(税込み)で、埼玉県内の99局の郵便局が取り扱う。

 おかえりQRは帰宅が困難になりそうな高齢者や子供らの持ち物などに、家族らが事前に貼り付けておく。発見者がシールに記載されたQRコードを携帯電話などで読み取ると、専用のWebサイトにつながる。

 Webサイトに表示した地図から最寄りの交番などを選択するか、GPS機能で位置情報を送ると、家族や介護者らに発見場所や状況などを簡単に通知できる。QRコードそのもので位置情報は送らない。発見者には家族らのメールアドレスを知られることはなく、発見者も個人情報を入力する必要はない。

 18枚のシールをA4サイズのシート単位で販売する。埼玉県の川口市や蕨市、戸田市、さいたま市にある郵便局99局で取り扱いを開始した。日本郵便関東支社や明治学院大学社会学部の岡本多喜子教授の協力で商品化したという。

 

3.日本交通とオトバンク、本のない図書館タクシーを期間運行(10.26 日経クロステック)
   ナレーターや声優が本を朗読した音声コンテンツの配信サービス「audiobook.jp」を手掛けるオトバンクは2018年10月26日、日本交通と共同で「本のない図書館タクシー」を運行すると発表した。乗客が車内にあるタブレットを使って、本を朗読した音声コンテンツを楽しめる。10月29日から11月11日までの2週間、東京23区と東京都武蔵野市、三鷹市のエリアで運行する。

 本のない図書館タクシーでは、「億男」「コーヒーが冷めないうちに」といった映画の原作やベストセラーなどを中心に30タイトルを提供する。短い乗車時間に合わせて、音声コンテンツは内容を簡潔に編集してあるという。

 オトバンクの久保田裕也社長は「これまでに旅客機や高速バスに向けて本の内容を聴くコンテンツを提供してきた。タクシーの乗車中でも本を聴く楽しさを提供できると考えて、期間限定で提供することにした」と説明する。

 専用の予約サイトを開設し、10月26日から11月7日まで予約を受け付ける。予約サイトの抽選で選ばれると、10キロ以内であれば運賃や予約・迎車料金は無料で利用できる。予約なしで利用する場合は通常の運賃がかかる。運行台数は3台。このうち1台には、乗務員が書店員のスタイルで乗車する。

 日本交通の金高恩メディア開発部エグゼクティブプロデューサーは「タクシーの平均乗車時間は18分程度。平日はビジネスパーソンが多く利用し、仕事の合間にゆっくりできる場とみなしてもらえている。休日はシニア層がゆったりと利用していることが多い。車酔いすることなく豊かな移動体験を提供できると考えて、本のない図書館タクシーを運行する」と話す。

 

4.クアルコム、5Gスモールセルでサムスンと協業、サブ6とミリ波に対応 (10.26 日経クロステック)
   米Qualcomm(クアルコム)は2018年10月22日、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)と5Gスモールセル開発で連携すると発表した(ニュースリリース)。Qualcommが2018年5月に発表した10nmプロセス採用、ベースバンド部にMIMOを搭載するFSM100xx(関連記事)をSamsungの5Gスモールセルに適用する。これにより、サブ6帯(6GHz未満の周波数帯)とミリ波帯の両周波数帯に対応可能となる。

 今回の協業により、屋外、屋内での安定した5G提供を目指す。5Gネットワークとスモールセルで、数Gビット/秒のスループットと数ミリ秒レベルの遅延性能を実現し、ARやVRをはじめとする各種アプリケーションのサポートに加え、無人搬送車(Automated Guided Vehicles、AGV)などを使った新しいビジネスを支援。集合住宅やイベント会場など、従来のインフラではブロードバンドサービスの提供が困難だった場所に固定無線アクセス(Fixed Wireless Access、FWA)を提供するとしている。

 FSM100xxを搭載したこのSamsung製5Gスモールセルは、2020年にサンプル出荷開始予定となっている。

 

5.IIJのクラウド型ネットワーク「Omnibus」、SD-WANやリモートアクセスなどで強化(10.24 日経クロステック)
   インターネットイニシアティブ(IIJ)は2018年10月24日、クラウド型ネットワークサービス「IIJ Omnibusサービス」に新機能を追加したと発表した。「SD-WAN」「SD-LAN」「フレックスモビリティ(FXM)」「クラウドプロキシ」「クラウドディレクトリ」の五つの機能である。

 従来の企業のITインフラにはオンプレミスのシステムが使われていたが、最近は「Office 365」「G suite」「Salesforce」といった様々なSaaS(Software as a Service)が使われるようになってきている。Omnibusは、ソフトウエアでネットワークを制御するSDN(Software Defined Network)とネットワーク機能を仮想化して提供するNFV(Network Functions Virtualization)を使って、クラウドサービスの利用に適したネットワークやセキュリティーを実現する。

 Omnibusで提供するSD-WAN機能の特徴は、日本のネットワーク環境に最適化している点。既存のSD-WANサービスは、「高価で低速な専用線」「不安定なインターネット回線」といった海外の環境に最適化されており、必ずしも日本の環境に合っていない。例えば、フレッツ回線や日本の携帯電話回線を直接終端することができず、オーバーレイが前提となる。

 これに対し、OmnibusのSD-WAN機能は、専用線のほかにIPv6 IPoE接続を使ったブロードバンド回線(フレッツなど)、IIJが提供する5Mビット/秒の定額LTE回線をアンダーレイ回線に利用できる。同社が提供するCPE(宅内装置)でこれらの回線を終端でき、必要に応じてNAT、VPN、ACL(アクセスコントロールリスト)も適用できる。

 SD-WAN用に、2種類の新型CPE(同社の用語では「サービスアダプタ」)の提供を2018年度下期中に開始する。2Gビット/秒以上の暗号化性能を持つ高性能サービスアダプタとLTEモバイル内蔵サービスアダプタである。

 SD-LANは、米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)の管理ツール「Aruba Central」と連携して実現する。LANから送出するトラフィックを制御できるため、例えばWAN帯域を3分の1に圧縮できるという。

 FXMは、独自のVPNプロトコルを利用するクラウド型のリモートアクセスVPN。認証にActive Directory(AD)を利用できるため、Windowsへのログオンと同時にバックグラウンドで自動的にVPNに接続できる。また、電波状況が悪くなったり通信が一時的に切れた場合でも、再接続することなくVPN接続を継続できる。クラウド側では、OmnibusのNFV上の仮想VPNサーバーがVPNを終端する。

 パケットロスが頻繁に発生する環境を前提に、TCPベースではなくUDPベースの独自プロトコルを採用した。独自のエラー訂正機能によりパケットを復元する。例えば、パケットロス率が22%の回線でFXMを利用した場合、パケットロスを2%まで抑えられたという。東海道新幹線の東京・大阪間で仮想デスクトップ(VDI)を利用しても接続が切れないとする。

 クラウドプロキシは、クラウド通信のルーティングを実現するもの。Office 365などのURL更新情報を自動取得し、最適な経路振り分けを実施する。同様の機能を提供するものに、ローカルブレークアウト(インターネットブレイクアウト)がある。ローカルブレークアウトには専用の装置やインターネット回線が必要なのに対し、Omnibusのクラウドプロキシにはこうしたものは不要だという。

 クラウドディレクトリは、ADやAzure AD Connectの機能をクラウドサービスとして提供するもの。IIJ IDサービスを併用することで、米マイクロソフト(MIcrosoft)以外のSaaSでもシングルサインオンを実現できる。

 サービスの対象として想定しているのは、500人以上の規模の企業。利用料金は、2000ユーザー規模の企業でFXM、クラウドプロキシ、IIJ IDの各機能を利用する場合で、1ユーザー当たり月額約1500円を想定している。最初の1年間で200社の採用を目指す。

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