週間情報通信ニュースインデックスno.1151 2018/10/20


1.アマゾン倉庫で考えた、ロボットに向く仕事と向かない仕事(10.18 日経クロステック)
   筆者は先日、米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)の本社があるシアトル近郊で、商品発送拠点「フルフィルメントセンター(FC)」を見学する機会を得た。噂に聞く「棚を運ぶロボット」を直に観察すると、ロボットには向く仕事と向かない仕事があることを理解できた。写真を交えて見ていこう。

 今回アマゾンが公開したのは「シアトル・タコマ国際空港」に近いワシントン州ケント市にある「BFI4」という施設だ。アメリカン・フットボールのフィールドに換算して28個分(約15万平方メートル)という巨大な建物には3000人の従業員が働いている。施設は年中無休24時間稼働だが、ピッキング作業などは1日に2時間休止する。設備やロボットのメンテナンスを実施するためだ。

 アマゾンのFCの目玉と言えばやはり、棚を運ぶロボットだ。フロアには柵で囲まれて人間が入れないスペースがあり、そこには商品を満載した黄色い布製の棚「Pod」が数百〜数千台並んでいる。そしてこの棚をロボット掃除機「ルンバ」を大きくしたようなオレンジ色のロボット「Drive」が、あちらこちらへと運んでいる。Driveはアマゾンが2012年に買収したキバシステムズ(Kiva Systems)、現アマゾンロボティクス(Amazon Robotics)が開発したものだ。

 アマゾンのFCでは商品を格納する棚が動くので、人間は決められた場所にとどまって棚入れや棚出し(ピッキング)の作業をする。かつては人間が棚の間を動き回って商品をピッキングしていたが、動く主体が逆転した。棚入れや棚出しの手順を詳しく見ていこう。

 棚に入れる商品は黄色いプラスチック製のコンテナやメーカー製の段ボール箱に入った状態で、棚入れ作業員のところまで運ばれてくる。棚入れ作業員の仕事は、その中の商品を取り出してロボットが運んできた棚に格納することだ。

 作業員はまずコンテナや段ボール箱から商品を取り出し、そのバーコードをスキャナーで読み取る。そうすると液晶モニターに「スペース3Fに格納」などと表示されるので、作業員は指示に従って商品をスペースに格納する。商品を格納したらそのスペースの2次元バーコードをスキャナーで読み取る。こうすることで「商品Aを棚Xのスペース3Fに格納した」という情報がシステムに登録される。

 布製の棚は4面が格納スペースになっている。ある面には小さい商品を格納するスペースが横4列×縦11段の44個あって、別の面には中ぐらいの商品を格納するスペースが横3列×縦10段の30個あり、別の面には大きな商品を格納するスペースが7段設けられていた。棚に格納されている商品の種類やサイズは完全にバラバラだ。本があるスペースの横に何かの錠剤のボトルが入っていたりする。商品の格納効率を上げるためだ。

 商品が詰め込まれた棚はロボットによって、待機スペースに運ばれていく。床には規則的に2次元バーコードが貼ってあり、ロボットはそれを読み取ることで自己位置を推定しながら移動する。ユーザーからの注文が入ると、棚は棚出し作業員のところまでロボットによって運ばれていく。

 棚出し作業員は液晶モニターに表示される「スペース4Kの商品XXXを1個」といった指示に従って、棚から商品をピッキングしてバーコードをスキャンし、黄色いプラスチック製コンテナに詰め込んでいく。液晶モニターの指示書には商品の名称だけでなく、商品写真も表示し、作業員のピッキング間違いを防いでいる。

 黄色いコンテナは商品を顧客に配送する段ボール箱一箱分に相当するようだ。作業員が商品をコンテナに収めると、そのコンテナはコンベアーで次の目的地へと運ばれる。コンテナに商品がまだ不足している場合は、他の作業員のスペースに運ばれて商品が追加される。全ての商品が揃ったら、コンテナは段ボール箱への箱詰め(パック)工程へと運ばれていく。

 箱詰めも人間の作業員の仕事だ。箱詰め作業員の作業ブースには2つのコンベアが配置され、上段のコンベアが商品の入ったコンテナを運んでくる。作業員はコンテナの商品を段ボール箱に入れて、空気の入ったビニール製の衝撃吸収材を詰めたうえで段ボール箱をガムテープで封印し、バーコードのラベルを貼る。商品を入れた段ボール箱は下段のコンベアで次の工程へと運ばれる。

 次は配送先などを記した出荷ラベルの添付で、この工程は自動化されている。ベルトコンベアの途中にある機械が段ボール箱に添付されたバーコードラベルをスキャンすると同時に、段ボール箱の大きさや重量を計測する。出荷ラベルはバーコードをスキャンしてからプリントし、ベルトコンベアの先にある機械で段ボール箱に自動的に貼り付ける。

 出荷ラベルが付いた段ボール箱はベルトコンベアによって、配送先などによって荷物を分類する仕分け工程へと運ばれていった。

 アマゾンのFCをじっくり観察すると、ロボットに向く仕事と向かない仕事があるのだということが分かってきた。アマゾンがロボットによって自動化している仕事とは、ざっくり言えば「人間にはやらせないほうがよい」仕事だった。

 棚を移動するロボットを導入する以前、商品のピッキングは全てが人間の仕事であり、作業員は1日に何キロメートルも棚から棚へと移動しなければならなかった。大変な肉体労働である。棚と棚の死角に作業員が入る運用形態も、好ましいものではなかったはずだ。商品の窃盗リスクが高まるためだ。

 上の写真は、アマゾンのFCに設けられた作業員の退場ゲートである。空港の入場ゲートとは逆に、アマゾンのFCでは退場ゲートで作業員に対して厳重なボディチェックを実施している。作業員による商品の窃盗に対する警戒は、非常に厳重だ。

 ロボットを導入した現在、商品が格納された棚は全て柵の中にあり、人間が近づけなくなっている。棚入れと棚出しは決められたスペースで行われており、そこは厳重に警戒されている。ロボットを導入した背景には、作業員による商品の窃盗を減らす目的もあったはずだ。

 出荷ラベルの貼り付けも、顧客のプライバシーを考えれば、作業員にはやらせないほうが良い作業だ。アマゾンのFCで出荷ラベルは、箱詰めなどが終わった後で印刷し、ロボットが貼り付けている。それ以前のピッキング工程や箱詰め工程では、その商品が誰に配送されるのか作業員には分からないようになっている。

 一方で、現在は人間が担っている棚入れや棚出し、箱詰めなどの作業は、ロボットには難しいタスクだ。商品の大きさや3次元的な形状を認識して、ロボットアームで落とさないようにつかむのは簡単なことではない。

 アマゾンは2015〜2017年にかけて「Amazon Picking Challenge」というピッキングタスクのコンテストを開催していた。コンテストを開いて有力な技術を探さなければならないほど、実用化には遠いタスクだということだ。

 アマゾンのFCの稼働率は、季節変動がかなり高い。見学に訪ねた9月下旬の平日は、作業員が働くスペースに空きが目立った。米国では小売業の売り上げが11月末からクリスマスまでの年末商戦に集中するため、この時期は小売業の閑散期なのだ。

 社会的な善し悪しは別として、人間の労働力は季節変動させやすい。繁忙期にだけパートタイム従業員を雇用すればよいからだ。一方でロボットは終身雇用だ。繁忙期に合わせてロボットを導入したら、閑散期に遊ばせておくだけになってしまう。商品のピッキングが技術的に実現したとしても、ロボットがかなり安価にならなければ、コスト的に人間には勝てないだろう。

 アマゾンのFCで次にロボットが導入される工程はどこになるのか。FCを見学して、今後への興味が改めて湧いてきた。

2.JVCケンウッド、基幹系サーバー300台をNECのデータセンターに移行(10.19 日経クロステック)
  NECは2018年10月19日、カーナビゲーションシステムや業務用ビデオカメラなどを手掛けるJVCケンウッドが基幹系システムと情報系システムを、NECのクラウド基盤サービスとNECのデータセンターに移行したと発表した。2018年7月から本格稼働しているという。

 会計や調達、CAD(コンピュータによる設計)、EDI(電子データ交換)といった基幹系システムの物理サーバー群を、旧データセンターからNECの神奈川データセンターに移した。グループウウエアや社内ポータル用システムは旧クラウド環境から、NECのクラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」に仮想サーバー単位で移行した。

 移行プロジェクトは移行前の調査や準備、移行作業などを4カ月間で完了させた。移行対象の物理サーバーやネットワーク機器は合計約300台。これを2日間の業務停止期間のうちに仮想サーバーとともに移行し終えたという。一連の移行でJVCケンウッドはBCP(事業継続計画)に関する体制を強化したり、運用管理コストを50%削減したりできたという。

3.「振り子がデータ分散へと振れた」、米デル・テクノロジーズ会長兼CEOが講演(10.15 日経クロステック)
  米デル・テクノロジーズのマイケル・デル会長兼CEO(最高経営責任者)は2018年10月19日、都内で講演し「デジタルトランスフォーメーションは全ての企業の中心だ」と語った。IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、次世代高速通信規格「5G」といった新技術の台頭を受けて、「ビジネスをもう一度考え直すべき時だ」と述べた。

 都内で開催した「Dell Technologies Forum 2018 Tokyo」で講演した。デル氏はデジタルトランスフォーメーションの進展で、「ITがビジネスの中心になってきた」との認識を示した。そんななかで「デジタルトランスフォーメーションを実現しないと(競合に)後れをとる」と力を込めた。

 デル氏が強調したのが、端末側でデータを処理する「エッジコンピューティング」の重要性だ。「振り子がデータの一元化から分散へと振れた」とし、「クラウドよりもエッジ側のデータ量が多くなる」とした。クラウドもパブリックやプライベートなどを組み合わせた「マルチクラウド」の時代に入ったという。

 デル氏はこの10年を振り返り、「デジタルの未来の基盤を作ってきた」と話した。「世界の変化はすごく、そのスピードは落ちていない。デジタルの未来はまだ始まったばかりだ」。日本については、アベノミクスなどで「新たな日本が台頭している」と述べ、「チェンジマネジメントが重要だ」と強調した。

4.ドコモが融資サービス基盤「レンディングプラットフォーム」、新生銀行が採用(10.17 日経クロステック)
  NTTドコモは2018年10月17日、同社の回線利用者に向けて金融機関が融資サービスを提供する基盤「ドコモ レンディングプラットフォーム」を発表した。2019年3月に提供開始し、同時期に新生銀行が新たな融資サービスの提供を始める。

 同基盤はドコモ回線利用者の携帯料金支払い履歴などのデータを基に個人の「信用スコア」を算出し、金融機関が各個人に適切な金利や貸し出し上限額を設定しやすくする。新生銀行の工藤英之社長は「当行の与信審査の仕組みや保有する顧客データと全く異なるデータの掛け合わせにより、従来より精緻な与信審査ができる。有利な金利設定につながるなど顧客にも利点がある」と語る。

 同基盤を活用した融資サービスの契約者は専用のモバイルアプリ「レンディングマネージャー」を使える。家計簿アプリなどを提供するマネーフォワードとの提携により「家計状況に合わせて繰り上げ返済を勧めるなど、顧客ごとに最適な返済計画を自動提案する」(NTTドコモの吉澤和弘社長)。

5.AWSの構成を自動で描画、クラウド作図ソフト「Cacoo」が新機能(10.17 日経クロステック)
  ヌーラボ(福岡市)は2018年10月17日、作図・描画用のクラウドサービス「Cacoo(カクー)」の機能を強化しAmazon Web Services(AWS)のインフラ構成図を自動作成できるようにした。ユーザー企業が持つアカウント情報を基にAWS上からシステム構成情報を取得し、サービスの種類に対応したアイコンやサービス間のつながりを描画する。システム構成図を作る手間を省き、プロジェクトメンバー間で共有したりシステム構成の変更点を把握したりする作業を支援する。

 Cacooはソフトをダウンロードすることなく、Webブラウザーだけで利用できる作図・描画サービス。EC2やRDS、S3といったAWSの各種サービスに対応したアイコンを標準で用意する。

 新機能を使うと、利用者は自分で一からアイコンを配置することなく基本的なシステム構成を自動で描画できる。利用するサービスに対応したアイコンだけでなく、アイコン同士の親子関係を線で結んで描ける。自動で描画した構成図を手作業で配置し直すことも可能だ。

 AWSで動かすシステムの現状を把握したりメンバー間で共有したりするのが容易になる。システム構成図を作るハードルが下がるため、定期的にシステム構成図を作って差分を見比べるといった使い方も可能になる。当初描画できるサービスはEC2やVPC、CloudFrontなど11種類。

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