週間情報通信ニュースインデックスno.1145 2018/09/08


1.「2025年の崖」で12兆円の経済損失、経済産業省がDXの報告書(9.7 日経クロステック)
  経済産業省は2018年9月7日、企業のデジタルトランスフォーメーションに関する報告書を取りまとめた。報告書では企業が抱える情報システムの課題を指摘。このままでは2025年以降、年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとした。

 経産省が、2018年5月に発足した「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」で議論した内容を報告書にまとめた。報告書の中で注目されるのが、「2025年の崖」という表現だ。複雑化・ブラックボックス化した既存システムの温存が続くと、高度なデータ活用といったデジタルトランスフォーメーションが進展しづらい。

 デジタルトランスフォーメーションが進まないことで企業は事業機会を失い、2025年〜2030年の間で最大12兆円の経済的損失が発生し得るという。現状を放置していると、2025年には21年以上稼働している基幹系システムの割合が6割を占めると予測しており、「2025年までにシステム刷新を集中的に推進する必要がある」(報告書)としている。

 報告書では課題を指摘すると共に、デジタルトランスフォーメーションを実現するためのシナリオも示した。2025年までに既存システムの刷新を進め、デジタルトランスフォーメーションを推進できれば、2030年には実質GDP(国内総生産)を130兆円押し上げる効果があるという。

 具体的にシステム刷新を加速させる方策として、経営者によるITシステムの問題点を把握するための診断スキームの構築、システム刷新やデジタル技術活用に当たって体制面やプロセスを提示する「DX推進システムガイドライン」の策定などを挙げている。

2.トレンドマイクロ、マルウエア検知AIを強化したウイルスバスター新版(9.6 日経クロステック)
  トレンドマイクロは2018年9月6日、一般消費者向けセキュリティソフト「ウイルスバスター クラウド」(Windows、Mac用)と「ウイルスバスター モバイル」(Android、iOS用)の新版を直販サイトで発売した。店頭販売は9月13日から始める。

 最大の特徴は企業向け製品「ウイルスバスター コーポレートエディション XG」で採用した、AI(人工知能)による機械学習型のマルウエア検知機能を強化して搭載した点だ。従来はマルウエアの実行前におけるソースコードの特徴を基にした検知機能と、実行時における挙動の特徴を基にした検知機能を備えていた。

 Windows用のウイルスバスター クラウド新版では、マルウエアの実行前における検知機能を強化。ソースコードの特徴に加え、ファイルの侵入経路や形式などを基に実行時の挙動を予測解析することで、実行前の検知精度を高めた。強化した検知機能は「現時点でJavaScriptファイルに対応する。今後、企業向け製品への実装も予定している」(トレンドマイクロ)という。

3.電子チラシのShufoo!、「レシートくじ」によるレシート情報の取得を開始(9.6 日経クロステック)
  凸版印刷は、同社が運営する電子チラシサービス「Shufoo!」の「レシートくじ」と呼ぶ新機能を加えた。「レシートくじ」では、Shufoo!掲載店で買い物したレシートを撮影し、キャンペーンに応募すると毎月抽選で賞金が当たる。Shufoo!掲載店舗への来店や購買行動を促すとともに、実際の購買行動や購買された商品情報をデータ管理プラットフォーム「Shufoo! DMP」に蓄積し、購買前のチラシ閲覧ログと紐づけてマーケティング支援に活用する。

 レシートくじ応募の流れは次のとおり。まず、スマートフォン向けShufoo!アプリケーションをインストールしてShufoo!ポイント会員に登録する。次に、レシートを撮影してShufoo!アプリから必要事項を入力して応募する。すると、抽選で毎月100名に1万円が当たる。

 Shufoo!は、この応募データをもとに、レシートから購買データを抽出してDMPに蓄積する。Shufoo!が持つユーザーのチラシ閲覧ログ(来店前情報)と、レシートから抽出される実際の購買行動をShufoo! DMP上で紐づけ、「来店前から購買後までをつなぐデータ」の検証に基づいた新しいマーケティング支援を実現する。流通やメーカーに対して、より精度の高い分析やマーケティング活動を支援するとともに、購買した商品情報に基づいたメーカーの販売促進を支援する。さらに、店舗で購買した後のレシートを応募条件とすることにより、Shufoo!掲載店舗への来店を促進する。

 凸版印刷は、2015年から年1回同様のキャンペーンを実施して「好評を得た」として、今回より定常的に実施する。今後、レシートくじで年間20万人・120万件のデータ獲得を目指すとしている。

4.KDDIが5G・IoTのイノベーション拠点開設、ベンチャー育成拠点も同居(9.5 日経クロステック)
  KDDIは2018年9月5日、法人ユーザーと共同で第5世代移動通信システム(5G)やインターネット・オブ・シングズ(IoT)向けのサービスを開発する拠点「KDDI DIGITAL GATE」を東京・虎ノ門に開設した。併せて、同社が東京・渋谷を本拠に展開してきたベンチャー企業の育成組織「KDDI ∞ Labo」をDIGITAL GATEに移転。大手企業とベンチャー企業の協業による新たな事業モデルの創出も支援していく。

 DIGITAL GATEではデザイン思考とアジャイル開発の手法を採用し、法人ユーザー社内の業務プロセス改革や新サービスの創出などを支援する。具体的には、(1)発想を広げるためのDIGITAL GATE内の見学・体験、(2)ユーザー体験のデザインとMVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)の決定、(3)プロトタイプの構築・検証・改良の繰り返し──という手順で、業務プロセスや新サービスに必要なシステムを構築。一般的なウォーターフォール型のシステム開発と比べ半分程度の期間でローンチさせることを目指す。

 高橋社長はNTTドコモやソフトバンクに対する優位性について「競争の軸は契約数ではなくなる。パートナー企業と共同で、回線の上でいかに新しい価値観、新しい事業モデルを作り上げられるか、そして事業変革を起こせるかといった創造性になる。その創造性の差が通信各社の差になってくるだろう。また、通信会社以外の企業も競合になってくるだろう」としている。

5.伊藤忠ケーブルが仏Streamrootと協業、CDN併用でWebRTC映像配信を効率化(9.5 日経クロステック)
  伊藤忠ケーブルシステムは2018年9月5日、フランスのStreamroot社と戦略提携し、StreamrootがWebRTC技術をSaaSで提供する「Streamroot DNA」の日本国内での取り扱いを開始すると発表した。

 Streamroot DNAはWebRTCベースのピアツーピア配信を提供する。Streamroot DNAのセンターサーバー側と数行程度のスクリプトを追加したプレーヤー側との疎通により、他の視聴者がダウンロードして視聴したファイルをパケットレベルで取得し、自分のコンテンツ再生の際にコンテンツファイルの一部として構成することができる。

 従来のCDN利用に加えてStreamroot DNAを併用することで、配信事業者は「契約しているCDN事業者のサービス提供の安定性の良し悪しにサービス品質の大部分を依存している現状から脱却することが可能」という。

 Streamroot DNAは、契約配信帯域ごとの定額料金を採用する。視聴者数が増えても負担が大きくならないことも、配信事業者の利点と説明する。

 伊藤忠ケーブルシステムによると、2018FIFAワールドカップ ロシア大会で1970万ユーザーがこの技術を享受したという。

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