週間情報通信ニュースインデックスno.1144 2018/08/25


1.遅延に厳しいゲーム業界がインターネットを育てた」、慶応大の村井純教授(8.24 日経クロステック)
  慶応義塾大学の村井純環境情報学部教授は2018年8月24日、ゲーム開発者会議「CEDEC 2018」(コンピュータエンターテインメント協会主催)の基調講演で登壇した。

 満員の会場にいるゲーム開発者たちに向け、「インターネットやコンピュータの技術は加速度的に発達している。明日は今日より安くて速い環境が使えるほどのスピードで進歩している。その恩恵を全部使って、ドキドキする体験をできるゲームを作ってほしい」とエールを送った。

 村井教授は日本におけるインターネットの普及に携わってきた経緯を振り返るなかで、「ゲームの世界の人が求める要求水準は厳しく、えげつないものだった」と冗談交じりに語った。かつて村井教授の研究室にゲームユーザーから「インターネットの遅延のせいで、ゲームで負けてしまったじゃないか」と抗議があったという。

 通信経路を調査すると、確かに研究室が運営しているルーターを経由していた。遅延は200ミリ秒程度で、人間の認知のスピードや一般的な通信速度と比べても劣るものではなかったという。それでも村井教授は「遅延を気にするインターネットユーザーがついに現れたかと思うと嬉しかった」と振り返った。その後、様々な用途で遅延を低減する研究を進めたという。

 現在は医療用途で遅延低減に対する要求が厳しいという。遠隔地にいる医師が外科手術中にアドバイスをしたり、手術の経緯を遅滞なく記録したりするには低遅延ネットワークが必須だからだ。

 その医療用途で、ゲーム用のコントローラー(ゲームパッド)が使われるケースがあるという。「ゲームパッドはゲーム業界の大きな発明。どんな医師でもゲームパッドを持てば簡単にシステムを操作できる」(村井教授)。ゲーム業界の厳しい要件やユニークな技術が他業界のITシステムの発展に好影響を及ぼしているという考えを示した。

  2.ノキアが5Gスマホ関連特許のライセンス料を発表、3ユーロ/デバイス(8.23 日経クロステック)
  フィンランドNokia(ノキア)は2018年8月21日、5Gモバイル機器へのライセンス料に関する概要方針を明らかにした。

 同社の技術は、20年以上にわたって無線通信関連基幹技術の標準仕様として使われており、その研究開発の成果は、標準必須特許(SEP:Standard Essential Patents、侵害することなしに標準仕様に準拠した製品の製造やサービスの実施ができない不可欠な特許)としてまとめられている。同社はこうした特許について、関連標準化団体の知的財産権に関する方針に則り、FRAND条件(Fair, Reasonable and Non-Discriminatory terms and conditions、公正、合理的かつ非差別的な条件)でのライセンス契約に応じるとしてきた。

 5G標準仕様にも同社の発明をベースとするものは多い。同社は、その関連SEPが標準化作業完了後の2018年後半から重要な位置づけを占めることになるとし、今回、5G NR標準仕様に準拠する携帯電話について、1デバイスにつき3ユーロのライセンス料を課す予定だとしている。携帯電話以外の機器類のライセンス料比率については、関連業界団体と協議の上決定する。

  3.トレジャーデータを買収したアーム、IoT基盤の国内提供開始(8.22 日経クロステック)
  英アーム日本法人は2018年8月22日、IoT(インターネット・オブ・シングズ)基盤の国内提供を始めたと発表した。IoTシステムの構築に必要な機器管理とネットワーク接続管理、データ管理の機能を一括して提供できるサービスとして売り込む。アームの既存技術と、アームが買収した英ストリーム・テクノロジーズと米トレジャーデータの2社の技術を組み合わせる。

 「Arm Pelion IoT Platform(アーム・ペリオンIoTプラットフォーム)」の提供を始めた。ストリーム・テクノロジーズが開発した接続管理機能により、機器を設置した地域に応じた適切な回線を自動選択してネットワーク接続を確立する。アームが開発した機器管理機能では、機器の認証や設置後のソフトウエア更新、ライフサイクル管理などができる。トレジャーデータ製のデータ管理機能はデータの収集を担う。多様な種類のIoT機器や外部から大量のデータを高速で収集し、整理できる。

 アームでIoTサービスグループを統括するディペッシュ・パテル プレジデントは同日に開催した記者説明会で「細分化した多種多様な機器に一括して対応できるのが強み」と述べた。アームが提供するIoT機器向けの半導体設計やソフトウエアとの連携により、センサー機器から大型の装置までを一貫して接続するIoTシステムを構築しやすくする。

 アームが買収したトレジャーデータはIoTサービスグループの一部となり、トレジャーデータの共同創業者でCEO(最高経営責任者)を務めていた芳川裕誠氏はアーム IoTサービスグループ データビジネス担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーに就任した。芳川氏は「アームによる買収はまったく後ろ向きなものではない」と話した。デジタルマーケティング向けのデータ管理基盤としての事業はこれまで通り継続しながら、それ以外の分野に広げるチャンスだと判断した。アームによる買収をきっかけに「人のデータとデバイスのデータを統合したデータ基盤の構築を支援していく」と意欲を述べた。

  4.サポート終了後もWindows Server 2008を「使い続ける」は4.9%、IDC Japanが発表(8.21 日経クロステック)
  IDC Japanは2018年8月21日、「国内企業のWindows Server 2008サポート終了に向けた計画の状況」について発表した。2020年1月にサポートが終了するWindows Server 2008を使っている企業のうち、「Windows Server 2016/2012への移行を計画」している企業は66%あった。一方で「サポート終了後も当面使い続ける」と回答した企業は4.9%だった。

 このほかWindows以外のOSへの移行となる「Linux/その他サーバーOSへの移行を計画」は11.5%。「移行は検討しているが具体的な計画はまだない」「サポート終了は知っていたがまだ何も検討していない」「サポート終了のことは知らなかった」など、具体的な対策をしていない企業も10.5%あった。

 IDC Japanは「Windows Serverについては2018〜19年にかけて更新需要が発生するが、2020年以降はほぼ横ばいになる」と予測。「Windows Server 2003のサポート終了時は駆け込み案件が多かったが、2008では余裕を持って計画的に移行する企業が多いと予想できる」としている。

 今回の結果は「2018年 国内クラウドインフラストラクチャソフトウェア市場 ユーザー動向調査」に基づいている。調査は2018年3月に実施。Windows Server 2008に関する回答数は409社だった。

  5.LINE PayもAlipayも、ALSOKがQR決済サービス(8.20 日経クロステック)
  ALSOKは2018年8月20日、複数のQRコードを使った決済サービスを利用可能にする「ALSOKマルチQR決済ソリューション」を発表した。ALSOKが専用端末を販売し、LINEの決済サービス「LINE Pay」や、中国の電子決済サービス「Alipay」および「WeChat Pay」に対応する。8月31日から開始する。

 ALSOKマルチQR決済ソリューションは、ネットスターズが開発する決済アプリケーション「StarPay」を搭載した専用端末をALSOKが販売する。専用端末はQRコードを読み込んで決済を完了する機能や、顧客向けのレシートなどを印刷する印字機能を持つ。導入した店舗は専用端末を使って顧客が決済すると、ネットスターズやALSOKを介して、決済した金額が振り込まれる。

 ALSOKは以前から小売店向けに集配金サービスなどを提供している。今回ALSOKマルチQR決済ソリューションを開始することで、「幅広い決済手段に対するワンストップサービス提供できる」としている。QRコードによる決済が普及している中国からの観光客の増加などを背景に、サービスの提供を決めた。

 ALSOKマルチQR決済ソリューションの料金は、専用端末の価格が1台当たり3万5000円。別途、振込先1口座当たり500円の月額使用料が必要になる。ALSOKは今後、対応可能な決済サービスを増やすほか、端末を通じて導入した店舗向けのセキュリティサービスなどを充実させる。

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