週間情報通信ニュースインデックスno.1143 2018/08/18


1.海賊版対策「勉強会」は再びブロッキングで応酬、DoS攻撃の提案も(8.13 日経クロステック)
  政府の知的財産戦略本部は2018年8月10日、「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」の委員と各省庁の担当者による勉強会を開催した。

 この勉強会は、第4回まで進んだ正式な会合とは別に、国内法の枠組みや技術的対策の利点・欠点について情報を収集するために実施したもの。いわば「第4.5回」の会合といえる。委員と省庁の担当者を含めて30人以上が参加し、3時間以上にわたって議論を繰り広げた。

 勉強会は、知財本部の事務局によるヒアリング結果や各団体・省庁が提出した資料について質疑応答を実施した後、「著作権法・実体法等」「憲法・手続法等」「技術」の3グループに分かれて論点を深堀りした。

(1)フィルタリングでアクセスを遮断

 ユーザーの同意の下で海賊版サイトへの接続を遮断する「フィルタリング」は、ユーザーの同意を得ずに強制遮断するブロッキングと比べ、通信の秘密の侵害などの法的問題がない利点がある。会議で検討されている海賊版サイトの総合パッケージ対策の中でも、優先順位が高い対策の一つになっている。

(2)海外のCDN事業者に訴訟を提起

 大量のアクセスをさばく大規模海賊版サイトへの対策として、配信をサポートするCDN(コンテンツ配信ネットワーク)事業者に配信差し止めを求める訴訟を提起するのが効果的なのでは、との指摘がある。漫画村のサイトもCDN事業者の米クラウドフレア(Cloudflare)が日本国内のサーバーからコンテンツを配信していたとされる。

(3)正当防衛としてのDoS攻撃

 ブロッキングに代わる技術的な海賊版対策として「アクセス集中方式」を提案する――。日本IT団体連盟 政策委員会の別所直哉委員長は2018年8月10日、検討会議にこのような資料を提出し、勉強会でも紹介された。

(4)DNSブロックキングによるアクセス遮断

 日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)の前村昌紀委員は勉強会で、ISOC(Internet Society、IETFの上位団体)が作成した「コンテンツブロッキングに対するISOCの展望」と題する資料の私訳版を紹介。ISPによるブロッキングについては、幾重にも回避策があって効果が薄い、過剰ブロッキングなどの副次的な悪影響がある、費用対効果も悪いなどの問題点を指摘した。

  2.「クラウドコンテンツ管理全般をカバーするまで成長」、Boxが事業説明会(8.9 日経クロステック)
   Box Japanは2018年8月9日、東京に開設した新オフィスのお披露目会を兼ねて事業説明会を開催し、グローバル事業と国内事業の最新状況を説明した。

 米Boxの共同創業者・最高財務責任者(CFO)のディラン・スミス氏は、Boxの昨年度の売り上げは5億米ドルで、10億米ドルの売り上げを達成すべくグローバルでビジネスの拡大に取り組んでいると説明。現在、世界で8万5000社超のユーザーがおり、Fortune 500の69%が含まれるという。スミス氏は「最初は企業向けファイル同期・共有サービスの1プロダクトからスタートしたが、現在はクラウドコンテンツ管理全般をカバーするまでに成長し、8つのプロダクトがある。新オフィスの開設を足掛かりに日本市場にしっかりコミットし、必要な投資をしていく」と説明した。

 Box Japanの古市克典社長は、代理店が約200社(1次代理店は6社)、従業員が約100人に達しさらに増員予定といった日本の最新状況を説明。今後のマーケット戦略として、「業界リーダーへの導入推進と関連企業への伝播」「パートナーとの協業によるカスタマーベースの拡大」「金融、自治体、病院などの新市場開拓」を挙げた。

 説明会ではユーザー企業2社の担当者が登壇して導入成果や今後の展望などを語った。井村屋グループでは約530ユーザーが情報共有基盤として活用し、新しい取り組みも進める。システム部長の岡田孝平氏は今後の展望として、「社内託児所に預かっている子供の様子を撮影し保護者と共有」「製造技術基盤の構築」「チャットボットやAIスピーカーを用いた検索」などを挙げた。

 三菱地所 xTECH営業部 運営・ビジネス開発支援ユニット 統括 ユニットリーダーの島田映子氏は、部署導入から全部署導入に拡大した経緯を説明。会議での資料共有や、紙の資料のデジタル化、印刷資料の押印・回覧の代替、といった活用例を披露した。今後については、社内外の様々な人とのコラボレーションを育むツールとして活用し、クリエイティブで働きやすい環境を作っていきたいと説明した。

 Box Japanの執行役員 アライアンス・事業開発部長の安達徹也氏は、「Box Japanが考える理想的な働き方とオフィスの役割」と題してスピーチ。Boxで実現する、働き方の多様性を支える「デジタルワークプレイス」と仕事の質を高める「リアルワークプレイス」のそれぞれの役割を説明した。その後、リアルワークプレイスを実現したものとして、新しい東京オフィスをツアーで紹介した。

  3.IoT調理家電サービスのパートナー10社、クックパッドが発表(8.9 日経クロステック)
  料理レシピ情報サイトのクックパッドは2018年8月9日、開発中のスマートキッチンサービス「OiCy(オイシー)」のパートナー企業10社を発表した。同日開催された「Smart Kitchen Summit Japan 2018」で明らかにした。OiCyと連携するIoT(インターネット・オブ・シングズ)調理家電やOiCyを応用したサービスを、パートナー企業と協力しながら実用化していく。クックパッドは5月にOiCyを発表した際に家電メーカーなどとの協業を図るとしていた。

 アドウェル、アマゾンウェブサービスジャパン、オンキヨースポーツ、クリナップ、椎茸祭、シャープ、タイガー魔法瓶、日立アプライアンス、プランティオ、LIXILの10社をパートナー企業として発表した。各社が開発する製品やサービスの具体的な内容は今後順次発表する。

 OiCyは、クックパッドに投稿された料理レシピを機器が読み取り可能な形式に変換して提供し、レシピに合わせて機器を制御できるようにするサービス。クックパッドが試作した調味料サーバーのような機器や、加熱調理器などとの連携を想定する。クックパッドは読み取り可能な形式に変換する技術の開発を進めており、同形式のデータを提供するサービスを「国内で1年以内に開始する計画」(研究開発部 スマートキッチングループの金子晃久グループ長)という。

  4.国内企業の2018年度のIT支出は増加傾向、IDCのCIO調査(8.9 日経クロステック)
  調査会社のIDC Japanは2018年8月9日、国内企業のCIO(最高情報責任者)や情報システム部門長を対象にIT投資動向を調査したと発表した。大企業や中堅企業を中心に2018年度はIT支出を前年より増やす傾向にあると分かった。デジタル技術を活用して企業活動を変革する「デジタルトランスフォーメーション」(デジタル変革)に何らかの形で取り組んでいる企業は半数を超えた。

 2018年度のIT支出について企業のCIOに聞いたところ、社員1000人以上の大企業では前年度比で「増える」との回答が46%だった。「減る」と回答した16%を大幅に上回った。社員数100〜999人の中堅企業も「増える」が36%で、18%だった「減る」より多かった。産業分野別では「通信/メディア」と「金融」で「増える」を選ぶ割合が高かった。

 デジタル変革への取り組み状況を聞いたところ、「全社的な戦略テーマとして取り組んでいる」と回答した企業は12.1%だった。17.7%の企業は「いくつかの事業部門、部門で個別に取り組みが始まっている」という。試験的な取り組みをしている企業は25.4%あった。内訳は、全社的なテーマで試験的に取り組んでいる企業が15.4%、事業部門や部門で試験的に取り組んでいる企業が10.0%だった。デジタル変革について「全社組織または部門内で検討が行われている」が10.2%、「特に何も行われていない」が34.6%だった。

  5.G Suite連携のデジタルホワイトボード、「Jamboard」をグーグルが国内発売へ(8.8 日経クロステック)
  グーグルは2018年8月8日、都内でデジタルホワイトボード「Jamboard」に関する発表会を開き、同製品を国内向けに発表した。発表当日の8月8日に販売を開始する。

 Jamboardは2017年5月に米国で発売した製品で、日本は14カ国目の発売となる。55インチのディスプレイにタッチやペンで入力できる。G Suiteと連携したコラボレーションができるほか、スマホやタブレットとも連携。働き方改革による需要を見込む。

 発表会には、Google Cloud 日本代表の阿部伸一氏が登壇。「柔軟な働き方が求められるようになっている。G Suiteにより、オフィスだけでなくサードプレイスでも働けるよう支援してきたが、会議室のホワイトボードを共有するのは難しかった。日本では現場が大切だ。Jamboardで働き方改革のお役に立ちたい」と語った。

 Jamboardの詳細は、Google Cloud ストラテジック アカウント スペシャリストの武市憲司氏が登壇。Jamboardについて、「G Suiteファミリーの製品だ。G Suiteが想定する共同作業、会議、アイデア出し、管理や共有といった仕事のあらゆるフェーズにおいて活用できる」と紹介した。

 具体的な機能として、指によるタッチや同梱のペン、消しゴムによる操作に対応。グーグル検索でヒットした画像や動画、Googleドライブに保存していた資料の貼り付けにも対応する。GoogleドキュメントやスプレッドシートなどのG Suite連携や、Googleマップとの連携にも対応する。

 Jamboardによる会議「Jamセッション」の内容は、Googleドライブに自動保存される。「会議を簡単に再開したり、メールで関係者に共有したりできる」(武市氏)とメリットを挙げた。

 ハードウエアの仕様は、55インチ・4K解像度のディスプレイを搭載。本体側面にはUSB 3.0、USB Type-C、HDMI 2.0のポートを搭載、背面には有線LANポートも搭載する。本体カラーはカーマインレッドとグラファイトグレーの2色。

 充電不要で使える静電容量式のタッチペン2本と、消去操作に使うタッチデバイス「消しゴム」を同梱する。

 本体価格は64万円(税別、以下同じ)で、標準では壁掛け用マウントを同梱する。キャスター付きスタンドは別売のオプションで17万3000円となる。

 利用に当たっては、年間管理費やサポートを含むソフトウエアライセンス(年額7万7000円)が必要。導入サービスとして、組み立てと動作確認を含むベーシックサービス(4万1000円)、設置前のコンサルティングや導入支援を含むプレミアムサービス(18万9000円)も提供する。G Suiteの契約も必要となる。

 質疑応答では、マイクロソフトのSurface Hubに対する優位性として「クラウドとの親和性、グーグルのAI、価格」(武市氏)を挙げた。米国での本体価格4999ドルに比べて割高になった理由としては、「為替レートやマーケット、商流をトータルで勘案した」(同)と説明した。

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