週間情報通信ニュースインデックスno.1137 2018/07/07


1.最大100ペタFLOPSのAI専用スパコン、グーグルが年内提供へ(7.6 日経クロステック)
  グーグル日本法人は2018年7月6日、ディープラーニング向けコンピューティングサービスの新版「TPU(Tensor Processing Units) Pod」を2018年内にも提供すると発表した。

 TPU Podは、ディープラーニングの処理に特化した独自開発のプロセッサを多数搭載したスーパーコンピュータだ。ディープラーニングの主な処理になる行列演算を高速化する工夫をプロセッサに盛り込むなどして、最大で100ペタ(10京)FLOPS(1秒当たり浮動小数点演算回数)の処理性能が出せるという。従来の汎用スーパーコンピュータと仕組みが違うため一概に比較はできないが、数字上は理化学研究所などが運用するスーパーコンピュータ「京」のピーク性能である約10ペタFLOPSを上回る。

 グーグルはこのTPU PodをパブリッククラウドであるGoogle Cloud Platformのなかで提供していく。「これまでは大企業しか持つことができなかった人工知能(AI)向けのスーパーコンピュータを誰でも使えるようになる」。説明会に登壇したグーグル日本法人でGoogle Cloudを担当する佐藤一憲デベロッパーアドボケイトはこう指摘する。

 グーグルはディープラーニングを活用していくと大規模コンピュータが必要になるとの見通しから2013年、専用プロセッサの開発に着手。2016年にディープラーニングのモデルを使って予測する処理専用の「TPU v1」を完成させて社内利用を始めた。2017年にはモデルを作成する学習の処理もできるよう機能拡張した「TPU v2」を開発。2018年5月に従来の空冷式から水冷式に切り替えて、プロセッサユニットを小型化した「TPU 3.0」を発表した。

 並行して2017年5月から、TPUによるコンピューティングサービス「Cloud TPU」の提供を始めた。TPU Podでは、TPUを64個、独自開発の高速ネットワークで接続してスーパーコンピュータに仕上げた。グーグルの佐藤氏は「TPU Podなどの登場で今後は、どんなビジネスのどのデータに、ディープラーニングを適用していくのかという、活用アイデアがカギになっていきそうだ」と今後の見通しを語る。

  2.トレンドマイクロ、ネットワーク仮想化環境で動作するセキュリティ製品を5Gで検証(7.6 日経クロステック)
  トレンドマイクロは2018年7月5日、NTTドコモが提供する「ドコモ5Gオープンクラウド」を使ってネットワーク仮想化環境で動作するセキュリティ製品「Trend Micro Virtual Network Function Suite(TM VNFS)」の技術検証を始めると発表した。

 TM VNFS使うと、IoT(インターネット・オブ・シングズ)デバイスに必要なセキュリティ機能をユーザーに対して動的に提供できるようになるという。トレンドマイクロは今回の技術検証で、5G環境におけるTM VNFSによるセキュリティ対策の有効性を確認する。

 ドコモ5Gオープンクラウドは5G回線の実験用設備とクラウド基盤を直結した技術検証環境。2018年7月に提供を始めた。

  3.ドコモが5G回線直結のクラウドサービス、用途開発促す(7.5 日経クロステック)
  NTTドコモは2018年7月5日、5G(第5世代移動通信システム)向けソリューションを検討している企業向けにクラウドサービス「ドコモ5Gオープンクラウド」を7月26日から提供すると発表した。

 同クラウドサービスでは、画像認識技術とAIエージェント基盤を提供。画像認識技術では人物の全身や顔を検出する「物体検出」、人物の年齢や性別、服装の種類、観光地などを認識する「一般物体認識」、店舗などで商品の位置や商品名を認識する「商品棚認識」といった機能が使える。AIエージェント基盤では音声認識や音声合成などの技術を提供し、ロボットやスマートスピーカー、アプリなどで消費者と音声で対話する機能を提供しやすくなる。

 同クラウドサービスは、NTTドコモが技術検証で運用する5G回線と直結している。そのため、インターネット経由で接続する一般的なクラウドサービスと比べ低遅延でアクセスできる特徴がある。5G回線と併せて複数のクラウドサービスを提供することで、企業ユーザーが5G回線を活用したソリューションを発案・開発しやすくする。

 5Gを巡っては一部の海外キャリアが2019年、NTTドコモを含む国内キャリアは2020年に商用サービスを始める計画を打ち出している。NTTドコモは商用サービスを開始する前に5Gの用途をできる限り拡充しておきたい。それに向けて、画像認識技術とAIエージェント基盤を簡単に使える環境を整えることで、5G向けの具体的なサービスの発案や開発、検証を促す考え。

  4.RPAとAIの導入障壁は技術にあらず、米RPA AI協会会長などが提言( 日経クロステック)
  米RPA AI協会(Institute for RPA and AI)のフランク・J・カザーレ会長は2018年7月4日、都内でパネル討論を開いた。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAI(人工知能)を企業が使いこなすための勘所を議論した。RPAツールの選択をはじめ導入企業の関心が技術面に集まりがちな現状に対して、組織体制や従業員の問題意識など人に関するものが最大の課題との認識で一致した。 

 パネル討論にはAI導入支援を手掛けるオレンジテクラボの宮ア淳社長、NTTデータでRPA事業を担当する川嶋啓史氏、PwCコンサルティングでパートナーを務めるヤン・ボンデュエル氏が登壇。カザーレ会長が司会を務めた。 

 RPAやAIを導入し活用するうえで最大の課題は技術か人か。カザーレ氏はこう問いかけた。導入の効率向上やコスト削減など、RPAの導入や活用を手助けするツールやクラウドサービスは充実しているが、「企業は技術の選択や活用でつまずいているわけではない。つまずいているのは全て、人間にまつわる問題だ」(カザーレ会長)。 

 NTTデータの川嶋氏も、課題は人間にまつわることであると同意した。「AIレディネス」という言葉を例に経験したことのない新しい技術を受け入れる利用者側の心構えや、リスクと利点を冷静に判断することの重要性を訴えた。例えばAIを使った自動運転技術は、事故を起こした際の法的責任がどこにあるのか不明瞭といったリスクがあるが、人間より優れた運転技術によって事故そのものを大幅に減らすことが期待されている。AIレディネスの重要性は「個人はもちろん、会社も、社会にも当てはまるだろう」(川嶋氏)。  RPAやAIなどの新しい物事に対する企業や組織、従業員の反応は歓迎派と拒否派に「二極化している」(カザーレ会長)。スムーズに導入するにはどうすべきか。PwCコンサルティングのボンデュエル氏は「全社で一斉に足並みをそろえて導入するのは難しい。日本だけでなく欧州でも同様だ」と指摘した。「最初はなるべく簡単な業務を選ぶことが重要。徐々に段階を踏んで導入範囲を広げていくことが重要だ」(同)。 

 「大企業であっても、AIやRPAに対して大きな抵抗を示すケースがある」と宮ア氏は打ち明ける。引き合いに出したのは家庭向けの洗濯機だ。洗濯物を手洗いするのが当たり前だった時代は洗濯機の利点がなかなか受け入れられなかったという。企業にとってのAIやRPAも同様で、「オフィスにとっての洗濯機の利点を、まだ明確に定義できていないケースが多い」。 

  5.LINEモバイルがソフトバンク回線の格安SIM、月900円引きの販促策も(7.2 日経クロステック)
  LINEモバイルは2018年7月2日、ソフトバンク回線を利用した格安SIMサービスを始めたと発表した。月額料金は現行のNTTドコモ回線の格安SIMと同じ。基本料を6カ月間、900円引きとする「スマホ代 月300円キャンペーン」を投入し、契約数の拡大を狙う。 

 嘉戸彩乃社長は2018年3月にソフトバンクと資本・業務提携したことを契機に、今後は(1)マルチキャリア、(2)格安スマホ最速チャレンジ、(3)スマホそのまま、の3つの方針で取り組んでいくとした。 

 (1)のマルチキャリアは現行のNTTドコモ回線に加え、ソフトバンク回線を新たに選べるようにした。通常は3000円の手数料を無料とする「回線変更手数料無料キャンペーン」も8月31日まで実施する。特定サービスの通信量をカウントしない「カウントフリー機能」は、「データフリー機能」に名称を変えて両方の回線に提供する。 

 (2)の格安スマホ最速チャレンジは通信速度に対する不安や懸念を減らすため、7月末頃からソフトバンク回線の通信速度を定点観測し、結果を公式サイトで公開する。期間中に月1回でも測定結果が1Mビット/秒を下回った場合、ユーザー全員に月1Gバイトの通信量を付与する「格安スマホ最速チャレンジキャンペーン」も実施する予定だ。 

 (3)のスマホそのままはオンライン/オフラインの両面で顧客が気軽に相談できる接点を増やしていく。同社が実施したアンケート調査では、手持ちのスマートフォンを使い、SIMカードだけを差し替えるユーザーの割合が約2倍に拡大しており、LINEや店舗を通じたサポートを強化する。現在、全国で69店舗の即日開通店舗を今夏中に100店舗以上に拡大する予定である。 

 スマホ代 月300円キャンペーンはNTTドコモ回線/ソフトバンク回線のどちらかで音声通話SIMを契約したユーザーが対象。例えば、月1200円で提供しているLINEフリープラン(1Gバイト)を6カ月間、月300円で利用できる。「小学生のお小遣いでも使える」(嘉戸社長)。キャンペーンの提供期間は8月31日まで。ソフトバンク回線については「データ容量2倍キャンペーン」も用意した。 

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