週間情報通信ニュースインデックスno.1118 2018/02/03


1.日本郵便がハード保守契約を全面見直し、ITベンダーの反発は必至(1.30 ITpro)
  日本郵便が情報システムで使うハードウエアに関する保守契約の方針を刷新する意向を固めた。日経コンピュータの取材で分かった。 

 24時間保守を原則として採用せず、故障機器の修理を1週間分まとめて実施するなど過剰サービスを減らして、ハード保守費を従来の2割程度に減らす。2018年夏以降の新規入札案件から新方針を適用する。既存の保守契約は既に条件を見直す交渉に入った。 

 鈴木義伯専務執行役員CIO(最高情報責任者)は「現行の保守契約はITの技術変化を反映していない。サービス過剰でコストが高止まりしている」と話す。NTTデータ出身の鈴木CIOは日本取引所グループのCIOを経て2017年4月に日本郵便のCIOに就任して以来、見直しを模索してきた。 

 新方針ではITベンダーと契約する保守のパターンを品質が低いほうから「スポット保守」「日中週1保守」「日中保守」「24時間保守」の4つに分ける。そのうえで、ハードが故障したら1週間以内の修理完了を契約先のITベンダーに求める「日中週1保守」を標準とする。システム全体の稼働率に影響するごく一部の機器を除き、24時間保守を廃止する。 

 日本郵便の現行保守契約の多くは、ハード本体価格の16〜20%を毎年保守料として支払う24時間保守という。「冗長化や仮想化などの技術が未熟だったころは24時間保守が必要だったが、今は1台が故障しても全体の稼働にほとんど影響しない」(鈴木CIO)。 

 今後の標準とする日中週1保守では、24時間保守と比べてサービス品質を下げる分、保守費用も8割ほど値下げを求める。サービス品質の切り下げによる影響を調べるため、2017年後半の3カ月間、ハードが故障した際に1週間放置してみた。「それでも業務に全く支障が出なかった」(同)ため、新方針の導入を決めた。 

2.QRコードまみれ、中国3000年の都(1.29 ITpro)
  「本当にどこへ行ってもQRコードばかりだな」。2017年12月下旬、取材目的で中国・西安を訪問していた筆者はこう思った。西安は陝西省の省都で、3000年以上の歴史を持つ。本などでよく「中国3000年の歴史」という言い回しを聞くが、その歴史を持つ都市が西安といえそうだ。

 そんな歴史の古い都市だから、日本の京都のように歴史的建造物があちらこちらにあると筆者は予想していた。その予想は間違っていたわけではないが、そうした建造物より明らかに多かったのがQRコードだ。

 まず道路に駐車してある大量の自転車である。自転車のどこかにQRコードが貼られている。スマートフォンのアプリを使って認証し、開錠するためだ。決済もスマホのアプリで完結するという。

 地元の人によれば西安では渋滞対策のために積極的に自転車に乗る人が多いのだという。マイカーで通勤するよりは自転車で通勤した方がラッシュに巻き込まれにくいためだ。

 ただし、駐輪場はほとんど整備されていない。歩道の脇にずらっと並べられているその様子は、一見事情を知らない観光客から見ると「放置自転車?」とも思える。地元の人によると「あまりにいい加減に停められている自転車もあり、迷惑なケースもある」とのことだ。

 「こんなところにもQRコードが」と驚かされたのが、取材先での出来事。対日オフショア事業を手掛ける西安裕日軟件という現地のベンダーを取材したときのことだ。

 「せっかくだからオフィスを見ていってくださいよ」と開発部の林大輔項目経理の案内に従いオフィスを見て回ると、お菓子が置いてある棚が目に止まった。その棚にもQRコードが貼り付けられているのだ。

 「置き売り」の棚である。日本では江崎グリコが市場を開拓したとされる、いわゆる「オフィスグリコ」だ。日本のオフィスでは例えば100円を置けばお菓子1個を購入できる、といった仕組みである。

 ここ中国のオフィスではその決済の方法がQRコードなのだ。QRコードを読み込むと、棚に陳列されているお菓子がスマホアプリで表示される。現金は必要ない。なるほど「便利だな」と考えさせられた。

 街中の飲食店での決済も基本はQRコードが使われているようだ。レジには必ずQRコードが貼られており、クレジットカードや現金よりもまず「スマホで払わないの?」と聞かれた。

 夜の街も例外ではない。西安の中心で屋台が立ち並ぶ道を訪れたときも屋台のいたるところにQRコードが貼られていた。現金を持ち歩いて落としたり盗難にあったりという被害も気にすることはない。スマホ一つあれば屋台で食べ歩けるのである。

 中国でQRコード決済サービスを手掛ける2大巨頭が中国アリババ集団と中国テンセントだ。アリババが手掛けるのが「Alipay」、テンセントが手掛けるのが「WeChat Pay」である。筆者が中国に滞在していた間、都市を問わず飲食店などでは必ずといっていいほどこの2社が提供するサービスのQRコードを見かけた。

 なぜ中国で急速にモバイル決済が広がったのか。現地の人に聞いたところ、「もともとはニセ札対策として普及した」と教えてくれた。現金で支払おうとすると、お店の店員にニセ札かどうかを調べられることもある。日本でニセ札を意識したこともない筆者には新鮮に感じられた。

3.ソフトバンク、携帯のコアネットワークでパケット転送の新技術を採用(2.2 ITpro)
  ソフトバンクは2018年2月2日、携帯電話のIPコアネットワークで米シスコシステムズが提唱する新技術「セグメントルーティング」を採用し、1月から運用開始したと発表した。従来の方式に比べ、ネットワーク構成を柔軟に変更できるという。

 従来の方式では、宛先を示すラベルと転送経路のパス情報を全てのルーターに配布していたため、ネットワーク構成が変わるたびに、全ルーターのパス情報などを更新する手間が掛かっていた。

 一方セグメントルーティングでは、ラベルをルーティングプロトコルの拡張で処理し、パス情報を全ルーターに配布する必要がなくなる。このため、ネットワーク設計がシンプルになり、拡張性が高まる。

  4.アクセンチュアが「AI Hub」発表、グーグルやIBMなどのいいとこ取り(1.31 ITpro)
  アクセンチュアは2018年1月31日、複数のAI(人工知能)サービスを束ねて効果的に活用する独自開発ツール「AI Hubプラットフォーム」の発表会を開催した。ツール単独での販売はせず、AIに関わるコンサルティングやシステム構築プロジェクトで適用する。既にAI Hubを一部の顧客向けプロジェクトで活用しているという。

 保科学世マネジング・ディレクターは「多くの企業がAIエンジンを提供しているが、それぞれ得意分野と苦手分野がある。用途・目的別に最適なAIエンジンを選んで組み合わせるべきだが、多くのAIエンジンを検証してインテグレーションするには手間がかかる。その部分をAI Hubが担う」と説明した。

 言語解析に強いNTTコミュニケーションズのAIエンジン「COTOHA」、画像解析に強い米グーグルの「Google Cloud Vision API」、アクセンチュアが開発したAIリコメンドエンジン「Accenture Recommend Service」、自然言語による対話に強い米IBMの「IBM Watson Conversation」をAI Hub上で組み合わせている。LINE上のチャットボットとして機能する。

 例えば、利用者がアクセンチュアを訪問する前にLINEアプリで「アクセンチュアは何の会社ですか」と聞くと、ボットは「すみません、よく分かりません」と返す。利用者が「アクセンチュアについて学習して」と入力すると、AI Hub上のCOTOHAエンジンがWeb上から情報を取り込んで学習する。その後、自動学習した内容を踏まえて「5つの領域でサービスを提供する総合コンサルティング企業です」などと返す。

 経費精算機能も実装している。LINEアプリで宛名が「上様」になっている領収書を撮影して送付すると、Vision APIで解析。「宛名に不備があるため受領できません」と返ってくる。個別企業名が入っている領収書を撮影すれば受領される。

  5.将棋の中村太地王座、AI時代に求められる3つの素養を語る(1.30 ITpro)
 将棋のプロ棋士で「王座」のタイトル保持者である中村太地氏は2018年1月30日、東京・目黒のホテル雅叙園東京で開催されたイベント「ITインフラSummit 2018」において、「AIとの対戦で見えた、将棋の新しい地平」と題して講演した。同講演で中村王座は、人工知能(AI)を搭載する将棋ソフトの活用が進むプロ将棋界の現状を踏まえ、今後に求められる3つの素養を提示した。

 1つめの素養は「積極的な姿勢」である。最近の将棋ソフトは一般に、攻撃を仕掛けるタイミングが人間よりも早い。プロ将棋界も影響を受け、本格的な戦いが以前よりも早く始まるようになってきた。このような傾向から、攻めの失敗を恐れず、突き進むことが求められていると中村王座は見る。

 AI活用に象徴される環境の変化も恐れず、積極的に取り入れる姿勢が必要とした。「国民栄誉賞の受賞が決定した羽生善治竜王や、デビューから公式戦29連勝を記録した藤井聡太四段ら有力棋士を筆頭に、今やほとんどの棋士がソフトを利用している。ソフトを使いこなせない棋士は勝てない」(中村王座)。

 中村王座が挙げた2つめの素養は「冷静な分析力」。現状、AIを搭載する将棋ソフトが将棋の実力を高める近道と認めながらも、考えなしに取り入れることを中村王座は戒める。「将棋ソフトの指し手をただ取り入れても、ソフトそのものになれるわけではない。ソフトの提案を自分なりの判断基準で分析し、取捨選択すべきだ」(中村王座)。

 3つめの素養には「卓越した変換力」を挙げた。中村王座が語る「変換力」とは、AIが導き出した結果を理解しやすいように意味を加えたり、結果を導くまでのプロセスを明らかにしたりする能力だという。「現状の将棋ソフトは有力な指し手を提示してくれるものの、その手を選択した理由を人間に分かりやすく教えられない」(中村王座)。だからこそ、結果の解釈や結果を導くプロセスを類推する力が求められるというわけだ。

 中村王座が提示した3つの素養は、あくまで将棋から導き出したもの。もっとも、AIの手法の1つであるディープラーニング(深層学習)は、適正な結果が出たとしても、それに至る途中のプロセスが分かりにくいという課題がある。こうした点を考慮すれば、将棋だけでなく幅広い分野においてAI時代に必要な3つの素養として通用しそうだ。 

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