週間情報通信ニュースインデックスno.1115 2018/01/13


1.ジンズのIoTメガネ向けシステム、サーバーレス化で機能追加を容易に(1,12 ITpro)
  パブリッククラウド上で仮想マシンを使わずにシステムを構成する「サーバーレス」。JINSブランドの眼鏡を展開するジンズは、眼鏡型ウエアラブル機器「JINS MEME」のIoT(インターネット・オブ・シングズ)システムをほぼサーバーレスの構成として構築し、アプリケーションの機能追加やデータ量増大への拡張性を高めている。

 JINS MEMEでは眼鏡に取り付けた眼電位や加速度などのセンサーからデータを収集し、Amazon Web Services(AWS)上のIoTシステムでデータの集計や分析といった処理は実行する。収集するデータは、1日合計約100万レコードに上る。ユーザーはスマートフォンのアプリで、集中力などを可視化したり、ライフログや運転時の眠気を検出したりできる。

 サーバーレスの構成にしたのは、AWS上のIoTシステム。構築作業を手掛けた電通国際情報サービス(ISID)の提案を受けて、リアルタイムデータ処理サービスの「Amazon Kinesis」や、イベント駆動型コード実行サービスの「AWS Lambda」を取り入れた。

 IoTシステムはまず初期プロトタイプを開発し、それを改良した第2世代を構築したうえで、本番リリースした。

 初期プロトタイプから、収集した生データの一時蓄積にNoSQLデータベースのDynamoDBを採用。長期データの保存先にはより安価なAmazon S3を使う。どちらもサーバーレスのサービスである。

 ただし収集したデータを、軽量な通信プロトコルでMQTT(Message Queuing Telemetry Transport)で取り込むログコレクター機能については、仮想マシンのEC2を使った。ログコレクターは、第2世代で前述のAmazon Kinesis StreamsとAWS Lambda(当初はElastic Beanstalkを使用)に置き換えサーバーレス化した。

 初期プロトタイプから「ラムダアーキテクチャー」も組み込んでいる。ラムダアーキテクチャーとは、オープンソースソフトウエアのデータ処理技術である「Apache Storm」を開発したネイサン・マーズ氏が最初に提唱した設計方針だ。簡単に言うと、データの受け口は一つだが、リアルタイム処理系とバッチ処理系の両方の仕組みを設けることで、一つのシステムでどちらの処理も可能にするというもの。

 JINS MEMEのシステム構成でも、データの受け口は一つで、リアルタイム処理層とバッチ処理層がある。ジンズの菰田泰生JINS MEMEグループリーダーは「両者を設けることで、特にバッチ処理の負荷がリアルタイム処理のリソースに影響を与えることを防げる」と語る。

 データ活用のために、ユーザーIDや総走行距離、体軸のぶれ度合いの平均など、アプリで使用するほぼ全てのデータをメタデータとしてログに付与する仕組みを構築した。大量のデータを並列分散処理する仕組みも整えた。このときも、サーバーレス化/マイクロサービス化をしていたことで、機能追加が容易だったという。

   2.残高をスマートスピーカーで確認できるからくりとは?みずほ銀行のAlexaスキル(1.12 ITpro)
  音声で操作する、米アマゾン・ドット・コムのスマートスピーカー「Amazon Echo」が2017年11月に日本で発売されると同時に、多くの企業が日本語版のEcho向けアプリ(Alexaスキル)をリリースした。その数は265個に上る。

 それだけ素早く対応した企業が多かったということだが、そのなかでも特に早く取り組んだ1社が、みずほ銀行だ。

 みずほ銀行は2016年8月に英語版Alexaスキルのプロトタイプを開発して、米国シリコンバレーでPoC(概念実証)を済ませていた。

 みずほ銀行 個人マーケティング推進部デジタルチャネル開発チーム参事役の西本聡氏によると、Echoが登場する前から数年来、音声ユーザーインタフェースについて注目してきたという。「操作が楽という点で、ユーザーインタフェースとして最も優れている」と西本氏は評価する。

 スマートフォンやPCが使えない高齢者にとどまらず、全世代の顧客にとって音声ユーザーインタフェースは有用と位置付け、Alexaスキルの開発に取り組んでいるという。

 みずほ銀行が2017年11月に日本で投入したAlexaスキルは、ユーザーの口座残高と入出金履歴を読み上げるものだ。米国の他行が提供しているAlexaスキルを参考に、まずはニーズが高く実現しやすい機能に絞った。

 みずほ銀行のAlexaスキルでは、「みずほダイレクトアプリ」というスマートフォン向けアプリのバックエンドシステムを流用している。そのためAlexaスキルを使うには、最初にみずほダイレクトアプリのユーザーになる必要がある。

 具体的には、ユーザーはみずほダイレクトアプリの利用設定をしたうえで、みずほ銀行のAlexaスキルを有効化し、専用のPINコード(4ケタの暗証番号)を設定。Echoに「アレクサ、みずほ銀行を開いて」などと話し掛け、PINコードを言って残高照会や入出金履歴確認を行う。

 みずほ銀行では、もともと操作が楽という点で音声ユーザーインタフェースを評価していることもあり、Alexaスキルの操作性向上に注力した。ユニークなのは、Echoが発する言葉は原則として3秒強までとしたことだ。それ以上に長くEchoが話すとユーザーにとってストレスになる、という判断からだ。

 ただし3秒強に限定したことで、入出金履歴の読み上げが問題になった。3秒強以内に読み上げられる入出金履歴をテストしたところ、1件だけだった。

 そこでEchoで読み上げるのは直近の1件だけにして、直近4件の情報をアマゾン・ドット・コムが提供するスマートフォン(iOS、Android)向けアプリ「Amazon Alexa」で表示させることにした。

 Alexaスキル本体はプログラムコード(みずほ銀行のAlexaスキルはNode.jsで記述)であり、アマゾン・ドット・コムが提供する実行環境(AWS Lambdaというサーバーレスのコード実行サービス)で動作する。これとバックエンドのシステムを連携させることで、システムとして機能する。

   3.“AI搭載”でなくとも実力十分、でもAI撮影がすごい「HUAWEI Mate 10 Pro」(1.12 ITpro)
  今回紹介するSIMフリースマートフォンは、ファーウェイ製の「HUAWEI Mate 10 Pro」。AI(人工知能)関連の処理に特化したプロセッサを搭載していることで、世界的に注目を集めるモデルだ。

 ファーウェイは日本向けに「nova」シリーズ、「P」シリーズ、「Mate」シリーズ、さらにオンライン販売専門の「honor」シリーズを展開している。その中で、PシリーズとMateシリーズのハイエンドモデルをフラッグシップとしている。Mateシリーズは主にビジネスパーソンに向けたモデルで、Mate 10 Proは最上位モデルに当たる。

 税別の実勢価格は8万9800円。SIMフリースマホの中では群を抜く高さだが、MVNO事業者からSIMとセットで購入する場合は条件付きで割引が適用されることもある。ちなみに筆者は、OCNモバイルONEの音声SIMとのセットで6万9800円(税別)で購入した。

 HUAWEI Mate 10 Proは約6.0インチのOLED(有機EL)ディスプレーを搭載している。画面の縦横比は18:9で、解像度は2160×1080ドット。フルHD(1920×1080ドット)の画面の上下を伸ばした状態をイメージしてもらうと分かりやすいだろう。

 サイズは幅74.5×奥行き154.2×高さ7.9mmで、重さは約178g。5インチ台のスマホを使っていた人が手にするとゴツいと感じるかもしれないが、普段から色々なスマホに触れる機会がある筆者としては「大画面のわりには細い」という印象だ。ちなみに5.8インチ画面のiPhone Xの横幅が70.9mmで、5.5インチ画面のiPhone 8 Plusの横幅が78.1mm。両者の中間くらいのサイズになる。

 OSは最新のAndroid 8.0を採用している。ただし、ファーウェイのスマホは「EMUI」という独自のユーザーインターフェイスを採用しており、操作性はそのEMUIに依存する部分が大きい。

 ホーム画面にすべてのアプリのアイコンが並ぶ画面構成はiPhoneに近いが、カスタマイズ性はiPhoneよりも高い。画面デザインを一括して変更できる「テーマ」を利用できたり、指定したアプリを指紋で認証しないと起動できないように設定できたりする。画面下のナビゲーションバーの部分をなぞるだけで、片手で操作しやすい画面縮小モードに切り替えられるのも便利だ。

 SoCは独自開発のKirin 970(2.36GHz×4 + 1.8GHz×4)。このKirin 970には、AI(人工知能)専用のNPU(Neural-network Processing Unit)が組み込まれており、AI処理において従来比で約25倍のパフォーマンスと、約50倍の電池効率を実現しているとのこと。RAMも6GBと、スマホとしてはトップクラスの容量だ。筆者がこれまでに使っていたHUAWEI P10 Plusなど、従来のファーウェイのハイエンドモデルも普段使いの動作性で不満を感じることはなかったが、最新のMate 10 Proも今のところ快適に操作できている。

 2016年6月にHUAWEI P9を購入して以来、日常的な撮影でデジカメを使う機会がめっきり減った。デジカメに頼らざるを得なかったのは夜景と望遠の撮影だ。夜景が撮りやすくなったのは前述の通りだが、従来モデルに引き続き、2倍までなら画質を劣化させずに撮影できるハイブリッドズーム機能を備えている。AIまかせでキレイに撮れるようになり、ますますデジカメの出番が減りそうだ。

 これらの撮影機能の強化にAIチップが寄与している。カメラが被写体や撮影シーンを検知して、最適な設定が行われる機能が追加されたのだが、あらかじめプリセットされた13パターンの設定ではなく、1億枚以上の画像学習に基づき、背景のボケ具合なども変わるという“臨機応変さ”が特徴となっている。

   4.香川銀、顔認証で残高照会ができる金融機関向けアプリ(1.10 ITpro)
  香川銀行は2018年1月9日、地方銀行で初めて顔認証で残高照会ができるアプリの取り扱いを始めると発表した。AndroidとiPhone向けに提供する。

 アプリは大日本印刷の「DNP金融向け総合アプリ」を組み込んだ。必須の4桁の数字入力に加えて、「顔認証」のほか、指紋認証機能のある端末では「指紋認証」を選んで本人認証をすると残高・取引明細の照会ができる。

 アプリを利用できるのは香川銀行全店のキャッシュカードを保有する個人顧客。アプリ利用開始時は普通預金の1口座のみ対応し、2018年春ごろからカードローンを含む複数口座に対応する予定。

 大日本印刷の金融向け総合アプリは顔認証で口座開設なども可能で、2020年度に4億円の売り上げを目指すという。

   5.CESの主役はテレビからAIスピーカー、そして移動型ロボットへ(1.8 ITpro)
  AI(人工知能)スピーカー」の次はロボットーー。「CES 2018」開催前に開かれた、CESを主催する米CTA(Consumer Technology Association:全米民生技術協会)のプレスカンファレンスからは、家電の主役が音声対話機能を搭載するAIスピーカー(スマートスピーカー)を足掛かりに、いずれ「コミュニケーションロボット」や「アシスタントロボット」と呼ばれるような家庭用ロボットへの移行を予感させた。

 2017年のCESでは、Amazon.com社の「Alexa」をはじめとする音声認識・対話機能基盤や、同基盤を採用したスマートスピーカーや車載情報機器に注目が集まった。その結果、米国市場でスマートスピーカーの出荷台数は大幅に伸びた。CTAの調べによれば、2017年に出荷されたスマートスピーカーの台数は約2725万6000台と、2016年比で279%増になったという(図3)。つまり、1年で4倍近くになる計算である。2018年はやや落ち着くものの、それでも2017年比で60%増の約4362万7000台の出荷を見込む。金額に換算すると、約38億米ドルと、2017年比で93%増になるとみている。

 スマートスピーカーの普及により、スマートスピーカーを通じてさまざまな家電を制御するようになるだろう。その結果「スマートホーム化」が加速しそうだ。CTAの予測によれば、米国での2018年のスマートホーム関連製品の出荷台数は4080万台と前年比で41%増になるという。金額に換算すると約45億米ドルで、前年比で34%増とみている。

 ただしCTAは、スマートスピーカーの出荷台数が伸びるのは2019年までで、2020年からは減少に転じるとみている。代わりの市場けん引役として期待を集めるのが、家庭用ロボットである。CES 2018では同ロボットの展示が注目を浴びそうだ。

 これまでも家庭用ロボットはCESで展示されてきたが、その多くが「据え置き型」。代わりに今回のCESで出展が増えそうなのが「移動型」の家庭用ロボットである。プレスカンファレンスでは、その一例として、米Mayfield Robotics社の「Kuri」やフランスBlue Frog社の「Buddy」を紹介。いずれのロボットも、人とコミュニケーションできるもので、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術で家の中の地図を作り、自律して動く。CTAによれば、ホンダもコミュニケーション可能なロボットを発表するという。この他、ソニーも新型「aibo」を出展する見込みだ。

      ホームページへ