週間情報通信ニュースインデックスno.1114 2018/01/06


1.AI実用化の大競争、クラウドで始まる(1.5 ITpro)
 クラウドの専門ニューズレター「日経クラウドファースト」では年間で24件のクラウドユーザー事例を掲載している。2017年に掲載した事例で筆者が最も強く印象に残ったのは、三重県伊勢市のゑびやだ。 

 伊勢神宮の近くで和食店/土産物屋を運営する老舗企業であり、知られざるAI(人工知能)活用の先進企業でもある。 

 店舗に据え付けたネットワークカメラで撮影した映像を基に、来店客を多面的に分析。人数、性別、年齢層、リピーターかどうかを推定するのに加え、一人ひとりの表情を読み取り笑顔かどうかなどの感情も推し量る。それらの情報を基に、土産物の棚割改善や来客数の予測精度向上につなげている。

 ゑびやのような中堅企業がいち早くAIを業務で実用化した背景には、自然言語や画像、映像を扱う学習済みクラウドAIサービスがある。ゑびやは映像分析に、米MicrosoftのクラウドAIサービス「Microsoft Cognitive Services」を使っている。このサービスは、利用開始のハードルが低い。機械学習用の膨大なデータを自社で用意する必要が無いうえに、従量課金で利用できる。 

 やる気とアイデアがあれば、業種、企業規模、地域を問わず、AIを業務で実用化できる時代に突入した。2018年にはクラウドサービスを使ったAIの実用化の大競争が始まり、画像や映像など従来は死蔵させていたデータをAIによって活用する動きが広がる。 

 この動きを後押しするのは、学習済みクラウドAIサービスが充実してきたことだ。前述のMicrosoft Cognitive Servicesは、表情認識や機械翻訳など29種類のサービスで構成される。従来は大半がプレビューだったが、2017年第4四半期からチャットボット用フレームワーク「Azure Bot Service」や自然言語の意図解釈サービス「LUIS」をはじめ次々と一般提供に切り替えている。 

 学習済みクラウドAIサービスでは、このMicrosoft、米IBM、米Googleなどが先行していた。逆にクラウドサービス最大手の米Amazon Web Services(AWS)は後れを取っていたが、追い上げを図っている。これもAI活用の追い風になる。 

 声やテキストを使う会話型インタフェースの「Amazon Lex」、テキスト読み上げの「Amazon Polly」、画像認識の「Amazon Rekognition」という既存3サービスに加えて、2017年11月末には動画認識の「Amazon Rekognition Video」や機械翻訳の「Amazon Translate」をはじめ四つのサービスを一挙に投入した。それらのサービスの大半はまだ日本語に対応していないが、遠からず日本語も使えるようになるはず。AWSで学習済みクラウドAIサービスが提供されれば、ユーザー企業のすそ野が大きく広がる。 

 米Amazon.comが2017年11月に日本で発売したスマートスピーカー「Amazon Echo」も、学習済みクラウドAIサービスの活用を促す。ユーザーが声で操作するEchoのエンジンは、学習済みクラウドAIサービスの「Amazon Alexa」だ。Amazon.comはAlexaをアプリケーションのプラットフォームとして制限付きで開放しており、ユーザー企業はAlexaを使った独自のアプリケーション(Alexaスキルと呼ぶ)を顧客に提供できる。 

 Echoの発売時点で、ユーザー企業が提供しているAlexaアプリケーションは計265種。これだけのAlexaアプリケーションが一気に提供されたのは、多くのユーザー企業が「スマートフォンに次ぐ新しい顧客チャネル」とEchoを位置付けているからだ。2017年11月には遠隔会議などオフィス用途向けの「Alexa for Business」の提供も始まっており、顧客向けサービスだけでなく、業務改革に使われる可能性もある。 

 2018年には、AWSが日本企業の業務システム向けサービスを拡充し、オンプレミス(自社所有)環境からのシステム移行が進む。これも、クラウドの重要な動向の一つとして挙げられる。 

 サービス拡充の象徴的な存在は、2017年5月に発表された「大阪ローカルリージョン」。従来、日本国内にあるAWSのリージョン(広域データセンター群)は東京リージョンだけ。2018年中に、関西にも第2のリージョンを開設するという。一部のサービスしか使えないうえに申し込めるユーザー企業が限られるという制約はあるが、海外リージョンを使うことなく広域の災害対策が可能になる。 

 「2018年には、AWSが東京リージョンの設備を大幅に増強するのではないか」。こんな憶測も関係者から聞こえている。 

 AWSの東京リージョンには、設備やシステムの障害において独立性の高いデータセンター群「アベイラビリティーゾーン」が三つある。そのうち一つのアベイラビリティーゾーンはキャパシティーがほぼ一杯で、実質的にアベイラビリティーゾーンは二つだけという状態が続いている。 

 設備増強によって、使えるアベイラビリティーゾーンが三つに増えると、キャパシティーの余裕が大きくなるだけではない。共有ファイルストレージ「Amazon Elastic File System(EFS)」という三つ以上のアベイラビリティーゾーンを必要とするサービスが、東京リージョンで提供される可能性がある。

 共有ファイルストレージは、オンプレミス環境にあってAWSの東京リージョンに無かった主要リソースの一つ。EFSが東京リージョンで提供されると、オンプレミス環境のシステムを、アーキテクチャーを変えずに移行しやすくなる。 

 2018年第4四半期には、AWS上のPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)としてVMware製品を提供する「VMware Cloud on AWS」も、日本で提供される見通しだ。「VMware製品によるプライベートクラウド上のシステムを無停止、無修正でVMware Cloud on AWSに移行できる」という触れ込みで、価格次第では一気にクラウド移行が進む可能性を秘める。 

 2018年のクラウドのトレンド予想を二つ紹介した。ほかにも、ユーザー企業が自前で機械学習用データを用意しクラウド上に独自のAIを作る動き、「Kubernetes」という管理ソフトが組み込まれたコンテナサービスを利用する動きも進むだろう。 

 クラウドサービスの進化のスピードは、鈍るどころか、さらに増している感がある。2018年もクラウドの動向に注目してほしい。

2.スマホをパソコンに変えるドック 悲しいほどの実用度(1.5 ITpro)
  のっけから恐縮だが、今回の記事は、僕としてはとても複雑だ。サムスン電子のドック「DeX Station」は、テレビやモニターにつなぐと、本体にセットしたGalaxyシリーズ(S8、S8+、Note 8)がパソコンのように動作するという製品。ファーウェイも同様の製品を投入しているので、スマートフォンをパソコン的に使うのがトレンドになりつつあるのだろう。実際に使ってみたところ、これが案外、普通に使えてしまった。となるとパソコンが要らなくなる日も近そうで、パソコンを愛している僕はちょっと悲しい気持ちになるのだ。

 さて、個人的な感傷に浸っていても仕方がないので、早速レビューしていこう。DeX Stationの本体は中央が膨らんだ円筒形で、ぱっと見では、端末をセットできるとは思えない。ところが、天板をスライドすると、ドックが現れるという、なかなかしゃれたデザインだ。この形なら持ち歩くのにも邪魔にならないし、見た目も美しい。

 DeX Stationは、HDMIケーブルでテレビやモニターに接続し、端末をセットすればいいのだが、HDMIケーブルは付属しないので自分で用意する必要がある。

 また、マウスとキーボードも必須だ。DeX Stationにセットしているときは、端末の画面は真っ黒でタッチ操作もできなくなるからだ。Bluetooth接続のマウスやキーボードが利用できるほか、DeX Station本体のUSBポートに接続してUSBマウス、キーボードも利用できる。

 僕の場合は、手元にあったBluetoothマウスは、最初の接続時になぜかうまく動かなかったのでUSBレシーバーを利用するワイヤレスマウスとBluetoothキーボードを利用した。

 さて、肝心の使い方だが、Windowsパソコンを利用したことがある人なら、まず迷うことはないだろう。左側にはアプリのアイコンを選択するメニューがあり、右側には各種の機能がボタンで並ぶ。画面下には、起動しているアプリなどのリストが表示されるのだが、これもWindowsのタスクバーそっくりだ。

 パソコンとスマートフォンのOSをうまく融合したようなイメージで、操作はとても分かりやすい。驚いたのが動作速度で、特にストレスを感じることなく複数のアプリを使えてしまう。文字入力についても、ストレスを感じるほどの遅延はなかった。これなら十分に使える。

 感心したのは、スマートフォンであるが故の便利さだ。当たり前だが、スマートフォンは既にインターネットにつながっているので、ネット接続を意識する必要がなく、DeX Stationにセットすれば、すぐにメールの送受信もできるし、ブラウザーも利用できる。自宅では特に意味がないかもしれないが、外出先で使う際にはこのメリットは非常に大きい。ホテルなどで無線LANを探す必要もなく、テザリングの手間もかからないのだ。

 DeX Stationに対応しているアプリは、ウィンドウサイズを自由に変更できる。すでに「Microsoft Office」や「Evernote」などが対応済みだ。メニューには専用のストアアプリも用意されている。

 例えば、「PowerPoint」でプレゼンテーションをするとしよう。スマートフォンで「PowerPoint」を利用しているということは、マイクロソフトアカウントは設定済みのはずで、「OneDrive」にもログインできている。つまり、端末をセットしてDeX Stationを起動するだけでクラウドにあるファイルが閲覧できて、すぐさまプレゼンに取り掛かれるわけだ。なんと便利なことだろう。

 ウィンドウを複数開いても、それなりに快適に使えるのにはちょっと驚いた。というのも、スマートフォンはシングルウィンドウが基本だ。Androidがバージョンアップしたので2画面までは使えるようになったが、5つ、6つとウィンドウを開いていくと、それがどれほど快適なことかと思い知らされる。

 「Netflix」は細長いウィンドウ表示なので見る気になれないし、多くのゲームもプレーする気にはなれない。だが、DeX Stationに対応している仕事向けのアプリは想像以上に快適だ。さらに充実してくれば、本当にパソコンが要らない時代が来るかもしれないと戦慄している。

  3.名古屋市でネットワーク障害、年末更新のスイッチが原因か(1.5 ITpro)
  名古屋市は2018年1月5日、通信ネットワーク障害が発生したと発表した。庁内の全システムに影響し、戸籍情報に関する証明書や住民票の発行といった窓口業務ができない状態が続いている。5日午後9時時点で復旧していない。連休明け9日の窓口業務再開を目指して、6日から8日まで復旧に当たる。

 ネットワーク障害が判明したのは午前10時52分。市内の一部の保健所が接続するネットワークで通信不良が発生した。午後3時38分には区役所の業務システムが接続するネットワークにも障害が発生した。業務システムに加えて、職員向けの電子メールサービスなどが利用しにくい状態になっているという。

 原因について名古屋市の総務局行政改革推進部情報化推進課は「調査中」と話す。一方で、2017年末から2018年の初めにかけて同市はネットワークのスイッチ機器を更新したため、情報化推進課はスイッチ類に原因があるとみている。スイッチはNECが納入した。

  4.グーグルがCPU脆弱性の詳細を明らかに、Intel・AMD・Armが対象(1.4 ITpro)
  米グーグルは2018年1月3日(米国時間)、プロセッサ(CPU)に関わるセキュリティの脆弱性を明らかにした。米AMD、英アーム、米インテルの特定のCPUを含む多数のCPUが対象になるという(グーグルのセキュリティブログ、グーグルによる脆弱性の詳報)。

 プログラムの分岐を先読みして実行する機能「投機的実行」を悪用し、本来はアクセスできない領域のメモリーを読み取れる可能性があるという。メモリーにはパスワードや暗号鍵、機密情報が含まれる可能性がある。投機的実行の機能は、パフォーマンス向上のため多くのCPUアーキテクチャーが採用している。

 グーグルは2017年に脆弱性を発見。同社チーム(Project Zero)がテストしたところ、1台の仮想マシンから同じホスト上の異なる仮想マシンのメモリーを読み取る権限が得られたという。

 グーグルは自社の製品やサービスにおける脆弱性への対応状況も公開した。Android端末は、最新のセキュリティアップデートを実施したものは保護されている。Google ChromeブラウザーやGoogle Chrome OS、Google Compute Engineについては、脆弱性を緩和する方策を同ブログで紹介している。

  5.富士通が音声AIアシスタント「ふくまろ」、個人向けPCに搭載へ(12.26 ITpro)
  富士通グループは2017年12月26日、個人向けPC「FMVシリーズ」の新製品を発表した。デスクトップPCの新モデルは「ESPRIMO FH90/B3」と「ESPRIMO FH52/B3」の2機種。Web限定モデルとしては10.1型タブレットの「arrows Tab WQ2/C1」を発売する。13.3型ノートPC「LIFEBOOK WU2/B3」にはタッチ対応モデルを追加した。

 個人向けFMVシリーズ向けの新機能として、独自開発のAIアシスタントの「ふくまろ」を搭載することを発表した。PCに話しかけることでさまざまな機能を呼び出せる。キャラクターは「福を呼び込んでくれるだるま」をモチーフとした。

 開発の経緯として、家の中では音声操作も恥ずかしくないことに着目。デスクトップPCが搭載する高性能なCPUやマイク、Webカメラを利用し、音声を用いてコンテンツの再生や家電の操作、室内の撮影を実行できるアシスタント機能を開発した。

 他社のスマートスピーカー製品との違いは音声認識の基本機能をクラウドではなくローカルで動かすことで、プライバシーに配慮した点だという。音声認識のトリガーとなるウェイクワードは「ふくまろ」など3種類を用意した。

 コンテンツ再生機能では、「ふくまろ、沖縄の写真を探して」と話すことでPCに保存してある写真の位置情報を参照し、沖縄の写真を表示する。音楽再生や録画番組の再生も可能だ。

 動体検知機能では、PCの前で動いたものをカメラで撮影し、スマートフォンに送信する。スマートフォン側からは、Skypeのチャットボットを介して自宅のPCに撮影を指示することが可能となっている。

 別売の「IRコマンダー」を利用することで、テレビやエアコン、照明といった家電を音声で操作できる。IRの有効範囲は最大10m、水平方向最大360度、垂直方向最大180度。給電はPCなどのUSBポートを利用する。

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