週間情報通信ニュースインデックスno.1091 2017/6/24


1.NTTドコモが音声対応AIエージェントAPIをオープン化(6.23 ITpro)
 NTTドコモは2017年6月23日、AIエージェントAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)のオープン化に関する説明会を開催した。小売り、金融、交通などの他社サービスと、音声対応のAIエージェントAPIを連携できるようにし、スマートフォンや家電など様々なデバイスを通じた新たなサービスを提供可能にする。

 NTTドコモの中山俊樹副社長は、「中期戦略2020で新しいAIエージェントを提供すると発表した。今回、その中核となるドコモのAPI群を開発した」と説明。2018年春に具体的なサービスを提供開始するとし、パートナー企業と開発を進める。

 家電メーカーなどデバイスを提供する企業、そして小売りや外食、交通などサービスを提供する企業にAPIを開放することで、ビジネスを急速に拡大することを目指す。2020年に今回の取り組みで100社と協業するのが目標だ。

 キャラクターや家電、車などのデバイスなどが、音声で消費者の要望に応える。説明会ではデモを披露。ユーザーがテレビをつけると、テレビの中のエージェントが「何かご用ですか?」と話しかける。ユーザーが「タクシーを呼んで」と言うと、交通専門のエージェントが現れ、ユーザーの要望に応じてタクシーを手配する。

 APIは「多目的対話エンジン」「IoTアクセス制御エンジン」「先読みエンジン」の3つだ。「多目的対話エンジン」は、自然言語処理技術を活用。ドコモが2012年3月から提供している「しゃべってコンシェル」で蓄積してきた音声認識や対話技術に関するノウハウを用いている。「IoTアクセス制御エンジン」は、標準化された汎用性の高いWebインタフェースを用いてIoT機器との相互接続を容易にする。「先読みエンジン」は、ユーザーの行動分析技術であり、ユーザー一人ひとりに合わせたサービスを提供することを可能にする。

 海外を含めた競合他社との違いとして、日本語の自然言語処理に強みがあること、「先読みエンジン」の2点という。「ユーザーの言ったことに答えるだけでなく、先のことを考えたり顧客の意図解釈をしたりすることで行動支援をする。一歩先を行くサービスと自負している」とNTTドコモのR&D戦略部長 兼 イノベーション統括部長の大野友義執行役員は述べた。

  2.日本ワムネットの「DIRECT! EXTREME」、UDPでデータ転送を7.8倍に高速化(6.22 ITpro)
 日本ワムネットは2017年6月22日、大容量ファイルを高速伝送できるデータ転送サービス「DIRECT! EXTREME」を発表した。従来のサービスの転送技術を刷新し、米マイクロソフトのパブリッククラウド「Microsoft Azure」上で構築。実測で約7.8倍の高速化を実現したという。同年8月に提供を始める。

 DIRECT! EXTREMEは、Tバイト級のデータ転送に向くデータ転送サービス。ユーザーごとに独自アドレスを設け、DIRECT! EXTREMEサービス内でデータを転送する。従来サービスがTCPの通信路を複数設ける「マルチセッション」で高速化していたのに対し、DIRECT! EXTREMEはUDPを利用可能な「高速モード」を用意した。一般に、TCPは送信先の受信確認を待つ確認応答の仕様から長距離伝送では転送速度が伸び悩むが、UDPは確認応答がないため高速にパケットを送信できる。同社による実測では、1Gバイトのファイル転送に掛かる時間が従来は173秒なのに対して高速モードでは22秒だったとした。

 1ファイル当たりの容量上限は2Tバイト。価格は総転送量別の月額課金で、50Gバイトで月額3万円、100Gバイトで月額5万円、500Gバイトで月額20万円。初期費用は5万円で、最低契約期間は3カ月。500Gバイト超は個別見積もり。

  3.地方版IoT推進ラボが集積する福岡県、Cloud Days 九州で3自治体が取り組みを紹介(6.22 ITpro)
 IoT推進ラボの地方版として2016年に全国29の地域で選定された「地方版IoT推進ラボ」。福岡県には29の地域のうち3つ、2017年に新たに選ばれた24の地域にも1つが含まれる。2017年6月21日、ICTの総合展である「Cloud Days九州」(福岡国際会議場)に、2016年に選定された福岡県、北九州市、福岡市の地方版IoT推進ラボ担当者が登壇し、それぞれの取り組み状況や課題について議論した。

 「福岡県IoT推進ラボ」を主管する福岡県商工部新産業振興課企画監の見雪和之氏は、自動車産業に次ぐ基幹産業としてIoTを位置付ける。「福岡県ロボット・システム産業振興会議」や「福岡県Ruby・コンテンツビジネス振興会議」などの活動を背景に、「IoTに関連した企業が集積している」(見雪氏)ためだ。

 副知事をトップとした横断的な組織であらゆる分野からニーズの掘り起こしを進めており、既に飲酒運転防止システムや茶畑の防霜ファン故障検知システムなどを実現。2017年度はビニールハウスの環境管理システムや、乾海苔の生産支援システムなどに取り組むという。

 「北九州市IoT推進ラボ」の主管である北九州市産業経済局企業支援・産学連携部新産業振興課課長の山下耕太郎氏は、2002年から進めてきた情報通信関連産業の集積プログラム「北九州e-PORT構想」の発展形として、IoT推進ラボの活動を位置付けていると説明する。「e-PORT構想の成果を中小企業にも広げるのが目的」(山下氏)とし、製鉄などものづくりで発展した同市の下地を踏まえ、製造業にフォーカスしたIoTの活用を図るという。

 「一般の通信は電源確保が前提になるが、LoRaWANならばバッテリーで済み、電源を気にする必要がない」(荒牧氏)ため、環境を整えることにしたという。一方で、市全域をカバーするなかで、建物や電柱などへのセンサー設置許可が煩雑なことも指摘。「一定エリアは自由に設置できるような仕組みもほしい」と規制緩和に期待を込める。

  4.インフォテリアがオフィスで使うIoTデバイスの管理ソフト「Gravio」(6.21 ITpro)
  インフォテリアは2017年6月21日、IoT(インターネット・オブ・シングズ)デバイスをパソコンで管理するソフト「Gravio」の出荷を始めた。Windows 10上で動作するソフトで、BluetoothやWi-Fi、COMポートなどを使ってIoTデバイスと接続する。

 Gravioを使えば、IoTデバイスからデータを収集して加工したりデータをデバイスやクラウドに送信したりできる。専用の制御プログラムが必要なIoTデバイスは、順次接続できるように機能を拡張していくという。

 Gravioが狙うIoT市場は、オフィスで使う業務システムだ。人感センサーを使って空室の会議室を可視化したり、開閉センサーを使ってトイレの空き状況を可視化したりといったIoTを使った業務システムを作るといった用途がありうるという。

 平野洋一郎社長は「IoTは企業の情報インフラに欠かせない存在へ成長すると見ている」とGravioの開発理由を話す。センサーやクラウドの知識がなくてもIoTシステムを運用できるように「企業が運用ノウハウを持つパソコンでIoTデバイスを管理できるようにした」(平野社長)という。

  5.「地道なコスト抑制」、Cloud Days 九州でTOTOがクラウド全面移行のポイントを披露(6.21 ITpro)
 「事業部制をとる当社は、システムが部門ごとに作られていた。全体最適化することがクラウド移行の目的だった」。6月21日、ICTの総合展である「Cloud Days 九州 2017」(福岡国際会議場)で、TOTOの情報企画本部情報企画部ICTインフラグループ企画主査である前田和男氏が講演し、クラウドへの全面移行を目指した理由を語り、移行で得られた効果や移行のポイントについて説明した。 

 前田氏は部門ごとに物理サーバーが立ち上げられていたかつてのシステムについて、サーバー数が必要以上に増大していただけでなく、システム部門による十分なチェックを経ずに導入された結果、オーバースペックになっているものが多く、コストが肥大化していたと指摘する。安全対策が不十分な事業所内に置かれているサーバーもあり、危機管理面の問題もあったという。 

 クラウドへの移行はこうした問題を解決するためのものだった。社内に存在する1000台以上のサーバーのうち、ファイル共有から基幹業務向けまで、80%以上をクラウドに移行すると決め、レスポンスやセキュリティ、海外展開など具体的な要件を定義して導入を始めた。 

 同社はクラウドへの移行に際し、サーバーや運用方法を数種類のメニューにまとめて標準化している。サーバーはCPUやメモリーによって5段階に分け、「ユーザーが迷うことなく選択できると同時に、リソースを節約できるようにした」(前田氏)。運用方法も3つのメニューにまとめ、業務のレベルに応じたサービスを選べるようにした。 

 標準化により繁雑な事務作業が軽減され、従来4〜5カ月を要していたユーザーへのサーバー引き渡しは、1.5カ月までに短縮。社内に合計100台以上あったファイルサーバーは9台にまで減った。物理サーバーはベンダーがバラバラで運用方法もそれぞれ違っており、業務が属人化していたが、クラウド化によって統一されたことで「運用メンバーの多能化が進んだ」(前田氏)のも大きなメリットという。 

 効果を実感した同社は、現在はCAEや3D CAD、電話のシステムでもクラウド化を進めている。CAEや3D CADはGPUの仮想化などで実現。電話は部門ごとに導入していた交換機を廃し、ベンダーが用意するIP-PBXに集約した。 

 前田氏はクラウド移行を成功させるポイントとして、「地道なコスト抑制」と、これを材料にした経営層への説得を挙げる。「10年というライフサイクルで見るとコストは下がる。情報システム部門だけでなく全社的なテーマとして認識してもらうには経営層の説得が必要で、そのためにはコスト効果が確実に出ていると説明するのが有効」と強調。今後はさらなるコスト削減とともに、時間課金型のシステムやSaaS(Software as a Service)の導入なども検討していくという。

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