週間情報通信ニュースインデックスno.1087 2017/5/27


1.「相談200社で着手は5〜7社」、進まぬAI導入の実態をNTTデータが明かす(5.26 ITpro)
 NTTデータは2017年5月26日、同社の人工知能(AI)サービスに関する説明会を開催した。説明に立った技術開発本部エボリューショナルITセンタAIソリューション開発担当の樋口晋也課長は、AI導入を検討する顧客企業のうち「費用対効果が出るとして実証に取り組むのは2割弱」と明かし、AI導入の難しさや成功するための秘訣を話した。

 NTTデータには年間で約200社がAIに関する問い合わせを寄せるという。うち4分の3はAIの単純な問い合わせで事業化の議論に至らず、残りの50社がAI導入に向けた検討を開始する。

 50社のうち、投資対効果が見合って実証に進む企業は「10〜15%」(樋口課長)という。200社が問い合わせて5〜7社しかAI導入の実証に至らない背景を樋口課長は、「顧客企業の求めるサービスがAIを使わなくても実現できるという単純なケースから、顧客企業が学習データを十分に保有していないケース、実用化しても投資対効果が見込めないケースなどがある」とした。

 AI導入で失敗しないようにする基本は、「達成したいAIの正答率や開発の終了条件を顧客企業と事前に決めること」(同)。NTTデータはグループ企業と協力して、AIを利用するかしないかといった点も含めて顧客企業と議論を重ねるとした。投資対効果の議論や製品仕様は、システム開発の現場でしか判断できない場合も多く、「達成条件を明確にするチェックリストを策定し、導入したのが役立っている」(同)という。

  2.格安スマホデビューのきっかけは男性「Webの情報」、女性「家族の紹介」(5.26 ITpro)
 NTTレゾナントは2017年5月26日、「格安スマホ」のニーズに関する調査結果を発表した。格安スマートフォン利用者に使い始めたきっかけを聞いたところ、男性の1位が「Web(専門サイトなど)」で48.8%、女性の1位が「家族からの紹介」で34.0%だった。

 キャリア回線スマホの利用者に「格安スマホを利用しない理由」を複数回答で聞いたところ、「手続き、設定が難しそうだから」が男女とも1位で、回答率は男性が42.4%で女性が38.8%だった。2位は「通信速度が不安」(男性の36.8%、女性の33.6%)、3位が「サポートが不安」(男性の32.8%、女性の32.8%)と続いた。

 同社によると、国民生活センターの格安スマホ相談事例でも「入会手続き時の勘違いによる利用開始日に関するトラブル」「SIM設定に関するトラブル」などが多く、調査結果と同様に「手続きや設定」に課題があると読み取れるという。

 2017年3月9〜11日にインターネット調査したもの。サンプル数は全体で1000サンプル。

  3.「AIで通信品質を極限まで上げる」、米ミストのクラウド管理型無線LANシステム(5.26 ITpro)
 「無線LANに接続するデバイスや通信データ量は急増している。しかし、無線LANインフラの品質はそれに追いついていない。我々はこの問題を人工知能(AI)を使って解決する」。米ミストシステムズの共同創業者 兼 最高経営責任者(CEO)であるSujai Hajela氏は、同社が提供するクラウド管理型無線LANシステムをこう説明する。ネットワンシステムズのグループ企業であるネットワンパートナーズは2017年5月22日、パートナー企業経由でこのシステムの販売を開始した。

 このシステムは、無線LANとBLE(Bluetooth Low Energy)の両方の電波を出力する専用のアクセスポイントと、AI=機械学習機能を備える専用のクラウドサービスである「IWC」(Intelligent Wireless Cloud)からなる。無線LANによる通信を提供するだけでなく、BLEを利用してデバイスの位置情報に応じたサービスも提供できる。

 主な特徴は二つ。まず、機械学習によって高品質で安定した無線LAN環境を提供する点。

 既存のクラウド管理型無線LANシステムとしては、米シスコシステムズの「Meraki」が有名だ。ただ、Merakiは主に導入の容易さに主眼を置いたシステムであり、小規模な無線LANの構築に向くとされている。これに対してミストの無線LANシステムは、機械学習を利用して障害の予兆の検知や障害の原因の検出を自動化しているため、管理の手間が大幅に減り、大規模な無線LANの構築にも使えるという。

 具体的には、ネットワーク管理者が「接続にかかる時間」「スループット」「ローミングにかかる時間」などのしきい値を事前に決めておく。同システムは、これらに基づいて無線LANの状態をチェックし、障害の予兆を検知したり、障害の原因を自動的に検出する。さらに、障害が発生したと判断して通信パケットを自動的に保存する機能も備えている。これにより、ネットワーク管理者が障害の原因を特定しやすくなる。

 もう一つの特徴は、「仮想ビーコン」という機能を使って、デバイスの位置情報を利用したサービスをユーザーに提供できる点。

 店舗や駅、空港などでは、ビーコンを利用することで位置情報に基づく情報を提供する取り組みが増えている。デバイス側で、iOSでは「iBeacon」、Androidでは「Eddystone」という機能を主に利用することで、そうした情報を受けることが可能だ。

 ただ、物理的なビーコンは両面テープで固定するものが多く、はがれてしまう可能性がある。また、電池駆動なので電池切れのおそれもある。一方、仮想ビーコンは管理画面からリモートで簡単に設置や位置の変更ができ、電池切れの心配もない。

 仮想ビーコンは、ミストが持つ「Virtual BLE」(vBLE)という特許技術で実現している。アクセスポイントから8本のBLEビームを出し、そのエリア内に仮想的にビーコンの位置情報を割り当てる。エリアに入ってきたデバイスが受信したBLEビームの信号強度をIWCで解析することで、デバイスの位置を割り出し、その位置に応じてデバイスに情報を提供する。機械学習を利用して、デバイスの機種や使用状況による信号強度の揺れを吸収することで、位置の誤差を3m以内に抑えたという。

 ただし、仮想ビーコンを利用するには同社が提供するソフトウエア開発キット(SDK)を使って専用のスマホアプリを開発する必要がある。仮想ビーコンはiBeaconやEddystoneでは使えない。iBeaconまたはEddystoneを利用する場合は、それぞれのアクセスポイントが「異なる方向にビームを出す8個のビーコン」として機能する。

  4.三菱電機がAI戦略を公表、ロボット位置決めや音声分離に応用(5.24 ITpro)
 三菱電機は2017年5月24日、都内で研究開発成果披露会を開催し、人工知能(AI)技術の開発戦略を説明した。同社が工場設備をはじめ様々な機器を開発、生産していることを生かし、機器側でデータを処理するエッジコンピューティング領域でのAI技術に注力する。同社のAI技術を「Maisart」と名付け、総称ブランドとして活用する。

 同社の常務執行役開発本部長の藤田正弘氏は披露会で「クラウドに大量のデータを送るのは効率的ではない。三菱電機の機器によるエッジ側の演算が必要になる」と語った。

 同社は披露会で、AIに関する複数の研究成果を公開した。会場でデモを実施したのが、産業用ロボットに位置決め動作を記憶させる際の「ティーチング」にAIを活用する研究だ。人がおおまかな座標を指定するだけで、あとはロボットが正確な座標を試行錯誤で見つけ出すことができる。

 今回のデモでは、三菱電機はロボットを使ったコネクタの挿入動作を実演した。ロボットの先端に画像センサーや力覚センサーを設置してそのデータをAIに入力する。AIがオスコネクタとメスコネクタの「ずれ具合」を計算し、ずれが減る方向へロボットを動かす。これを繰り返して、最終的な位置決めを自動化する。三菱電機は同様の研究を従来から取り組んできたが、同社の持つAI技術を改良することで、従来のAIと比べティーチングに必要な時間を50分の1に削減できたという。

 AIの演算方法も見直した。演算量を100分の1に削減することで、必要なメモリー容量やCPUの処理能力を低減できた。これにより、三菱電機が持つ機器へ搭載することが容易になったという。

 1本のマイクで複数話者の音声を記録した同時音声を、AIを用いて一人ひとりの音声に分離する技術も公開した。同社によれば、1本のマイクで録音した同時音声の分離に成功したのは世界初という。事前に音声の特徴などを登録していない2人もしくは3人が同時に話した音声を分離し、別々に再生できる。

 理想的な録音環境でのシミュレーション値として、2人の同時音声で90%以上の原音再現率を実現した。3人では同80%以上を達成しているという。開発は同社が北米に持つ研究開発拠点が主に担当し、関連特許を8件取得している。ただし事業化は未定という。

  5.NTT西日本がLoRaWAN「クラスB」対応の環境構築、大阪ガス・沖電気と実証実験(5.23 ITpro)
 NTT西日本は2017年5月23日、LPWAネットワークの事業開発の一環として、LoRaWANにおいて「クラスB」に対応した環境を日本で初めて構築し、実証実験においてクラスBの実現性を確認したと発表した。

 従来、LoRaWANの通信においては、端末やセンサーなどからサーバーへのアップリンク(クラスA通信)が一般的だった。今回、NTT西日本が環境を構築したクラスBは、サーバー側から端末やセンサーへのダウンリンクの通信が可能になる。

 実証実験は、沖電気工業および大阪ガスと組み、実フィールドで、テスト用ガスメーターをLoRaWAN(クラスB)に接続した際の遠隔制御の検証を実施した。模擬検針情報収集システムから複数のテスト用ガスメーターをクラスB通信で遠隔制御し、検針データを収集した。その際に、システム遅延や通信成功率を検証し、実用化できるレベルであることを確認したという。

 NTT西日本は、2016年6月から「LPWAネットワークを活用したフィールドトライアル」を開始し、パートナーと組んでLPWAネットワークの活用シーン創出に取り組んできた。その際に、多くのパートナーから、サーバーから端末への通信(クラスB)に対応してほしいという要望があったという。

 一例として、メーターの自動検針や保安を実施している業界を挙げる。遠隔からの検針や、地震発生といった災害時における各メーターの開閉状態の確認など、センター側から端末に遠隔かつ省電力で指示したいという要望があり、その実現のためにLoRaWANにおけるクラスBの環境が必須だった。

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