週間情報通信ニュースインデックスno.1084 2017/4/29


1.NECの2016年度通期決算は減収減益、中期経営計画の撤回に新野社長「非常に残念」(4.28 ITpro)
 NECは2017年4月27日、2017年3月期の通期決算を発表した。売上高は前年同期比5.7%減の2兆6650億円、営業利益は同54.2%減の418億円で減収減益となった。成長のエンジンと位置付ける海外事業での不振に加え、円高の影響や既存事業の需要減などが悪影響を及ぼした。業績悪化を受けて2019年3月期を最終年度とする現中期経営計画について事実上の撤回を表明した。中期経営計画を撤回するのは、東日本大震災やタイの洪水などの影響を受けた2010〜2012年度の中期経営計画以来になるという。

 セグメント別に業績を見ると、官公庁や公共向けの「パブリック」セグメントや、通信事業者向けの「テレコムキャリア」セグメント、「システムプラットフォーム」セグメントが減収減益と軒並み不調だった。一方、製造業や流通業向けの「エンタープライズ」セグメントは比較的好調に推移した。

 テレコムキャリアセグメントでも、通信事業者の投資が停滞したことや円高などの影響を受けて、売上高が前年同期比12.3%減の6116億円、営業利益が同271億円減の195億円の減収減益となった。システムプラットフォームセグメントは、ハードウエアや企業ネットワーク関連の事業が減少したことで、売上高が前年同期比1.2%減の7198億円、営業利益が同23億円減の294億円の減収減益だった。

 「思うように成果が出ず、非常に残念な結果になった」。NECの新野隆 社長兼CEO(最高経営責任者)は会見の席で悔しさをにじませた。現中期経営計画の初年度だった2016年度に、成長を期待していた海外市場において「セーフティ」、「グローバルキャリア向けネットワーク」、「リテール向けITサービス」の注力3事業で立ち上げが遅れ、目標を大きく下回った。

 現行の中期経営計画では売上高3兆円、営業利益1500億円を目標にしていたが、初年度の業績悪化を受けて2018年度から新たな中期経営計画を策定する。新中期経営計画では営業利益率の目標を5%に設定し、「なるべく早期に達成する」(新野氏)という。具体的な目標事項については2018年1月をメドに策定する予定だ。国内事業の収益性を改善すると共に、海外では注力する3事業に加えて成長のために新たな施策に取り組む方針という。

  2.無線LANの「ただ乗り」はやはり罪に問えない?有識者に聞く(4.28 ITpro)
 大手新聞社や通信社は2017年4月27日、無線LANの「ただ乗り」が無罪で電波法違反に当たらないとする判決が東京地裁で言い渡されたと一斉に報じた。

 報道によると、被告は身元を隠すため、他人の無線LANの暗号鍵を解読して利用。フィッシングの手口などでIDとパスワードを不正に入手し、金融機関サイトにアクセスして自分の口座に送金していたという。電波法違反には当たらないと判断されたが、不正アクセス禁止法違反などで懲役8年の実刑が下った。

 東京地検が控訴する可能性はあるが、今回の判決を受けた教訓は「無線LANをただ乗りされても罪に問えない可能性が高く、とにかくセキュリティ対策をしっかり実施して自己防衛するしかない」ということだ。

 セキュリティ対策を怠って被害を受ければ自己責任とも言えるが、今回の事件のように踏み台として悪用され、犯罪の片棒をかつぐようなことになりかねない。改めて無線LANのセキュリティ対策を徹底したい。

 セキュリティに詳しい弁護士によると、日本国憲法第21条2項をよりどころとした「通信の秘密」は元々、電話や電報を対象としたもの。基本的には通信内容が盗聴されないことを根本としていたが、時代の変化とともに侵害の対象が広がり、現在は「知得」「窃用」「漏示」の3類型になっている。

 さらに電気通信事業法第4条で規定される「通信の秘密」では外延情報と呼び、通信内容だけでなく、通信当事者の住所や氏名、発受信場所、通信年月日といった通信の構成要素、通信回数(通信の存在の有無を含む)なども対象となり、プライバシー保護より厳格な管理が求められている。

 一方、今回の裁判で争点となった電波法では第109条で「無線局の取扱中に係る無線通信の秘密を漏らし、又は窃用した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」としており、「窃用」「漏示」が主な対象。元々、「知得」は除外されていた。

 その後、第109条の2(暗号通信を傍受した者又は暗号通信を媒介する者であつて当該暗号通信を受信したものが、当該暗号通信の秘密を漏らし、又は窃用する目的で、その内容を復元したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する)で「知得」が加わったという。

 今回の裁判はまさに後者に当たるわけだが、「なぜか第109条の2ではなく、知得が対象外の第109条本体で立件しているので勝てるわけがない」(ある弁護士)という指摘が出ている。

 無線LANのただ乗りはそもそも不正アクセス禁止法に該当しそうだが、こちらも厳しそう。「WEPの暗号鍵は一種の共通パスワード。識別符号に該当するかどうかは個別に判断することになるが、該当しない可能性が高い」(セキュリティに詳しい弁護士)としている。

 今回の一件を巡っては、法整備が技術の進化に追い付いていないとする指摘は多い。ただ、「立法的な手立てを考えていかなければならないのは間違いないものの、何でも法律で守ってしまうと、自助努力の精神が失われ、セキュリティ対策の文化がいつまでも育たない」(セキュリティに詳しい弁護士)。

 結局、対策の啓蒙と法整備の検討を並行して進めることが重要と言えそうだ。

  3.JAふくしま未来、エネルギーハーベスティングとLPWAで果樹の防霜対策(4.26 ITpro)
  ふくしま未来農業協同組合(JAふくしま未来)は2017年4月25日、果樹の防霜対策を目的に、NTT東日本の圃場センシング技術「eセンシング For アグリ」を導入し、2017年4月に運用を開始したと発表した。エネルギーハーベスティング(環境発電)に基づくLPWAを利用したセンシングで、農場における生産管理を行う業界初の取り組みという。エネルギーハーベスティングには小型太陽光発電を利用している。

 外部から電源供給が不要なセンサーと無線通信機器を圃場(作物を栽培する田畑、農園など)に設置し、温度、湿度、照度などのセンシングデータをNTT東日本が提供するオンラインストレージサービス「フレッツ・あずけ〜る」に自動収集する。収集したデータにより、スマートフォンアプリやパソコンなどを用いて圃場環境を見える化する。観測データが事前に設定した閾値に達した場合は警報メールを送信する。

 LPWAの方式には「EnOcean Long Range」を採用した。太陽光発電システムは送信機に搭載する。蛍光灯並みの明るさのもと(約1000lux)、約6時間で充電できる。これで光のない中でもセンサーや送信機が約1週間稼動する。

 JAふくしま未来は、2016年3月に福島県北地域の4JAが合併して誕生した。その管内は福島県内の12市町村で、全国有数の果樹(桃、梨、りんご、あんぽ柿など)や野菜(きゅうり、トマト、にら、なすなど)の産地である。

 この地域では、果樹栽培において重大な被害をもたらす霜の対策として、降霜時の危険温度に達する前に果樹園地内で燃焼剤を燃やし空気を対流させ温度を上げる取り組みを行ってきた。

 JAふくしま未来では、毎年果樹の開花期となる4月から防霜対策本部を設置し、霜注意報が発令されると職員・組合員約60人が福島地区に点在する56カ所の観測地の温度を夜明けまで観測してきた。

 これまでも温度観測の自動化を検討してきたが、圃場における観測装置に電源が必要になることや、観測データの送信にモバイル回線を利用するため通信コストがかかることから、導入を見送ってきたという。今回の導入システムで、こうした課題の解決を図る。

  4.ユーザー企業が最も重視する技術はIoT――JUASが「企業IT動向調査」結果発表(4.28 ITpro)
 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2017年4月28日、「企業IT動向調査2017」の結果を発表した。ユーザー企業の投資動向やIT戦略動向などを調べるもので、1994年度から毎年実施している。今回調査では、IoT(インターネット・オブ・シングズ)やビッグデータなどビジネスのデジタル化を進めるための新規技術を重視する傾向が鮮明になった。

 特に注目されているのがIoT。「重視すべきテクノロジー」の1〜3位を尋ねたところ、22.1%の企業がIoTを1位に挙げた。効果としては、「生産性の向上」や「新規ビジネスの創出」を期待する企業が多い。IoT導入のハードルとなるのは「関連技術の習得や選択」で、22.6%の企業が課題に挙げた。このほかの課題としては、「導入する目的の明確化」「費用対効果の説明」などを挙げる企業が多かった。

 IoTなどを活用したビジネスのデジタル化に取り組む企業が増えていることも分かった。売上高1兆円以上の企業では、半数近くが既にデジタル化を実施。全体で見ても、約4割の企業がデジタル化を実施、または検討している。自由記述から、製造業では設備/生産管理へのIoTの導入が進展していること、非製造業ではマーケティングなどでのビッグデータや人工知能(AI)の適用が進んでいることなども明らかになった。

  5.ドコモが中期戦略発表、AIエージェントやFinTechなど重点事業に位置づけ(4.27 ITpro)
 NTTドコモは2017年4月27日、向こう3年間の経営方針や重点的に取り組む応用分野などをまとめた「中期戦略2020 beyond宣言」を発表した。このなかで同社は、2020年に商用サービス開始予定としている第5世代携帯電話(5G)の通信インフラを活用し、AIエージェントやFinTechサービス、ドローンサービス、エンタテインメントといった新領域を事業化する方針を示した。

 AIエージェントでは、既に商用サービスを展開している「iコンシェル」を高度化し、現行のサービスより自然な対話、ユーザーの要望に即した反応や提案などができるようにする。

 FinTechサービスでは、AIを組み込んだ認証プラットフォーム、決済・送金プラットフォーム、与信プラットフォームを開発。AIによる投資助言、スコアリングに基づいた融資、IoTを活用した新型保険などを提供する。

 ドローンサービスでは、ドローンなどの機器のほか、ネットワーク、運航支援、事業支援のプラットフォームを構築。それらを基に測量、物流、エンタテインメント、メディア、農水産、災害対応、インフラ点検といった各分野向けのサービスを展開する。

 エンタテインメントでは「体感の革新」を掲げ「時間と場所にとらわれることなく、一体感や臨場感の高い5G時代のエンタテインメント体験を提供する」(NTドコモの吉沢和弘社長)としている。Mr.Childrenや安室奈美恵さんを起用して、具体的な企画を打ち出す予定としている。

 新領域以外では、「dポイント」の発行額を国内最大級、加盟店を300社以上に拡大すること、AIを活用した顧客対応でドコモショップやコールセンターの待ち時間を短縮すること、テレワーク導入企業向けにコミュニケーションツールやシェアオフィスを2018年3月期に提供開始すること、などを盛り込んだ。

 ただし、売上高や営業利益、純利益などの中期目標については「新領域と通信事業を融合する形で拡大していくが、実際どのくらいの規模になるかはこれから詰めていく」(吉沢社長)として、具体額は明らかにしなかった。

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