週間情報通信ニュースインデックスno.1083 2017/4/22


1.クラウドで囲い込み合戦始まる(4.21 ITpro)
 複数のクラウドを使うマルチクラウド環境の運用・監視サービスを強化するベンダーが相次いでいる。発表した日本IBM、NTTコミュニケーションズ、インターネットイニシアティブ(IIJ)はいずれもクラウド事業者だ。運用・監視サービスで企業を囲い込み、自社クラウドの拡販を狙う。

 日本IBMは2017年4月6日、マルチクラウドとオンプレミスでシステムの設計や一括運用・監視ができるソフト「Cloud Automation Manager」を発表。TivoliやPureApplicationといった運用・監視ソフトを基に開発した。

 人工知能(AI)「Watson」の活用基盤としてクラウドを拡販する日本IBMは、「Amazon Web Ser vices(AWS)やMicrosoft Azureで管理しているデータをIBMのクラウド上でも使いやすくする」(IBMクラウド事業本部の三澤智光取締役専務執行役員)ことが必要だった。同社はAWSと互換性があるストレージやデータ分析のPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)を提供するなど、マルチクラウドによる顧客の囲い込みに力を注ぐ。AWSに流れたかつての自社の顧客を取り戻す狙いもある。

 2017年4月4日にNTTコムはクラウド運用・管理ポータル「Cloud Management Platform」から操作できるAzureの機能を拡充し、料金請求やサポート窓口をNTTコムに一本化できるようにした。これに先がけ、2017年3月24日に日本マイクロソフトと協業を発表した。

 NTTコムの強みはメインフレームやUNIX機のホスティングサービスと、仮想化せずにサーバーを使えるベアメタルクラウドなどを通じて「AWSやAzureに移しにくいシステムのインフラ管理をまとめて受託できること」(クラウドサービス部ホスティングサービス部門の飯田健一郎部門長)。NTTコムとAzureのデータセンターを閉域網で接続することで、自社クラウドの価値も高められるとする。

 クラウドの国内シェアはAWS(34.1%)とAzure(20.2%)で過半を占める(MM総研調べ、2015年4月〜2016年3月)。日本IBMとNTTコム、IIJの国内シェアはそれぞれ10%に満たない。

 シェアで後れを取る3社は、多くの企業がクラウドとオンプレミスを併用していることに着目。両方のシステムと自社クラウドを一括管理できれば、企業にサービスを訴求しやすいと考えた。運用・監視サービスが充実すると利用企業には便利になる一方、ITベンダーによる囲い込み合戦は激しくなりそうだ。

2.ビッグデータブームに踊らされないためには?東大の第一人者が指摘(4.21 ITpro)
 約20年間データマイニングを研究し、データの収集・分析によってビジネス機会を見つけ出す概念「チャンス発見学」を考案した東京大学工学部の大澤幸生教授。「日経ITイノベーターズ」が2016年1月25日に開催した定例会議で、「データ活用の本質」について講演した。「可能なところから実践する」ことの大切さを説く。

 日経ITイノベーターズのアドバイザリーボードでもある東京大学工学部教授の大澤幸生氏は、データ活用の第一人者でありながら「ビッグデータやデータサイエンティストという言葉は嫌い」と言う。講演タイトルは「データ活用の本質〜ビッグデータブームに踊らされないために〜」である。

 大澤氏の研究テーマは、「データを活用してイノベーションを起こす」こと。そのための重要なツールの一つが、データのつながりを可視化する「キーグラフ」だ。繊維業界のある会社でキーグラフを活用した事例では、「きれいめの生地」「着古し系生地」など売れ筋衣料品の生地に関する関係性を可視化し、新商品開発力の強化に役立てた。

 データをただ眺めているだけでは何も起きない。「データは過去のものでしかなく、そこから未来に向けて何をすべきかは自分で考えないといけません」(大澤氏)。

 大澤氏が提唱し、今注目を浴びている取り組みが「Innovators Marketplace on Data Jackets (IMDJ)」である。IMDJは、「既存の知識・情報の組合わせ発想を誘発し、新たなビジネスアイデア創出を促進させるゲーム型手法」である。IMDJは、経済産業省の「データ駆動(ドリブン)イノベーション協議会」において、データ利活用で新ビジネスを創出する手法として採用されている。

 「オープンデータの活用が叫ばれているものの、自社のデータを公開する動きはなかなか進みません。IMDJは、組織や分野を超えてデータを共有するための取り組み」と大澤氏は説明する。

 IMDJでは、組織内のデータが開示されないという壁を超えるために、メタデータのみを共有する枠組み「データジャケット」を用いる。IMDJの参加者は、それぞれ可能な範囲内でデータを開示し、そこから様々なアイデアを考えていく

 「全てのデータを公開してください、ではなく、可能な範囲内で公開するというところから始めます。するとそこから様々なアイデアが生まれます」。大澤氏はこう話す。

 既にIMDJは、製薬会社や建築会社などでも活用されている。「ほかの企業・組織のデータを自分のところに引っ張ってくると、どういうことができそうか。こうしたことを対話を通じて、考えられる」と大澤氏はIMDJのメリットを語る。

 キーグラフやIMDJが企業で活用されている現場を知る大澤氏は、データ活用の成否の分かれ目について、こう指摘する。「過去の事例を見て感じるのは、ミドルのリーダーシップが大切だということ。ミドルが使命感を持ち、データ分析の結果を生かしてアクションを取っているところは強い」。

  3.コニカミノルタ、「エッジコンピューティング対応」の複合機を発売へ(4.19 ITpro)
 コニカミノルタは2017年4月19日に記者会見を開催し、2017年秋に発売する次世代複合機「Workplace Hub」の概要を説明した。複合機としてはもちろん、IoT(インターネット・オブ・シングズ)端末のデータをクラウドに送らずオフィスで処理する「エッジコンピューティング」のエッジサーバーとしても機能させるという構想だ。

 「エッジコンピューティングはクラウドよりも低遅延でデータを処理でき、セキュリティも確保しやすい」とコニカミノルタの山名昌衛社長は強調する。中堅・中小企業を中心に複合機だけでなくIoT関連サービスなどもセットで提案しながら、案件受注につなげる狙いだ。複合機とサーバーの一体型だけでなくサーバー単体型の製品も用意して発売する。

 当初はヘルスケア分野や製造業がターゲット。例えば医療施設に設置したWorkplace Hubが、カルテなどの医療文書や患者の体温・血圧などバイタル情報、医療画像といった様々なデータを一元的に管理・分析するといったシステムを提供。これにより医療文書管理の効率化や患者ごとの最適な治療プランの立案などを支援する。

 さらに、Workplace Hubのデータをクラウド上に集約してデータ解析し、保険会社や製薬会社にデータ提供するなど協業するといったソリューションの提供も視野に入れる。単なるオフィス文書管理にとどまらず、意思決定支援や生産性向上、リモートワークなど新しい働き方や効率のよい業務を提供することができ、顧客の課題解決につなげることができる。

 コニカミノルタはこのWorkplace Hubについて、シスコシステムズ、日本ヒューレット・パッカード、日本マイクロソフト、SAPジャパンと提携することも発表した。

4.「Google Home」がマルチユーザー対応に、最大6人の声を識別(4.21 ITpro)
 米Googleは現地時間2017年4月20日、人工知能(AI)ベースのデジタルアシスタント「Google Assistant」を搭載したスピーカー「Google Home」が複数ユーザーに対応したと発表した。

 これまでは、Google Homeを設定したユーザーのアカウント1件だけに対応していたが、今後は最大6人のユーザーアカウントを登録でき、それぞれの声を聞き分ける。

 ユーザーは、Google Homeアプリケーションでアカウントを追加し、「Ok Google」と「Hey Google」を2回ずつ発声する。ニューラルネットワークが音声を分析し、声の特徴を検出して、ユーザーを識別する。

 これにより、例えばあるユーザーが「Hey Google、今日のスケジュールは?」と問いかけると、そのユーザーの予定だけが返答される。

 登録したユーザーのうち、誰が話しかけているのかをGoogle Homeが判断するのにかかる時間は「ミリ秒単位」だという。

 マルチユーザー対応機能は、まず米国で提供する。数カ月以内に英国にも拡大する。

 米Amazon.comの家庭用音声アシスタント端末「Amazon Echo」には同様の機能はない。米カリフォルニア州サンディエゴでは1月に、ニュース番組のキャスターの声に視聴者のEchoが反応し、ドールハウスを注文するという騒ぎが発生した(米Washington Post)。

5.コンビニ全店全品にICタグ導入へ、経産省と大手コンビニ5社が宣言(4.18 ITpro)
 経済産業省と大手コンビニエンスストア5社は2025年をめどに、国内全店舗で扱う全商品に、RFID技術を使ったICタグを導入する方針を固めた。2017年4月18日にも公表する予定。レジ業務を効率化すると共に、販売情報などをメーカーや物流業者と共有してサプライチェーンを最適化する仕組みづくりを目指す。

 「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を共同で発表する。セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズの店頭商品すべてに、ICタグを導入する旨を記載。現在は1枚10円程度のICタグが1円以下になること、ICタグの貼り付け作業は人手ではなく機械で実現することなどを前提条件として盛り込む。

 経産省と大手コンビニがICタグの導入を目指す目的は、大きく二つある。まず、レジでの会計業務の効率化だ。購入商品のICタグをまとめて読み取ることで、店員が1点ずつバーコードを読み取る手間を省く。人材不足に悩む小売業界の課題解決を狙う。

 小売事業者に加え、メーカーや物流事業者などと販売情報などを共有することも大きな目的だ。「現在は、出荷分を販売できずに廃棄するなど無駄が生じている」(経産省)。販売状況や物流状況を関係者が把握することで、出荷量や商品配布の最適化に生かす。経産省はコンビニだけでなく、ドラッグストアやGMS(総合スーパー)にもICタグを広げたい意向だ。

 今回の宣言は、経産省と小売事業者、ICタグ事業者が協議を重ねた結果だという。経産省は2017年度内に正式な協議会を発足。協議会にはメーカーや物流事業者も加え、それぞれの立場での効率化検討などの議論を深める。ICタグ事業者やシステムベンダーも参加する見込みという。

 ICタグの活用は、アパレル業界が先行している。ファーストリテイリンググループの「ジーユー」は、ICタグを利用したセルフレジを2017年8月までに全店舗の半数に当たる176店舗での設置を発表済みだ。経産省と大手コンビニによる今回の宣言も、アパレル業界の取り組みに強く影響を受けているという。

 小売業界でも、経産省の支援を受けたローソンとパナソニックが、2016年12月にセルフレジ「レジロボ」の実証実験を開始、2017年2月にはICタグを導入した実験もスタートさせている。

 海外でも、小売店舗の業務効率化が進む。無人コンビニとして話題を集める米アマゾン・ドット・コムの「Amazon Go」は、画像認識技術やセンサー技術を活用して来店客や購入商品を認識。ICタグとは異なる手法で、店頭での会計を不要にするアプローチを採っている。

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