週間情報通信ニュースインデックスno.1066 2016/11/26


1.東陽テクニカ、IoT通信規格LoRaWANの認証試験サービスを開始(11.25 ITpro)
  東陽テクニカは2016年11月25日、IoTデバイスに適した低消費電力の無線通信規格であるLoRaWANの認証試験サービス「LoRa Alliance認証試験サービス」を開始した。デバイス開発者は、認証を取得することによってLoRaロゴマークを使えるようになり、品質が保証されたデバイスであることをアピールできるという。受験費用(税別)は50万円前後で、試験に要する時間は半日から1日程度。

 認証サービスは、東陽テクニカとスペインのAT4 wirelessが共同運営する「東陽テクニカ/AT4 wireless日本ラボ」(東京都中央区)で実施する。LoRaWAN規格を提案している団体であるLoRa Allianceから11月18日に公式認証試験ラボとして認定されたことを受けて、認証サービスを開始した形である。

 試験環境は、被試験機(DUT)とLoRaWANで通信するLoRaゲートウエイと、LoRa Allianceの認定を受けた公式試験ソフトで構成する。試験ソフトとして、試験サービスのためにAT4 wirelessが独自に開発した「TACS4 LoRa Test Tool」を使う。

 試験ソフトは、被試験機(DUT)とゲートウエイが接続して通信が始まった後に、DUTから送信されたデータがゲートウエイを経由してテストツールに転送される一連の通信動作がLoRaWANに準拠しているかを判断し、合否を決定する。

2.世界の携帯電話利用者数、16年は43億人、スマホ比率約半分に(11.25 ITpro)
 米国の市場調査会社、eMarketerが現地時間2016年11月23日までにまとめた世界の携帯電話利用実態に関するリポートによると、同年の利用者数は、昨年から3.6%増の43億人となり、世界人口の58.7%を占める見通し。伸び率に鈍化はあるものの利用者数は今後も増え続け、2020年には47億8000万人、世界人口の62.6%を占めるまでになると同社は予測する。

 同社が推計する2016年におけるスマートフォンの利用者数比率は49.7%。ただしこの比率は地域によって大きく異なる。例えば北米の全携帯電話利用者数に占めるスマートフォン利用者数の比率は78.7%と最も高く、これに西欧の71.7%が次ぐ。この2地域のスマートフォン比率は2020年に、それぞれ87.1%と82.7%になるとeMarketerは見ている。

3.ソフトバンクがNB-IoTの実証実験を公開、2017年夏に全国展開(11.24 ITpro)
  ソフトバンクは2016年11月24日、IoT(インターネット・オブ・シングズ)向けのLTE規格であるNB-IoT(Narrow Band IoT)を利用した実証実験を報道関係者向けに公開した。NB-IoTは遠距離通信可能な低消費電力の無線技術(LPWA:Low Power Wide Area)の一つ。LTE規格の一部として規定されており、免許事業者が提供するサービスである。

 「現状では1基地局で1000デバイスまでしかさばけない。これだと、2020年に157億台ともいわれるIoTデバイスの接続をまかないきれない。NB-IoTを導入することで、1基地局当たりの接続台数を最大で5万デバイスまで高められる」。NB-IoTは同社が進めている「5G Project」の一環。第1弾として2016年9月に導入した「Massive MIMO」に続く第2弾となる。

 同社は11月16日にNB-IoTの実験試験局免許を取得。今回の実験はこの試験局を使った。実証実験はスマートパーキングがテーマで、利用者がスマートフォンで駐車場の空き状況を調べ、空いている駐車スペースを予約。予約後、利用者が自動車をそのスペースに停車すると、IoTデバイスが自動的に管理サービスに自動車の到着を通知。利用者が用件を済ませて駐車スペースを離れると、IoTデバイスが管理サーバーに通知して課金情報などをまとめるといった具合だ。

  4.AIスタートアップのABEJA、自社SaaSの深層学習プラットフォームをPaaS化(11.22 ITpro)
 人工知能(AI)技術を開発するスタートアップ企業のABEJAは2016年11月22日、自社SaaSに利用している深層学習プラットフォームのPaaS化を発表した。サービス名は「ABEJA Platform Open」である。12月にアルファ版の提供を開始する。2017年夏にベータ版、2017年冬に正式版の提供を予定する。

 ABEJAは小売店向けSaaS「ABEJA Platfom for Retail」を提供している。店舗内に設置したカメラで、来店者の動線、滞留状況をヒートマップとして可視化したり、画像認識で来店者の性別、年齢を推測したりするサービスだ。ABEJA Platform OpenはこうしたSaaSの基盤をPaaSにしたもの。大量データの取得、蓄積、学習、解析、出力、フィードバックといった機能で構成する。他システムと連携するAPIも提供する。

 データ収集や深層学習の機能は、Microsoft Azureなどメガクラウドのサービスとしても提供されている。そうしたサービスとの差異化について、ABEJAの岡田陽介氏(代表取締役社長CEO兼CTO)は「我々は2012年9月から深層学習を研究して商用化もしている。その経験を通じて、苦労するポイントが分かっている。かゆいところに手の届くツールを提供できる」とアピールした。

 具体的な例として「アノテーションツール」を挙げた。画像に何が写っているのかを識別するシステムを作るには、コンピュータに正解データを与える必要がある。ペットボトルが写っている画像に対して、「これはペットボトルである」というタグ付けを実施するのだ。「このプロセスがなかなかうまくいかない。それを簡単に実施できるようにするツールを提供する」(岡田氏)。

 アルファ版のPaaSはパートナープログラムへの参加企業に対して提供する。2016年11月22日からパートナー企業の募集を開始した。パートナープログラムへの参加は無償。岡田氏は「囲い込みは考えていない。我々自身がビッグデータ、深層学習の取り扱いで苦労した。そこが足かせになって日本企業の取り組みが遅れるのはもったいない。知見を公開することでビジネスを加速したい」と語った。

5.NRI、2022年までのVRやシェアリングエコノミー、AIなどを動向解説(11.21 ITpro)
 野村総合研究所(NRI)は2016年11月21日、「第243回 NRIメディアフォーラム」を開催した。「ITナビゲーター 2017版 これからICT・メディア市場で何が起こるのか 〜2022年までの市場トレンドを予測〜」と題し、今後の市場動向の分析と市場規模の予測を発表。特にVR(仮想現実)、スポーツ×ICT、シェアリングエコノミー、人工知能(AI)の市場に注目し、5年後の市場の予測・分析結果を解説した。

 冒頭、「新たなマーケットが次々と登場してくる。大きな構造変化が近いのではないか」とコンサルティング事業本部 ICT・メディア産業コンサルティング部 部長・主席コンサルタントの桑津 浩太郎氏は話した。

 従来のメディアフォーラムでは、スタンダードな市場分析などに重点を置いてきたのに対し、今回は新興市場を大きく扱った。桑津氏は「昨年までであれば、まだ取り上げるのは早いとしていたかもしれない。今は新たなマーケットにこれまで以上に目を向ける必要があるのではないか」と、変化の理由を挙げた。

 続いて登壇したコンサルティング事業本部 上級コンサルタントの阿波村 聡氏は、「我が国が『真のICT先進国』になるために必要なこと」をテーマに、台頭している市場の動向をまとめた。阿波村氏はAIやIoT(インターネット・オブ・シングズ)、デジタル化が急成長し、あらゆる産業に影響を及ぼしつつあるとし、「今、AIによって人間の仕事が奪われる雇用代替可能性が議論されているが、リソースの転換と捉える必要がある」と指摘した。

 企業にとって今必要なことは「ICTの進展により自らの企業や事業はこのまま存続し続けるのかと自らに問いかけること」(阿波村氏)という。ICTによってビジネス変革が進むなか、シェアリングエコノミーなどによって新規参入も容易になった。阿波村氏は「(デジタル変革を)やらなければ(他者に)やられる時代がやってくる」と危機感を訴えた。

 さらに「自分たちの固有の強み、例えば組織としての強み、データや人などの資産に立ち返り、自社の強みをICTでどのように活かせるかを考える必要がある」と呼びかけた。

 VR市場の解説を担当したコンサルティング事業本部 副主任コンサルタントの山岸 京介氏は「VR市場はハイエンド型とスマートフォン型に二極化する」との分析を話した。

 ハイエンド型VRとは高性能なPCやゲーム機などを使ってゲームやCG映像などを表示するタイプを指す。スマートフォン型VRは通常のスマホを使ってドラマや音楽ライブなどの実写をVRで楽しむタイプである。ハイエンド型がコントローラによって、操作性が求められるコンテンツを楽しむのに適しているのに対し、スマートフォン型はワイヤレスで気軽に場所を限定せずに楽しめる利点がある。

 据え置きで利用するハイエンド型は既に企業での活用が始まっている。不動産産業では現地に赴くことなく物件を内見でき、観光業では旅行先候補の観光スポットの映像を見たり、入出国の手続きをVRで仮想体験できたりしているという。

 しかし、VRの浸透はまだ進んでいるとは言えないとした。同社のアンケートによると「VR専用機器、スマートフォン装着型VR機器のどちらも購入・保有している」人は0.4%、「VR専用機器を購入・保有している」人が0.3%、「スマートフォン装着型VR機器を購入・保有している」人が0.7%と非常に低い数字だった。購入予定の人も1.7%に過ぎないという。

 山岸氏は「VR普及の最大の障壁は体験機会の少なさ」と指摘した。アンケートを詳しく分析すると、VRを体験した人は9.3%が機器を保有し、30.2%が購入予定または検討していると数値が上がった。山岸氏は「消費者への認知率向上が必須。まずは体験記会の増加が普及のカギ」と話した。

 「スポーツ×ICT」を担当したコンサルティング事業本部 主任コンサルタントの滑 健作氏は「スポーツが競技面と産業面で発展するには、ICTの活用と投資が必要」と話し、「旧態然とした組織体制、ICT活用が遅れたスポーツは相対的に人気や成績を落とす可能性がある」と指摘した。

 スポーツにおけるICT活用を目的で分けると大きく3つあると滑氏は語る。一つめは競技レベルの向上で、トラッキングやモニタリングのシステム、練習用の器具や機器などが含まれる。試合中の選手の動きなどをトラッキングすることで、選手やチームの詳細なデータを取得し、予測などが可能になる。そのデータは、VRによる映像再現も可能だ。

 二つめはファン層の拡大。ICTの活用は競技場の設備、放送設備、インターネット配信動画などが対象となる。これまでファンサービスとして行われていたことが、ファンビジネスへの活動へと変化する。

 三つめはファンのコア化だ。蓄積したデータを活用したコンテンツの提供や、ニーズに合わせた動画配信などを含む。

 滑氏は「スポーツを競技と捉えるだけでなく、一般消費者向けにコンテンツを提供するスポーツビジネスと捉えることが必要」とまとめた。

 空き物件などを持つオーナーが、サービス事業者の提供するICTプラットフォームを利用して、モノやコトをエンドユーザーに提供するのが、シェアリングエコノミーである。シェアリングエコノミーの解説を担当したコンサルティング事業本部 コンサルタントの中尾 実貴氏は、「シェアリングエコノミーは新しい考え方だが、レンタル、コマース(中古売買)、マッチングなど既存のビジネスで行われていたことと同じ」とした。

 その上で、「かつては知人や友人とモノの貸し借りをしていたのが、インターネットによって見知らぬ人とつながることができるようになったことが大きな変化」と指摘した。中尾氏は「シェアリングエコノミーは、多くのユーザーの間でシェアリングを実現させたプラットフォーム事業者の存在にこそ、ビジネスモデルの新規性がある」と特徴を説明、NRIが実施したアンケート結果を紹介した。

 アンケート結果では、レンタル型のサービスでは自動車や自転車、本やゲームソフト、CD、DVDといった既存のレンタルサービスと同じジャンルのシェアリングエコノミーに対する利用意向が強かった。一方、コマース型(中古売買)では、レンタル型よりも、利用した経験や利用したいという意向が総じて高かった。

 マッチング型には家事代行や引越し宅配代行、観光ガイドなどを含む。利用経験が低いにもかかわらず、利用したいという意向が高かったことから、中尾氏は「マッチング型は伸びしろが多い」と分析した。

 最近のシェアリングエコノミーの傾向として、ジャンルを細分化した専門サービスが増えていると中尾氏は指摘。コマース型の「ファッション」商品でいえば、「レディースファッション」に特化したサービスが登場しており、さらに「ギャル服」「ぽっちゃり女子向け」などに特化したサービスが出てきているという。「サービスを利用するユーザーも特化しているので、より付加価値の高めるために細分化が進んでいる」(中尾氏)。

 海外では、サードパーティの参入が増えているとも中尾氏は指摘。宿泊系のシェアリングエコノミーである「Airbnb」の周辺には、清掃サービスやカギの受け渡し、日程調整、適正価格評価などのサービスを提供するサードパーティの事業が派生しているという。

 中尾氏は「現在台頭しているシェアリングエコノミーは個人と個人をつなぐ『CtoC』で、特化型モデルや派生型モデルが乱立している」とした。さらに「CtoCの課題を克服する特化型、派生型サービスがビジネスチャンスになる。BtoCtoCシェアリングエコノミーへ期待している」と提言した。BtoCtoCとは、企業が自社の強みを活かしてモノやコトのオーナーとなり、シェアリングエコノミーのプラットフォームを活用してエンドユーザーへ提供するビジネスモデルであるという。

 AIの解説を担当したコンサルティング事業本部 上級コンサルタントの広戸 健一郎氏は、まずAIに関して三つの視点を挙げた。「AIの市場は濃淡が大きく、規模の大きいマーケットと小さいマーケットが混在している」、「日本企業にも業務でAIを活用しようという動きが顕著になってきた」、「米資本のIT企業がAIに莫大な投資。日系企業はニッチ戦略で収益につなげよ」というものだ。

 広戸氏は、「AIは様々なところで検討されているが、市場が大きいのはスマートフォンなどの情報端末とマーケティング関連サービスなど特定分野に偏っている」と指摘した。音声認識をAIとみなせば、現状、最も大きな市場は製造業という。現在はスマホやカーナビなどで2.5兆円市場だが、市場の成熟と単価の下落で2020年には2.2兆円まで縮小すると見る。「スマホは米アップルと米グーグルなど米IT企業に抑えられている。カーナビは日本企業が強いが、スマートフォンに押されている」(広戸氏)。

 日本企業でも業務にAIの活用が検討されているが、「そもそもIT化が遅れており、AIを活用しようと検討した結果、その前にIT化すべき業務が見つかるケースが多い」と課題を挙げた。

 一方、米IT企業はAIの研究開発に膨大な投資を行っており、日本が追従する厳しさにも言及した。自動運転や情報機器、医療、情報サービスはAIの巨大市場となることが見えているが、既に米IT企業が巨大な投資をしていることを挙げ、「同じジャンルで張り合うと日本企業は厳しい」(同)として、工作機械やセンサーなど日本企業が付加価値をつけやすい分野でのAI活用によって、収益につなげる必要性を訴えた。

     ホームページへ