週間情報通信ニュースインデックスno.1065 2016/11/19


1.「メリットが見えない」、盛り上がり欠ける情報処理安全確保支援士(11.18 ITpro)
 情報処理推進機構(IPA)は2017年4月から、新しいセキュリティ国家資格「情報処理安全確保支援士」を開始する。新資格は「講習受講による知識のアップデートが義務付けられる」という、今までの情報処理技術者試験にはない特徴を持つ。「その手間を掛けるメリットがあるのか」「講習受講料(3年間で15万円)を支払う価値はあるのか」と話題になっている。

 資格の開始は2017年4月としているが、実際には既に運用が始まっている。やや制度が複雑なので簡単に説明しておこう。情報処理安全確保支援士はペーパーテストに合格するだけでは取得できない。試験合格者がIPAに登録を申請し、資格保持者の一覧表「登録簿」に登録されてはじめて資格取得となる。初回の登録が2017年4月1日なわけだ。

 現在は経過措置として、既存の「情報セキュリティスペシャリスト試験」と「テクニカルエンジニア(情報セキュリティ)試験」の合格者を登録対象者として、登録申請を受け付けている段階だ。2016年10月24日から2017年1月31日までに申請し、4月1日の登録を経て晴れて情報処理安全確保支援士となる。なお、2018年10月20日まで経過措置が続き、既存資格合格者は申請して登録されれば情報処理安全確保支援士になれる。

 資格取得者に対しては、年1回のオンライン講習(約2万円)と3年に1回の集合講習(8万〜9万円)の受講を義務付ける。資格を維持し続けるには、3年間合計で約15万円の講習受講料が掛かる。

 10月24日に既存試験の合格者による登録申請が開始された。11月16日時点の申請数は「約400人」(IPA広報)である。 個人で負担するには高額な講習料であり、所属企業からの支援がないと登録数の大きな増加は見込みにくい。しかし、主要ベンダーで登録申請を推奨しているという企業は現段階では少ない。

 例えばNTTデータは、資格への登録を社員に推奨するかどうかについて「現時点では様子見」と回答した。「資格取得することによるビジネスへの影響を、現時点で見極められていない」という理由からだ。

 こうした、ビジネス面でもメリットを見いだせないと言う声はほかの企業からも上がっている。情報処理安全確保支援士は名称独占資格であり、資格を持っていないと従事できない業務というものはない。社員に「情報処理安全確保支援士」と名乗らせることにどれだけのメリットがあるのか。現状、多くの企業がつかみかねている。

 富士通は「現段階では、社員に対して登録を推奨しない」という立場を取る。ビジネス的なメリットが見えないことに加えて、「本制度は登録することにより、情報を漏えいした場合に本人に刑事罰が科せられる。場合によっては本人への不利益、リスクとなることから、一旦登録することも推奨できない事情もある」としている。

 刑事罰については、情報処理安全確保支援士の根拠となっている「情報処理の促進に関する法律施行令の一部を改正する政令」で定められている。業務で知り得た秘密を漏らしたり盗用した場合は、情報処理安全確保支援士に対して「一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」としている。また、情報処理安全確保支援士でなくなった後も同様としている。

 どうすれば情報処理安全確保支援士が魅力的な資格になるのか。経済産業省は2020年に3万人超の情報処理安全確保支援士の登録を目指すが、今のままでは険しい道のりになりそうだ。

 正攻法は資格の権威を高めるものだが、あるセキュリティサービス事業者の幹部は「セキュリティ業界のプロフェッショナル資格としては、米(ISC)2の「CISSP」が既に高い権威を持っている。情報処理安全確保支援士は情報セキュリティスペシャリスト試験を踏襲するが、資格取得を通じて得られる知識の質も量もCISSPに及ばない」とにべもない。

 「そもそも、現行の情報セキュリティスペシャリスト試験は、セキュリティ業界でたいして評価が高くない。履歴書に記載してあっても、専門企業への入社ではあまり役に立たない。情報処理安全確保支援士に名前だけ変わっても、業界での資格の位置付けが変わるとは思わない」(セキュリティサービス事業者の幹部)と厳しい意見だ。

  2.竹中工務店、作業所ファイルサーバーをクラウド化(11.18 ITpro)
 竹中工務店は2016年11月18日、建設工事現場の作業所に設置したファイルサーバーのクラウド化を開始したと発表した。作業所の関係者が図面や工程表などを、工事現場や出先、本支店事業所から、パソコンやタブレットなどで参照できるようになる。新たに着工する作業所から順次利用を開始し、国内の全作業所の約8割に展開する予定だ。

 同社は2014年3月に「竹中スマートワーク」構想を発表。グループICT推進室を設置してITを活用した業務の効率化を図ってきた。2014年4月に約3000台の「iPad Air」や「iPad mini」を導入したのを皮切りに、既に約7000台のモバイル端末を導入している。図面のペーパーレス化を進め、工事現場でモバイル端末で図面情報を参照できるようにすることで、担当者が作業所に戻って図面を確認する手間を省くなど成果を上げている。

  3.GoogleとIntelが戦略的提携、企業のクラウド移行を促進(11.18 ITpro)
 米Googleと米Intelは現地時間2016年11月17日、企業のクラウド移行促進に関する戦略的提携を発表した。

 両社はこれまでもデータセンター向けプロセッサ技術で協力してきたが、その関係を拡大し、企業がレガシーインフラからオープンで安全なクラウド環境に移行するのを支援する。

 具体的には、Googleがオープンソースソフトウエア(OSS)として公開したコンテナ管理ソフトウエア「Kubernetes」をIntelアーキテクチャに最適化し、パフォーマンスの最大化、インフラ管理の強化、企業向けセキュリティの向上を実現できるようにする。両社のエンジニアはすでにコード最適化を進めており、仮想ネットワークパフォーマンスや共有リソースの優先順位付けといったワークロード能力の向上も図る。

 また、Google発の機械学習OSS「TensorFlow」をIntelアーキテクチャに最適化し、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)やリカレントニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)など幅広いモデルにわたる人工知能(AI)ソフトウエアの開発を促進する。2017年第1四半期までに初期段階の最適化を完了する見込み。

 さらに、Googleのクラウドサービス「Google Cloud Platform(GCP)」とIntelのIoT(インターネット・オブ・シングズ)エッジデバイスを安全に接続するプラットフォームの構築、IntelハードウエアとGCPインフラのセキュリティ統合の強化などに共同で取り組む。また、クラウド移行を管理するIT担当者向けの技術学習およびマーケット開発ツールを共同作成する。

  4.SOMPOシステムズ、テラスカイのIoTグループウエア「mitoco」を全面導入(11.17 ITpro)
 テラスカイは2016年11月17日、同社が「ソーシャルウエア」と呼ぶ次世代型のグループウエア製品「mitoco(ミトコ)」を、SOMPOホールディングスグループのシステム子会社であるSOMPOシステムズに導入すると発表した。SOMPOシステムズでは2017年4月に利用を開始。約1万5000人の全社員が利用するコミュニケーション基盤として活用していく。

 SOMPOシステムズでは、主なコミュニケーション基盤として既に、グループウエアの「ノーツ」、企業向けチャットアプリの「Works Mobile」、セールスフォース・ドットコムのアプリケーション開発基盤「App Cloud」などを導入済みで、用途に応じて使い分けている。

 例えばノーツでは、ワークフロー機能を使ってシステム開発工程の承認プロセスを回したり、掲示板機能を使って開発プロジェクトのメンバーや取引先と情報を共有したりしている。開発・運用の現場でトラブルが発生したときに備えて、Works Mobileを緊急時の連絡手段として活用している。App Cloudでは、開発実績や開発案件などを管理する業務アプリを構築・運用している。

 コミュニケーションの手段が複数のツールに分かれていたため、意思決定や情報共有にロスや遅延が発生し、蓄積した情報も十分に活用できていないという実態があった。「mitocoを導入することでコミュニケーションの手段を1つに統合し、意思決定の迅速化や情報資産の活用を図る。さらに、生産性の向上やワークライフバランスの推進を実現させたい」。SOMPOシステムズの小澤淳取締役専務執行役員は、mitoco導入の狙いを、こう説明する(写真1)。

  5.ダイキン工業とNTT西日本がLPWAで空調機の常時接続実験、空気で価値作り目指す(11.15 ITpro)
 ダイキン工業とNTT西日本は2016年11月15日、空調機をLPWA(Low Power Wide Area:省電力・長距離の通信を実現する省電力広域無線通信の呼称)に接続するフィールドトライアルを実施すると発表した。

 NTT西日本は、2016年6月にLPWAネットワークを活用したフィールドトライアルを開始し、様々な分野のパートナーとのコラボレーションを通じてIoTにおけるLPWAの活用シーン創出に取り組んでいる。今回のトライアルは、ダイキン工業の技術開発コア拠点であるテクノロジー・イノベーションセンターなど西日本エリアに設置されている空調機をNTT西日本のLPWAに接続し、各空調機の稼働状態や屋内外の空間情報を常時監視する。両社は、「IoTを活用した空気にまつわる新たな価値づくり」を目的にトライアルを実施する。

 現行の空調機の遠隔監視システムは、空調機を電話回線に接続し、1日に1回あるいは故障発生時のみ監視センターと通信する。LPWAを使うことで、すべての空調機と遠隔監視センターを常時接続することが可能となる。そこで、「LPWAを活用した空調機の状態監視サービスに求められる機能、運用方法」を検証していく。

 さらに、空調機は室内機と室外機で構成され、それぞれが運転制御のために屋内外のセンシング情報を取得している。LPWAを使ってこれら装置と常時接続することで、空調機がセンシングした屋内外の空気の温度や湿度、風の強さ、清浄度などの各種情報を利用した新たなサービスの創出に取り組む。屋内外の空気環境の正確なリアルタイム情報・予報サービスなどのサービス開発に加えて、これらの情報をオープンに取り引きして新たな価値創造の協創を目指すという。

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