週間情報通信ニュースインデックスno.10032015/07/11


1.「デジタル世界では年10倍の成長が前提に」、シグマクシス柴沼氏(7.10 nikkeibp)
  「デジタル世界では、1年で10倍の成長が前提になる。年10%は成長のうちに入らない」。 シグマクシス マネージングディレクター/グローバルセキュリティエキスパート 取締役の柴沼俊一氏は2015年7月10日、東京・千代田のホテルニューオータニで開催された「IT Japan 2015」(日経BP社主催)において、「10%から10timesへ」と題する講演を行った。

 IoTによる新産業革命を通じ、あらゆる業種の企業が「アナログ世界」から「デジタル世界」へと移行し、経営のスピードが大きく転換しつつある。

 従来のアナログ世界の経営では、企業は年10%の成長を目標に、定型的な社内業務をいかに効率的に回すかを考え、階層型の組織を作っていた。「このため『人材はコストなので、少ない方がいい』という考えや、社内資源を効率的に活用する『インターナルマネジメント』の考え方が重視された」(柴沼氏)。

 デジタル世界の経営では、10倍の成長を実現するため、効率ではなくイノベーションが求められ、社外資源の活用が必須になる。必要な人材を必要なタイミングで集めなければならず、組織は階層型でなくフラット型になる。「デジタル世界では、一人ひとりのメンバーは人材(コスト)ではなく、それぞれ異なる能力を備えた人財(アセット)になる」(柴沼氏)。デジタル世界の経営では、組織の内外にある資源を活用する「エクスターナルマネジメント」が重要になるという。

 こうしたデジタル世界の企業で活躍できる新たな職種を、柴沼氏は「アグリゲーター」と呼ぶ。アグリゲーターは「やりたい、やり切るんだ」という強烈な意志を核に、(1)時代を先取りし、事業の青写真を描ける(2)顧客、サービス、ビジネスモデルを自由に設計できる(3)不足する能力を自在に世の中から取り込める(4)成功体験を捨て、自ら変革し続けられる、などの特徴を持つ。

  2.AWS、APIを容易に作成できる「Amazon API Gateway」公開(7.10 nikkeibp)
  米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は2015年7月9日(米国時間)、API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を容易に作成/管理できるサービス「Amazon API Gateway」を公開した。AWS上で、数クリックでAPIを作成/公開できる。現時点では、米国東部、米国西部、欧州の一部リージョンのみで利用可能。

 Amazon API Gatewayは、仮想サーバーの「Amazon EC2」やイベントドリブン型コード実行の「AWS Lambda」などと連携可能。Amazon EC2上で動作するアプリケーションにアクセスするAPIを作成し、別のアプリケーションと接続するといったことができる。トラフィック管理やアクセス制御、性能モニタリング、バージョン管理などの機能も用意する。

 課金は従量制。APIの呼び出し回数や、やり取りされるデータの量などに応じて料金が変わる。API呼び出しの料金は、100万回当たり3.5ドル。1カ月当たりのAPI呼び出し回数が100万回以下の場合、最大1年間は無料で利用できる。

         3.「9割の企業には未知の脅威が侵入済み」、トレンドマイクロの大三川副社長(7.10 nikkeibp)
  「2014年は日本の組織の約7割がセキュリティ事故を経験し、うち半分で実害が発生した。9割の組織には未知のウイルスが入り込んでいて、遠隔操作ツールが確認された割合は1年で5倍に増加している」。情報セキュリティ大手、トレンドマイクロの大三川彰彦取締役副社長日本地域担当グローバルコンシューマビジネス担当は2015年7月9日、東京・千代田のホテルニューオータニで開催中の「IT Japan 2015」(日経BP社主催、10日まで)において、「狙われるのは『人』 情報保護に向け経営層やシステム部門が知るべきこと」と題して講演した。

 大三川副社長は冒頭、同社が実施した各種調査結果を引用し、サイバー攻撃やセキュリティ対策などの実態を整理した。「標的型メールを含むスパムメールが急増している。狙うのは日本、しかも現場の人だ。攻撃者はいかに容易に開かせるかに知恵を絞っている」。同社が検知したサイバー攻撃全体に占めるスパムメールの割合は2014年第1四半期(1〜3月)は16%だったが、第4四半期(9〜12月)には44%に増え、2015年第1四半期は53%に達した。攻撃者が標的型メールで組織に侵入した後で感染PCなどを操るための遠隔操作ツールが顧客内部から見つかった割合は1年で5倍に増加していたという。

 同社が今年3月に経営者やCIO(最高情報責任者)などを含む1340人を対象に調べたところ、実に日本の企業や団体の3社に2社、66.6%がセキュリティ事故を経験していると認識していた。事故のトップ5はクライアント端末のウイルス感染、なりすましメールの受信、USBなどのリムーバルメディアの紛失・盗難、不正サイトへのアクセス、内部関係者による不正な情報漏洩だったという。

 そしてセキュリティ事故を経験した66%の組織の2社に1社が社員情報の漏洩、データの破壊・損失といった実害を経験した。大三川副社長が着目したのは「把握できていない」と回答した3.7%と「実害がない」と答えた43.9%という数字だ。「(実害が発生したのは)本当に半分の方だけですか?実は我々の経験では9割近くの企業には未知の脅威が潜伏している。実際にはそれだけ潜伏しているんだけれども、気が付いているのが3社に2社で、そして(そのうちの)2社に1社は(実害に)気が付いていないだけではないのでしょうか」。

  4.スルガ銀-IBM裁判で最高裁が上告を棄却、日本IBMの約42億円賠償が確定(7.9 nikkeibp)
  勘定系システムの開発中止の責任を巡り、スルガ銀行が日本IBMに約116億円の支払いを求めた裁判で、最高裁判所は2015年7月8日、両社の上告を棄却する決定を下した。これにより、日本IBMに約42億円の賠償を命じた東京高等裁判所の判決が確定した。

 スルガ銀行は2008年2月、勘定系システムの刷新プロジェクトが頓挫した責任は日本IBMにあるとして、約116億円の損害賠償を求めて東京地方裁判所に提訴した。

 東京地裁は2012年3月、プロジェクトの企画・提案段階で、日本IBMが提案した勘定系パッケージ「Corebank」の同社による機能検証が不足していたことが、システム開発においてITベンダーが負う義務「プロジェクトマネジメント(PM)義務」違反に当たるとして、日本IBMに約74億円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 一方で東京高裁は2013年9月、日本IBMのPM義務違反は、パッケージを選定した提案・企画段階ではなく、その後の要件定義を経て両社が最終合意書を交わした段階で起きたとして、賠償額を約42億円に減額する判決を下した。今回の最高裁の決定により、この高裁判決が確定したことになる。

       5.「全てパブリッククラウドに移行するのは非現実的」、日本HP吉田社長(7.9 nikkeibp)
   「スピードやコストを重視して全てのアプリをパブリッククラウドに移行するのはセキュリティリスクが大きい」――。日本ヒューレット・パッカード(日本HP)の吉田仁志代表取締役社長執行役員は2015年7月9日、東京・千代田のホテルニューオータニで開催中の「IT Japan 2015」(日経BP社主催、10日まで)において、パブリッククラウドのセキュリティリスクについて警鐘を鳴らした。

 吉田社長は「変革の波頭に立つ。新たな挑戦へ向かうHPとそのビジョン」をテーマに講演した。冒頭、2020年に向けた市場の変化に触れ、「2020年には1000億個の接続デバイス、1兆のアプリ、40ゼタバイトのデータが市場に出回ると言われている」(吉田社長)と述べた。

 大量のデータがやり取りされる一方で、サイバー犯罪のリスクが増大しているという。吉田社長は「現在、サイバー犯罪の被害者は1年間に3億7800万人いるとされ、毎秒12人が被害に遭っている計算だ。被害を受けた企業1社当たりの年間被害額は50億円にもなる」と話す。

 サイバー犯罪が増える中、パブリッククラウドの落とし穴としてセキュリティリスクを挙げた。吉田社長は「パブリッククラウドの場合、情報流出が起こっても全く気付かなかったり、当事者として対応できなかったりする」と訴えた。

 吉田社長がパブリッククラウドのセキュリティリスクを重視するのは、米HPが取り組んできた社内インフラ基盤のクラウド化を通して得た教訓が理由だ。吉田社長は2015年1月1日付けで日本HPの代表取締役社長執行役員に就任している。2014年12月まではSAS Institute Japanの代表取締役社長を務めていた。

 HPの特徴について、吉田社長はこう述べた。「新鮮だったのは『HP on HP』というコンセプトだ。これは自社開発のハード/ソフトウエアを自社で試し、そこで得た知見をサービスとして顧客に提供しようという考え方だ」(吉田社長)。

 HPでは数年前から社内インフラ基盤のクラウド化に取り組んでいる。吉田社長はクラウド化への取り組みで得た教訓について、「安全性の観点から、全てのアプリをパブリッククラウドに移行するのは無理だしすべきではない」(吉田社長)と語った。自社の体験から出てきた現実的な解が「パブリッククラウドとプライベートクラウドを合わせたハイブリッドクラウドだった」(吉田社長)という。

 

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