週間情報通信ニュースインデックスno.957 2014/07/05


1.クラウドはコスト削減のツールからイノベーション貢献の基盤へ(7.4  nikkeibp)
 「システムを検討するのであれば、まずクラウドを第一優先に考える。そう考える経営者が増えてきた。インフラのコストを削減するツールから、イノベー ションのための基盤へと、クラウドの位置付けが変化してきている」。

 日経BP社が2014年7月2日から4日にかけて東京・品川プリンスホテルで開催中のイベント「IT Japan 2014」に、セールスフォース・ドットコム代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)の小出伸一氏が登壇。「Welcome to the Internet of Customers。新しいカタチで顧客とつながる」と題して講演し、同社のクラウドサービス「Salesforce1」と国内企業での活用事例を紹介し た。

 小出氏は、コンピューティングにおける第3の波について紹介した。第1の波が1960年代からのメインフレーム、第2の波が1980年代からのオープン 系システム、そして第3の波がクラウドである。メインフレームの時代には数千台の端末が接続、オープン系になると数百万のPCが接続、さらにクラウドの時 代になると「20年には750億個のデバイスがつながるようになる」(小出氏)。

 多くのデバイスがクラウドを介してつながる事例として、小出氏は、クルマの状況をクルマ自身がSNSにつぶやくトヨタ自動車のサービス「TOYOTA friend」を紹介した。また、オランダ・フィリップスは、電動歯ブラシをネット接続し、日ごろの歯磨きの状況をクラウド経由で把握。それを歯科医など が参考にするといった取り組みをしているという。

 こうしたモノがつながる時代を見据え、同社は2013年に新しいサービスプラットフォーム「Salesforce1」を投入している。スマートフォンな どモバイルからのアクセス機能を強化したのが特徴で、既に国内でもパソナグループやリクルート住まいカンパニー、バーニーズ ジャパンといった企業が活用しているという。特に、バーニーズ ジャパンはセールスフォース・ドットコムが2014年6月に提供を開始したばかりのサービス「ExactTarget Marketing Cloud」を既に活用している。

2.スカパー!」システム障害が一部復旧、工事関連やWeb手続きは停止継続(7. 4 nikkeibp)
 スカパーJSATは2014年7月3日午前10時から、放送サービス「スカパー!」のカスタマーセンター(電話窓口)における新規加入・変更・解約など の手続き受け付けを再開した(画面)。6月25日からシステム障害のため受け付けを停止していた。

 アンテナ設置を含む「機器・工事関連」など一部の手続きは7月4日正午時点ではシステムの復旧が完了しておらず、まだ受け付けていない。公式Webサイ トでの手続きもまだ再開しておらず、7月7日午前9時に再開する予定である。スカパーJSAT広報・IR部は「Webサイトでの手続きを再開すればシステ ムの負荷は大幅に増える。安全策をとって再開のタイミングをずらすことにした」と説明する。

 スカパー!のシステム障害は6月25日に発生した。顧客管理システム再構築プロジェクトの一環で稼働したばかりの新システム「ALICE」(アリス)に 不具合があり、全ての手続きを受け付けられなくなった。復旧作業は難航し、いったん再開予定を延期していた。

3.「テクノロジーがビジネスや社会を大きく変える」、日立製作所の塩塚常務(7. 3 nikkeibp)
 「テクノロジーがビジネスや社会を大きく変えようとしている」――。日立製作所 執行役常務 情報・通信システム社 システム&サービス部門CEOの塩塚啓一氏は、日経BP社が2014年7月2日から4日にかけて東京・品川プリンスホテルで開催中のイベント 「IT Japan 2014」でこのように語った(写真)。

 塩塚常務は、「社会をイノベートするサービス協創」というテーマのセッションに登壇。これからの社会で必要とされるサービスや、同社が注力する社会イノ ベーション事業の取り組みなどについて講演した。

 塩塚常務は講演の冒頭で、「社会を取り巻く環境は変化し、凄まじい勢いで新しいIT技術が出てきている。3Dプリンター、データアナリティクス、IoT (モノのインターネット)など、テクノロジーがビジネスや社会を大きく変えようとしている」と説明。その上で、「新たなサービスや価値を生み出し、提供す るには、現場で起こっていることを全てデジタルデータとして定量的に捉え、分析し、インテリジェンスするような、『情報活用』と『つながる』ことが必要 だ」(塩塚常務)と強調した。

 塩塚常務は、情報を活用したサービスの例として、製造業におけるモノのセンサーデータを使った設備保全の事例を紹介した。企業からの「東南アジアなどの 海外の製造拠点でも、日本と同じレベルで機器の稼働品質を確保したい」という要望に対し、大量のセンサーデータを分析して機器故障の予兆を事前に検知する ソリューションを提供。高い水準の稼働品質を確保したという。「これまで現場のベテラン技術者に頼っていた突発的な事故の対応を、センサーデータを使って 事前にITで解決できるようになった」(塩塚常務)。

 その他にも、同社が「協創」を生み出すとしているシステム開発手法「Exアプローチ」によるファンケルの業務改善の事例や、英国マンチェスターの国民保 健サービスと提携したヘルスケアサービスの取り組み、日産自動車や損保ジャパンと協業し、テレマティクスデータを活用したサービスの事例などを紹介。塩塚 常務は、「より大きなイノベーションはとても1社で実現できるものではない。各専門領域の知見をもったパートナーとの協創が必要だ」と述べ、社会イノベー ション事業において、今後も様々な企業と協業していく姿勢を示した。

4.[IT Japan 2014]「イノベーションは努力してやるものではない」、一橋大学大学院の楠木建教授(7.3 nikkeibp)
 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏は2014年7月3日、日経BP社が東京・品川プリンスホテルで開催中のイベント「IT Japan 2014」の特別講演で「イノベーションとは何か、何ではないのか」をテーマに登壇。イノベーションとそうでないものを明確に切り分ける視点と、イノベー ションの実現に対してとるべき構えについて語った。

 楠木氏は冒頭で、イノベーションを実現しようと頑張る企業ほどイノベーションから遠ざかる理由について、以下のように述べた。「何か新しいことをして現 状を打破することがイノベーションだという単純な思い違いがある。何がイノベーションか、そうではないのかをはっきりさせると最初の誤解が解ける」。

 続けて聴講者に対し、何がイノベーションかそうでないかを確かめるための三つのクイズを出した。一つめはソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション 3」と任天堂の「Wii」、二つめはソニーの世界初の有機ELテレビと4Kテレビ、三つめはソニーのウォークマンと米アップルのiPodではどちらがイノ ベーションかという内容だった(正解は後述)。

 クイズを踏まえ、楠木氏はイノベーションとは単に変化や新しいことではないと説明。技術の進歩ではなく、社会や人々の生活を変える商業化された発見だと 述べた。「例えばiPS細胞はまだ社会に対するアウトプットが無いため、現時点ではイノベーションではない」。

 楠木氏はオーストリアの経済学者ヨーゼフ・シュンペーターの説を引き、「イノベーションの本質は非連続性」だと紹介。例えば馬車を何台連ねても蒸気機関 車にはならない。また、オーストリアの経営学者ピーター・ドラッカーの「イノベーションとはパフォーマンスの次元が変わること」という説を紹介した。

 イノベーションを考える上では価値のありように注目することが大切だと説き、スマートフォンを例に挙げて説明。「例えば画面がきれい、バッテリーが長持 ち、さくさく動くといったことは進歩の話で、イノベーションとは違う。技術は進歩の話が多い」。

 
 ほかの例として米IBMのメインフレーム「System/360」が生まれた経緯を紹介。「そもそもIBMはコンピュータの前はキャッシュレジスターを 販売している会社だった。ただ、本格的に計算機を製造している企業にはかなわない。IBMは研究所や政府機関ではない一般企業のユーザーをよく観察し、給 与計算などに利用していることが分かった。そこで、これは単なる計算機ではなく、ビジネスインフォーメーションシステムとして使えるものだと気付いた。そ の結果、技術的には最新のものではなかったがSystem/360は大ヒットした」。

 ここで、楠木氏は進歩とイノベーションの違いについて、以下のように語った。「進歩はできるかできないかの勝負。一方、イノベーションは思いつくかどう か。顧客の視点で考えれば進歩は何ができるか、イノベーションは何をするかといった違いがある」。

 例えばアップルの共同創業者スティーブ・ジョブズ氏がiPodを思いついた経緯について、「ユーザーはこういうふうに音楽を聴くんだ、楽しむんだという 発想が先にあった。後は徹底した引き算で、余計なものを省いていった。iPodのデザインがシンプルなのはデザイナーの力というより、そもそものコンセプ トが非常にシンプルだったことが大きい」。


 楠木氏は現在のイノベーションの担い手として、米アマゾン・ドット・コムの創業者、ジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)について言及した。「彼が 1990年代後半にアマゾンを創業した際には、既に世の中には複数のネットサービスがあり、周りからはいまさらネットで本を売るなんて遅れていると言われ た。しかし、彼にはみんな本が読みたいんだ、CDを買いたいんだという人間の本性に対する深い洞察があった。その上で彼が行った売り方には、人々が本や CDを購入するスタイルを全く別のものに変える非連続性があった。『なんで今までなかったんだろう』というのは、イノベーションにとって最大の賛辞だ」。

5.Apple、「iTunes U」をアップデート、iPadでコース作成が可能に(7.1 nikkeibp)
 米Appleは現地時間2014年6月30日、教育関連のコンテンツ配信サービス「iTunes U」の強化を発表した。最新のiTunes Uアプリケーションを使って、同社のタブレット端末「iPad」上でコース全体を作成、編集・管理できるようになる。最新版アプリケーションは、7月8日 から利用可能。

 教育者は、iPadでコースをすべて作成し、「iWork」や「iBooks Author」をはじめ、iPadで利用可能な多数の教育アプリケーションから直接リッチコンテンツや学習教材を追加できる。また、iPadのカメラで撮 影した写真や動画を用いた関連コンテンツを、手軽に生徒全員に提供できる。

 一方、生徒や学生は新たな「Discussions」機能を使って、自動的にクラス内のディスカッションをフォローしたり、新たなテーマの意見交換に参 加したりできる。新しい話題が始まったときや、意見のやりとりに返信がついたときに通知を受け取るよう設定できる。

 教育者もフォーラムに参加し、テーマから逸れたメッセージを除外するなどして、ディスカッションの進行役を務めることが可能。




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