週間情報通信ニュースインデックスno.923 2013/10/12


1.「第3のプラットフォームは競い合う土俵が変わる」、IDC Japanの中村氏が講演(10.11 nikkeibp)
 2013年10月11日、IDC Japan リサーチバイスプレジデントの中村智明氏が「3rd PlatformがもたらすIT市場のトランスフォーメーション」と題して「ITpro EXPO 2013」のメインシアターで講演し、今後のIT市場の変化とそれに対応するために企業が取るべき対策について解説した。

 中村氏はまず、同社が2008年から提唱してきたコンセプトである3rd Platform=第3のプラットフォームについて説明。「クラウド、ビッグデータ、モビリティ、ソーシャルビジネスの4領域から成る。これらの要素が はっきりと分立しているのではなく、組み合わせて提供するビジネス形態となっている。ハード、ソフト、サービスが別々に存在していた第2のプラットフォー ムと比較して、まったく土俵が変わってしまった」と解説した。ちなみに、第1のプラットフォームはメインフレーム、第2はクライアント/サーバーである。

 続いて4つの領域それぞれについて、今後の展望を述べた。まずビッグデータに関しては、それを読み解くキーワードとしてVariety(多様)、 Volume(大規模)、Velocity(超高速)、Value(経済的価値)の四つのVを紹介。続いて500社に対して実施したアンケートの結果で は、36%が取り組む予定なし、約20%が不明と答えたことを踏まえて「ビッグデータ活用は、まだ黎明期にある」と解説した。現在取り組んでいる企業で も、「データを取捨選択する基準が不明確」「インフラ整備コストがかかりすぎ」などの課題を抱えているという。市場規模は、2016年まで年平均30%を 超える成長を続けて、世界で238億ドル、日本国内で765億円になるとの予測を披露した。

 続いてクラウドに言及。この分野では大きな構造変革が既に起こっているとし、「ユーザー企業への調査結果を見ると、導入時に60%の企業が2社のサービ スしか検討していない。つまり3位では生き残れないということ」(中村氏)だとした。また、オンプレミス型は敬遠され、管理サービスの付属したホステッド 型の人気が高まっている点を挙げて、「その結果として、機器などを売り込む先が減っている。従来のように、ユーザー企業に営業しても成果は上がらない」と 指摘した。

 ソーシャルの普及については、営業戦略に大きな影響を及ぼしているとした。まず顧客側は、営業に聞かなくても、ネットを調べればある程度、商品やサービ スの知識や評判が得られる環境となってきている。中村氏は「これまでのように顧客に直接働きかけているだけではダメ。評判を良くするには、インターネット 上の情報を変えなければならず、そのためにはソーシャルメディアを通じてよい影響を与える必要がある」と説明した。

 モビリティについては、2017年までの予測では、世界市場も日本市場も成長を続けるが、デスクトップPCとモバイルPCの出荷台数はほぼ固定され、市 場拡大部分はタブレットとスマートフォンが占有すると解説した。

2.「クラウドへの移行を妨げているのは既成概念」、企業向けクラウドの今後を IIJ、SFDC、MSが議論(10.11 nikkeibp)
 東京ビッグサイトで開催した「ITpro EXPO 2013」で2013年10月11日、「どうなる、これからの企業向けクラウド」と題し、インターネットイニシアティブ(IIJ)、セールスフォース・ ドットコム(SFDC)、日本マイクロソフトの3社が参加したパネルディスカッションが開催された。モデレーターは日経コンピュータの吉田琢也編集長が務 めた。

 パネルディスカッションでは、「企業向けのクラウドはどこまで利用できるのか」が議論になった。情報システムの利用企業がクラウドに移行する 際に、代表的な懸念点として挙がるのが信頼性とセキュリティだ。この点についてセールスフォース・ドットコムの宇陀栄次社長は、「クラウドを運営する事業 者にとってセキュリティは当たり前。『クラウドよりも既存のITの方が安全』という規制概念を取り払うための取り組みに力を入れている」と強調する。

  「セキュリティの観点から見た場合、クラウドでもオンプレミスでも利用する技術は同じ。オンプレミスからクラウドへの移行をためらう人は、自らの手で セキュリティを管理するのか、他人にゆだねるのかといった、人間系の問題で悩んでいる」。こう指摘したのは、日本マイクロソフト業務執行役員ビジネスプ ラットフォーム統括本部長の梅田成二氏だ。

  「クラウドに移行しなかったアプリケーションは、取り扱うデータの種類やアプリケーションの複雑さで移行に適さないと判断したもの。リスクや技術的な 投資と、移行後のコストや業務支援の効果を考え、移行するかどうかを判断した」と梅田本部長は説明する。

  IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)を中心にサービスを提供するIIJの執行役員マーケティング本部長 松本光吉氏は、同社が実施した顧客への満足度調査の結果を紹介した。品質やサービスレベルについて、「75%の顧客が、オンプレミスからクラウドサービス に移行することで、サービスレベルが上がっていると回答した」(松本本部長)という。

 IIJのIaaSを利用する企業は、電子メール、グループウエア、ファイルサーバーの3種類のシステムを、オンプレミスから移行するケースが多いとい う。松本本部長は「これらのアプリケーションは実は24時間、サービスの提供が必要だ」と指摘。「自社で24時間、365日間止めないでサーバーを運用す るのは難しい。これをクラウドに移行することでコストを削減したうえで、実現できる」と強調した。

 
3.「VDIとUCでワークスタイル変革を実現する」、日本HPの箱崎氏(10. 11 nikkeibp)
 日本HP テクノロジーコンサルティング統括本部 プリセールス本部 モビリティソリューション部の箱崎勝彦氏は2013年10月11日、東京ビッグサイトで開催された「HPクライアント仮想化フォーラム in ITpro EXPO 2013」で「ワークスタイル変革に向けた仮想化とユニファイドコミュニケーションの可能性」と題する講演を行った。

ワークスタイルを変えるには今の働き方を全否定せよ
「なぜワークスタイルを変えなければないないのか」。箱崎氏は顧客と話をするなかで、その答えが大きく4つに分かれることが分かったと話す。コミュニケー ションの改善、社員向けサービス向上、業務継続、コスト削減――の4つだ。

 また、ワークスタイルを変えるときの最初のポイントとして、働き方の視点を変えることを挙げた。例えば、「どこで働くのかが重要」だったのを「何をやる べきかが重要」というふうに考え方を変えたり、「何時間働いたかを重視」していたのを「成果に基づく評価を重視」に変えたりするといったこと。「極端に言 えば、今の働き方を全否定すべきだ」と箱崎氏は強調する。

 働き方を変えるためのITツールの見直しも必要である。多くのビジネスパーソンはコンシューマ向けのスマートフォン(スマホ)アプリやSNSなどを個人 的に利用している。それらを業務でも利用したいという要望がIT部門に向けられるかもしれないが、承諾するべきではない。同種のエンタープライズ向けのソ リューションを検討するべきであるとする。


働き方を変えるのに有効なクライアントの仮想化
 では、ワークスタイルを変えるためにどんなソリューションが必要なのだろうか。「一言で言うと、“モビリティ”だ」と箱崎氏は述べる。

 箱崎氏の言うモビリティとは、人やアプリケーション、データなどにどこからでもアクセスできるITサービスの集合体のこと。「自席から離れても、自分に 与えられているすべてのサービスを利用できることが重要であり、それを実現するソリューションの1つとしてクライアントの仮想化がある」(箱崎氏)。

どこからでも、どんな端末からでもアクセスできるUCを活用
 クライアント仮想化に加え、ワークスタイルの文脈でもう1つ重要なのがコミュニケーションである。そのインフラを構築する上で大切なのは、社員が様々な デバイスを使い、どこからでも社内情報にアクセスできるようにすることだ。これには「ユニファイドコミュニケーション(UC)がベストな選択になる。しか もできる限り単一のコンプライアンスに則り、単一のプラットフォームに乗せ、単一の管理、単一の認証基盤を用意するのがいいだろう」と箱崎氏は提案する。

 日本HPでは、UCソリューションのコアに「Microsoft Lync」を採用している。Lyncはインスタントメッセージ(IM)やプレゼンス、Web会議、IP電話などといったリアルタイムコミュニケーション機 能を備えたソリューション。「なかでも、プレゼンス機能がUCのキーになる」(箱崎氏)。プレゼンスで相手の状況を確認して、最適なコミュニケーション手 段を選択できるからだ。

4.NTTアイティ、専用アプリ不要で端末を問わず使えるペーパーレスWeb会議ソ リューションを展示(10.11 nikkeibp)
 NTTアイティは、2013年10月11日まで東京ビッグサイトで開催されている「ITpro EXPO 2013」で、スマートフォンやタブレット端末での利用に対応したペーパーレスWeb会議ソリューション「ミーティングプラザ PLCタブレットマスター」(以下、PLCタブレットマスター)を展示している。PLCはPaperLess Conferenceの略。

 PLCタブレットマスターは、サーバー上に格納した画像や音声などの会議資料を参加者の全端末に同期を取りながら配信することで、リアルタイムの会議進 行を実現する仕組みを提供する。会議参加者の端末に必要なソフトはWebブラウザーのみで、専用アプリのインストールなどは不要。Android端末や iOS端末、PCなど端末の種類を問わず利用できる。

 画像や音声などの会議資料を集中管理するサーバーである「PLCサーバー」には、会議室ごとに用意される専用のアクセス用URLを使ってアクセスする。 カメラを搭載したスマートフォンやタブレット端末など向けに、専用URLを埋め込んだQRコードを発行することも可能だ。端末のカメラでQRコードを読み 取るだけで、即会議に参加できる。

 会議進行用の役割を持たせた管理用端末が不要な点も、同ソリューションの特徴である。スマホやタブレットを含め、会議に参加しているすべての端末が任意 のタイミングで「発表者」端末になることができ(排他制御)、それ以外の端末は「参加者」端末として発表者端末側の操作に追随する形になる。会議資料を ファイルとして配信しないため、端末にデータが残らない安全性も売りの一つだという。会議に参加可能な端末をIPアドレスやパスワードで限定することも可 能だ。

5.「SDNで設定変更コストが5分の1に」、金沢大学附属病院長瀬教授(10. 10 nikkeibp)
 「SDN(Software Defined Networking)は魔法ではない。何でもできるわけではない。しかし、何をしたいのかを明確にすれば役立つ」。金沢大学附属病院の長瀬啓介 副病院長/経営企画部教授は2013年10月10日、東京ビッグサイトで開催中の「ITpro EXPO 2013」で「企業内LANとしてのSDN運用経験---1年6か月の経験から得られた今後の展望」と題した講演に登壇した。

 金沢大学附属病院は2012年4月、病院内の新棟建設に合わせてSDNを導入した(事例データベース:金沢大学附属病院)。ベンダーは、NECを採用し た。狙いは、複雑になってしまったネットワークを統合して、シンプルにすること。「電子カルテや心電図、超音波診断装置など病院内の様々な機器がネット ワーク化されている。安定して動かないと困るので、医療機器ごとにネットワークがクローズになりがちで非常に多くのケーブルが院内をはい回っていた」(長 瀬教授、以下発言はすべて同氏)。

 その結果、運用管理が困難なネットワークになってしまった。「大学病院は医療が専門でITが専門ではない。限られた人数、限られた能力で管理するのに苦 労していた。今だから言えるが、私が金沢大に来た5年前は機器の誤接続やスイッチの不適切な設定など問題のオンパレードだった」。安定性を確保するために ネットワークが複雑化し、複雑化したネットワークが運用の安定性を低下させる状況だったのだ。

 ここで長瀬教授が目を付けたのがOpenFlow技術を使ったSDN。「一つの物理ネットワークで統合するのは問題解決方法として本質的でシンプルだっ た」。ここで考えなければならなかったのがリスク。「大学病院は重症患者が多く、診療を止めるわけにはいかない。例えば電子カルテは患者さんに関する唯一 の情報で、これが見られなくなると非常に困る」。高リスクなネットワークは受け入れられない。「問題解決には必要十分な機能だけを使った。それ以上は複雑 化させない。我々は命を預かっているのでリスクを呼び込みたくない」。

 製品の品質については「SDNはソフトとハードを分けて品質を考えた。ソフトは使い方や『揉まれ方』で変わる。イレギュラーな使い方が多いとバグが表面 化しやすいが、我々のLANでは複雑な使い方はしない。NECのOpenFlow製品は日本通運の利用実績(事例データベース:日本通運)で揉まれてい る。NECなのでハード面の実績は十分にあるだろうと思った」と判断した。

 運用開始から1年半、現在では金沢大学附属病院のネットワークは安定動作している。今後はOpenFlowネットワークを拡大していく方針だ。「当初は どれくらい使えるのか分からなかったので、コアに入れるのはためらっていた。しかし最近は逆にコアとディストリビューションにOpenFlowを入れよう と思っている」としている。


初期コストは同等、運用コストは大幅減

 コスト面については「OpenFlowスイッチはやや高い。しかしそこだけを見てしまっていいのか。目に見えないコストへの影響が大きい」という。見え ないコストとは主にはネットワークに関わる人件費。金沢大学附属病院はネットワーク導入時、従来型のLANスイッチによる見積もりも取り寄せた。構築にか かる総額はOpenFlowネットワークと同等だった。異なるのは機器代金、SE人件費、ケーブル費の比率。全体を100とした場合、OpenFlowは 60(機器代金):16(SE人件費):24(ケーブル費)だった。従来型のLANスイッチは54:38:8だった。

 OpenFlowネットワークのケーブル費が高額なのは、フルメッシュ構成で配線したから。「当時、OpenFlowはデータセンター以外の実績がほと んどなかったので、データセンターで動いていたフルメッシュ構成を採用した。今だったら必要ないと判断したと思うので、ケーブル費は安くなるはずだ」。

 そして、大きく変わるのは設定変更コスト。OpenFlowネットワークでは設定変更をアウトソースしている。検討時に運用後のアウトソース料金の見積 もりを取った。その結果、「設定工数の試算は、OpenFlowは従来型の22.2%になる」。また、OpenFlowではネットワークを論理的に追加・ 変更できる。物理的なケーブル工事の必要がないため、ネットワーク変更・追加時の配線費用がゼロに近くなった。運用コスト全体で大幅なコスト削減になっ た。

 今後はOpenFlowスイッチの低価格化を期待しているという。「OpenFlowはネットワークをユーザーの手に取り戻す。これまではベンダーのお 仕着せの仕様に囲い込まれていた。例えばコンフィグはメーカーが異なると勉強し直しになる。ユーザーがOpenFlowのメリットを引き出して使うとオー プンな競争が激化する。NECには申し訳ないが、彼らが泣きたくなるほど安くなると我々としてはハッピーだ」。

 
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