週間情報通信ニュースインデックスno.860 2012/06/09

1.スカイマーク騒動が浮き彫りにした“感情”のお値段(6.7  nikkeibp)
付加価値をサービスに求める企業の勘違い
 「うわぁ〜乗りたい〜! だってポロシャツにホットパンツに、長いド派手な爪のギャルがサービスしてくれるかもしれないってことだろ?」
 「バカ、何言ってんだよ。逆に『え? 荷物? そっち』なんて具合に、ぞんざいな態度を取られるかもしれないんだぞ」
 「そういう飛行機もあっていいと思うけど。座席があって、目的地まで安全に運んでくれるんなら、それでいい。いろいろサービスされるのって、結構ウザイ でしょ」

 賛否両論あるものの、全体的には否定的な意見の方が多いような気がするのも、また事実。そう。例の事件。いやいや、事件などとは申し訳ない。5月中旬か ら、「スカイマークエアライン」の座席のシートポケットに入れられているという“サービスコンセプト”である。

物議を醸すスカイマークエアラインの“コンセプト”
 ご存じない方もいると思うので、まずはその“サービスコンセプト”を紹介しておこう。

[スカイマーク・サービスコンセプト]
 スカイマークでは従来の航空会社と異なるスタイルで機内のサービスをしております。「より安全に、より安く」旅客輸送をするための新しい航空会社の形態 です。つきましては皆さまに以下の点をご理解頂ますようお願い申し上げます。

お客様の荷物はお客様の責任において収納をお願いいたします。客室乗務員は収納の援助をいたしません。
お客様に対しては従来の航空会社の客室乗務員のような丁寧な言葉使いを当社客室乗務員に義務付けておりません。客室乗務員の裁量に任せております。安全管 理のために時には厳しい口調で注意をすることもあります。
客室乗務員のメイクやヘアスタイルやネイルアート等に関しては「自由」にしております。
客室乗務員の服装については会社支給のポロシャツまたはウインドブレーカーの着用だけを義務付けており、それ以外は「自由」にしております。
客室乗務員の私語等について苦情を頂くことがありますが、客室乗務員は保安要員として搭乗勤務に就いており接客は補助的なものと位置付けております。
(中略)
機内での苦情は一切受け付けません。ご理解いただけないお客様には定時運航順守のため退出いただきます。ご不満のあるお客様は「スカイマークお客様相談セ ンター」あるいは「消費生活センター」等に連絡されますようお願いいたします。
 誤解があると申し訳ないので、全文をそのまま記載した。要は
 「荷物はお客さん自身でちゃんと収納してね。うちの客室乗務員の中には、タメ口だったり、茶髪でギャルメークしているのもいるかもしれないけど、それ、 会社もオッケーしてるのよ」
 「子供が泣いてても客室乗務員のせいじゃないし、時には厳しい口調で命令することもあるけど、それには絶対従ってね! とにかくヨロシク! まぁ、言い たいことがあったら、相談センターか消費生活センターまで、是非!」
 という、これまでのエアラインでは考えられない“奇抜”なコンセプトを打ち出したのである。

 この最後の文言に記載された東京都消費生活総合センターでは、この文書に関する苦情が1件あったとし、「消費者基本法も苦情を適切処理することを事業者 の責務としている」とスカイマークに抗議、文書の回収と訂正の広報を求めることにしたとも報じられる。

 なぜ、スカイマークが、こうした“サービスコンセプト”なるものを打ち出したのか、詳細は分からない。“モンスター”と呼ばれるようなお客さんの機内で の迷惑行為が増えているという実情に対峙するものなのか、「安かろう悪かろう」を懸念する人たちに対する安全性のアピールなのか、はたまた格安航空会社 (LCC)の登場で競争が激化する中、独自色を出すことを狙ったということか、勝手に想像するしかないわけで。

 何しろこれだけメディアに取り上げられても何のコメントもないし、消費生活センターの抗議についても、「センターは公的機関なのでお客様の苦情を聞いて いただいてもいいと認識している。抗議があれば対応を検討したい(スカイマークの広報担当)」と話しているのだ。

 要は、「ご覧になった通りです。それ以上でも、それ以下でもありません」ということなのだろう。

感情を労働の一部として提供する「感情労働」
 その真意がどこにあるにせよ、「オ〜、よくぞここまで言い切った!」──。これが私の率直な印象である。
 だって、客室乗務員の仕事を「感情労働(エモーショナルレイバー=emotional labor)」としてとらえるならば、このサービスコンセプトが搭乗料金の値下げにつながっているというロジックが成立するのだ。

 しかも、この考え方は、「お客様第一主義」とばかりにサービスに付加価値を加えて、競争に打ち勝とうとする企業にとっても、実に示唆に富んでいる。

 そこで今回は、「感情とコスト」について考えてみようと思う。

 感情労働──。これは1983年に、米国の社会学者、アーリー・ホックシールドが、著書『管理される心―感情が商品になるとき』(世界思想社)でキーコ ンセプトとして用いた「エモーショナルレイバー」の日本語訳で、感情を労働の一部として提供している労働者を表現した概念である。

 ホックシールドは航空機の客室乗務員の労働を分析し、「彼女たちは『自分の仕事を愛し、楽しんでいる』ように働き、乗客も『楽しかった』とフライトを満 喫するように努めることが、彼女たちの仕事の生産物となっている」と説いた。

 このように肉体労働、知的労働に加えて、感情労働という職業が存在していることを、ホックシールドは客室乗務員の事例から説明したのである。
 客室乗務員は飛行機に乗った乗客たちが、「安全で、楽しくて、心地よいもてなしを受けている」という感覚を持てるように、自分の感情を自分から分離し て、感情それ自体をサービスにしなくてはならない。なぜなら、それが乗客の求めていることであり、それが客室乗務員の仕事、というわけだ。

スカイマークは“感情労働”分の賃金を払っていない?
 つまり、今回賛否両論を起こしているスカイマークのサービスコンセプトで言うならば、「うちの客室乗務員には、乗客を“満喫”させることを求めていない し、“感情労働”分の賃金を払っていません。そのコスト削減分を価格に反映しています。目的地までお客様を“安全”に届けるためのコストしかかけていない のです」というメッセージだったと受け止めることが可能となる。

 同時にそれは、社員へのメッセージでもある。

 「我が社はあなたたちに、乗客を“満喫”させることを求めていない。あなたたちは、安全に乗客を届ける仕事に専念してください」

 「でも、それって、ほかの航空会社と真逆じゃん。お客をいかに満足させるかってサービスをウリにしている会社もあるでしょ?」

 その通り。LCCの中にも、スカイマークとは180度真逆の、“満喫”できるフライトを、ウリにしている企業がある。
米サウスウエスト航空やマレーシアのエアアジアなどでは、徹底的に「乗客に楽しんでフライトしてもらう」ことを、客室乗務員に求めているのだ。

顧客を満足させるにはコストがかかる
 そうなのだ。本来、顧客を満足させる、のは、タダじゃない。
 顧客を満足させるのは、タダじゃない。このことを一体どれだけの企業が理解しているのだろうか。

2.台湾アスース、台北市郊外の本社で製品開発の裏側を披露 斬新なデザインを生み出す専門部署「デザインセンター」(6.8 nikkeibp)
 台湾アスーステック・コンピューターは2012年6月6日、コンピューター関連の展示会「COMPUTEX TAIPEI 2012」が開催されている台湾・台北市の郊外にある本社で説明会を開催した。同社が力を入れている製品デザイン、高速インタフェース 「Thunderbolt」などに関する同社の取り組みを紹介した。

 台北市の中心部から電車に乗って約30分。週末には家族連れなどでにぎわう観光地である淡水(たんすい)の近くに台湾アスーステック・コンピューターの 本社ビルはある。まさに郊外という雰囲気で、周囲にはそれほど大きなビルはなく、近代的な外観のアスース本社ビルが特に目立って見える。ここで約3000 人が働いているという。朝の時間帯には、多くの従業員がビルの中に入っていく。

 説明会の中では、アスースが力を入れているデザイン、Thunderbolt、クラウドサービス、サウンド関連といった取り組みについて紹介があった。 特にノートパソコンを開発する上で同社が重視している項目が、外観のデザイン。ユーザーが購入した製品を心地よく楽しみながら使って欲しいという考えがあ るという。デザイナーの数は150人。「ASUS Design Center」と呼ばれる専門部署を設置している。

3.5月の携帯電話純増数、5カ月連続で順位変わらず(6.7 nikkeibp)
 電気通信事業者協会(TCA)は2012年6月7日、2012年5月末時点の携帯電話・PHSの契約数を発表した。新規契約数から解約数を差し引いた純 増数でソフトバンクモバイルが25万8100件と5カ月連続の首位を維持した。2位のKDDI(au)は19万9000件、3位のNTTドコモは12万 6600件だった。2012年1月以降、3社の順位は毎月同じで、NTTドコモの不振が続いている(写真)。

 ソフトバンクモバイルは米アップルのiPhone 4Sと新型iPadが引き続き好調。プラチナバンド対応のフィーチャーフォン「PANTONE 4 105SH」も人気が高いという。KDDIは3月に始めた割引サービス「auスマートバリュー」の認知度が徐々に高まり、指名契約が増えている。端末販売 では、5月25日発売の「HTC J」(関連記事)やiPhone 4Sが好調とする。

 番号ポータビリティ(MNP)による転入出状況は、KDDIが5万6100件、ソフトバンクモバイルが3万5100件の転入超過、ドコモが9万100件 の転出超過。KDDIは純増数で5カ月連続の2位だが、MNP転入数では8か月連続の1位を維持した。

 NTTドコモは「独り負け」の状態が続く。

4.NEC、独自技術で転送速度を2Gbpsに高めた小型ルーター 「UNIVERGE IX2215」発売(6.7 nikkeibp)
 NECとNECインフロンティアは2012年6月7日、10個のギガビットポートを備えたA4サイズ小型ルーター「UNIVERGE IX2215」(写真)を発売した。NEC独自の「高速フォワーディング技術」の採用により、小型ルーターとしては最高クラスとなる最大2Gビット/秒の データ転送速度を実現した。価格は11万8000円(税別)。8月に出荷を開始する。

 UNIVERGE IX2215は、A4サイズのギガビット対応オールインワンルーター。10ポートののギガビットイーサに加えて、ISDNポートを1つ、USBポートを1 つ搭載する。USBポートにデータ通信端末を取り付けることで、モバイル通信を企業の拠点間通信や災害時の非常用回線として利用可能だ。

 パケット送信先の検索処理および転送処理を高速化する「高速フォワーディング技術」を採用することで、最大2Gビット/秒のデータ転送速度を実現した。 また、企業の拠点間ネットワークなどで必要な暗号化処理を行った場合でも、最大1.2Gビット/秒の通信が可能だ。

5.COMPUTEX 2012]スマホをパソコンやテレビの入力装置として利用、台湾ベンチャーが開発(6.7 nikkeibp)
 台湾アドマックスは、スマートフォンやタブレットをコンピュータの周辺機器として使うためのシステム「U Play」を出展している(写真1)。

 U Playは、専用のUSBドングル「U Play Bar」とアプリで構成される。U Play Barをパソコンやタブレット、テレビなどに装着することで、スマートフォンをリモートコントローラやキーボードとして利用できる。無線通信には Bluetoothを採用する。

 アプリはAndroid版とiOS版があり、いずれも「タッチパッド」「エアマウス」「ジェスチャー」など9種類のモードが用意されている。ユーザー は、この中から所望のモードを選択できる。1カ月以内に製品化の予定で、会場ではビデオを使って操作方法を解説していた。


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