週間情報通信ニュースインデックスno.853 2012/04/14

1.ソニー、過去最大赤字の「衝撃」(4.13 nikkeibp)
小田嶋 隆
 ソニーが国内外で従業員1万人を削減する計画を発表したのだそうだ。
 1万人という人数は、全世界に散らばるソニーの従業員の約6%に相当する。
 思い切ったリストラ策と言わねばならない。続報によれば、この人員削減にあわせて、経営陣は、会長をはじめとするすべての執行役員の賞与を返上する意向 だという。

 決算について、日本経済新聞は次のような見出しを打っている。
『ソニー、「想定外」の連鎖 赤字最大の5200億円』

 今回は、ソニーの話をする。
 といっても、私のような者が経営に口をはさんだところで仕方がない。だから、ここでは、ソニーにまつわる個人的な記憶を書き並べようと思っている。
 記憶は、必ずしも実態とイコールなものではない。
 が、われわれの記憶は、ソニーというブランドの基礎を形成している。その意味で、非常に根源的なものだ。

 ソニーのロゴマークは、単なるひとつの家電メーカーの枠組みを超えた文化的な発信力を備えている。
 ソニーがソニーであり、ソニーの製品が先進的で、高性能で、スタイリッシュであったことは、そのままわれわれ日本人がセンシティブで、賢く、勤勉である ことを裏書きしていた。つまり、ソニーは、長らく、日本という国の優秀な側面を象徴する企業だったわけで、その意味では、われわれのプライドの核心を形成 するブランドなのである。

 ソニーについては、今回の報道に限らず、2003年の「ソニーショック」を初めとして、今世紀に入って以来、暗いニュースばかりが続いている。
 ファンとしてとてもさびしい。

 いま、「ファン」という言い方をしたが、私の世代の男は、自分で自覚していなくても多かれ少なかれソニーのファンだ。おそらく、ソニーの名前ややり方を 嫌っている組の人々でさえ、ソニーというブランドの価値を否定することはできなかったはずだ。

 だから、ソニーの調子が悪いというニュースは、われわれ世代の男性の士気を損ねる。もう少し踏み込んだ言い方をするなら、ソニーの衰退は、わたくしども の世代の日本人男子の愛国心をかなり致命的な次元で傷つけている。このことは、誰もあえて指摘していないが、とても深刻な出来事なのだ。

 われわれの愛国心は、自国の自然、文化あるいは生産物に対して尊崇の念を抱くという、至極まっとうな道筋を通じて獲得されるものだ。ということは、身の 回りの自然を守り、優秀な製品を生産するべく努めていれば、愛国心は誰が強要するまでもなく、ごく自然に、国民一人一人の精神のうちに醸成されていくはず のものなのである。

 私のケースで言えば、ソニーは、いつでも私の愛国心を支える重要な柱だった。
 いまでもよく覚えているのは、1990年代の初め頃、ウェストハリウッドでソニーのムービーカムを回していると、現地のオタクがわらわらと寄ってきたこ とだ。

「なんだこれは。お前の持っているこの小さいマシンは何なんだ?」
「カメラか?」
「おお、ムービーなのか」
「この画面は何だ?」
「ここに何が映るんだ?」

  似たような出来事を逆の立場で経験したことがある。
 1980年代の半ば頃のことだ。
 私は、その日、ドイツからやってきた二人の若い女性をエスコートすることになっていた。
 とにかく、1980年代半ばの、まだ寒い季節のある一日、私とM田は、そのバーバラとアネッテを伴って、彼女たちが土産としてドイツから船便で発送した ワインを受け取るべく東京港に出向いたのである。で、ことのついでに、中華街あたりに繰り出して珍しいものでも食べようというプランを立てた。その小旅行 のために、クルマと運転の労を提供したのが私だったということだ。

 このエピソードの中で、今回の話題にとって大切なのは、二人のドイツ娘が大変な愛国者だったということだ。特に背の高い方のアネッテは、多弁で、率直 で、著しくゲルマン的な愛国少女だった。

 彼女は、ベンツを見かけるたびに

「おお、あれはうちの国のクルマだ。知っているか?」

 と尋ねた。

「知っている。メルセデス・ベンツだ」
「メルツェデスはこの国でも有名なのか?」
「とても有名で大変に高く評価されていて猛烈に高価だ」
「そうだろうとも。わがメルツェデスはミュンヒェンが生んだ芸術であるのだからな」

 BMWを見ても、アウディを見ても同じだった。フォルクスワーゲンも、だ。

「おお、これはジエッタだ。知っているか? 乗ったことがあるか?」

 中華街を歩いている時も、まったく同様だった。

 アネッテは、非常に誇り高く、強気で、高飛車だった。
 が、彼女のその強力な愛国心は、私の目から見て、最終的には、ほほえましく思えた。その理由は、彼女のプライドが、軍隊の強さや植民地の広さに根ざした ものではなくて、自国の工業製品の優秀さを誇る、一種クラフトマンシップに似た感情だったからだ。アネッテは良い娘だ。私はそう思った。
 そんなアネッテも、ソニーだけは認めていた。
 私が乗っていたブルーバードについては、狭いとかペナペナだとかさんざんな言いようだったが、カーステレオとソニーのカセットには大いに感心していた。

「このクラスのクルマにこんなオーディオがついているのは驚きだ」
「さすがはソニーの国だ」

 
 ウォークマンが発売された1979年の夏、仲の良かったKという男が、あの貴重な初号機をいち早く購入し、その日のうちに私の家にやってきた。彼は布教 をしに来たのだ。
 アップルの一連の製品もそうだったが、あの時代のソニーのギミックは、伝道者を作り出す力を備えていた。

「とにかく聴いてみろよ」

 と言って彼が持ってきたウォークマンの音を聴いた時から、大げさに言えば、私はソニーの信者になったのだ。

 以来、30年ほど、色々と紆余曲折はあるが、私の心には、あの時の感動がいつも残っている。だから、ソニーのブランドに対しては、アップルにおけるジョ ブズへの個人的な崇拝とは少し毛色の違う、製品への忠誠心を抱いている次第なのだ。

 ソニーが昔と同じ輝きを取り戻すのかどうかは、わからない。
 個人的にはむずかしいと思っている。

 仮に、ソニーが業績を回復することになるのだとしても、その業態は、前世紀の姿とはずいぶん違ったものになっているはずだ。
 というのも、イノベーティブな企業は、その精神を目に見えるカタチで体現していた創業者の死を契機として、新しい段階に移行せねばならないはずだから だ。

 「モリタさんならどうするだろう」(あるいは「ホンダの親父さんならどうするだろう」「ジョブズならどうするだろう」でも良いが)という問いが、とうの 昔に全社員にとっての自明の前提でなくなっている以上、ソニーは新しい問いを発明しなければならない。そういうところに来ている。

 2.ビッグデータで行動に役立つ情報を、AITCが実証システム開発へ(4.13  nikkeibp)
 先端IT活用推進コンソーシアム(AITC)は2012年4月13日、ビッグデータの効果と活用方法を示すための実験プロジェクト「Project LA (Leads to Action)」を開始すると発表した。

 この実験プロジェクトでは、ビッグデータを使った実証型のシステムを構築する。具体的には個人向けの災害対策用アプリケーションを想定。災害時の避難や 被災回避に役立つ情報を提供できるようにするという。ソーシャルメディアの情報や、公共機関やマスメディアなどの情報といった、インターネットや社会に流 通しているさまざまなデータを取り込んで分析。その分析結果をもとに、避難などの行動を起こす際のヒントを提示する。

 プロジェクトには産業技術総合研究所と消防庁消防研究センターも協力する。両組織は、気象庁防災情報XMLのデータをはじめとした各種データの活用方法 やシステムの構築方法などについてAITCに助言する。詳細については今後決定する。

 実証システムの開発は2012年12月までに一通り完了させる予定。2013年1月からはAITCの会員に実証システムを公開してフィードバックを得 る。2013年3月をメドに実証システムの一般公開を目指す。

 具体的な内容は、4月20日に開催される「AITC Day 2012(先端IT活用推進コンソーシアム 第2回中間活動報告会)」で説明するとしている。


3.IBMが新たなコンピューティング・システムを発表、サーバー、ストレージ、 ネットワークを統合(4.13 nikkeibp)
 米IBM Corp.は、従来の「汎用機」や「スーパーコンピュータ」、「特定用途向け専用機(アプライアンス)」とは一線を画するという新たなコンピューティン グ・システムとして「エキスパート・インテグレーテッド・システム」を発表した(ニュース・リリース)。全世界で2012年4月11日(米国時間)に同時 発表され、日本では日本IBMが2012年4月12日に東京で報道機関向け発表会、および顧客/パートナ向け発表会を開催した。

 エキスパート・インテグレーテッド・システムは特定の製品の名称ではなく、コンピューティング・システムの種類を表す言葉である。これまで基本的に個別 に提供されることが一般的だった、サーバー、ストレージ、ネットワーク装置(すなわちハードウェア)を一つに統合し(例えば、一つのラックに収め)、さら に仮想化機能や管理機能(すなわちベーシックなソフトウェア)を統合して提供する。エキスパート・インテグレーテッド・システムの「インテグレーテッド・ システム」の部分は、この統合を表している。

 一方、「エキスパート」には、IBMがこれまでの事業を通じて蓄積してきたコンピューティング・システムの知見やノウハウをフルに活用しているという意 味が込められている。ただし、これだけだと、「豊富な経験に基づいてハードウェアとソフトウェアを一緒に提供するソリューション」とあまり区別がつかない が、大きな違いがある。すなわち、従来は、基本的に個別に開発されたものを「システム・インテグレーション」の名の下に組み合わせてきた。これに対して、 エキスパート・インテグレーテッド・システムは、最初から統合に便利なように、ハードウェアもソフトウェアも新たに開発するという。

 IBMは、エキスパート・インテグレーテッド・システムの第1弾の製品ファミリとして「IBM PureSystems」を発表した。具体的な製品は、ハードウェア(サーバー、ストレージ、ネットワーク向けのモジュール/ノード)と仮想化機能や管理 機能からなる「IBM PureFlex System」、さらにミドルウエアを組み込んだ「IBM PureApplication System」である。

4.ソニーが経営方針、スマートフォンやタブレット端末など重点事業に 赤字が続くテレビ事業については「撤退は全く考えていない」(4.13 nikkeibp)
 ソニーは2012年4月12日、4月1日付で発足した新経営体制下での経営方針説明会を開催した。今後は(1)デジタルカメラなどの「デジタルイメージ ング事業」、(2)ネットワークを介した対戦型ゲームなどの「ゲーム事業」、(3)スマートフォンやタブレット端末、ノートパソコンなどの「モバイル事 業」を重点事業領域とする。これらの事業を合わせた2011年度の売り上げ構成比率は60%だったが、「3年後の2014年度には70%にまで上げ、営業 利益の構成比率を85%にする計画だ」(平井一夫社長兼CEO)。

 中でも大きな成長を見込んでいるのはモバイル事業で、2011年度の3倍となる1兆8000億円の売り上げを2014年度に確保し、事業単体での黒字化 を目指す。具体的な内容は明らかにしなかったが、「映画、音楽、ゲームといったコンテンツをテレビで楽しむための中心的な機器にスマートフォンを位置付け たい」(平井氏)という。そうした取り組みにより、テレビやコンテンツなど、ソニーの既存事業とのシナジー効果を発揮できると考えている。

5.世界タブレット市場、2016年までAppleのリードが続くとGartner が予測(4.11 nikkeibp)
 米Gartnerが現地時間2012年4月10日に公表した調査結果によると、2012年におけるタブレット端末の世界販売台数は1億1888万台とな り、2011年の6001万台からほぼ2倍に増加する見通し。この数値は2013年に1億8245万台となり、4年後の2016年にはさらに2倍の3億 6925万台に達すると同社は予測している。

 米Appleの「iOS」搭載端末の2011年における販売台数は3999万台で、市場全体に占めるシェアは67%で首位だった。Gartnerは今後 4年間もAppleのリードが続くと見ており、iOS搭載タブレットは2012年に7298万台、2013年に9955万台、2016年に1億6965万 台で推移するとしている。

 一方、米Googleの「Android」搭載タブレットの販売台数は2011年に1729万台だったが、2016年にはその8倍の1億3765万台に なる見込み。これに伴ってAndroidのシェアは2011年の29%から2016年には37%に拡大するが、iOSのシェアは2016年も46%を維持 し、Appleの首位は続くという。

 また今後市場投入される「Windows 8」など、米MicrosoftのOSを搭載するタブレットは2012年に486万台、2013年に1454万台、2016年に4364万台で推移し、こ の期間のシェアは4%から12%に増加するとGartnerは予測している。



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