週間情報通信ニュースインデックスno.845 2012/02/11


1.日本の家電企業は「イノベーターのジレンマ」を克服せよ(2.9  nikkeibp)
 パナソニック、ソニー、シャープなど、日本を代表する家電メーカーが大きな損失を出して苦しんでいる。そうした日本メーカーの苦戦とは対照的に、韓国の サムソンは好業績を続けている。かつて日本の半導体ビジネスがサムソンに敗退してきたのと同じような構図だ。日本の企業のどこが問題なのだろうか。

なぜサムソンは強いのか
 少し前に日本の家電メーカーのトップが次のような話をしていたのを思い出す。「我々がなぜサムソンに負けているのか徹底的に調べた。日本の企業が技術や 製品力において、サムソンに比べて特に劣っているわけではない。いろいろ調べて結局分かったことは、サムソンの人件費が我々の半分程度であることが決定的 に重要なのだ」という。

 サムソンにかぎらず韓国や台湾のメーカーが、日本の企業に肩を並べることができる程度の技術力を身につければ、日本の企業は不利になる。日本の人件費や その他の費用は韓国や台湾に比べて非常に高いからだ。一人当たりの国内総生産(GDP)で韓国や台湾にくらべて相当高い水準にある日本の企業が国際競争力 を持ち続けるためには、韓国や台湾の企業に技術や製品の力で圧倒的なリードを維持しなくてはならない。

 マスコミの報道や産業界の人からは、企業としてのサムソンのユニークさをいろいろと聞かされる。半導体で日本が韓国勢に敗れたのは、向こうが財閥のオー ナー経営者でリスクをとって大胆に投資ができるからであるという。日本の半導体分野での投資は資金調達の金利負担などを考慮した慎重なものであるが、韓国 の投資は勝つか負けるかの大胆な投資であった。いかに早く大量に生産するかがコスト優位を決めるこの世界では、日本型ビジネスは韓国勢に歯がたたなかった という。

本質的な点に目を向けて強さを論じるべき
 企業としてのサムソンの特徴についてもいろいろ語られる。幹部には非常に高い給与が支払われるが、少しでも業績が悪いと簡単にクビが切られる。成功した 社員には破格の高給が出るが、成果の出ない社員は簡単に切り捨てるという、弱肉強食の世界であるそうだ。

 「韓国といえば儒教社会であり、長幼序を重んじる。そんな世界で自分よりも若い人が高給で高いポストにつくと、年配の人はプライドを大きく傷つけられ る。だから奮起して大きな成果を上げるようになるか、さもなければ辞めていくことになる。どちらにしても企業には都合がよい。これが競争力を高める原動力 になっている」というような話も聞いたことがある。

  だからそうした企業の持っているユニークさではなく、日本と韓国や台湾とのコスト格差という本質的な点にもっと目を向けるべきだろう。近隣国の企業の 技術力が日本の企業に迫ってくれば、それだけで日本の企業は不利になるのだ。

「イノベーターのジレンマ 」を考える
 日本メーカーと韓国メーカーの関係を見ていると、ハーバード大学ビジネススクールの看板教授の一人であるクレイトン・クリスチャンセンが提唱した 「イノベーターのジレンマ」の話を思い出す。

 先行している企業は、後発の企業に対してつねに不利な戦いを強いられている。米国の小売業の例を挙げて説明してみよう。シアーズ・ローバックという会社 をご存じだろうか。一般にはシアーズとして知られ、長いこと米国を代表する小売業であった。

 シアーズは小売業として様々な技術革新を実現してきた。ダイレクトマーケティングとも呼ばれる通信販売事業を切り開いてきたのは同社だ。様々な種類の商 品を店舗の中に展開し、車で買い物に来て、一度にあらゆる商品が手に入るGMS(ゼネラル・マーチャンダイズ・ストア )という小売業態を本格的に展開したのも同社が初めてだった。ハウスカードという形のクレジットカードを開発し、小売業によるカードビジネスを本格展開し たのも同社だった。小売業での様々なイノベーションの多くは、シアーズが開拓してきたと言っても過言ではない。

 それだけイノベーティブなシアーズが、後発のウォルマートに追い越されてしまった。今やウォルマートが小売業の世界では圧倒的に強い存在となった。な ぜ、あれだけ様々な技術革新を続けてきたシアーズがウォルマートに負けてしまったのだろうか。

革新が当たり前になり、安さだけを追求し成功
 実はその答えはイノベーションそのものにあると言ってもよい。シアーズが切り開いてきた様々な革新は、小売業の世界では当たり前のものになってきた。 GMSという業態は多くの企業に広がってきた。ハウスカードは当たり前の存在になってきたし、ビザやマスターカードなどの汎用型のクレジットカードも、店 舗と提携して様々な賦課サービスを提供できるようになってきた。ダイレクトマーケティングについても、新たに多くの企業が参入してきて、様々なサービスが 提供されている。シアーズの革新は当たり前のものとなってしまったのである。

 そうした中で、ウォルマートは圧倒的な安さだけを徹底的に追求してきた。「エブリデイ・ロープライス」が同社の追求している低価格路線であるが、いつで も同じように安い価格を提供するのが同社の基本戦略であるという。そのために徹底的に効率的かつ低コストの運営を進めている。消費者にとっては、当たり前 のものを安く買えるという「価値」が有り難いのだ。

 シアーズの切り開いてきた様々な革新が当たり前のように社会に広がり、消費者の選択の幅が広がる中では、いろいろ細かいメリットが付されているよりは、 ベーシックでまともな商品がより安く手に入るということが重要になってくるのだ。

細かい「質」にこだわった日本製品が色あせて見える
 日本の家電メーカーの人からは、よく自社のテレビの品質の良さについて話を聞かされる。家電量販店でいろいろなメーカーのテレビが並べられているので、 比べて見てほしいと言われる。「色の鮮やかさが違うでしょう」「動きがきれいにでているでしょう」などと言われる。ハイビジョン、三次元テレビ、便利な録 画機能付きテレビ、家具としても見栄えのよい漆塗りフレームのテレビなど、実にいろいろな工夫や展開をしてきた。

 最近、チェコやチリのような中所得国に行く機会があった。どちらの国でも韓国の現代自動車の存在が目立った。日本メーカーの自動車がないわけではない が、なぜか韓国勢が目立つのだ。地元の人に聞いてみると、「韓国製の自動車も悪くはないし、なにせ価格が安い」という答えが返ってくる。

世界の大半は「ベーシックな機能でも安い方がよい」
 自動車でも家電製品でも、新興国や中所得国の市場の重要性が増している。たくさん売ることが国際競争力を高める上で重要な商品では、より安い商品を大量 に売ることが、その企業の競争力につながる。そうした市場での消費者にとって、技術者がこだわるような微妙な違いはあまり重要ではないのかもしれない。

 よく分からない付加的な機能がついて商品に余分な費用を払うよりは、ベーシックな機能を備えた商品でも安い方がよい。これが世界の大半の人が求めるもの であるのだ。

他社との違いを発揮できる新たな分野に取り組め
 日本の家電や自動車企業が直面するイノベーターのジレンマ。次々に新しいイノベーションに取り組もうとしても、その革新は世界の多数を占める新興国の消 費者からは重要ではないガジェットに映る。低価格の韓国勢や台湾勢に市場を席巻される。日本の企業はどうしたらよいのだろうか。

 残念ながら、現状を打開する方策がそう簡単に見つかるものではない。当面は愚直にコストを削減し、価格競争力を強化していくしかないだろう。いまだ国内 に多くの企業が共存し、そしてどの企業も多くの商品分野を抱えている。だから、企業再編や分野の見直しの余地は残っている。個々の企業では「選択と集中」 をさらに徹底させることが必要だし、産業全体ではM&Aなどの再編をさらに進めていかなければいけないだろう。

 日本企業に次に求められるのは、韓国勢や台湾勢との直接的な競争を避けられるような分野への展開である。省エネ、環境、医療などの分野は国内でも大きな 市場が残っており、日本のエレクトロニクス業界の技術を生かすことができるはずだ。

 既存の分野での技術向上にとらわれることなく、他社との違いを発揮できる新たな分野に取り組むことが必要になる。

日本の企業が積極的に海外展開を加速化する番だ
 そして最後に、日本企業にもサムソンなどにチャレンジする気概をもってもらいたいものだ。

 日本の国内での生産コストが高いのであれば、もっと積極的に海外への展開を進め、海外の安い生産コストを積極的に活用する必要がある。韓国企業がここま での地位を築いてきたのは、積極的に海外展開を進めてきたことが大きい。アジア通貨危機を受けて、韓国企業は海外展開を進めていかざるをえなかった。

 今度は日本企業の番だ。今の危機を乗り越えるため、日本の企業が積極的に海外展開を加速化する番である。

2.上限額2100億円と人口カバー率は4社差なし、900MHz帯申請概要を総務 省が公表(2.10 nikkeibp)
 総務省は2012年2月10日、4社から申請のあった900MHz帯の割り当て申請「3.9世代移動通信システムの普及のための特定基地局の開設計画に 係る認定申請」について、移行費用負担可能額とLTEの人口カバー率など、各社が申請した数値を公表した。いずれも審査基準に照らすと差はない。その他の 基準である「周波数の割り当て状況やひっ迫状況」「周波数移行促進の体制」「MVNO促進の体制」という項目で審査されることになる。

 なお移行費用負担可能額はNTTドコモ、KDDIが2100億円、ソフトバンクモバイルは2122億5000万円、イー・アクセスは2109億400万 円となっている。2100億円以上は同値とみなす総務省の方針により、差は付いていない。LTEの人口カバー率は2018年度末の数値を比較するが、 NTTドコモ98.0%、KDDI98.2%、ソフトバンクモバイル99.9%、イー・アクセス99.4%であり、いずれも95%を超えて100%までの 5%幅に含まれるため、こちらも差は付かない。

3.“シリコンバレー流”ならどう考える?エバーノートのクリエイターとの一問一答 (2.9 nikkeibp)
 2月3日にデジタルガレージで開催された、米エバーノートのゲイブ・キャンポドニーコ氏によるトークセッション。テーマは、“シリコンバレー流”のユー ザーインタフェース(UI)やユーザー体験(UX)、企業ブランドの構築だった。

デザインプロセス
モノ作りをしているときに没頭して視野が狭くなってしまうことがある。そのようなとき、作品を客観的にみるには、どうすればよいか?
 “少し下がってみる”ことだ。近くで見たときに気付かなかったいろいろなことに気が付く。もう一つは、外部の人に見せること。自分たちでは考えていな かったものを教えてくれる。

企業ロゴを選ぶプロセスを詳しく教えてほしい。インタビューしたのか。それともアンケートをとったのか?
 二つの段階があった。最初は、自分でできるだけアイデアを出して、自分で絞り込んでみた。次の段階では、最終決定する社内のチームに見せて決めた。社内 で決めるのは外部の組織の意見を聞くよりも難しいことがあるが、多くの意見があるとよくないと考えた。社内で決めるリスクはあるが、より良いものができる と思っている。
講演ではロゴ作成の際に「流行は追わないように」という話があった。長く残るロゴを作るときにどのようなことを考えたか?


アイデアを考える段階で数を出すとの説明があったが、アイデアの質も高めていくことに葛藤を感じる。どちらに重点を置いているか?
 プロジェクトの段階によって違うが、まずは数を重要視する。悪いアイデアがあったとしても、それから別のいいアイデアが出てくる。数を出せば、直観的に いいものに飛んで行けるようになる。その段階になるまでに数を出していくことが必要だ。


チームワーク
デザイナーによってセンスが異なることがある。意見がぶつかったときはどうしているか?
 誰かが決める役割を担うことだ。同じボートに乗って、別の方向にこぐと動かないのと同じ。これまで働いてきたところでは、決める人がはっきりしていた。 その人が結論を下すまでは、たくさんの素晴らしいディスカッションが行われた。

デザイナーとして
デザイナーとしてこれまで難しかったことは何か。店舗のデザインか、パッケージか、それとも別の特定のプロジェクトか?
 自分の場合、同じことを何度も繰り返しやるのが難しい。Webデザインをやってきたときには、それがルーチン(型にはまった仕事)になっていた。ルーチ ンとなった仕事は安全で成功はするが、「この仕事はルーチンだ」と感じるとクリエイティビティーがなくなってくる。分野を変えることで、自分の中でクリエ イティブを刺激していく。常に新しいことから学ぶ姿勢が重要だと考えている。


大企業と小さい企業で働くのでは、何がどう違うのか?
 自分自身の経験で言えば、大きい企業向けの仕事をしたときの多くは、10人くらいの小さな代理店で仕事をしていた。アップルのときもデザインチームの一 員だったので、小さいチームの1メンバーとして仕事をした。このような経緯なので、大きな企業で働いた経験はないと言える。

4.NECがスマホ/タブレット端末の管理サービス、第1号ユーザーは出光興産 (2.8 nikkeibp)
  NECは2012年2月8日、Androidを搭載したスマートフォンやタブレット端末を遠隔から管理するサービスを開始した。「スマート デバイス管理サービス」という名称で、管理システムをサービスとして提供する。すでに出光興産が利用することを決定した。

 スマートデバイス管理サービスを利用する企業のIT担当者は、NECのデータセンターに設置したMDM(モバイルデバイス管理)サーバーにアクセスし、 従業員などが所有するAndroid端末を遠隔から管理する。具体的には、遠隔ロックや遠隔ワイプ(データ消去)、端末設定の変更、アプリケーション配信 などが可能である。

 端末は、ユーザー単位、グループ単位で異なるポリシーを使って管理できる。また、オプションとしてウイルス対策機能も提供する。端末管理業務に不慣れな 企業向けに、24時間365日対応のサービスデスクも用意する。

 第1号ユーザーである出光興産は、NECカシオモバイルコミュニケーションズ製のAndroid端末「MEDIAS WP」を導入し、その管理に同サービスを利用する。無線LAN通信機能やカメラ機能の制限、SDカード内データの暗号化などを実施している。

 管理可能な機種は、Android 2.2以上を搭載したスマートフォンやタブレット端末。初期費用は30万円で、サービス利用料金は1ユーザーID当たり月額300円(300ユーザーID を契約した場合)である。オプションであるウイルス対策機能は月額200円(300ユーザーの場合)。NECは今後3年間で100社への提供を目指す。


5.Facebookユーザーの7割以上は「受動的」(2.8 nikkeibp)
 伝統的メディアを特徴づけるのは「受動性」であり、柔らかなソファにもたれてテレビを観るとか、自動車を運転しながらぼんやりとラジオを聴くといったも のだとされている。一握りの制作者によるコンテンツが絶え間なく与えられ、それを消費する世界だ。

そして、オンライン上のソーシャルな世界も、リアルな世界とそれほど違わないようだ。

例えば、米国の調査機関Pew Research Centerが最近実施した調査によると、平均的な『Facebook』ユーザーは、自分から友人のネットワークに向けて発信するより、ネットワークから 情報を受け取るほうが多いことが明らかになっている。Facebookが「売り」にしているもののほとんど――「いいね」のコメント、友達承認のリクエス ト、リンク共有など――を利用する人は少数派であり、使っていない人が多い。「シェア」の大部分は、Facebookユーザー全体のわずか20〜30%が しているに過ぎない。

この調査は、こうしたいわゆる「パワー・ユーザー」たちがいるおかげで、大多数のFacebookユーザーは、自分が貢献する以上の情報を得ているという ことを示唆している。

同調査によれば、Facebookユーザーは1カ月に約20回、人から「いいね」というコメントを受け取っているが、人に対して「いいね」のコメントをす ることは月に14回しかない。さらに、自分で写真にタグを付けるより、パワー・ユーザーによって付けられることのほうが多いし、自分から友人を招待するよ り友人からの招待を受け取ることのほうが多い。

一方で、同調査によるとユーザーのエンゲージメント(愛着感)は、Facebookに参加してからの時間の長さに応じてのみ高まるという。さらにその数値 は、その人が持っている友人の数と比例して増える。つまり、自分から情報を発信するよりも、受動的に情報を受け取っていることのほうが多いとしても、われ われはFacebookというプラットフォームとのやりとりを、時間をかけて積み上げていることに変わりはない。



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