週間情報通信ニュースインデックスno.838 2011/12/24

1.Amazonクラウドサービスの障害対策を効率化、サーバーワークスが 新サービス(12.22 nikkeibp)
 サーバーワークスは2011年12月22日、Amazon Web Services(AWS)のクラウドサービスを効率的に管理するためのサービス「Cloudworks」について、有償版の提供を始めると発表した。有 償版では、災害対策のため仮想マシンを異なる地域(リージョン)にコピーするサービスでWindows OSを扱えるようにし、ストレージのスナップショットを世代別に管理できるようにする。

 Cloudworksは、日本語のユーザーインタフェースで、AWSの仮想マシン(EC2)の起動や停止を自動化したり、カスタマイズ済みの仮想マシン を地域(リージョン)間でコピーしたりできるサービス。AWSのサービスは地域ごとに区切られていて、特定の地域で起こった障害が別の地域には波及しずら い仕組みになっている。仮想マシンを別の地域のコピーしておき、特定地域で障害が発生したときには別の地域でサービス提供を継続できる。 Cloudworksは、この仮想マシンを地域間でコピーする機能があり、無償版でサポートするのはLinuxだけだったが、有償版ではWindowsも 扱えるようにする。

 他にCloudworksは、ストレージ(EBS)の障害対策として、そのスナップショットを別の地域にコピーする機能があるが、有償版ではその世代管 理を可能にする。最大50世代までコピーを保持でき、古いものは自動的に消去して課金を抑えられる。コピーできるサイズも無償版では4Gバイトまでだが、 有償版では最大300Gバイトまで対応する。さらに有償版では、AWSの複数アカウントをまとめて管理する機能も付加した。

 料金は月額4万8000円から。AWSのサービス料金はドル建てだが、円建てで支払いを代行するサービスも同時に開始する。この代行サービスを利用する 場合、Cloudworksの有償サービス(ビジネスプラン)は無償で利用できる。

2.NEC、NetBackupと重複排除ストレージを連携させて差分合成を高速化 (12.22 nikkeibp)
 NECは2011年12月21日、データバックアップを効率化するシステム製品「スマートバックアップソリューション」を発表した。NECのバックアッ プ用NASストレージ「iStorage HSシリーズ(HYDRAStor)」(写真)と、シマンテックのバックアップソフト「Symantec NetBackup」を組み合わせ、リストア時間を短縮できるようにした。12月28日に出荷する。価格は450万円(税別)から。
 増分(または差分)バックアップのイメージからフルバックアップのイメージを再構成する作業を、ストレージの内部で高速に実行できるようにした。このた めの仕掛けとして、バックアップソフト(NetBackup)が動作するバックアップサーバーからストレージ(iStorage HS)を遠隔制御できるようにした。なお、バックアップサーバー上で動作する遠隔制御モジュールとNetBackupは、NetBackupが用意してい る連携API(OST)経由で連携する。

3.続報]spモード障害、なぜ処理能力オーバーで「メールアドレスの置き換え」が 起きたのか(12.22 nikkeibp)
 2011年12月20日に発生したNTTドコモのspモード障害(関連記事)。一部のサーバーが処理能力不足に陥ったことが、なぜ「自分のメールアドレ スが他人のものに置き換わる」という通信の秘密にかかわる事故に発展したのか。大きな理由の1つは、メールアドレスが端末固有のIDでなく、端末に振り出 されたIPアドレスとひも付いていた点にある。

 Android OS端末がいったん3G網に接続したら、3G網から切断しない限り、端末のIPアドレスは変わらない。端末を再起動したり、あるいは3G網からWiFi網 に切り替えたりしない限り、IPアドレスが再度割り振られることはない。家庭の固定網に接続したパソコンに近い仕様といえる。

 この仕組みによって、Android OSにおけるIPアドレスは、一時的には端末を識別するIDとして使える。NTTドコモのspモードシステムの場合、3G網に接続して電話番号とIPアド レスをひも付けた後は、パケットのヘッダーにあるIPアドレスを使い、パケットを送信したAndroid端末を識別していた。NTTドコモはこの件につい て「spモードシステムはIP網の中で動いており、パケットのIPアドレスとユーザーをひも付けるのは自然の発想だった」としている。当然、iモードメー ルのメールアドレスも、最終的にはIPアドレスとひも付けられている。

 ただしIPアドレスは、電話番号とは異なり、必ずしもユーザーに対して一意ではない。Aの端末に振り出されるIPアドレスが、A端末が圏外になって数分 後にはBの端末に振り出される、といった事態は十分にあり得る。spモードシステムの場合、IPアドレスと電話番号のひも付けが全サーバーで確実に行われ たかを検証するプロセスがなかった。このため、一部のサーバーで過負荷など支障が生じると、各サーバーが持つIPアドレスと電話番号の対応表に食い違いが 発生し、「A端末からのパケットが、B端末から送信されたものと解釈される」という事態が起きてしまう。

4.ドコモ、au、イー・モバイルでのテザリング速度を実測! 東名阪の駅・空港・商業地・住宅地で徹底検証(12.22 nikkeibp)
 日経パソコン編集部では12月3〜7日、NTTドコモ、KDDI(au)、イー・アクセス(イー・モバイル)の3社の最新スマートフォンを用いて、関東 (東京、千葉、茨城)、愛知、関西(京都、大阪、兵庫)の計29カ所で、テザリングで接続したときの速度を計測した。時間帯を変えて複数回測定した場所も ある。使用したのは、NTTドコモの「GALAXY S II LTE SC-03D」(韓国サムスン電子製)、KDDIの「DIGNO ISW11K」(京セラ製)、イー・アクセスの「GS02」(中国ファーウェイ製)だ。規格上の下り速度は、NTTドコモのXiが最大37.5Mbps、 KDDIのWiMAXが40Mbps、イー・アクセスのHSDPAが14.4Mbpsになる。今回は、29カ所で計34回測定した実測値を公開。測定値の 大まかな傾向については、日経パソコンの12月26日号でも紹介する。

 今回の測定では、Windows 7搭載のノートパソコンで、それぞれのスマートフォンのテザリング機能を使ってインターネットに接続し、速度計測サイト「Radish Networkspeed Testing」で速度を計測した。5回測定し、最大値と最小値を除いた3回分の平均を採用している。測定した場所を「駅」「空港」「商業地」「住宅地・ 郊外」に分け、詳細データを以下に掲載した。

駅:Xiが好成績、イー・モバイルも安定した結果

 今回は、新幹線を含むJRの7駅と、私鉄と地下鉄の駅を1カ所ずつ測定した。場所や時間を変えて複数回測定した駅もあり、測定回数は計13回。平均を取 ると、下り速度はNTTドコモが4.62Mbps、イー・アクセスが3.07Mbps、KDDIが2.17Mbpsの順。上り速度は、KDDIが 2.76Mbps、NTTドコモが1.37Mbps、イー・アクセスが0.97Mbpsという順になった。

 新幹線の駅では、プラットホームとは別のフロアにある待合室でも測定した。名古屋、京都、新大阪と今回測定した待合室では全て電源が利用でき、座って使 えるため長時間の利用も可能。待合室は屋内でもXiが問題なく入り、屋外であるホームと遜色ない結果が出た。名古屋駅では、屋外の2倍以上である 10.25Mbpsを待合室でたたき出した。逆にWiMAXは、新大阪や名古屋の待合室で電波が弱く、速度も1Mbps前後とふるわなかった。このため、 平均の下り速度では3社の中で最も遅い結果になった。イー・モバイルは、全ての測定箇所で下り1Mbpsを超えるなど安定していた。

5.今こそ必要な「デジタル読解力」、求められるのは「批判的読解」(12.20  nikkeibp)
“理解”ではなく“解釈”の必要性
 「デジタル読解力」は、経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)のオプションとして2009年に初めて調査が実施されたことで、注目 を浴びているキーワード。インターネットやコンピューター上でアクセスできるようなデジタルテキストの読解力を指す。実際にPISAでは、Webページの 内容把握、メールの送受信、掲示板への書き込みなどの知識や技能を基にした読解力が調べられている。調査自体もコンピューターを使って行われる。

 PISA型の読解力について研究している有元氏によると、デジタル読解力で求められるのは、「批判的読解(critical reading)」だという。すなわち、書いてあることを文字通り読んで理解するだけでなく、そこに書かれていないことを推測し、創造的、主体的に活動す る能力が求められている。

 例えばPISAでは、ボランティアに興味を持つ少女のブログがテキストとして提示された上で、別のWebサイトで少女に適したボランティアの募集を探し て、その理由も示しながら、少女にメールで教える、といった課題が出される。すなわち、Webの雑多な情報の中から必要な情報を探し出し、また情報の適正 さを判断して、簡潔なメッセージを作り相手に伝えるという、実践的な能力が問われる。さらに「少女がこのブログを書いた目的は何だと思いますか? といった問題が出る。こんなことを日本の国語の教師は一度も質問したことがないだろう。しかし、欧米ではごく普通に考えることだ」(有元氏)。

 「書いてあることを文字通りに読むだけでは“理解”にとどまる。書いてあることを基にして、書いてないことを推測することが“解釈”。解釈には幅があ り、ここに自分の個性が出せる。受け身だった人間が主体的になる。ここまで踏み込むのが、今の教育でやらねばならないことだ」(有元氏)。

なぜ「デジタル読解力」なのか?

 このような有元氏と野中氏の主張を聞くと、デジタル読解力といっても、そこには批判的思考力、判断力、コミュニケーション力、表現力といった、アナログ でも同様に必要となる能力が問われ、「デジタルだから」という要素は少ないように思われる。そこで講演後に行われたパネルディスカッションでは、「なぜ 今、デジタル読解力なのか」という質問が改めて提出された。

 これに対し有元氏は「要するにメディアが変わっていくということ。中国で竹簡に文字を書いていた時代から、あるとき紙が発明されたように、いろいろな機 能を備えたデジタルが出てきた。だったらそれを使うのは当然のことだ」と説明。「ただし、先生方は忙しすぎて対応できていない。教科書がデジタル化される ときには、どんなにパソコンのスキルがない先生でも使えるような教科書を作らなければならない」と主張した。



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