週間情報通信ニュースインデックスno.830 2011/10/22

1.ジョブズ氏の強烈な思い出、アップルの今後とるべき道(10.17  nikkeibp)
大前研一
 米アップルの前最高経営責任者(CEO)、スティーブ・ジョブズ氏が10日5日に亡くなった。
 彼の訃報に際して、永年のライバルであり盟友でもあった米マイクロソフト会長のビル・ゲイツ氏が「寂しくなる」と弔意を述べ、オバマ大統領も「最も偉大 なイノベーターの一人だった」という追悼の言葉を発表した。私企業の元トップの死に対して、米大統領がコメントするのはあまり例がない。改めて、世界は 「偉大な人物」を失ったことを実感できよう。

 まずは下のグラフを見てほしい。アップルとエクソンモービルの時価総額の推移だ。
 2010年5月以降に両社の時価総額は接近し、今年8月9日には、ついにアップルがエクソンモービルを抜いて名実ともに「世界一価値のある企業」になっ た。1990年代半ばには業績が悪化し、身売り説もささやかれたことを思えば、その成長ぶりには驚くべきものがある。

早過ぎる死だが、満足して旅立ったと思いたい
 56歳という早過ぎる死は惜しまれる。しかし、ジョブズ氏はアップルの驚異的な回復と成長を実現したうえに、自ら予告していたように「その日が来た」と してCEOを今年8月に潔く退任していただけに、彼としては満足して旅立ったのだろうと私は思いたい。

 ジョブズ氏が亡くなる前日に「iPhone 4S」が発表されたが、この「4S」の意味を"for Steve"(スティーブに捧ぐ)と受け取った人も少なくないだろう。予約受付から24時間で100万台のオーダーがあったと米アップルは発表しており、 10月14日に世界各地で発売された。ジョブズ氏による最後の「実り」の一つとも言えるiPhone 4Sは世界で熱狂的に受け入れられたのだ。

 1976年の「Apple I」に始まり、高度に洗練されたiPhone/iPadに至るまで、「よくもまあ」と感心するくらい多種多様な製品を出している。
 しばしば「コンピューターを初めてパーソナルなものにした」と称されるアップルだが、実はパソコン分野ではさほど大きな成功を収めているわけではない。 これは、他社のモノマネすることを嫌い、独創的な製品づくりを求めつづけたジョブズ氏の完璧主義によるところが大きい。

テレビ討論番組でジョブズ氏と同席したときの思い出
 私は1989年、米ウォールストリート・ジャーナル紙の100周年記念で行われた米PBS制作のテレビ番組「フューチャー・フォーラム」にジョブズ氏、 フランスの元大統領ジスカールデスタン氏ら数名と一緒に出演したが、そのときジョブズ氏の強烈な個性を肌で感じとった。

 当時、アップルを追い出されて自らつくった「Next」の会長職にあったジョブズ氏の発言は次のようなものだった。
 「石油会社を例にとると、これまで最も重要なマネジャーとされるのは石油の掘削技術を持ったベテランの社員だった。しかしこれからは、地質学とコン ピューター・サイエンスを学んで博士号をもち、人工衛星で撮影した写真を分析して掘削場所を見つけられる大学出たての若者が重要になるかもしれない。つま り、従来の上下関係は逆さまになるのだ」

 古い価値観が何の役に立つのか、俺は自分の信じる道を進む――というジョブズ氏の気質は昔から一貫していたことがうかがえる。
 彼は「自分の人生で最も重要ないくつかの経験のひとつだ」と若い頃ロンドンでLSDに浸っていたときのことを語っている。彼がウォズニアック共同創業者 と共に一緒につくった最初の作品はパソコンではなく長距離電話をハッキングして無料でかけられる装置であったが、それを使ってアメリカ要人になりすまして ローマ法王に電話した、などの破天荒な逸話が数多く残っている。

 「自分の信じる道を進む」というあたりはビル・ゲイツ氏とは大きく異なる。ゲイツ氏は老獪と言うべきか、「良いものならマネしてしまえ」とばかりに他社 の技術を次々と取り込み、1990年代以降はアップルをはるかに引き離してコンピューター業界の覇者となった。

ジョブズ氏の完璧主義が大きくプラスに働いた
 その流れが変わってきたのは2001年のiPod発売あたりからだ。ご承知の通り、iPodは「iTunesありき」のプロダクトであった。魅力的な ハードウエアを用意したうえで、さらにその利便性を高めるソフトウエアを提供していく――。

 このようにソフトウエアから、あるいはOSから各種サービスを興してユーザーを獲得していったことこそがアップル成長の原動力になった。その意味では、 ジョブズ氏の完璧主義は、結果的にアップルにとって大きくプラスに働いたと言える。

 
 話は少々横道にそれるが、「ジョブズ氏追悼ロゴ」を見ていただこう。香港の現役大学生によるデザインで、世界的に話題になっている(白黒を逆転したモノ を数年前に発表していたと自称する英国人デザイナーがこれを「盗作」、と主張している)。

 一見しておわかりの通り、例のリンゴのかじられた部分がジョブズ氏の横顔のシルエットになっている。「よく考えたものだ」と感心するこのデザイン、実は 早くもTシャツやバッジなどにプリントされ販売されているとも聞く。

 著作権上は微妙なところもあるが、この追悼ロゴが人気を集めるのは、それだけこの(シルエットだけでジョブズ氏とわかる)デザインが秀逸だったこと、 ジョブズ氏の死を悼む人がそれだけ多くいることの証左だと言えるだろう。

アップルを中心に泥沼の訴訟合戦
 日本ではiPhone人気の高さゆえに、どうしても「アップル VS サムスン」という構図で見てしまいがちである。しかし、スマートフォンをめぐる特許紛争は、iOS、Andoroid(アンドロイド)、Windows Phone(ウィンドウズフォン)が三つどもえの形になって訴訟合戦を繰り広げている。下にその大まかな構図を示す。

 
iOSのライセンス供与、SIMフリー化は可能か
 アップルが今後とるべき道は、iOSを積極的に外部にライセンス提供して、業界全体の活性化を促すことだろう。

 もう一つの流れはSIMフリーにして通信業者に対する縛りを外し、ユーザーが自由に自分の好む電話会社を選べるようにすることである。次の 「iPhone 5」では基本的にそうなっているという情報もあるが、例えばドコモでiPhoneが使えるようになるのかどうかに関しては情報が錯綜していて今のところ判 断できない。

 もちろんジョブズ氏は最後までOSとSIMフリーを許さなかったわけだが、しかしその方針でアップルがいつまでも成長を維持できるかと言えば、それは 「疑問」である。ジョブズ氏亡きいま、クローズドな文化という「魔法」は解けつつあると見たい。

 9月7日付の本連載でも述べたが、アップルが「OSからハードウエア、通信業者までをすべてバンドルした製品を売る」という従来路線の見直しを問われる のは、そう遠い先の話ではないだろう。

2.1200億円以上の負担、LTE導入・・・」総務省が900MHz帯の割り当て 審査基準を公表(10.21 nikkeibp)
 総務省は2011年10月21日、2012年7月から新たに利用可能な900MHz帯の割り当て審査基準「3.9世代移動通信システムの普及のための特 定基地局の開設に関する指針案(開設指針案)」を公表した。この中の割り当て対象の周波数幅は900MHz帯の上り下り各15MHz幅で、割り当てられる 事業者は1社になる。LTE人口カバー率や移行費用負担額、割り当てられている周波数帯の差異、割り当てられている周波数幅に対する契約者数の割合など が、主な審査基準になった。

 人口カバー率は周波数が割り当てられた日から4年後の年度末までに50%、7年後の年度末までに80%を満たすことが必須条件になっている。さらに7年 後の年度末までにLTEサービスを開始していることも必須になっている。LTEサービスにおける人口カバー率は審査基準に入っており、率の値が大きい方が 有利になる。率は0%、5%、10%など5%刻みで申請する。

 MCAおよびICタグ(RFID)の移行費用負担額については、1200億円以上の負担が可能なことが必須になっている。また、負担可能な金額の多寡が 審査基準になった。ただし2100億円以上の値は同等と見なすとしている。

3.Apple社の世界携帯シェアは5%:その意味(WIRED.jp)(10. 21 nikkeibp)
  『iPhone 4S』は、発売後3日間で販売台数が400万台を突破した(日本語版記事)。今まで最高に売れたガジェットの記録は、『Xbox Kinect』が2カ月で打ち立てた1,000万台だが、その約半分を3日間で達成したことになる。

 SIMロックを解除した、『iPhone 4S』の基本モデルの販売価格は650ドル。『Asymco』のホレイス・デディウによると、(契約付きで)199ドルという価格で販売されているモデル によって米Apple社が得る売り上げもその程度だと思われる。したがって、400万台に650ドルをかけると、売り上げは26億ドルになる。400万台 のうちの少なくとも一部は、価格の高い32GBか64GBのモデルになるため、売り上げはおそらく30億ドル近くになるだろう。

これは、米Google社が1年間に稼ぐモバイル関連の売り上げを超える額を、Apple社が1回の週末で稼いだことを意味する。しかもこの中には、 『iPhone 4』や『iPhone 3GS』、ケースや『AppleCare+』といった、iPhoneに夢中になっている人々にApple社がこの週末に販売できたその他のあらゆるものは 含まれていない。

さらに、今回の400万台というのは、米国、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イギリス、日本という7カ国での数字だ。10月28日(米国時 間)には、ヨーロッパの残りのほとんどの国々に加えて、メキシコとシンガポールなど22カ国で販売が開始される。目標は、年末までにiPhone 4Sを70カ国以上で販売することだ。Apple社が新たに400万台のiPhone 4Sを販売し、Xbox Kinectが2カ月で打ち立てた記録をさらに短い期間で突破するのに何ら問題はないだろう。

ただし、[インドや中国等を含め、]世界の多くの国では携帯通信会社による契約補助が無く、顧客たちは4Sに対して、199ドルではなく650ドルを払う ことになる。
Apple社のティム・クック最高経営責任者(CEO)は4日のイベントで、Apple社が現在、巨大な世界の携帯電話市場のわずか5%しか占めていない ことを明らかにした。

急激に拡大する携帯電話市場において、Apple社が(これまでと同様に)そのハイエンド部分を獲得できたとしても、現状ではその成長には限度がある。新 興市場に悪影響を与え始めている厳しい世界経済の中では特にそうだ。世界市場はApple社にとって課題であり、大きなチャンスでもある。

低価格の携帯電話には巨大な需要がある。世界における携帯登録台数の平均は100人あたり60.8件だが、南アフリカ共和国では92.2件にのぼる。アル ジェリアでは92.7件、チュニジアでは83.3件だ。こうした国では、モバイル・データ・インフラは十分とはいえないが、携帯が通信だけでなくパソコン 代わりとしても利用されている。[銀行口座を持たない携帯電話ユーザーを対象とした送金サービスが、途上国各国で利用されている(日本語版記事)]

こうした国では携帯価格が低いことが重要なので、『Android OS』が多用されている(ただし、Androidのフラグメンテーションも、ハード・ソフトとも非常に大きくなっている)。

Apple社やGoogle社は現在、以前に米Microsoft社がパソコンで成功したことを目標にしている。製品を売るのではなく、ガジェットやサー ビスを売るのでもなく、プラットフォーム全体を売るということだ。それには、統合とリーチ、内部での一貫性と社外との提携が必要になる。これを実行するの は非常に難しい。おそらく、成功した例は、Wintel時代のMicrosoft社だけだ。

Microsoft社は現在、携帯電話の分野においては、フィンランドNokia社や韓国Samsung社などと提携し、あらゆるものを『Mango』で 実行できる幅広い価格帯の携帯電話を販売することによって、Apple社とAndroidとの間に入ってこようとしている(日本語版記事)。

一方、Google社は、世界市場におけるフラグメンテーションを少しでも統御しようとしており、Androidプラットフォームをもう少しコントロール し、その特性を失うことなく標準化しようとしているが、オープンソースの方針をとっている以上は難しい課題だ。

そしてApple社は今回、(米国では電話会社によってロックされているとはいえ)純粋にグローバルなCDMA/GSM対応携帯電話で、価格が違う3種類 のスマートフォン・プラットフォームを中心に据えたことになる。クックCEOは、今月終わりに控えている世界販売とその後を注視しているのだ。

4.初のAndroid 4.0機「GALAXY NEXUS」をGoogleとSamsung発表、日本ではドコモから(10.19 nikkeibp)
 米Googleと韓国Samsung Electronicsは2011年10月19日、香港で開催したイベントで、最新Android OS 4.0(開発コードIce Cream Sandwich)を初めて搭載したスマートフォン「GALAXY NEXUS」を発表した。2011年11月に世界各市場で出荷、日本ではNTTドコモから11月に発売される。

 GALAXY NEXUSは、4.65インチのSUPER HD AMOLEDと呼ぶディスプレイを備え、解像度は1280☓720。画面下部に、ボタンにもなるサブディスプレイも備える。側面から見るとわずかに円弧の ようなカーブを描いているのが特徴。動作周波数1.2GHzのデュアルコアCPUを搭載し、5Mピクセルのカメラを備える。NFC (Near Field Communication、近距離無線通信)にも対応する。
 Android OS 4.0は、スマートフォン向けの2.X系列とタブレット向け3.X系列を統合したOS。機能面では、アプリケーションをグループ化したフォルダや、画面の キャプチャ機能、音声認識による文字入力機能、画像編集機能などを備える。また顔認識によるロック解除機能も搭載する。

 Android Beamは、NFC対応のAndroid搭載機同士で情報を交換できる機能だ。連絡先や好みのアプリ、音楽やビデオなどの情報を、メニューを開いたりアプ リを起動したりすることなく、Android搭載機同士を近づけるだけで交換できるという。

5.HPとCisco、DC向けサーバーのネットワーク製品で協業(10.17  nikkeibp)
 米Hewlett-Packard(HP)は米国時間2011年10月14日、データセンター向けサーバーのネットワーク製品に関する米Cisco Systemsとの協業を発表した。HPブレードサーバー用のネットワークスイッチを共同設計し、両社共通の顧客がデータセンター関連の投資を最大限に高 められるようにする。

 具体的には、HPのブレードシステム「c-Class BladeSystem」用のネットワークモジュールとして、Ciscoが「Cisco Fabric Extender(FEX) for HP BladeSystem」を提供する。c-Class BladeSystemは、ブレード、ケーブル、電源変換モジュールを含め、データセンターに必要なコンポーネントを組み合わせて提供するシステム。 Cisco FEX for HP BladeSystemによって、c-Class BladeSystemとCiscoのネットワークスイッチ環境が緊密に連携し、いっそうの投資の効率化を実現できるという。

 Cisco FEX for HP BladeSystemでは、1Gビットと10Gビットのイーサネットを柔軟に選択することが可能。ミッションクリティカルなアプリケーションを稼働させ る上で重要なネットワークバンド幅が向上するほか、管理デバイスをまとめることでIT管理者の手間を削減することができる。すでにHPまたは認定パート ナーから購入可能。価格は9799ドルから。




 ホームページへ