週間情報通信ニュースインデックスno.829 2011/10/15

1.[ITpro EXPO 2011]「ソーシャルが組織を一変させる」---ITproの根本副編集長(10.14 nikkeibp)
 東京ビッグサイトで開催中の「ITpro EXPO 2011」展示会場内のメインシアターで10月14日、ITproの根本浩之副編集長が「名物記者のトレンド解説」に登壇。「企業ビジネスに活かすエン タープライズ・ソーシャル」と題して講演した(写真)。ソーシャルメディアとは、社会的なつながりをITネットワーク上で実現したもの。Facebook やTwitterが有名だが、広義にはコメント機能を持つブログなども含む。

 根本副編集長はまず、米国におけるソーシャルの爆発的な普及状況を紹介。米調査会社Nielsenによると、米国では5月時点でFacebookのユ ニークユーザー数が他のWebサイトを押さえて圧倒的に多くなっている。Googleで検索して求める情報にたどり着く行動様式から、Facebookの 上で情報をやり取りする行動様式に移りつつあるわけだ。「かつてはテレビCMでも自社のWebサイトのURLを紹介していたが、今はFacebookペー ジに誘導するようになっている。今後は“インターネット=ソーシャルメディア”になっていくだろう」(根本副編集長)。

 背景にはスマートフォンの普及がある。スマートフォンを使うと、誰でも気軽にその場でリアルタイムに情報を発信できる。発信する先はTwitterや Facebookのようなソーシャル。ある調査によれば、米国ではソーシャルのユーザーの約4割がモバイルからアクセスしているという。

 さらにスマートフォンの側も、ソーシャルの普及を前提とした進化を遂げつつある。例えば日本でも8月に発売されたWindows Phoneは、Facebookに登録されている情報からアドレス帳を作成する機能を持つ。「自分で友人たちのアドレス帳をメンテナンスしなくても、ソー シャル上でその友人がメールアドレスや電話番号などの情報を更新すると、自分のWindows Phone上にあるアドレス帳も自動的に更新される」(根本副編集長)。

 この流れはスマートフォンにとどまらない。マイクロソフトが来年にもリリースするWindows 8にも同様の機能が盛り込まれる予定だという。ごく近い将来、パソコンやタブレットも含め、ほとんどのクライアント端末がソーシャルを前提に開発され、使 われるようになるわけだ。

 こうした流れを受け、これまで個人が中心だったソーシャルに企業も高い関心を示している。根本副編集長はトヨタ自動車やトップツアーによるソーシャル利 用の先進事例を紹介しつつ、ソーシャルの利用は単にツールが一つ増えるというにとどまらず、組織のあり方を一変させるほどのインパクトを持つことを強調し た。「情報が爆発的に増えている今、これまでのようなトップダウンの組織ではもう追いつかない」(根本副編集長)。現場や顧客同士で膨大な情報をやり取り し、現場が変革を引っ張っていくネットワーク型の組織への移行を迫るのである。

 ソーシャルの世界では、開発者は生き生きしており、ユーザーもどんどん情報を発信する。「特に若者が、ソーシャルの世界では元気だ。ソーシャルの活用は 若い力を生かすことにもつながる」と訴えて、講演を締めくくった。

2.[ITpro EXPO 2011]トレンドマイクロが法人向けスマホセキュリティを展示(10.14 nikkeibp)
  トレンドマイクロは、2011年10月14日まで東京ビッグサイトで開催中の「ITpro EXPO 2011」展示会において、法人向けスマートフォン・セキュリティ・ソリューション「Trend Micro Mobile Security」を動態展示している。端末のリモートロック機能と、端末の位置情報を管理者PCの地図上にマッピングする機能をデモで見られる(写真 1)。

 Trend Micro Mobile Securityは、端末向けのソフトウエアと管理サーバーで構成する。対応するOSはAndroid 2.1以上とWindows Mobile 5.0、同 6.0〜6.5。個人向けの「ウイルスバスター モバイル for Android」の機能に加え、端末機能の無効化やデータセキュリティポリシーの適用といった大量の端末を管理するための機能を搭載する。

3.[ITpro EXPO 2011]モトローラ・ソリューションズの業務用Androidタブレット「ET1」が国内初お目見え(10.14 nikkeibp)
 2011年10月14日まで開催中のITpro EXPO 2011で、モトローラ・ソリューションズはAndroid搭載の業務用タブレットコンピュータ「ET1」を展示中だ。「Android搭載の業務用タブ レット端末としてはおそらく国内初めての製品」(モトローラソ・ソリューションズ)。米国で10月10日に発表し、日本国内では12年第1四半期に出荷開 始予定だが、モックアップながら一足早く展示している。

 ET1は、タッチパネルやWi-Fi対応といったタブレット端末としての基本的機能のほか、USBコネクタで着脱可能なバーコードリーダーや、稼働させ ながら交換可能なバッテリ、片手で持ちながら作業できるようにするハンドストラップなど、業務用端末としてのハードウエアも用意する。

 また、複数のユーザーが利用することを想定して、ログインしたユーザーに応じて表示するメニューや利用できるアプリケーションを変えるといった、業務用 ならではの機能も備える。
 ET1は7インチディスプレイを備え、重さは630g。価格は10万円台前半になる見込みという。

4.[ITpro EXPO 2011]ネットワーク応用技術研究所が独自のWAN最適化を施したバックアップサービスを展示(10.14 nikkeibp)
 「ITpro EXPO 2011」展示会のネットワーク応用技術研究所のブースでは、企業内のデータを遠隔地にあるデータセンターにバックアップするためのサービス 「NetworkDoctor バックアップストレージサービス」を展示している。

 同サービスは、独自に工夫を凝らしたというWAN最適化技術を搭載した専用の中継サーバー機を使い、「東京などから北九州にあるデータセンターに対して 1時間当たり30Gバイトを転送可能」(ネットワーク応用技術研究所の富永浩之部長)という高速な転送を実現している点に特徴がある。実際に、会場では大 容量のデータを高速に転送できる様子をデモしている。

 一般的なWAN最適化技術は、幅広いプロトコル/アプリケーションを対象とし、キャッシュ技術などを組み合わせることで高速化を図っている。それに対し て同サービスが搭載するWAN最適化技術は、巨大なファイルを遠隔地に高速転送することだけにフォーカスを当ててチューニングしている点に特色がある。 「実データをいかに早く遠隔地のディスク上にコピーできるかが重要なので、例えばデータを途中でキャッシュして見かけの応答性を高めるような仕組みは不要 となる」(富永部長)。

5.[ITpro EXPO 2011]「クラウド導入の最大の価値は“時間”の短縮」(10.13 nikkeibp)
 「東京でユーザーやパートナーの皆さんと会い、こうした場で講演できることをとても喜ばしく思う」。2011年10月13日、東京ビッグサイトで開催中 の「ITpro EXPO 2011」の特別講演で、Amazon Web Services バイスプレジデントのアダム・セリプスキー氏はこう切り出した。「AWSクラウド in エンタープライズ」と題して、エンタープライズ分野を中心にしたクラウドコンピューティングのトレンドを解説する講演である。「世界の話題だけでなく日本 の話もしたい」。

 まずセリプスキー氏は、Amazon.comの3つのビジネスの柱を紹介した。1つ目がリテールのビジネス。1億を超えるアカウントを保有し、日米欧の 8カ国で展開している。2つ目が売り手(セラー)向けのビジネスで、Amazonのテクノロジーを使って電子商取引を展開できるようにしている。そして3 つ目がITビジネス向けのクラウドインフラを提供する「Amazon Web Services」(AWS)。ITのプロ向け、開発者向けのサービスである。

 「いまだにこういう質問をされる。“Amazonという本を売っていた会社がクラウドを始めたのはなぜ?”というものだ」。セリプスキー氏は、AWSの 経緯を振り返ってこう言う。「Amazonは、実は自分たちでも気づいていなかったが、10年も前からクラウドを実現していた」。Amazonのポリシー で作られたシステムが、奇しくもクラウドになっていたと言うのだ。

 ここからは面白い話なので、少し引用を続ける。セリプスキー氏はこう続ける。

 「2000年ごろまでのAmazonのシステムは、一枚岩のアプリとして構築されていた。しかしその形態だと、規模の拡大に伴って何年にもわたってアー キテクチャを再構築し続けなければならないということに気づいた。そのころ、セラーに対する事業も始め、さまざまなシステムのモジュール化が必要になって きた。この2つの作業を並行して実現しようとするプロジェクトは、とても時間がかかった。そこで開発者に調査したところ、Amazonの開発者は時間の 70%をデータベース構築などの基本的なことに費やし、付加価値を生み出す仕事は30%しかしていなかった。これではダメだ。リソースの70%を付加価値 に使いたかった」。

 Amazonですら、そうしたジレンマに陥っていたのだ。解決のためには社内でのアプリケーションの集中化とスケーラブルな配備の必要性があると考え、 Webサービスに軸足を移していった。すると、Webサービスのインフラには大きなマーケットニーズがあることがわかってきた。スケーラブルで高度なアプ リを作れるインフラを開発者に向けて提供するビジネスである。セリプスキー氏は「当時はそれを呼ぶ言葉はなかった。しかし、それが今日“クラウド”と呼ば れるものになった」と振り返る。


クラウドには初期費用不要など6つの特質

 セリプスキー氏は、続いてクラウドサービスについて6つの観点から特質を説明した。1番目は「初期投資が不要」であること。高価なハードウエアなどを購 入せずに、必要に応じて投資するために初期費用は「0円」で済むと説明する。2番目は「低廉な変動価格」。これは、利用者が増え、Amazonが内部のコ ストを削減できるようになることで、顧客にその分を還元できるということ。だんだん安くなる正のスパイラルが作れる。

 3番目は「実際の使用分のみの支払い」。必要に応じて使う分だけ支払うことにより、設備投資するよりもコストを下げられる。4番目には「セルフサービス なインフラ」を掲げる。クラウドモデルならば、ITの資産はパソコン上でワンクリックするだけで増強できる。ベンダーの見積もりを取ることも、設備利用情 況を勘案することなく、必要な分だけ増減が可能になる。「ユーザーは自由度が広がり、ベンダーの都合によらず自ら意思決定できるようになった」(セリプス キー氏)。5番目は「スケールアップ、ダウンが容易」という点で、10倍といった規模でのサーバー数の変動にも対応できると言う。

 最後となる6番目に、セリプスキー氏は「市場投入と俊敏性の改善」を挙げた。同氏は、「これはあまりクラウドのメリットとして上がってこないポイントだ が、非常に重要だ。時間を短縮できるということは“フェーリングファースト”につながる。すなわち、いち早く失敗を試せるため、ビジネスの成否を早期に判 断できる。クラウドならば初期投資を抑えられるので、コストをかけないうちに失敗を見極められる」。単に早くビジネスをカットオーバーできるだけでなく、 うまくいかない挑戦を少ない投資で“止められる”ことが、成長するビジネスに注力につながると説明する。



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