週間情報通信ニュースインデックスno.828 2011/10/08

1.「えっ、うちの会社も“背面飛行”?」(10.6 nikkeibp)
人ごとじゃないANAの人為ミス
河合 薫
 あのまま真っ逆さまに落ちていたら……。そう考えるだけでゾッとする。
 「ウソ? マジで??」と日本中を震撼させた、全日本空輸(ANA)の恐怖の“背面飛行”だ。

 国土交通省運輸安全委員会が9月28日に行った定例会見によれば、背面飛行は次のように起きた。
 9月6日午後10時50分ごろ、浜松市の南方約43キロの約1万2500メートル上空で、那覇発羽田行き全日空140便(ボーイング737―700型 機、乗客乗員117人)が急降下した原因をフライトレコーダーなどから分析した結果、左側に最大約130度回転し、裏返しに近い状態だったことが明らかに なった。

 背面飛行に近い格好のまま30秒間で1900メートル急降下し、元の姿勢に戻ったのは、「たまたま」で、あと10秒落下し続けたら、飛行機は空中分解し た可能性もあるという。
 不幸中の幸い。いやいや、奇跡と言った方がいい。負傷者が出てしまったとはいえ、大きな事故にならなくてホントに良かったとつくづく思う。

背面飛行につながった「スイッチの押し間違え」
 そして、何よりも驚いたのが急降下した原因である。
 散々報道されて皆さんもあきれているかもしれないけれど、トイレから戻ってきた機長(64)のために、副操縦士(38)が着席したまま操縦室のドアを開 けようとした際、解錠スイッチではなく、方向舵調整スイッチを誤って操作してしまったのだ。
 完全なる人為的事故。ヒューマンエラーだ。大惨事につながりかねない事態を、「スイッチの押し間違え」という、耳を疑いたくなるようなヒューマンエラー が引き起こしてしまったのである。
 「スイッチを押し間違えるなんてこと、本当にあるのかね?」
 「居眠りでもしてたんじゃないか?」
 「酸素マスクもしてなかったらしいじゃないか。たるんでいるんじゃないかね」(コックピットで1人になった時には、酸素マスク着用が義務づけられてい る)

  スイッチの押し間違え――。何度聞いても信じられないミスではある。でも人間がそこにいる限り、ヒューマンエラーは必ずや起きる。心と身体が周囲の環 境によって無意識に操作されてしまうことのある人間にとって、ミスはつきものだ。

 「私は絶対にそんなミスは犯さない」と信じている人であっても、通常であれば「絶対に起こさないミス」を、犯してしまう状態に追い込まれることがある。 ヒューマンエラーは、個人に資質以上に、その個人が置かれている状況によって引き起こされる。

ヒヤリ・ハットの効用を示した「ハインリッヒの法則」
 今回の背面飛行の一件で耳にした人も多いとは思うが、重大な事故の7割から8割はヒューマンエラーによるもので、1つの大事故の背景には、29の軽微な 事故、さらには300のニアミスが潜んでいるとされる。

 これは、重大な事故は偶発的に起こるものではなく、何らかの予兆が潜んでいるという教訓をもとに、米国の損害保険会社に勤務していたハーバート・ウィリ アム・ハインリッヒが、統計学的に導き出した「ハインリッヒの法則」だ。
 ハインリッヒは、「大事故の予兆となる300件ものニアミスを把握し、それが起きた状況分析を徹底すれば、大事故は98%予防できる」とした。

ヒヤリ・ハットを麻痺させる人間の「慣れ」
 しかしながら、一言で「ヒヤリ・ハットの把握」といっても、実はこれが難しい。ここでも、人間の一筋縄ではいかない心の“癖”が邪魔をする。「慣れる」 という人間の癖が、ヒヤリ・ハットを見えなくしてしまうのだ。

 例えばテレビのニュースや報道番組を見ていると地名や人名、時には流された映像が間違って報道され、「先ほどテロップが間違っていました」と訂正が入る ことがある。「訂正をすることで事故が免れた」状態が繰り返されると、次第に「間違う」という本来であればヒヤリとする行為に慣れが生じる。

 テレビというメディアで犯人の顔が間違って流されれば、間違われた人は被害を受けることになるだろうし、地名が間違っていただけでも大変なことになるこ とだってある。ちょっとしたミスが大惨事を引き起こし、時にはテレビ局が名誉棄損で訴えられたり損害賠償を求められたりするほど、テロップの間違いとは、 本来は「ヒヤリ」とするはずの重大事なのだ。

 ところが、ミスをしても結果として何も起こらないと、「ヒヤリ」とも「ハッ」ともしなくなる。

 「え? 間違ってる? じゃ、訂正お願いしま〜す」といった具合に、「よくあること」になってしまい、大事故の芽であるヒヤリ・ハットが見逃されてしま うのである。

 「でもさ〜、それって結局は危機意識の低さとか、モラルの低さなんじゃないの?」と思われる方もいることだろう。確かにモラルの低さは、ヒューマンエ ラーにつながることは多いが、それ以上に、結果の罠にはまってしまうのが、人間なのだ。

 いかなるミスも結果的に何事も起こらなければ、そこに至るまでの“ミス”が“ミス”と認識されなくなり、人は次第にミスに慣れる。

実際には
・残業の多い現場で十分に休みが取れていない
・時間的切迫度が高い
・息の抜けない作業が多い
・チーム内で互いに助け合う関係性を持てない
・トップやリーダーの安全に対する認識が低い
 といった仕事の特性や組織風土がミスを誘発させている場合が想像以上に多い。「ミスが多い=個人の問題」とは言い切れないのだ。

 
 なかなか難しいことではあるけれど、ミスをしたメンバーに責任を負わせたり、何らかの処分を加えるだけでなく、報告した勇気を称えることが、事故の発生 防止につながる。上司自身が、「どんなに優秀な人でも、人である限りミスを犯すことがある」と考え、ヒヤリ・ハットを報告しやすい環境を整え、組織を事故 から守る環境を作る。そうした取り組みでしか、ヒューマンエラーによる事故をなくすことは難しいのだ。


 そういえば、私がANAの新人客室乗務員(CA)だった頃、フライトエンジニア(FE)の方が、とても大切なことを教えてくれたことがある(ボーイング 747―400が導入されるまで、コックピットには機長、副操縦士、FEの3人が乗務していた)。

 「コックピットの計器の数値は絶対に暗記してはいけない。常にマニュアルを見ながら数字を確認し、運行中の作業でも、場所の確認を声に出しながらやらな いとダメ。覚えた途端にミスは起こる。絶対に覚えないってことが、最大のミスを防ぐ方法なんだよ」と。

 コックピットクルーは、たくさんのマニュアルの入った大きなパイロットケースをいつも抱えているのだが、FEさんはそのケースを「もってごらん」と差し 出した。
 「重たいだろ? これがね、僕たちが人命を預かっているという仕事の重さなんだよ」
 ミスを防ぐために覚えない。仕事の重さを忘れないために、重たいカバンを持って歩く――。

 そんな極めて、人間らしい方法も、時には必要なのかもしれませんね。

2.iPhone 4S、KDDIとソフトバンクでは何が違う?(10.7 nikkeibp)
 2011年10月7日、KDDIに引き続き、ソフトバンクモバイルからも正式に「iPhone 4S」の発売が発表された(関連記事)。気になるのはその違いだろう。iPhone 4Sに関しては、10月7日16時予約開始、10月14日発売とKDDIとソフトバンクモバイルの足並みがそろい、孫正義代表取締役社長も「競争というよ りは、(KDDIは)同じ情報革命の志を共有する。スティーブ(ジョブズ氏)の想いを一緒に届けられるのは素晴らしいこと」とコメント。今のところ表立っ て対抗意識をあらわにはしてはおらず、強く違いを訴える見せ方はしていない。

 ただ、やはり互いに競合となる事業者同士。同日電気通信事業者協会が発表した2011年9月末の携帯電話契約の純増数(新規契約数から解約数を引いた契 約数)を見ても、両者は競争を意識せざるを得ない状況に置かれている。ソフトバンクモバイルは純増数が27万5700でトップ。次いでNTTドコモが20 万800、KDDIは3位で前月よりも順位を上げたものの、純増数は12万5300と上位2社を大きく下回る。

 全体の契約数で見ればKDDIは3365万8600で、ソフトバンクモバイルの2689万8400を大きく上回っている。だがKDDIの危機意識は相当 に高い。純増数は携帯電話事業者の“勢い”を表す数字である。その純増数でソフトバンクモバイルは18カ月連続で首位を維持しているのだ。その純増を支え ているのがiPhoneである。

 そんなタイミングで登場したのがiPhone 4Sである。ソフトバンクモバイルだけでなく、KDDIも扱うことになったiPhone 4Sの今後の売れ行きには否が応でも注目が集まる。販売の現場では当然のごとく「競争の激化と受け取っている」(代理店関係者)。今は事業者同士は一見平 静を保っているように見えるが、競争の下地作りは着々と進んでいる。

 ソフトバンクモバイルも当然のごとくKDDIを強く意識している。実は同じiPhone 4Sとは言っても、違いがある。端末価格(実質負担金)やパケット定額料金に違いがあるほか、携帯電話事業者が採用している通信方式による使い勝手にも違 いがある。

 7日の会見ではソフトバンクモバイルの宮川潤一取締役専務執行役員兼CTOがau版とソフトバンクモバイル版のiPhone 4Sの違いを説明。CDMA2000のネットワークでは、パケット通信中に音声着信が発生するとパケット通信が中断される場合があるとし、そうした例とし て、(1)通話中のメール受信、(2)アプリ操作中の着信、(3)オンラインゲーム中の着信、(4)オークション中の着信、(5)株取引中の着信、と具体 的な利用シーンを上げた。一方、W-CDMA版のiPhone 4Sでは技術的にこうしたことは発生しないとし、同社のiPhone 4Sの優位性を強調した。

 通信方式によって、下り最大伝送速度なども異なるが、あくまでも仕様のうえでの違いであり、ユーザーの体感は”つながりやすい”といったネットワークの 品質に依存する。こうしたネットワークについて、ソフトバンクモバイルはNTTドコモ、KDDIにまだ劣っていると認める。ただ、今から1年半ほど前に同 社が掲げた「電波改善宣言」によってネットワーク品質の改善も進んでいるという。

 いずれにせよこれまで1社からしか発売されていなかったiPhoneが二つの事業者から出ることにより、結果的にユーザーにとって“つながりやすい” ネットワークが出来上がることは望むところ。iPhone 4Sによる料金競争や品質競争は、他のスマートフォンの接続環境の改善にも結果的につながる。iPhone 4Sの発売は、プロダクトに備わる力の大きさを改めて感じさせた。

3.8月米スマホ市場、「Android」さらに拡大、Samsungがメーカー別 首位維持---米comScore調査(10.6 nikkeibp)
 米comScoreは現地時間2011年10月5日、米国携帯電話市場に関する調査結果を発表した。それによると、2011年8月(2011年6〜8月 の3カ月平均、以下同)のスマートフォンOSは、米Googleの「Android」が4割以上のシェアを占めて首位を維持した。

 8月における13歳以上の米国スマートフォンユーザーは8450万人で、5月(2011年3〜5月の3カ月平均、以下同)と比べ10%増加した。OS別 シェアを見ると、Googleが43.7%を獲得し、5月より5.6ポイント急伸した。続いて米Appleはシェア27.3%で、0.7ポイント増加し た。Googleのシェア拡大の影響を最も受けた3位のカナダResearch In Motion(RIM)は、5.0ポイント減の19.7%となった。4位の米Microsoftは0.1ポイント減の5.7%。5位はフィンランド Nokiaの「Symbian」で、シェアは0.3ポイント減の1.8%だった。

4.iPadを使ったペーパーレス会議システム、みずほ情報総研が発売(10.5  nikkeibp)
 みずほ情報総研は2011年10月5日、iPadを使ってペーパーレス会議を運営するためのソフト「MHIR+SMART-1」を発表した。同年10月 12日に出荷する。ソフトウエアは、会議進行を管理するサーバーソフトと、iPad上で動作する専用のクライアントソフトで構成する。価格は、サーバーと iPad 50台のライセンスで350万円(税別)。

 MHIR+SMART-1は、紙の資料の代わりに、電子化された資料を用いて会議を運営するためのソフト。会議資料の管理/配布機能や、会議の進行支援 機能を提供する。30人程度の会議を複数同時に開催できる。テレビ会議システムと組み合わせれば、拠点間でのペーパーレス会議も可能である。

 発言者による資料のページ操作やポインタ操作、会議中に資料に書き込んだマーキングなどを、会議に参加しているすべてのiPadで同期させられる。発言 者(資料を操作する人)を切り替えて会議を進行させる。この上でさらに、個々の参加者は、独自のページ操作やメモの作成が可能。

 会議中にとったメモを資料とともにメールで送信するといった使い方もできる。また、会議終了時に資料を自動的に削除することも可能。デバイス認証と合わ せ、情報漏えいのリスクを減らしている。また、オプションの「議事録作成支援機能」(価格は150万円から)を使えば、会議中に個々のiPadで録音した 音声データを集約して、これをテキスト化できる。

 MHIR+SMART-1を使うためには、別途、サーバーソフトを動作させるためのPCと、参加人数分のiPadが必要。さらに、社内専用のiOSアプ リケーションをiPadに配布するための米Appleのライセンスプログラム「iOS Developer Enterprise Program」(年額2万4800円)に参加する必要がある。

5.混迷必至の700M/900MHz帯割り当て、将来に禍根を残さない審査基準を (10.4 nikkeibp)
 “プラチナバンド”や“黄金周波数帯”とも言われる700M/900MHz帯。伝搬性の良さから携帯電話事業者各社がのどから手が出るほどほしい帯域 だ。その割り当てが混迷必至の情勢となってきた。おそらく3枠になると見られる700M/900MHz帯に、携帯4社の希望が殺到しているからだ。

 中でも2012年7月から先行利用できる900MHz帯の割り当ては15MHz幅×2の1枠になると見られ、ソフトバンクモバイルとイー・アクセスによ る真っ向勝負となる公算が高くなっている。総務省は早ければ10月中旬にも参入枠を定めた免許方針案(開設指針案)を公表し、パブコメなどを経て、年内に も免許方針を固めると見られる。

  700M/900MHz帯の割り当ては携帯各社の今後を大きく左右する。落選する事業者が出た場合、その事業者への影響は計り知れない。公平性を欠く ような選定を進めると将来に禍根を残しかねない。

合計で3枠か、700MHz帯の調整難航で900MHz帯はさらにプレミア化
 700M/900MHz帯の再編は昨年、国際協調を図る割り当て方針へと大幅に軌道修正。再編を加速するため、跡地を利用する事業者が移行費用を支払う といった新たなスキームの取り入れも決まり、総務省の「ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数検討ワーキンググループ(周波数WG)」は 700M/900MHz帯でモバイル向けに最大100MHz幅の確保を目指すという大胆な再編案を打ち出した。

 ただ最大100MHz幅という目標は、その後若干トーンダウンしている。700MHz帯の隣接システムとの共用条件を検討する中で、隣接するテレビ受信 機やテレビ放送用受信ブースターとの干渉調整が難航しているからだ。当初は最大35MHz幅×2の確保としていたが、現時点で700MHz帯で何MHz幅 を確保できるか見えておらず、30MHz幅×2程度になる可能性もある。そうなると700MHz帯は15MHz幅×2ずつの2枠という線が濃厚になる。ま た700MHz帯は利用可能になる時期も2015年ころからと少し先だ。

 それに対して900MHz帯は、2012年7月から5MHz幅×2の利用が可能。2015年からは再編によって15MHz幅×2へと拡張する。同周波数 帯は欧州などで利用されるバンドVIII(8)と協調しており、iPhone 4やGALAXY Sといった人気端末が既にサポートしている。つまりまだ先が見えていない700MHz帯と比べて、900MHz帯は即戦力として使える、より“プレミア” なバンドになっているわけだ。



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