週間情報通信ニュースインデックスno.817 2011/07/23

1.スカイプが入手した“狩り場”(7.21 nikkeibp)
 ビデオチャットが可能になったフェイスブック。提携相手のスカイプは存在感を消すように黒子に徹している。狙いは7億5000万人を狙った課金収入だ。
 7月6日午前10時(現地時間)、米フェイスブックCEO(最高経営責任者)のマーク・ザッカーバーグ氏は興奮気味にカリフォルニア州パロアルトにある 同社のイベント会場に入ってきた。同社のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)「Facebook」に搭載したビデオ通話機能をお披露目する ためだ。開発に携わったのは無料インターネット電話サービスのスカイプ・テクノロジーズ。同社CEOのトニー・ベイツ氏も登壇した会見は、世界中の注目を 集めた。

 発表された新機能は肩すかしを食らうほど実にシンプルなものだ。フェイスブックの会員同士が無料で、かつ簡単な操作で1対1のビデオチャットが楽しめる 機能だ。とはいえ、スカイプの開発陣が費やした労力は大きい。会員が7億5000万人を超えたフェイスブック上で、機能を提供するのは、技術的には簡単で はないからだ。

スカイプとの提携でフェイスブックに新たに搭載されたビデオチャット機能
 大量のアクセスに耐えられるだけのネットワークの設計、さらには機能を絞ったとはいえ、通常20メガバイト(メガは100万)近い容量を要する専用ソフ トを3メガバイト以下に抑えるのにも苦労したようだ。スカイプ・テクノロジーズで副社長兼コンシューマー向けゼネラルマネジャーを務めるニール・スティー ブンス氏は「フェイスブックとは18カ月前から検討を開始し、1年前に開発に着手した」と明かす。

 ただ、フェイスブックに実装されたビデオチャット機能でのスカイプの影は薄い。スカイプの会員になる必要すらなく、知らなければまるでフェイスブックが 開発した機能のようにも見える。それでも、スティーブンス氏はこう語る。「この契約は商業ベースに乗ることを慎重に考慮した」。

 スカイプを巡っては今年5月、米マイクロソフトによる買収が発表された。そしてフェイスブックには2007年にマイクロソフトが出資している。この3社 の関係は良好で、米グーグルへの対抗軸を形成中だ。フェイスブックとスカイプによる今回の連携についてスティーブンス氏は、「マイクロソフトは関与してい ない。ただ、同社のスティーブ・バルマーCEOとザッカーバーグ氏、ベイツ氏がこの件に関して事前に会ったのは事実だ」と言う。

黒子に回る利益、計り知れず
 通常のスカイプは専用ソフトを通じて会員同士が通話する分には料金が発生しない。同社の収入源は「スカイプアウト」と呼ばれるスカイプから一般固定電話 や携帯電話への通話料がメーンだ。スカイプジャパンの岩田真一社長によれば、「ペイドユーザー(お金を払う会員)は必ずある割合存在する」と言う。

 実は、黒子に徹しているスカイプの次なる狙いはここにある。7億5000万人のフェイスブック会員のうち、一定の会員がペイドユーザーになり得るから だ。

 「フェイスブック向けの第2弾の開発は複数人同時のビデオチャットではない。一般固定電話や携帯電話へと発信できる環境開発に注力していく」(スティー ブンス氏)。スカイプだけでも毎月1億7000万人の利用会員を抱えている。7億5000万人という新たな会員基盤をターゲットに課金サービスが提供でき れば、一気に収益拡大が望める。

 スカイプの2010年12月期の売上高は8億6000万ドル(約690億円)、営業利益は2億6400万ドル(約211億円)だが、700万ドル(約5 億6000万円)の純損失を出している。名を捨て、フェイスブックという巨大な狩り場を手に入れたスカイプの収益改善は今後、一気に進むはずだ。

2.「ストレージのあるべき姿を描き行動すべき」、ガートナーの鈴木氏(7.22  nikkeibp)
 「ITインフラのデータをどう管理していくのか、トレンドに振り回されず、あるべき姿を描いて行動すべき」。日経BP社が2011年7月21日に開催し たストレージ・セミナーの基調講演で、ガートナー ジャパンの鈴木雅喜氏(リサーチ部門 リサーチ ディレクター)が企業の取り組むべきストレージ戦略について語った。

 講演の冒頭で鈴木氏は、日本のITインフラについて聞こえてくる声を挙げ、現状の課題の大きさを示した。例えば、多くの企業はクラウドコンピューティン グに取り組んでいるが、構築自体が目的となりがちな傾向があるという。また、IT現場は経営層への不信感を、経営層はIT現場への不信感をお互いに持って いる。これに対し、米国や欧州、中国の企業は、非常にアグレッシブ(挑戦的)であり、このままでは日本のユーザーやベンダーが世界から取り残される危険性 があるという。

 ではどうすればよいか。同氏は、ITインフラについてはユーザーもベンダーも「あるべき姿を明らかにして、ともに戦う」ことを提案する。それぞれ、日々 の業務に対する目標は持っているが、今一度初心に戻って長期的な戦略を立て直すことが重要という。同氏はITインフラについて長期的に取り組むべき施策を 「ストレージ戦略の視点」「インフラ仮想化への準備と実践」「ストレージ管理の展開モデルとは」という三つの観点から解説した。

 まず、「ストレージ戦略の視点」に関する解説では、「クラウド」や「ビッグデータ」「仮想化」「事業継続」といった最新のトレンドを示し、それらに共通 するテーマに注目すべきであるという。鈴木氏は、それを「ITインフラにおけるデータの扱い方」であると指摘。アプリケーションやミドルウエアに対して ITインフラが必要な機能をサービスとして提供する「サービス視点」への転換も踏まえて、ストレージのあるべき姿を描くことが重要だと説いた。

 「インフラ仮想化への準備と実践」に関する解説では、あるべき姿を描くためにより具体的なITインフラの姿を示した。複雑化したITインフラに対する解 決策として、インフラ仮想化によるプライベートクラウド(自社専用のクラウド)構築が「不可避のトレンド」になるという。米国企業ユーザーに対してガート ナーが行った調査では、プライベートクラウドを追求するという回答が76%に達している。

 仮想化したインフラでは、物理層はリソースを追加したり、入れ替えたりすることが比較的簡単にできるようになる。サーバーやネットワークに比べるとスト レージの仮想化は比較的分かりにくいと言われるので注意が必要であるが、ストレージが上位のアプリケーションやミドルウエアに対して提供すべきサービスは 「性能」「記憶容量」「可用性」「RTO(Recovery Time Objective)/RPO(Recovery Point Objective)」の四つだけであり、これをゴールド、シルバー、ブロンズなどの単純化したサービスメニューとして用意する方法を紹介した。

 「ストレージ管理の展開モデルとは」に関する解説では、大量にあるストレージの管理技術を時間軸をベースに整理し、段階的な取り組み方を示した。最初の 段階では、ストレージに取り組む組織を設けることが理想という。現実には困難だが、少なくともストレージの責任者を任命し、ベンダーへの依存度を下げる必 要があるとした。同氏は、これを出発点として段階的にストレージ技術の展開を行い、「多様なクラウド活用」へと向かう流れを示した。

3.サンワサプライ、iPad専用のメモリーカードリーダー(7.21  nikkeibp)
 サンワサプライは2011年7月20日、iPadの専用カードリーダー「400-ADRIP003」を発売した。Dockコネクタに接続するアダプター で、カード内のデータをiPadに読み込める。直販価格は3980円。  iPad下部のDockコネクタに直接取り付けて、デジタルカメラで撮影した写真などを取り込む。対応するメモリーカードは、SD/SDHCカード、 microSDカード、xDピクチャーカード、メモリースティックなど。

 カード内の静止画や動画の読み込みだけで、iPad内のデータの書き出しはできない。対応機種はiPad/iPad2(iOS 3.2以上)。本体寸法は幅40×奥行き13×高さ52mm(コネクター部分除く)、重さは約20g。  サンワダイレクト本店、楽天市場店、Yahoo!ショッピング店、Amazonマーケットプレイス店のサンワサプライ各直販店で販売する。

4.アシストが社内のPC約800台をWindowsからUbuntu Linuxに移行へ(7.20 nikkeibp)
 アシストは2011年内に、社内のパソコン約800台をWindowsからLinuxへ移行する。7月20日に開催したLinuxサポートサービス 「Ubuntu Advantage」の記者会見で明らかにした。またアシストは社内のオフィスソフトをOpenOffice.orgからLibreOfficeに切り替 えることも公表した。

 Ubuntuは英Canonicalの支援により開発されているLinuxディストリビューションで、Ubuntu Advantageは、Canonicalが提供しているサポートサービスである。アシストはCanonicalと販売契約を締結し、2011年6月から 代理店としてUbuntu Advantageを日本で提供している。

 アシストは、Ubuntu Advantageの提供に際し、社内の一般業務用パソコンをすべてWindowsからUbuntuに移行する方針を決定した。「我々が使わないものを売 ることはできない。モルモットとして利用し、問題を把握する」(アシスト 代表取締役 ビル・トッテン氏)。ただし、Windows用ソフトウエアのサポートなどを行っている担当者は、UbuntuとWindowsを併用する。同社の社員は 約800名で、社内には約1500台のパソコンがあるが、約800台がWindowsからUbuntuに移行する見込みという。

 アシストは2007年にオープンソースのオフィスソフトであるOpenOffice.orgのサポートサービスを開始したが、その際にも社内のオフィス ソフトをMicrosoft OfficeからOpenOffice.orgに移行している。

 同社は今回、そのOpenOffice.orgをLibreOfficeに切り替えることを明らかにした。LibreOfficeは、 OpenOffice.orgを開発していた米Sun Micosystemsが米Oracleに買収されたことをきっかけに、OpenOffice.orgの開発メンバーが独立して設立したDocument Foundationが開発している、OpenOffice.orgの派生ソフトウエア。現在、Ubuntuなどの主要Linuxディストリビューション の多くはOpenOffice.orgではなくLibreOfficeを採用している。

 Canonical CEOのJane Silber氏によれば、Ubuntu Advantageはすでに数千社の顧客がいるという。「それぞれの顧客が数百台のデスクトップパソコンで利用しており、中には1万台以上というケースも ある」(Siber氏)。フランスの警察では約8万5000台のデスクトップで使われており、ライセンスコストなどで年間200万ユーロを削減できている という。

5.スマートフォン購入予定者の46%がiOS搭載機を希望、Androidは 32%(7.19 nikkeibp)
 米ChangeWave Researchは米国時間2011年7月18日、北米のスマートフォン市場に関する調査結果を発表した。それによると、スマートフォンの購入を予定して いる北米消費者の中で最も人気があるモバイルプラットフォームは米Appleの「iOS」、次いで米Googleの「Android」だった。

 北米消費者4163人を対象に6月にアンケートを実施したところ、今後90日以内にスマートフォンを購入する予定の消費者のうち46%がiOS搭載機を 希望しており、3カ月前の調査時より2ポイント増加した。Android搭載機の購入予定者は32%で、同1ポイント増加した。カナダResearch in Motion(RIM)の「BlackBerry OS」を予定している回答者は4%で、同1ポイント減少した。

 すでにスマートフォンを所有している消費者に満足度を尋ねると、「たいへん満足」と答えた割合は、iOSが70%と最も高く、Androidは50%、 RIMは26%だった。米Microsoftの「Windows」は27%だが、「Windows Phone 7」に限ってみると57%と満足度が上昇する。

 またChangeWaveは、Appleが6月に発表した新サービス「iCloud」の影響にも注目している。iCloudはクラウドコンピューティン グを利用して音楽や写真、アプリケーション、文書ファイルなどを保存、管理できる無料のサービスで、今年の秋に開始する予定(関連記事:Apple、 「iCloud」を発表、音楽/アプリ/電子書籍などクラウドで管理)。iCloudの発表を受けて将来Apple製品を購入する可能性が高まったとする 回答者は、すでにApple製品を所有している人では29%、Apple製品を所有していない人では13%だった。



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