週間情報通信ニュースインデックスno.800 2011/03/26


1.今の放射線は本当に危険レベルか、ズバリ解説しよう(3.24  nikkeibp)
 「暫定規制値とはどのようなものか」「チェルノブイリでの食物の放射線汚染と比べて何が違うか」……。実際に、福島の前線で放射線対策の 指揮を執る専門家2人に見解を聞いた。

 1人目は、福島県の放射線健康リスク管理アドバイザーに就任した長崎大学大学院の山下俊一・医歯薬学総合研究科長。チェルノブイリ原発事故の影響調査に 携わる被曝医療の専門家である。2人目は、チェルノブイリ原発事故で米国医療チームのリーダーとして被曝治療に携わったほか、JCO東海村臨界事故でも救 命活動に従事したロバート・ゲール医師。放射線被曝治療や骨髄移植が専門である。インタビューは3月22日と23日に実施した。

―― 農作物などから「暫定規制値」を超える放射性物質が検出されています。食べても大丈夫なのでしょうか。

長崎大学大学院の山下俊一医歯薬学総合研究科長
 山下俊一教授 「暫定規制値」というのは、一生食べ続けても何の影響も出ない数値です。未然防止の観点で作ったもので、安全サイドに立った数値なので す。ですから、今のレベルなら暫定規制値を超えた食品を、飲んだり食べたりしていても、健康に影響を及ぼすことはありません。
 絶対に安全な暫定規制値は超えている。だが、健康に影響があるのかどうか判断がつかない。だから余計に不安がかき立てられている。今後、どれだけ食べて も安全なのかという、規制値を作ることになるでしょう。

確認されているのは、甲状腺がんが唯一
―― 放射線物質には、ヨウ素やセシウムなど様々な種類があります。
 山下 気をつけなければならないのは、放射性物質の「ヨウ素131」です。チェルノブイリ原発事故から25年。12万人のデータがあります。実は、発が んなどの疾患で確認されているのは、甲状腺がんが唯一なのです。そして、甲状腺がんを引き起こした原因が、ヨウ素131です。
 ただ、ヨウ素131は(放射能が半分になる)半減期が8日と短い。尿からも排出されやすい物質です。甲状腺に貯まることだけが心配です。それを防止する 効果がある「安定ヨウ素剤」が話題になり始めたのはそのためです。
 ちなみに、半減期が30年の「セシウム137」は、体内に入ると筋肉へ行きます。ただし、チェルノブイリの症例を見ても肉腫など筋肉のがんは1例もあり ません。この点からも、注意しておくべきはヨウ素といえます。

―― なぜ牛乳から高濃度の放射線が検出されるのですか。
 山下 牛が食べる餌の量はべらぼうに多い上、牧草と一緒に周囲の土も食べています。しかも、甲状腺だけにたまるのではなく、牛乳に濃縮される傾向があり ます。牛乳中の放射能は、餌や土に降り注いだ放射線のほか、牛が呼気で吸入した分もありそうです。

―― 体重の軽い子供は放射性物質の影響を受けやすいと聞きます。母乳をあげても大丈夫ですか。
 山下 お母さんが取り込んだ放射性物質は、母乳にも濃縮されます。お母さんが被曝した可能性がある場合には、授乳は避けるのが基本です。また、妊婦が被 曝した場合も、多少は胎児に移行します。
 甲状腺がんの発症を抑えるには、安定ヨウ素剤が有効です。被ばくの恐れがある場合には、影響を受けやすい妊婦や小さな子供に優先的に安定ヨウ素剤を飲ま せます。
 ちなみに、「年間の被ばく線量が100ミリシーベルトを超えると健康被害が懸念される」という基準は、影響を受けやすい1歳児を対象に算出したもので す。

放射性物質は同心円状に広がるわけではない
―― そもそも、いま原発から20kmまでが避難地域、20〜30kmは屋内退避という対応は適切なのですか。
 山下 放射線がどのように拡散しているのがわからないため、適正かどうかの判断はつきにくい状況です。
 放射性物質は原発を中心にした同心円状に広がるわけではありません。風向きなどによって、濃度の濃いところもあれば薄いところもある。例えば、30km を超えていても、線量の多いところは避難すべきかもしれないし、薄いところは避難の必要はないかもしれない。

―― 正しい情報を伝えることが何より大切ですね。福島県で「放射線健康リスク管理アドバイザー」に就任されました。

 山下 医療関係者としては、福島の人々に、正しい放射線の知識を持ってもらいたい。そのために、福島県で放射線についてのリスクコミュニケーションを始 めました。
 意識しているのは、悲観的に伝えすぎないこと。「病気になるリスクはゼロではないかもしれないが小さい」と、地元のラジオやテレビなどを通じて説明して います。正しい判断を下せるようになるためにも、放射線恐怖症にならないでもらいたい。

 また、医療関係者とも対話をしています。医療関係者の方が、放射線への知識があるだけに恐怖心が強いのです。
  我々日本人は、逃げ出さず、この未曾有の災害に向かい合わねばなりません。しかも福島県は、地震に津波、原発の3重苦を負っています。今、福島県の人 々は、生活インフラが崩壊しています。放射線を怖がって多くの薬局が店を閉めているので、医師は処方箋を書くこともできません。支援物資も届きません。そ れでも、地元で踏ん張ろうとしている人が大勢いるのです。

 放射線の健康への影響が判断できるように、正しい情報を迅速に出してもらいたい。そして、力を合わせて福島県を支援していかなければならないと、思いを 強くしています。

*   *   *   *   *

―― 1986年のチェルノブイリ事故での、放射線被害の実態はどのようなものだったのでしょうか。
 ロバート・ゲール博士 当時は、消防作業員など204人の現場作業者がチェルノブイリからモスクワまで運ばれてきて、そのうち急性放射線障害で亡くなっ たのは29人でした。9割は助かりました。

 一般の住民はどうだったか。当時数十万人が避難しており、約6000人が甲状腺がんになりました。理由は爆発により広範囲で飛散した放射性の「ヨウ素 131」です。
 甲状腺がんになった6000人のほとんどは、当時の被曝年齢が16歳以下の若年層で、ほとんどが食事、特にミルク摂取によるものでした
 放射線が拡散する前、あるいは直後に安定ヨウ素剤を服用しておけば、予防ができたかもしれませんが、当時、旧ソ連内には物流のシステムも十分になかっ た。日本の場合は、こうした予防的な措置を取ることは十分に可能であるし、酪農が盛んだった旧ソ連・北欧・東欧に比べて、普段から海藻などヨウ素の摂取量 が多い食生活をしています。チェルノブイリのような大規模な被害になるとは考えられません。

地面に吸収されてしまうと、ほぼ永久に残る

 もちろん、30年から40年の長い目で見れば結果は変わってくるという指摘もありますが、被曝以外にも、喫煙など様々な要因があり一概には言えません。 現在、福島第一原発から出ている放射線の値で言えば、喫煙による発ガンリスクのほうが遙かに高いと言えます。

 チェルノブイリと今回の根本的な違いには、原子炉の種類の違いがあります。チェルノブイリでは、原子炉の外側にある、放射線の最終的な漏れを防ぐ格納容 器がなかった。原子炉が爆発し、今回のざっと1000倍以上の放射線が出ていたと思います。臨界が起きたJCO東海事故では破壊力の大きい中性子線が出ま した。現状、放射性物質のほとんどが格納容器に収まっている福島とは状況が全く異なり、これから健康被害が出るとしても、チェルノブイリに比べてはるかに 小さいと思います。

―― 現在退避している福島県の住民は再び、元の場所に住むことができるのでしょうか。

 ゲール 問題は放射性物質がどのような形になっているかです。

 例え、放射線が漏れてしまっても、ガスの形で大気中に拡散していれば、拡散効果があり、いずれは基準値を下回る水準に下がってきます。福島原発ではあれ だけ給水を続けているのだから、水や海に溶けているはずです。

 一方で、仮に土壌汚染という形で地面に吸収されてしまうと、半永久的に残ってしまうことになります。チェルノブイリでは放射性物質そのものが飛散し、地 面に落ちて、吸収され、土壌汚染が起きました。何日間か滞在するならば健康には問題ありませんが、若い人が長く住むことはお勧めできません。

 重要なのは、私たちは日常的に放射線を浴びていることをきちんと理解することです。

 米国のコロラド州デンバーに住んでいる人はニューヨークに住んでいる人の6倍の放射線を浴びているが、発がん率に差はない。一般論としては、浴びる放射 線を減らすことが重要だが、一方で日常的に浴びているという事実をきっちり認識すること。過剰に反応しないことは大事です。


―― 水や海に溶けているという話が出ましたが、魚などの海産物を食べるのは危険なのではないですか。

 ゲール 水はもともと、放射性物質を希釈するのにもっとも便利で有効的なものです。だからこそ、原子炉の燃料も水に浸っているわけです。

 加えて海にはもともとヨウ素が含まれている。放射性ヨウ素が流れたからと言って、特定の魚に放射性物質が集中するのには、相当期間、大量のヨウ素が流れ なければ起こりません。

 放射性物質には半減期もあります。ヨウ素131の場合は8日で半減する。ヨウ素131が検出された水道水をコップに入れておけば、1カ月後にはほとんど 問題なく飲めるということです。

 チェルノブイリのときには放射性物質そのものが広範囲に飛散しました。放射性物質が雲で運ばれ、雨となって落ち、コケや草などに付着しました。それをト ナカイや牛が食べ、肉やミルクの放射能レベルが上がる生物濃縮が起きました。今回の事件では、現状では放射性物質そのものが飛び散るという問題は考えにく い。風評で日本の魚を食べなくなるのはおかしいです。

 ほうれん草やミルクも同じです。ほうれん草ならば冷凍して何十日か置いておけばいいでしょう。ミルクも捨てずにチーズにさせて長期間熟成させたり、粉ミ ルクにするなど、時間をおけば問題なく食べることができます。

 今回も全く放射線が飛んできていない地域もあるはずで、慌ててすべて捨てる必要は本来はありません。

―― 各国で日本の農産品をボイコットする動きも出ています。

 ゲール どこの国も輸出入基準を設けていますが、放射線のような場合は、後で消費者から文句を言われないように、とにかく保守的になる傾向があります。 そのほとんどは科学的、医学的なものではなく、政治的な理由です。

 だからといって日本産以外の農産品がきちんと検査されて安全かといえば、決してそうとも限らないでしょう。
 何度も言いますが、放射線は日常的にあるということをきちんと理解し、危険値以下であれば大丈夫であるということを忘れないことが大事です。ただし、そ のためには、政府は放射線とはどのようなものか、どのような対策が必要か、もっと説明が必要です。

―― 東京都の水道水に暫定規制値を上回るヨウ素が検出されました。飲んでも大丈夫でしょうか。
 ゲール 暫定規制値というのは、影響を受けやすい子供が、大量に摂取したときのことを想定して考えられた基準なので、とても保守的な基準です。
 イメージとしては100万分の1の危険を防ぐような発想です。なので今の値であれば大半の大人は問題ありません。
 避難対象地域の人などは、安定化のためのヨウ素剤を飲むという手段もありますが、ヨウ素そのものにも毒素がある。子供には大きな副作用を引き起こしかね ません。
 こうした対処法は絶えずバランスを見ながらです。なので一般の人たちに判断するのは難しい。医師など専門家の判断に必ず従ってください。

2.みずほ銀行のトラブル、「発端は義援金口座」と金融庁に報告(3.25  nikkeibp)
 みずほ銀行の西堀利頭取は2011年3月25日夜、15日から続くシステムトラブルの発端が、義援金を受け付ける口座における設定ミスであったことを明 らかにした。同行のシステムトラブルは、振り込み件数の上限を大きく設定していなかった口座に、上限を超える振り込みがあったことを発端として発生した。

 上限を超える振り込みがあったことが、夜間バッチ処理やオンラインの停止に繋がった原因そのものについては、依然として明らかにしていない。原因につい ては今後、外部の専門家を含む検討チームによる調査を行ってから発表するとした。

 15日から断続的に発生していた夜間バッチ処理やオンラインのトラブルは、ほぼ終息した。25日付の給与振り込みに関しても、遅延などは無かったとい う。ただし25日現在でも、顧客による口座振替結果の照会や、企業向けのインターネットバンキングサービスなどでの入出金確認などができない状態が続いて いる。システムの完全正常化には、まだ時間がかかる見込みだ。

3.Skype子会社のQik、iPhone向けビデオチャットアプリを公開(3. 25 nikkeibp)
 ルクセンブルクSkype Technologiesは現地時間2011年3月23日、子会社の米QikがiPhone向けの無償ビデオチャットアプリケーション「Qik Video Connect」をリリースしたと発表した。米Appleのアプリケーション配信サービスのApp Storeからダウンロード可能。上位機能を備える有償版もApp Storeで配布している。

 Qik Video Connectでは、Wi-Fiと3G通信に対応したビデオチャットのほか、録画したビデオのメール送信、FacebookやTwitter、 YouTubeへのビデオ投稿などが手軽に行える。記録したビデオは自動的にオンラインギャラリー「Video Gallery」に保存される。

 有償版の「Qik Video Connect Plus」は、リアルタイムでビデオを特殊加工できる7種類のエフェクトとフィルター、ビデオ編集機能、HDビデオのアップロード機能を備え、2.99ド ル。ビデオチャットは4Gネットワークにも対応する。

4.東日本大震災がICT市場/産業に及ぼす影響の分析レポート、ガートナーが公開 (3.24 nikkeib)
 ガートナージャパンは2011年3月22日、「東日本大震災がICT市場/産業に及ぼす影響」と題するレポートを公開した。ITサービス、サーバー、通 信、携帯電話端末、パソコン、半導体、複写機/複合機・プリンタの7つの市場について分析している。短期的にはサプライチェーンの混乱がボトルネックとな り大きな影響が現れる可能性があるが、長期的には顧客企業が震災によって直面している課題解決を支援することが、ベンダーにとって貴重な資産となると指摘 している。

 国内ICT投資動向についてガートナーでは震災前、企業による2011年のICT投資を「微増」と見込んでいた。しかし原子力発電所事故と電力供給の問 題、円高、原油高騰が日本経済全体に及ぼす影響により、投資動向を「微減」に修正した。震災前に予定していた新規ICT投資が復活する時期は、原発トラブ ルや電力供給問題の解決時期に影響されるが、企業活動が正常な状態に戻ってから半年〜1年後と見積もっている。

 市場別の分析として、ITサービス市場については、東京以北に拠点を持つユーザー企業での需要低迷、ハードウエア製品のサプライチェーン中断により、短 期的にマイナス要素が大きいと見ている。だが事態が復興へと向かえば、中期的には、ビジネス継続を目的とするセカンダリ・サイトや分散型データセンターへ の顧客の関心が一層高まるなど、データセンター・サービスの需要が新たに喚起されると予測している。

 サーバー市場は、GDP(国内総生産)や情報化投資指標の傾向とほぼ連動する。そのため日本経済全体の下ぶれにより、国内サーバー市場の成長も失速する と見ている。また今回の災害を教訓とした厳しいガイドラインや設置基準、調達の代替案提示の規定などが設けられ、ベンダーはそれらへの対応を迫られると予 測している。

 通信市場については、市場規模に関する大きな変化は短期的には想定していない。ただし企業ネットワーク機器市場では2010年度と2011年度前半は、 需要低迷と一部での供給不安定な状況が続くと予想している。また既存インフラストラクチャーの復旧が優先され、次世代ネットワーク(NGN)やLTE (Long Term Evolution)など新規ネットワークへの移行計画は遅延する可能性があると見ている。

 携帯電話端末市場については、国内における主要部材の生産と物流の停止または遅延が、国内外の端末供給にネガティブな影響をもたらすと見ている。しかし 震災により、情報発信/収集ツール、およびオフィス外での部分的なビジネスツールとしての有効性も改めて認識されたため、中長期的には従来の成長シナリオ を大きく見直すことは現時点では考えていないとしている。

5.「iPad 2」、日本を除く25カ国で予定通り発売 2011/03/23
小久保 重信=ニューズフロント
       記事一覧へ >>  米Appleは米国時間2011年3月22日、新型タブレット端末「iPad 2」の世界各国における発売日が予定通り3月25日になると発表した。25カ国それぞれの現地時間午前1時に同社のオンラインストアで、午後5時に直営店 と認定販売店で販売開始する。

 日本での発売時期については言及していないが、米メディア(Bloomberg)は先ごろ、Apple広報担当者のNatalie Kerris氏が、「東日本大震災の影響で当面日本での発売を見合わせる」と述べたと伝えていた。「今は復旧への努力が続いている」としており、その間は 日本におけるすべての催しを無期限で延期するという(関連記事:Apple、「iPad 2」の日本での発売を延期、海外メディアが報道)。




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