週間情報通信ニュースインデックスno.776 2010/10/02

1.ソフトバンク、「NTT頼み」加速(9.30 nikkeibp)
蛯谷 敏
 好調な携帯電話事業の裏で、通信量の増大に苦しむソフトバンク。設備増強を急ぐ一方、水面下ではあるプロジェクトが進行中だ。通信設備の一部をNTTに 頼り、逼迫する通信量の緩和を図ろうとしている。

NTTのインフラ更改を虎視眈々
 8月末に、携帯電話加入契約数が2314万件にまで増え、累計の契約シェアが20%を上回ったソフトバンクモバイル。「iPad」「iPhone4」と 新製品がヒット、2010年4〜6月期は過去最高の営業利益を記録した。

 快走する携帯電話事業だが、その一方で、増大する通信量に設備の対応が追いついていないことは、周知の事実。今年春には、「つながりにくい」「通信が遅 い」という利用者の声に対応して、2011年春までに携帯電話基地局数を12万に倍増させる計画を発表した。

 携帯電話の設備増強を急ぐ一方、実はソフトバンクはもう1つ、通信量対策のプロジェクトを進めている。
 その全容を把握するために、避けて通れない言葉がある。「IPv6(インターネットプロトコル バージョン6)」。インターネット関係者以外には難解だが、少し説明しよう。
 日本のネットでも、IPv6の本格運用が始まる。その大きなきっかけとなるのが、2011年度に完了予定のNTT東西地域会社による、NGN(次世代 ネットワーク)のIPv6対応だ。IPv4はネット接続業者(プロバイダー)が各々対応してきたが、IPv6ではNTTグループのNGNが事実上の共通イ ンフラとなる。プロバイダー各社は、NGNに接続することで、IPv6サービスを利用者に提供できる。

 このインフラに、ソフトバンクも飛びついた。同社にとっては、IPv6対応のみならず、逼迫する通信量の緩和にもつながるからだ。
 どういうことか。iPhoneやiPadの契約増に伴い、携帯機器の通信量が急増、対策として基地局を増やしていることは先に述べた。だが、屋外の基地 局の設置には時間がかかる。そこで、同社は、「フェムトセル」と呼ばれる家庭用の小型基地局の設置を進めている。フェムトセルをブロードバンド契約してい る家庭に配布することで、携帯電話通信の一部を固定回線に迂回させる。これが、携帯電話インフラの負荷軽減につながるわけだ。

 しかし、フェムトセルの設置には現在、大きな問題が生じている。各家庭とブロードバンド契約をしているプロバイダー各社が、「ソフトバンクの携帯電話イ ンフラとして勝手に使われている」と主張し始めたのである。

 「ただ乗り」を主張するプロバイダーに対して、ソフトバンクは現在、各社と個別に協議をしながら、落としどころを探っている。最終的にはプロバイダーに 利用料を支払うことで、解決への道筋をつけようとしている。

 ところが、このフェムトセルで発生しかねない金銭的な負担が、東西NTTのNGNへ移行すると不要になる可能性がある。NGNでは、他社プロバイダー網 を経由せずに、直接ソフトバンクのプロバイダー網や携帯電話網に接続することが技術的に可能なためだ。

 フェムトセルの設置が容易になるうえに、プロバイダーへの支払い負担がなくなれば、ソフトバンクの財務にも大きな恩恵をもたらす。
 それだけではない。IPv6の本格運用は、ソフトバンクのブロードバンド通信にもメリットをもたらす。東西NTTのNGNを利用するため、ソフトバンク はプロバイダー網以外のインフラ投資が事実上、不要になるからだ。

 ソフトバンクBBが提供中の電話線を使ったデジタル高速通信であるADSLサービス「Yahoo! BB」は、ソフトバンク自ら全国のNTT電話局に通信機器を設置している。電話局間は、借り受けた光ファイバーで結び、自前のネットワークを運用してい る。

 インフラを所有する立場から利用する立場になることで、通信機器の運用も、増加する通信量への対策も、基本的にはNGNに転嫁できる。実際、昨年から、 Yahoo! BBには東西NTTの「フレッツ光」を利用するプランが追加され、NGNへの移行が徐々に進んでいる。

2.NEC、福岡県3町に基幹業務システムのクラウドサービス提供(10.1  nikkeibp)
 NECと福岡市のシステムインテグレータであるBCCは2010年10月1日、福岡県にある三つの自治体向けに基幹業務システムのクラウドサービスの提 供を開始した。NECグループのデータセンターに設置したサーバー上の基幹業務システムを、自治体が共同で利用する。

 基幹業務システムの共同利用を開始したのは、同県糟屋郡南部の宇美町、志免町、須恵町で人口は3町合わせて約11万人である。データセンターに、NEC 製の基幹業務システムパッケージ「GPRIMEシリーズ」を使って、住民情報、税務、国保/年金、財務会計などのシステムを構築。これを3町が使う。3町 は帳票の出力や配送などのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスも利用する。

 3町が基幹業務システムを共同利用するのは、ITコストを削減するため。共同利用型を使えば、個別に基幹業務システムを構築・運用するのに比べてTCO (総所有コスト)を約40%削減できると見込んでいる。

3.IIJがiPadなどモバイル端末の業務利用を実現する新ソリューションを発表 (9.30 nikkeibp)
 インターネットイニシアティブ(IIJ)は2010年9月30日、モバイル端末を企業の業務用端末として使えるようにする新ソリューション「IIJ GIOスマートモバイルソリューション」を11月1日に開始すると発表した。このソリューションは、iPadなどから社内ネットワークまたはIIJのクラ ウドサービスに閉域でアクセスして、既存のWindows業務アプリケーションを利用できるようにする。また、モバイル端末の紛失時対応などのデバイス管 理を可能にする。

 IIJ GIOスマートモバイルソリューションは、提供中または今後提供が始まる製品・サービスの組み合わせで構成される。同日発表された新製品・新サービスは、 「モバイルWi-Fiルータ」と「Smart Mobile Manager」の二つである。

 モバイルWi-Fiルータは開発中の製品で、NTTドコモのネットワークを使う「IIJモバイルサービス/タイプD」に対応する3G通信モジュールを内 蔵。伝送速度は下り最大7.2M/上り最大5.6Mビット/秒で、4時間以上利用できるバッテリーを持ち、同時に5端末以上を接続できるものを考えてい る。価格は、2年レンタルの場合で月額800円程度を想定している。

 Smart Mobile Managerは、iPadや各種スマートフォンを遠隔操作してセキュリティ対策やデバイス管理を実施できるようにするサービス(写真)。iOS、 Android、Windows Mobileに対応する。サービス開始は11月(日にちは未定)で、当初はiPad向けのリモートワイプ(遠隔からのデータ消去)だけを試験サービスとし て無償提供する。2011年3月以降に機能を拡充し、有償の正式サービスにする。提供予定の機能は、端末設定、搭載機能の有効化/無効化、設定状態の管理 や診断、端末のロック、ソフトウエアのインストール/アンインストール、データのバックアップとリストアなど。料金は、100台で使うケースで初期費用が 数万円、月額料金は1台あたり数百円を想定している。


4.AvayaとSkype、企業向けVoIPサービスで戦略的提携(9.30  nikkeibp)
 米AvayaとルクセンブルクのSkype Technologiesは米国時間2010年9月29日、企業向け通信サービスの提供に関して戦略的提携を結んだと発表した。Avayaの企業向け通信 製品で、Skypeの企業向けVoIPサービス「Skype Connect」をサポートする。

 提携の第1段階として、10月から米国におけるAvaya製品の利用企業がSkype Connectを利用できるようにする。Skype Connectは、企業内に設置したIP-PBX(IP対応構内交換機)とSkypeのVoIPサービスを統合するもので、社員はIP-PBXが管理する 電話機からSkypeサービスを利用して国内および国際電話を発着信できる。

 利用企業は、自社サイトにSkype用「Click & Call」ボタンを設置し、Skypeユーザーがパソコンからかけてきた通話をIP電話で受けられる。Skypeオンライン番号を設定すれば、固定電話や 携帯電話からの通話も、IP電話で受け取れる。Skypeユーザーからの通話を内線番号に回すこともできる。

 対象になるのは、Avayaの大手・中堅業向けユニファイドコミュニケーション(UC)製品である「Avaya Aura Session Manager」「Avaya Aura SIP Enablement Server」や、通信サーバー「CS1000」、中小企業向けVoIP製品「Avaya IP Office」「BCM」などを導入している企業。通話は、Avayaのカンファレンス、メッセージ、モバイル、コンタクトセンター機能などと連携し、記 録や法規準拠といった企業レベルのセキュリティ機能なども提供する。

 2011年後半には両社は、Avaya AuraプラットフォームとSkypeプラットフォームを統合した企業向けUCおよびコラボレーションソリューションを米国で利用できるようにする。 AvayaのエンドユーザーとSkypeユーザーが、プレゼンス確認やインスタントメッセージング、音声およびビデオによる通話などを可能にする。

5.クラウド時代の道標、「第1回クラウドランキング」を発表 「ベストブランド」11社、「ベストサービス」18社20サービスを選出(9.28 nikkeibp)
 
日経コンピュータとITproは2010年9月28日、「第1回クラウドランキング」を発表した。クラウドコンピューティング関連の企業 イメージとサービス品質を調べ、その結果をまとめたものである。クラウド関連企業としてのイメージに勝る企業11社を「ベストブランド」に、クラウドらし い特徴を備え現行システムからの移行も容易な18社20サービスを「ベストサービス」に選出した。

 クラウドコンピューティング関連で企業イメージやサービス品質を本格的に評価するのは、本邦初の試み。今後のIT利活用の主流とも目されるクラウド分野 で、ベンダーやサービス選びの道標となることを目指した。クラウド分野には新興企業から既成の大手IT企業まで参入が相次いでいる半面、どのベンダーが市 場をリードするのかや、各社のサービスが本当に「クラウド」に値するモノなのか見極めにくくなっている。

 ベストブランドは、1万2632人が回答したクラウドベンダーとしてのイメージ調査の結果を標準化して算出した総合スコアで75以上の企業11社を選ん だ(表1)。グーグル、セールスフォース・ドットコム、アマゾンなどのクラウドコンピューティング分野を開拓してきた新興企業が名を連ねた。日本IBM、 マイクロソフト、富士通といった、このところクラウドへの傾斜を強める既成の大手IT企業もベストブランドになった。クラウドコンピューティングを支える 仮想化技術の最大手ヴイエムウェアも選出された。

表1●クラウドコンピューティング関連の企業イメージ・ランキング
調査対象は374社。総合スコア75以上の11社を「ベストブランド」に選出した
順位 社名 総合スコア
1 グーグル 104.2
2 セールスフォース・ドットコム 104.0
3 日本IBM 92.7
4 マイクロソフト 91.7
5 富士通 89.8
6 ヴイエムウェア 88.2
7 日立製作所 80.8
8 NEC 80.2
9 アマゾン 79.8
10 NTTコミュニケーションズ 79.0
11 NTTデータ 77.0
12 日本ヒューレット・パッカード 72.7
13 日本オラクル 70.3
14 シスコシステムズ 70.0
15 インターネットイニシアティブ 66.9

 もう一つのベストサービスはクラウドコンピューティング関連のサービスを提供する企業へのアンケート調査で各社のサービスを調べた結果に基づいて選出し た。評価結果から算出した総合スコアが65以上のサービスとサービス提供企業を「ベストサービス」とした。

 今回は(1)クラウド基盤サービス(IaaS/PaaS)、(2)汎用業務系SaaS、(3)汎用情報系SaaS、(4)特定業種業務向けSaaS、 (5)パブリッククラウド導入支援、(6)プライベートクラウド構築支援、(7)データセンター――の7部門で20サービスを選出した(表2)。各分野の 代表的なサービスが順当に選ばれた。

表2●「ベストサービス」に選出された企業とサービスの一覧
企業名(サービス名) 総合スコア
●クラウド基盤サービス(IaaS/PaaS)部門
CSK-ITマネジメント*(プリセットUSiZE) 72.1
NTTコミュニケーションズ(Bizホスティング エンタープライズ) 69.7
アマゾン・ウェブ・サービシズ(Amazon EC2) 68.1
伊藤忠テクノソリューションズ(TechnoCUVIC Pro) 68.1
日本IBM(IBM Computing on Demand Variable) 65.3
●汎用業務系SaaS部門
日本オラクル(Oracle CRM On Demand) 68.0
NTTコミュニケーションズ(Salesforce over VPN) 67.7
セールスフォース・ドットコム(Salesforce CRM) 65.8
●汎用情報系SaaS部門
ネットラーニング(NetLearning Platform) 76.6
アリエル・ネットワーク(ArielAirOne on Demand) 74.8
グーグル(Google Apps Premier Edition) 72.7
マイクロソフト(Microsoft Online Services) 70.0
フィードパス(サイボウズ デヂエ 8 for SaaS) 66.7
ブイキューブ(V-CUBE) 65.6
●特定業種業務向けSaaS部門
TDCソフトウェアエンジニアリング(HANDy TRUSt) 67.2
ライトナウ・テクノロジーズ(RightNow CX) 65.2
●パブリッククラウド導入支援サービス部門
伊藤忠テクノソリューションズ
(Google Apps Premier Edition導入支援サービス) 72.4
●プライベートクラウド構築支援サービス部門
野村総合研究所(NRIクラウドサービス) 69.0
●データセンター部門
KDDI 68.4
富士通 68.4

* 10月1日付でCSKホールディングスと経営統合し、CSKに社名変更


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