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2010/03/27

1.時間軸重視の経営に挑戦せよ(3.26 nikkeibp)
 宮田 秀明
 3月の初めに御茶ノ水で「高速船同窓会」が開かれた。東京大学と当時の日立造船と瀬戸内クラフトが産学連携して世界で3番目の水中翼船を開発したのだ が、そのメンバーが20年ぶりに再会したのだ。

 この商品開発プロジェクトは色々な面で特殊だった。商品開発を実行するには研究・開発・実証・普及の4段階があるのだが、産学連携して行った場合、大学 チームの役割はせいぜい開発の段階までであるのが普通である。しかし、私たちは第3段階の実証にまで深くかかわったというか、主導した。しかも、そのス タッフたちは大学4年生や修士課程の学生だった。

 1990年7月26日の尾道での長さ12メートルの実験船「エクセラー」による初めての実験の時、船上にいたのは瀬戸内クラフトの社長と技術部長、2人 の東大4年生、それに東大の技術官と私だった。


世界で3例目の水中翼船を7年で開発

 大学の教員が学生をスタッフとして商品開発することは珍しいかもしれない。尾道で実船実験を行う1週間から2週間の期間、私たちは尾道に滞在した。宿泊 はいつも尾道の向かいの向島にある「大元荘」という民宿。「クーラーはないかも」と覚悟を決めていたのに、ちゃんとクーラーはあるし、1泊2食4200円 なのに、毎日の食事は味も量も最高だった。20年経った同窓会でも、元学生の40歳代の会社員が、あの食事はウマかったと話した。

 週に2、3回は、夕食後実験データを整理してから、夜9時前に向島から尾道へ向う最終便の渡船に飛び乗って、久保町の行きつけのスナックに向かう。たく さんはしゃいでたくさん歌い、帰るのは午前2時になる。もう渡船はないからタクシーで民宿に戻って寝て、翌朝6時には起きなければならない。

 「エクセラー」は朝8時に出港して中部瀬戸内海へ進出し、夕方5時までにたくさんの実験を行うのが日課だった。運動性能の実験が多かったから、1日8時 間の間、実験船は揺れていることが多かった。夕方5時に下船しても地面が揺れている感覚が抜けなかった。

 まるで軍隊生活だった。それなのに学生たちは明るく頑張ってくれた。

 時間が経つのは本当に速い。この時の学生はもう40歳を超えて、様々な社会で活躍している。実験船「エクセラー」に乗って現場ベースの技術開発に携わっ たことがいい経験になっているのではないだろうか。

 それにしても、今になってもつくづく思うのは、研究を始めてから商品として納めるまでの時間の短さだ。1986年度の卒業論文のテーマに取り上げたのが 始まりだが、7年後の1993年9月には第1船が就航していた。


 水中翼船は複雑で難しいシステムだから、過去にこんなに短期間で開発された例はない。水中翼船の研究開発は1906年ごろに開始されたので、飛行機と同 じくらいの長い歴史を持つ。しかし、外洋用で開発に成功したのはそれまで2例しかなかった。

 最初の例はドイツ海軍だ。 2番目の水中翼船は米国海軍が開発したものだ。中東戦争などでのソ連製の高速ミサイル艇の活躍から、その有効性を認識した米 国海軍が、14年の歳月をかけて、40ノット(時速75キロ)以上の速度を出せる水中翼型ミサイル艇を開発したのだ。きっと1000億円を超える資金が投 入されたと思う。

 この船をボーイング社が旅客船にしたのが、「ジェットフォイル」と呼ばれる水中翼船だ。日本でも福岡・釜山航路や佐渡、種子島、伊豆大島などへの航路に 使われている。しかし、この船は時々危険なことになる。水中の翼が流木や鯨に衝突すると水中翼が失速して水面にたたきつけられるように落水し、4.5Gぐ らいの加速度を発生させる。数年前、実際こんな事故を起こして、重軽傷者が多数出たこともあった。脆弱性のあるシステムなのだ。


現場ベースの開発の利点は決断と実行の速さ

 私たちが開発した「スーパージェット」という水中翼船はフェールセーフ、つまりトラブルが発生しても安全なシステムにし、同時に価格はジェットフォイル の3分の1に抑えることができた。
 たった7年間で開発に成功した最大の理由は、海の現場ベースの開発を行ったことだ。

 瀬戸内クラフトという尾道の中小企業が実海域実験の中心にいた。実験船「エクセラー」は、私の設計図を基にこの中小企業が自前で建造したものだ。この実 験船を使って、3年間ありとあらゆる実験を行った。中小企業だから決断も実行も速い。社長と技術部長がすべてを決めるからだ。

 走る、止まる、回るは当たり前で、一番力を注いだのは波の中での安全性と揺れを抑える制御システムだった。途中から東大の Y助教授のチームがこのプロジェクトに加わり、制御関係の開発を強めていった。 Y助教授は当時30歳代半ばだったが、その前はJAXAで短距離離着陸飛行実験機「飛鳥」の実験担当をした経験があったので、飛行機の実験手法も導入し た。そのおかげで、強制的に船を揺らす実験や、前の翼を失速させる実験まで行われて、安全性が確実になった。


 1990年夏から1992年まで続けられた実船実験の最終年度には、実験船が営業活動にも使われた。新規開発の船は実際に乗ってもらわなければ理解して もらえないので、旅客船運航会社の方々のためのデモ運転を行ったわけだ。同時に、パンフレットやプロモーションビデオも製作され、営業活動が本格化して いった。そして1992年秋には7隻を一括受注することができた。

 しかし、このハイピッチの商品開発の裏にはたくさんの苦労があった。どんな商品開発も同じだと思うが。


新商品開発は、ミスやトラブルを恐れず挑戦するもの

 最初は実船実験の初日だった。予定通りの27ノットの最高速度を確認したのだが、その後だんだん波が高くなってきた。そして、その波の中で「エクセ ラー」が失速を繰り返すのだ。船中の私たちにとって、何が起きたのか分からなかった。帰港してビデオを見るまで、水面に向かって何度も落ちていく理由が分 からなかった。初日なのに、すべてが失敗かとさえ思った。

 最後のトラブルは第1船の試運転だった。1993年6月のある日、授業中の私に電話が来て、「午後に神奈川工場に来て船に乗ってくれますか、挙動が変で す」と言う。

 館山沖で速度を上げていった時の挙動は最悪だった。いわゆるダッチロールという横揺れと方向不安定が連成した運動が発生するのだ。これでは商品にならな い。おまけに新開発の船ではありえないことなのだが、受注した7隻は、コスト削減のため、飛行機のように流れ作業で連続建造されていた。何度も緊急会議が 開かれ、私も対策としての設計変更に腐心した。

 このほかにも、トラブルや計画と設計の修正は数え上げたらキリがないくらいだ。しかし、新商品開発とは一般的にこんなものだろう。ミスやトラブルを恐れ てはいけないと思う。恐れないで挑戦し、時間軸を縮めることが大切だ。

 瀬戸内クラフトの技術部長のK氏は今は社長になり、尾道からはるばる同窓会に出席してくれて私に言った。「あんな難しい船をやりましたからね。どんな船 の仕事が来ても驚かなくなりました。その意味で感謝しています」。

 難しい仕事に挑戦することが、技術を進歩させ人を育てる。一番育てられたのは私かもしれない。

2.Microsoft、次期「Office Communications Server “14”」は2010年下半期に発売(3.25 nikkeibp)
 米Microsoftは現地時間2010年3月24日、フロリダ州オーランドで開催中の通信関連展示会「VoiceCon Orlando 2010」において、次期ユニファイド・コミュニケーション(UC)サーバー「Office Communications Server “14”」(開発コード名)の公開デモンストレーションを初めて実施した。2010年下半期に正式提供を開始する予定である。

 UCサーバーは、携帯電話やIP電話、電子メール、インスタント・メッセージ(IM)、Web会議などの通信手段を統合し、通信相手の居場所やオンライ ン/オフラインの状態といったプレゼンス情報に応じて適切な通信方法を使い分けるためのソフトウエア(関連記事:ユニファイド・コミュニケーションと は)。MicrosoftはOffice Communications Serverを企業向けUC戦略の中核製品に位置付けている(関連記事:Microsoft,新UCサーバー「Office Communications Server 2007 R2」発表)。

 Office Communications Serverは、クライアント・ソフトウエア「Office Communicator」のほか、「Office」や「SharePoint Server」「Exchange Server」と連携し、企業で使われる種々のコミュニケーションを包括的に管理できる。クラウド版UCサービス「Microsoft Office Communications Online」の各種機能も使える。

3.京セラ、「Android」搭載スマートフォン「Zio M6000」を発表(3.25 nikkeibp)
 ラスベガス発--京セラは米国時間3月23日、2010年に「Android」搭載スマートフォンを発表するという約束を履行した。「Zio M6000」は同社初となるGoogleのAndroid OS搭載携帯電話だ。筆者が2004年に初めてCTIA Wirelessに参加してから、われわれが同トレードショーで初めて目にした同社の米国向けスマートフォンでもある。

 「Android OS 1.6」で動くZio M6000は、26万2000色対応の3.5インチタッチスクリーンを備えたキャンディーバー型のデザインを採用。シルバーとブラックの本体デザインは決 して目新しいものではないが、スリムで魅力的であることに変わりはない。QVGAディスプレイの下にはナビゲーション用トラックボール、ホームボタン、 バックキー、メニューコントロール、検索ボタンが配置されている。文字入力には、仮想キーボードを使用する。内蔵の加速度センサによって、すべてのアプリ ケーションが横向きの画面で利用できるようになることを期待したい。

 これらの特徴の中に意外なものはほとんどないが、大半のユーザーにとっては、これで十分なはずだ。Zio M6000は、3.2メガピクセルのカメラ、30fpsで再生できる動画プレーヤー、Wi-Fi、音声ダイヤル機能、音楽プレーヤー、デジタルコンパス、 フルHTMLブラウザ、ステレオBluetooth、A-GPS、3G EV-DOネットワークのサポート、通常のGoogleアプリケーション群を備える。3.5mmのヘッドホンジャックと最大32Gバイトのカードに対応す るmicroSDスロットもある。内蔵メモリは512Mバイトの共有スペースを提供する。

 Zio M6000は2010年第2四半期に発売される予定だ。キャリアに関する情報はまだ発表されていないが、われわれはSprintに落ち着きそうだと聞いて いる。

4.「クラウドに100%コミットする」、マイクロソフト幹部が明言(3.24  nikkeibp)
 マイクロソフトは2010年3月24日、「クラウドコンピューティングへの取り組み」と題した記者会見を開いた。米本社で北米を除く海外事業を統括する ジャンフィリップ・クルトワ プレジデントは、「クラウドは当社の最優先課題。100%クラウドにコミットする」と明言し、製品・技術・組織をクラウド事業中心に強化していくことをア ピールした。

 会見の内容は、3月5日に米本社のスティーブ・バルマーCEOが発表したものとほぼ同じ。クルトワ氏は発表済みの方針をなぞる形で、自社の強みを述べ た。「多くの顧客は、自社運用とクラウドのハイブリッド型システムを望む。その上でパソコン、電話、テレビなど非パソコン機器を結びつけ、違いを意識せず に使えるようにしなければならない。これらが可能なのはマイクロソフトだけだ」。

 日本法人の樋口泰行社長も、「クラウドを社内の最重要戦略に位置づけた」と明言。全事業部門でクラウド関連事業を拡大するほか、企業向け事業やサポート 体制、パートナー支援策などを強化していく方針を示した。

 ここに来てマイクロソフトがことさら「クラウド重視」を強調するのは、今年提供する予定の製品やサービスによって、同社の基本戦略がやっと具体化するか らだ。同社の基本方針の名称は「3スクリーン+1クラウド」。手元のソフトとクラウドのサービスを組み合わせて、パソコン、スマートフォン、非パソコン機 器という3種類のクライアント機に共通の情報を使える環境を実現するのが骨子だ。

5.旭硝子、折り曲げても通信できるプラスチック光ファイバーを販売(3.24  nikkeibp)
 旭硝子は2010年3月24日、フッ素系プラスチック光ファイバー「FONTEX」を2010年7月に販売すると発表した。FONTEX は10Gbpsの大容量データ通信に対応し、既存の石英ファイバーでは難しい小さく折り曲げた状態での通信も可能だという。そのため、踏みつけたり折り曲 げたりするなど乱暴な取り扱いが考えらえる家庭内でも安心して使用できるという。

 旭硝子では、フルHD映像や3D映像を扱う映像機器間や、パソコンと周辺機器間などで高速データ転送の用途が拡大すると予測している。同社は今後、 40Gbps以上のさらなる高速対応や、ケーブル・コネクタなどを含めた各種応用商品への量産技術開発を行う方針である。


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