週間情報通信ニュースインデックスno.
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2010/02/13

1.「大型リコールの原因は部品共通化」のウソ,真因は製品の品質検証体制 にあり(2.12 nikkeibp)
日野 三十四=モノづくり経営研究所イマジン 所長
 トヨタ自動車の一連の品質問題においてリコール台数が数百万台規模に上ったことを受け,その原因を「部品の共通化」に求める報道や論評がみられる。そう した見解を,モジュラーデザインの第一人者で“トヨタウォッチャー”でもある日野三十四氏は「表層的な見方」と切って捨てる。品質問題の真因はどこにある のか,そして部品共通化はどのように進めるべきなのか,同氏に解説してもらった。(日経ものづくり)

 最近,トヨタ自動車の品質問題に関して「過度な部品共通化によってリコールの規模が拡大した」といった論評が横行している。こうした論評は,地震で生産 ラインがストップすると「(部品在庫を持たない)トヨタ生産方式の欠陥だ」などと訳知り顔に言うたぐいで,話にならない。「製品ごとに固有の部品を多数用 意したり,平時でも地震に備えて工場に在庫の山を持ったりした方がよいのか?」と自問すれば分かりそうなものだが,割と高名な知識人が有名なメディアで発 言するものだから,筆者にも各メディアの記者や講演の聴講者などから同じような質問がよく来る。

 部品共通化が大量リコールの背景にあったとしても,部品共通化は表層的な原因にすぎない。真の原因は,品質を保証した部品共通化ができていないことであ る。部品共通化は,必ず進めなければならない製造業の基本命題である。特に,地球環境の保全が最大の課題になった21世紀においては,無駄な部品を造らな いことが絶対条件である。無駄な部品を生めば,大量の製造機械/金型/治具/検査具/工具/専用材料などの生産機材が生まれ,そしていずれ廃棄される。そ れらが廃棄されるときには大量のエネルギが消費され,それは全部地球にストレスを与える。評論家は,「部品共通化のやり過ぎが大量のリコールの原因であ る」と論評するのではなく,「品質保証と両立する部品共通化を進めよ」と指摘しなければならない。

製品品質の確認は完成品メーカーの責任
 品質保証の基本は,第一に部品単体で品質が保証されていることであるが,部品単体で品質が保証されていても部品を組み合わせた製品の状態で品質が保証さ れているとは限らない。完成品メーカーは部品メーカーに対し,各部品について,外気温や湿度などの大気状態や,運転時間などの規定条件下で機能維持性や耐 久劣化性などの品質基準を満たすように要求する。一方で,部品を組み合わせた製品の状態で品質を確認することは完成品メーカーの責任である。

 トヨタのアクセルペダルがフロアマットに引っ掛かって暴走するという問題は,アクセルペダルとフロアマット単独ではそれぞれ品質が保証されていても,そ れらを組み合わせた製品の状態では品質が十分に確認されていなかった典型例である。アクセルペダルのフリクションレバー部が摩耗したところにエアコンの氷 結が付着して戻りが遅くなる問題もそうである。「プリウス」などのアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)の利き不良問題は,自動車の使われ方の想定 とその評価が不十分だった結果である。

 アクセルペダルやブレーキペダルは,大衆車でも高級車でもドライバーの体型はほとんど変わらないので,部品共通化をするのが当たり前の部品である。しか し,製品の状態では車格によってペダル周りのスペースなどが大きく異なるので,製品の状態での品質検証も手を抜けない。過去の製品やほかの製品で実績があ る部品だからといって安易に部品を流用すると,想定外の品質問題が起きる。トヨタの一連の品質問題は,いずれも技術的に品質保証が難しいとか品質検証が難 しいということではなく,完成品メーカーとしてやるべき評価の手抜きを感じさせられる出来事である。トヨタの品質問題は,「部品共通化のやり過ぎ」などと いう表層的な次元に落とすべきではなく,製品での品質検証の不十分さを指摘すべきである。

他社よりも進んでいるトヨタの部品共通化
 
 トヨタ自動車は,部品共通化については,もともと他社に比べても大幅に進んでいた。トヨタの場合,フルモデルチェンジにおいて構成部品のうち50%程度 を現行部品から流用するが,他社はせいぜい25〜30%である。さらに2000年7月に,「製品に合わせて部品を造るのではなく,部品に合わせて製品を造 る」ことを理念に掲げたCCC21(Construction of Cost Competitiveness for 21th Century)活動に取り組み,部品共通化を一層進めた。その成果によって,年間の原価低減額をそれまでの1000億円を2倍の2000億円に押し上げ た。

 だがトヨタは「CCC21は部品アプローチであったため,期待したほどの成果が出なかった」と反省し,2005年からさらに乾いたタオルを絞るべく,シ ステムアプローチで部品共通化を実現する「VI(Value Innovation)活動」に取り組んだ。VI活動の中身はベールに包まれていてよく分からないが,「設計のやり方を根本から変えて部品共通化を進め る」という理念であり,このアプローチ自体は正しい。

 部品の共通化には,次の3段階がある。

(1)既存の部品の中から今後の製品でも流用できそうな部品を抽出して標準部品に設定する。どの製品で,どのようにして,どの部品を選ぶかは設計者に任さ れる。
(2)部品ごとに,事前に一定の品ぞろえをし,それらを今後の標準部品に設定する。どの製品で,どのようにして,どの部品を選ぶかは設計者に任される。
(3)設計パラメータ(品質やコストの製品仕様を含む)と部品の仕様との関係を明らかにした上で部品の品ぞろえをし,それらを今後の標準部品に設定する。 どの製品で,どのようにして,どの部品を選ぶかは,設計パラメータと部品仕様の関係から品質・コストの条件に合う標準部品を設計者が判断する。

 当然のことながら,第3段階まで行って,初めてQCD(品質/コスト/納期)を保証した部品共通化が実現できるようになる。第3段階に到達するには,上 述の設計パラメータと部品仕様の関係を見据えながら設計する「設計手順書」の整備が不可欠となる。


 設計手順書とは,製品企画書や製品仕様書といった設計へのインプットを基に,図面や部品表といった設計からのアウトプットを出すまでの設計の方法を,設 計の手順に従って記述した文書である。

“手続き”ではなく“手順”が重要
 
 CCC21が完了した2003年には以上の問題が既にある程度見えていたはずなので,2005年からはその問題を解決するために第3段階の部品共通化を 目指したVI活動に取り組んだ。VI活動ではトヨタグループをあげて設計手順書作りが推進されたが,設計手順書を作るべき設計者が前向きになれなかったの で,思うように進まなかったもようだ。

 トヨタで推進された設計手順書は,設計時における組織間の情報の流れを示した“設計手続き”(Design Procedure)であり,実践的な設計の手法そのものを設計の手順に従って明文化した本来の“設計手順”(Design Manual)ではなかった。設計者は,技術の本質にかかわる“設計手順”の作成には意欲的に取り組むが,事務的な“設計手続き”の作成には前向きになれ ないものであり,それがうまくいかなかった原因ではないかと筆者はみている。

部品共通化は避けられない道
 今後,製品の多様化は必ず進む。それに対して手をこまねいていれば,部品の種類もなし崩しに進んでしまう。成長のカギは,製品の多様化を進めつつ部品の 種類の増加を抑制し,しかも当然のことながら品質保証を確実に行うことにあると,製造業各社は肝に銘じなければならない。

2.「コンシューマ向けの先進技術を企業に取り入れよ」、シトリックス幹部が語る (2.12 nikkeibp)
 「ここ数年、コンシューマ分野のIT、特にデバイスの進歩はめざましい。コンシューマ分野のITの進歩によるメリットを企業が享受するための支援を当社 は進めていく」。シトリックス・システムズで販売やサービスを担当するアル・モンセラート シニアバイスプレジデントはこう語る。

 コンシューマ分野のITを企業が取り入れやすくするための製品として、モンセラート氏は同社のデスクトップ仮想化ソフト「Citrix XenDesktop」の例を挙げた。同製品はデスクトップ環境をサーバー上に移行するためのもの。基本的にどのパソコンでも、XenDesktopにア クセスすることで同じデスクトップ環境を利用できるようになる。

 これにより、管理レベルを下げずにコンシューマ向けの魅力あるパソコンを業務で利用しやすくするという。「自分の好きなパソコンを店舗で買っくれば、 10分足らずで、今まで利用してきたデスクトップ環境で仕事できる」(モンセラート氏)。

 このほか、年内に市場投入を予定している「XenClient」も、コンシューマ向け技術を企業に生かすために使えると話す。同製品を使えば、1台のパ ソコンの中で複数のデスクトップ環境を構築できる。同じパソコンでありながら、個人向けのデスクトップ環境と業務向けのデスクトップ環境を完全に分けるこ とが可能になる。

3.NTTコムの日米間バックボーンが300ギガに到達、「3年で3倍に」(2.9  nikkeibp)
 NTTコミュニケーションズは2010年2月9日、同社の日米間バックボーン回線容量が1月31日時点で300Gビット/秒に達したと発表した。 1997年のサービス開始当初、日米間のバックボーン容量は45Mビット/秒だった。それがブロードバンドの浸透に伴って増加。2002年には5Gビット 秒、2007年には100Gビット/秒と増強を重ね、ここ3年で3倍になった計算だ。

 現在のIPv4インターネットでは、日米間でやりとりされるトラフィックが多い。そのため、NTTコミュニケーションズのバックボーンも日米間が最も大 容量である。現状では、日米間の300Gビット/秒に比べ、米欧間が60Gビット/秒、日欧間が27Gビット/秒、日本を中心としたアジア・オセアニアが 258Gビット/秒となっている。これらのバックボーンを経由するトラフィック量は、「ある調査機関がTier1プロバイダーのトラフィック経由量を比較 したデータによると、全世界で5番目」(同社グローバル事業本部IPビジネス部の若井直樹部長)だという。

 なお、Tier1プロバイダーとは、他のプロバイダーからインターネットへ接続するための経路情報を購入しなくても、経路情報の交換だけで全インター ネットの経路(フルルート)を入手できる最大手のプロバイダーを指す。全世界で10社ほど存在し、NTTコミュニケーションズはその中の1社に該当する。

4.EMC・シスコ・VMwareの3社、プライベートクラウド構築パッケージを日 本でも発売(2.9 nikkeibp)
 EMCジャパン、シスコシステムズ、ヴイエムウェアの3社は2010年2月9日、サーバー、ネットワーク機器、ストレージ、仮想化ソフトをパッケージ化 した「Vblock Infrastructure Package」を発売した。3社は「Virtual Computing Environment(VCE)連合」を組織し、パートナー経由で同パッケージを日本企業に売り込む。

 VCE連合は2009年11月に3社の米国本社が発表したもの。米国ではアーカディア(Acadia)という合弁会社を設立し、Vblockの販売やシ ステム構築、保守、システム運用などを行っているが、日本市場ではこのような直販は行わない。システムインテグレーターなどのパートナー企業経由で間接販 売を行う。

 シスコのエザード・オーバービーク社長は「Vblockは、3社の技術を統合した、検証済みのパッケージだ。(仮想マシンをオンライン状態のまま他の物 理サーバーに移動する機能)VMotionを最大200km離れた拠点間でネットワーク越しに行う『Long Distance VMotion』などが、すぐに実現可能だ」と、連合のメリットを強調した。EMCジャパンの諸星俊男社長は「シスコ、EMC、VMwareの『強者連 合』だ」とアピールした。

 Vblockのパッケージは、運用できる仮想サーバーの台数に応じて3種類ある。サーバーがシスコのブレードサーバー「Cisco UCSシリーズ」、ネットワークスイッチ(ストレージ接続にも使用する)が「Nexus 1000v」、仮想化ソフトが「VMware vSphere」というのは共通。ストレージに「EMC Symmetrix V-Max」を使用し仮想サーバーが3000〜6000台運用できる「Vblock 2」、「EMC CLARiX CX-4」を使用し仮想サーバーが800〜3000台運用できる「Vblock 1」、「EMC Unified Storage」を使用する「Vblock 0」がある。価格はいずれも非公表で、Vblock 2とVblock 1の販売を開始した。小規模データセンター向けのVblock 0は、2010年半ばに発売する予定。

5.KDDIがバースト通信サービスを機能強化,場所を選ばず最大帯域まで利用可能 に(2.8 nikkeibp)
 KDDIは2010年2月8日,法人向けのWANサービス「KDDI Wide Area Virtual Switch」(KDDI WVS)の機能強化を発表した。3月31日から利用の申し込みを受け付け,5月に新機能の提供を開始する。

 STEP2と呼ばれる新機能の目玉は,回線メニューとして「バーストタイプ」を追加したこと。契約帯域を超えて物理回線の最大帯域まで利用できる従来メ ニュー「トラフィックフリー」に似た機能だが,通信の対応範囲を拡大する。また,ファイル・サーバーやファイアウォールの機能を網内から提供する 「Virtual データセンター」も開始する。

 2009年7月に開始したKDDI WVSは,拠点間の通信は契約帯域で通信するが,拠点とデータ・センターとの間の通信では物理回線の上限帯域まで利用できるトラフィックフリー機能を提供 してきた。これに対して,STEP2で加わるバーストタイプは,どの拠点に対しても物理回線の上限帯域まで利用できる。ただし,トラフィックフリーでは物 理回線の上限まで帯域が確保されているのに対して,バーストタイプでは契約帯域を超える部分はベストエフォートになる。

 企業の情報システムをデータ・センターで集中管理する運用方法が一般化しつつあるが,「現状では,まだデータ・センターに移行できていない途中の段階の 企業もある」(小林昌宏ソリューション商品企画本部長)。バーストタイプを追加することで,自社内でサーバーを運用している企業に対してもKDDI WVSを導入しやすくした。トラフィックフリーとバーストタイプの料金は,契約帯域が同じであれば同水準となる。

 一方,Virtualデータセンターでは,ファイル・サーバー機能とファイアウォールおよびインターネット接続機能を提供する(写真2)。実際のデー タ・センターは西日本,東日本にそれぞれ1カ所ずつあり,接続拠点に近いデータ・センターを選べる。ユーザーの拠点からVirtualデータセンターとの 網内接続の料金は無料。ファイル・サーバーを自社で運営する場合と比べて,「KDDIの試算ではTCO(総所有コスト)が50%削減できる」(小林本部 長)としており,コスト面の優位性を訴求していく。

 このほか,企業や事業部の統廃合をする際にネットワークの再構築をしやすくする「L2/L3マルチレイヤ」機能,小規模拠点などでルーターを設置しなく てもWANに接続できるようにする「宅内ルータレス」機能も追加する。



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