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2009/10/24

1.クラウド到来、軽く速く 最新パソコン用OS(米マイクロソフト、米 アップル)(10.23 nikkeibp)
広岡 延隆
 米マイクロソフトと米アップルが相次いで新たなパソコン用OS(基本ソフト)を発売。ネット上で様々な処理を行う「クラウドコンピューティング」が容易 になったのが特徴だ。両者に続いて米グーグルも参戦を表明し、OSを巡る競争は激化する。

  セブンの特徴は「動作が速い」「使いやすい」の2つに凝縮される。2007年1月に発売された「ウィンドウズ・ビスタ」が「重い」「遅い」と評判が芳 しくなかったことを意識して開発したこともあるが、コンピューターを取り巻く環境がゲイツ氏引退と機を同じくして、大きく変化したことも影響している。

 インターネットの発展による「クラウドコンピューティング」の台頭だ。クラウドとは日本語で雲のことでネットを象徴する言葉でもある。ワープロ、表計算 などパソコン側で受け持っていたソフトを、ネット(雲)の中に配置。それをネット経由で利用する。

 これまではパソコンの内部でいかに豊富な処理ができるかがOSの命題だった。だがクラウドの台頭でパソコンの起動やファイル操作をいかに速く軽くし、 ネットに迅速につながるかが求められるように変わった。

起動時間が3割短縮も
 その成果の1つが、起動時間の大幅な短縮だ。パソコン本体の性能によっても異なるが、同一条件での比較でセブンはビスタよりも約30%起動時間が短縮し たという。起動時間が短ければ当然、ネットへ接続するのにかかる時間も少なくなる。

 時間短縮は起動時に立ち上げる「サービス」と呼ぶプログラムの数を減らしたことで実現した。ビスタで61だったのを、セブンでは49にまで減らした。 MS日本法人の森洋孝エグゼクティブプロダクトマネージャは、「例えばシャットダウン用のサービスは、起動したばかりの時は必要ない。こうしたものを見直 した」と説明する。

目的のファイルを探しやすく
 「セブンはノートパソコンでの利用を想定して作った」とMS日本法人の細井智シニアエグゼクティブプロダクトマネージャは述べる。まさに端末を持ち運 び、どこでもネットにアクセスする「クラウド」時代のOSを志向しているのだ。

 どんなにクラウド化が進みソフトをネット経由で使うようになっても、最後までOSに求められるのはファイル管理などの操作性だ。セブンでは起動したソフ トを画面の下部に並べて表示する「タスクバー」を改良した。目的のファイルをすぐに探せるよう工夫が凝らされている。

 アイコンを右クリックすると、最近使ったファイルを一覧表示できる「ジャンプリスト機能」だ。表示されたファイル名をクリックすれば、そのまま目的の ファイルやウェブサイトを開くことができる。よく使うものに関しては常にこの一覧表示に含めるようにすることも可能だ。

 いまだにXPを多く利用している企業ユーザー向けには「XP互換モード」を提供した。「仮想化」という技術を利用して、セブンの上でXPをそのまま動か せる。XP用に開発した業務用ソフトも基本的にそのまま利用できる手段を提供することで、いまだに企業利用の8割を占めるXPパソコンの置き換えを進め る。


アップルは一足先に発売
 2009年はパソコン用OSの当たり年となった。MSと競合する米アップルも8月28日、マッキントッシュ用最新OS「Mac OS X v10.6」(通称スノーレパード)を発売した。こちらもクラウド時代に合わせて処理性能を大幅に向上している。


アップルのスノーレパードもセブンと同様に処理速度を向上した
 セブンがビスタの基本仕様(アーキテクチャー)を踏襲したとすれば、スノーレパードはカーネル部分から徹底的に見直すことで速度向上を達成した。特徴は パソコンの性能を支えるCPU(中央演算処理装置)の性能が変わったことを踏まえた対応だ。「GCD(グランド・セントラル・ディスパッチ)」と呼ぶ処理 機構がそれだ。

 これまでCPUは集積度を高めて1秒間に計算できるスピードを向上させてきた。だが性能向上は、一方で発生する熱が膨大になるという問題をもたらした。 この問題をクリアするため、CPUメーカーはこぞって「マルチコア」化を進めている。

 コアとは中枢の処理チップのこと。マルチコアは複数のコアを搭載し、ソフトを並列処理してパフォーマンスを上げる仕組みだ。例えばインテルはコアを2つ 持つデュアルコアや4つ持つクアッドコアのCPUを開発している。

 だが、マルチコアの性能を引き出すには、ソフト側も並列処理を前提にしてプログラムを組む必要がある。すぐにこうしたアーキテクチャーの変化に対応でき るソフトメーカーは少ない。

 そこで登場するのがGCDだ。ソフトの並列処理に必要となる一連の処理の分散化などを、OS側で実行する。ソフトは従来通りの手法で開発しても、マルチ コアの性能を最大限引き出せるようになるのだ。

 スノーレパードでは64ビット対応も強化した。64ビットでは動作の速いメーンメモリーを、従来の32ビットよりも多く利用することができる。実際同社 のネット閲覧ソフト「サファリ」は、従来よりもネット上で主流のプログラミング言語JavaScriptの処理速度が1.5倍高速になったという。セブン 同様、プレビュー機能も搭載し、目的のファイルを見つけやすくした。

グーグル参入でさらに競争激化へ
 パソコン用OSを巡ってはネットの雄、米グーグルも参入を表明している。リナックスをベースに開発を進めており、2010年中に「クロームOS」として 製品化する見通し。同社のネット閲覧ソフトをあらかじめ組み込んでおり、起動からより短時間でネットに接続できるのが売り物で、OSのクラウド対応がさら に進みそうだ。

 標準化されたネット閲覧ソフトがあれば、ネットもメールも表計算もできる時代になりつつある。だからこそOSは本質に立ち返ることを求められている。

2.「総合的なコーディネート力が勝負の分かれ目」---ACCESS DAYで携帯事業者の幹部が議論(10.22 nikkeibp)
 2009年10月22日に東京都内で開催された「ACCESS DAY 2009」で,通信事業者の幹部によるパネルディスカッションが行われた。参加したのは,NTTドコモ プロダクト部長の永田清人執行役員,KDDIコンシューマ商品統括本部長の高橋誠取締役執行役員常務,ソフトバンクモバイル プロダクト・サービス本部長の吉田雅信氏常務執行役員,ウィルコムの近義起執行役員副社長,ACCESSの鎌田富久社長兼共同CEOの5人。

 司会者からの「iPhoneやAndroidなどのグローバル・プレーヤとどう闘っていくか」という問いに対し,KDDI高橋氏とNTTドコモ永田氏と の間で意見の一致を見たのが「トータル・コーディネーション力が勝負を決める」ということだ。具体的には,顧客のライフ・スタイルに合った端末とサービス をパッケージ化して届ける能力を指す。「iPhoneはアップルというメーカーがコーディネートした端末と見ることができる」(高橋氏)。これまで,携帯 電話事業者しかこうしたコーディネーションはできなかったが,「iPhoneの登場はこうしたコーディネートが様々なプレーヤに広がっていくことの現わ れ」(同)であるという。

 また,開発プラットフォームのオープン化については,「外部の技術をうまく取り込みながら,ここに味付けをし,トータル・コーディネートすることが重要 になる」と永田氏は語る。これまで「日本の携帯電話事業者がやりたいことを実現できる技術がなかったために独自で作ってきた部分がある。これからは,外部 の技術をうまく使っていかないとユーザーやアプリケーション開発者から見捨てられる」(永田氏)とした。一方で,すべてをオープンなもので固めることへの 不安も口にした。「すべてを輸入したソフトウエアで固めると,日本国内のパートナーとのエコシステムが壊れてしまい,日本国内に何も残らなくなってしま う」(同)というわけだ。

3.日本IBM、Web会議などグループウエア機能をクラウド型で提供(10.21  nikkeibp)
 日本IBMは2009年10月21日、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型コラボレーションサービス「IBM LotusLive Engage V1.0」の提供を開始した。IBMのクラウド版グループウエア「IBM LotusLive」の新サービスである。LotusLiveファミリーでは電子メールの「LotusLive iNotes」が、先行して提供されている。

 LotusLive Engageは、Web会議やプロジェクト管理、ファイル共有、アンケート調査などのコミュニケーション機能を提供するサービス。アクセス権限を柔軟に設 定でき、社内だけでなく顧客やパートナー企業など社外との共同作業も可能にする。一時的な共同作業のために、任意のゲストユーザーを無償で招待できる。価 格は年間7万9000円(15人用でオンライン会議室一部屋とファイル投稿者1人分の場合)から。

4.シスコが企業向けサービス統合型ルーターを発売,次世代企業ネット「ボーダレス ネットワーク」実現の第1弾(10.21 nikkeibp)
 シスコシステムズは2009年10月21日,サービス統合型ルーター「Cisco ISR G2」を発売した。企業の支社,支店などブランチオフィスに向けた製品である。現行世代から性能強化を図ったほか,WAN高速化,無線LAN管理,トラ フィック分析といったサービスを必要になったときに追加して動かせる機能を追加。テレビ会議などのビデオ機能も強化している。

 本体性能は,マルチコアのネットワーク・プロセッサを搭載し,高速なモジュール間通信を実現している。テレビ会議などビデオ・アプリケーションに対応 し,従来よりも高い音声(電話)処理能力を持つDSP(digital signal processor)モジュール「PVDM3 DSP」を使える。消費電力の削減やEnergy Wiseによる電力管理が可能である。

 OSはCisco IOS リリース15.0(1)M。オプション機能をあらかじめ搭載し,必要に応じてライセンス・キーを入力すれば使える「ユニバーサル・イメージ」方式を採用し ている。設定用には,新たにUSBコンソールに対応した。

 新機能の目玉は「Services Ready Engine」(SRE)の採用である。ISR G2にサーバー・モジュール(SREサービスモジュール)を取り付け,その上でネットワーク・サービスやアプリケーションなどを動かせる。ISR G2を導入した後からでも,サービスを遠隔から導入できる。利用企業は,サービス展開のコストとスピードで,メリットを得られる。

 SREで動くサービスは,シスコとサードパーティから提供される。シスコはネットワークおよびセキュリティ関連のサービスとソフトウエアを提供する。 WAN高速化,無線LAN管理,トラフィック分析,IPS(侵入防止システム)がある。将来は一定時間までのビデオ・レコーディングをサポートする予定 だ。コラボレーションの分野では,シスコがボイス・メールとIVR,パートナが通話録音サーバーを用意している。サードパーティ製では今後,仮想化あるい はいくつかのWindowsサーバーの機能をマージすることを考えている。SREエンジンに仮想化技術まで搭載されると,単一のSREエンジンで複数の サービスを動かせるようになる。「ネットワークの複雑性を増加させることなく,多種多様なサービスを提供できる」

 ISR G2と並んで,新しい企業ネットワークのコンセプト「シスコ ボーダレス ネットワーク」も発表された。“いつでも,どこでも,誰でも,どんなデバイスでも安全に,高い信頼性で,シームレスにサービスやアプリケーションを迅速に 提供できる次世代アーキテクチャ”を指すというもの。

5.Gartnerが選んだ2010年の戦略的技術トップ10,クラウドやソーシャ ル・コンピューティングなど(10.21 nikkeibp)
 米Gartnerは,2010年の戦略的技術のトップ10を,米国時間2009年10月20日に発表した。同社は,今後3年間に企業のITや業務に重大 な影響をもたらす可能性がある技術やトレンドとして,「クラウド・コンピューティング」「ソーシャル・コンピューティング」などを挙げている。

 クラウド・コンピューティングは,インターネットを使ってさまざまなITサービスを提供できる手段として導入が広がりつつある。クラウド・コンピュー ティングのリソース利用はITソリューションのコスト削減にはならないが,他の費用を削減したり,一部予算を再調整したりすることが可能だ。また企業は, クラウド・ベースのサービスを導入することで,自身がクラウド・プロバイダとしてアプリケーションや情報,ビジネス・プロセス・サービスを顧客やパートナ に提供することができる。

 ソーシャル・コンピューティングは,社内および社外とのコミュニケーションにおいて大きな役割を果たす。社員は,職場での個人あるいはチーム内での作業 と,社外の情報へのアクセスを,共通の環境で行いたいと望んでいる。Gartnerは,企業はソーシャル・ソフトウエアとソーシャル・メディアの活用に焦 点を当てるべきだと指摘し,スポンサード・コミュニティや公共のコミュニティとの密な連携や参加にも取り組むことを勧めている。

 このほかに注目の戦略的技術およびトレンドとして同社は,「高度解析」「クライアント・コンピューティング」「グリーンIT」「データ・センターの再構 築」「セキュリティ(アクティビティの監視)」「フラッシュ・メモリー」「仮想化による可用性向上」「モバイル・アプリケーション」を選んだ。



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