週間情報通信ニュースインデックスno.
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2009/10/10

1.クラウドコンピューティング全盛に違和感あり(10.9  nikkeibp)
ITは、ビジネスの革新や創造のためにこそ使うべき
宮田 秀明

クラウドコンピューティングはコスト削減の策

 今、クラウドコンピューティングが大きなビジネスになりつつある。個別企業の抱える情報システムを、インターネットを通じてアウトソーシングするのがク ラウドコンピューティングの考え方だ。各企業のIT投資は売り上げの5%ぐらいになるので、この経費削減効果は大きいだろう。

 しかし、クラウドコンピューティングというわかったようなわからないような呼称の命名者の営業力には脱帽だが、その内容は各企業のIT部門のアウトソー シングに過ぎない。情報部門のコストを下げることになるだろうが、それほど企業の経営に貢献するとは思えない。

 社内で構造化されていない情報をデジタル化して、経営を解析し、新しいビジネスを創造することのほうが何倍も大切だろう。販売を知らないまま生産するビ ジネス、廃棄率30%のビジネス、90日間の製品在庫をもつビジネス、下請けをただイジメ続けるビジネスなど、問題のあるビジネスは経営の真のIT化が進 んでいないことが原因であることが多い。

 ITはコスト削減だけでなく、ビジネスの革新や創造のためにこそ使ってほしいと思う。クラウドコンピューティングは、ITシステムのコスト削減法として 大切だし、公共部門では大きな成果を出しそうだが、民間企業にとっては守りの戦略に過ぎないかもしれない。

 ITをもっと戦略的に使うビジネスはたくさんあると思う。ITを使った攻めの戦略を起動しなければならない。設計や生産の分野以上に、販売予測などを含 めた顧客満足度の最適化、環境システム開発などが大きなターゲットになるだろう。

 パラダイムシフトは大きな流れを起こしつつある。民主党政権も、試行錯誤して苦労しながら、産業のパラダイムシフトを援護することに大きな力を発揮して ほしいと思う。その時、情報戦略は今後とも中心的な課題であることを忘れてはいけない。

2.第89回:「楽天イーグルス」と「はとバス」に学ぶ、どん底からのはい上がり方 (10.9 nikkeibp)
関橋 英作
 創設5年目にして、クライマックスシリーズ進出を決めた楽天イーグルス。歓喜の山崎選手のコメントではありませんが、“ほんとに、ひでぇチームが、よく ここまでこれたもんだ”です。それでも、“辞めなくてよかった!”はうれしさの表れなのでしょう。

 他チームからの選手をかき集めた、まさに寄せ集め集団。私は熱狂的なホークスファンなので、イーグルスのことはよく知っています。その、誰が見てもどう しようもなかったチームがここまで変化したことには、私も驚がくの一言。理由を考えてみたのですが、やはり類(たぐい)まれなリーダーの存在としか言いよ うがありません。

 野村という妖怪のような監督。そして、中日をクビになった山崎選手。野村監督は言うまでもなく、いまいちの選手を再生させる術師。結果的には、適材適所 というオーソドックスな答えを生みだすのですが、そのプロセスがまさに野村流。

 それぞれの選手に対して、自分は何ができて何ができないかを考えさせる。それが、分からなければ怒鳴る。そして、また自分で考えさせる。なぜ、どうして こういう悪い結果になってしまったのかを。それは、偶然ではなく必然。成功には幸運があるけれど、失敗には理由がある。その“考える”というプロセスか ら、自分の役目を明確に認識させているのです。

 運悪く失敗したのではなく、自分の役割を果たせなかったから失敗したと。

 野村監督は、特別なことをしているわけではありません。すべてには、ちゃんと理由があるということを自覚させようとしているだけのこと。ところが、これ が意外にできない。結果がハッキリと出るスポーツだけに、気合いや根性で済ませることが多い。それが、あいまいさを残し、誰でも同じことをやろうとするの です。

 つまり、みんな同じやり方をするということは、相手から見れば、これほど分かりやすい相手はありません。同じようなパターンで、相手を負かすことができ るのですから。

 ところが、いろんなパターンがあれば、相手は読みにくい。それこそ、何をやってくるか想像できない。それこそが、適材適所の効能です。

 山崎選手は、長距離砲としての役割を与えられたので、相手の投球を読みヤマをかける。もし、はずれて三振したらしょうがない。こう、野村監督に言われて 役割に徹することができた、と話しています。

  このイーグルスの輝きを見ていて頭に浮かんだのは、「はとバス」。60年前に登場したはとバスは、東京観光の目玉として一世を風靡(ふうび)。「東京 のバスガール」というヒットソングまで生みましたが、私も初めて東京に来た小学6年生のとき、ワクワクしながら乗ったことを覚えています。

 その栄光のブランド「はとバス」も、20世紀後半に倒産寸前の危機を迎えます。自動車の普及とレジャー産業の多様化で、時代遅れのものとなってしまった のです。はとバスに乗るのは、何だかカッコ悪い、田舎者というイメージが定着。表舞台から姿を消してしまいました。

 その1998年、社長に就任したのが宮端清次さん。東京都庁の元局長でした。宮端さんが行ったのは、社員全員の意識改革。現状維持でいいという幻想と キッパリ決別させたのです。

 “今までと同じことをしていたら、何も変わらないどころか、破滅する”“マンネリこそが最大の敵”、そう言って、全員にはとバス再建のためのアイデアを 求めたそうです。
 運転手もバスガイドも関係なくブレスト。50や100ものアイデアを出し、そこからユニークなツアーが生まれたのです。
 わずか1年で黒字化。4年で累損を一掃。“人間誰でも見物大好き”を信念に、本当にみんなが喜ぶツアーの開発に全員が取り組んだ成果でしょう。
 
 こちらは、イーグルスと違って、まさに栄光からどん底へ、そして再びはい上がってきたブランド。ここでも、リーダーのビジョンが一人ひとりにしみ込んで います。

 この2つのどん底ブランドからの脱出を見てもお分かりのように、危機は決して危機ではなく、危機だから何をやってもダメというあきらめこそが危機。全員 がブランドの持つ個性を理解し、全員が同じ方向を向いて突き進むこと。その力が、どん底ブランドをはい上がらせるのです。全員がブランドのために働ける か、それこそが一番大事なことなのです。

3.[TELECOM2009]「モバイルWiMAXとLTEは利用シーンが異な る」---KDDIの小野寺社長が主張(10.9 nikkeibp)
  KDDIの小野寺社長は,ユーザーの環境変化に対応した取り組みとして,同社が進めているFMBC(fixed mobile broadcastiong convergence)戦略を紹介。ユーザーが幅広いコンテンツをどこにいても楽しめるように,固定もモバイルも映像もシームレスに統合するという取り 組みについて語った。さらにICT企業の役割として,ユーザーがICTに気づくことなくサービスをいつどこにでも活用できる「アンビエント・インテリジェ ンス」を目指していることも説明した。

モバイルWiMAXはデジタル・デバイド解消に最適

 後半のディスカッションでは,予測の難しい環境の中で企業はどのような投資判断をしているのかということが話題にあがった。この話題についてKDDIの 小野寺社長は,「R&Dと次のネットワーク・アーキテクチャへの投資の見極めが大きな課題。その中でKDDIは,モバイルWiMAXとLTEの両 方に投資することを決めた。LTEは携帯電話を拡張した技術であり,モバイルWiMAXはWi-Fiを拡張した技術。将来はある程度,競合は起きるかもし れないが,基本的には利用シーンは異なる」と説明。技術の特性を見た上での両者への投資である点を強調した。

 さらに小野寺社長はモバイルWiMAXについて,「世界が直面する問題の一つであるデジタル・デバイドを解消するための有力な手段」と語る。途上国では インターネットはおろか電話も来ていない現状がある。「モバイルWiMAXはレガシーの電話網に依存せず,電話番号も必要ない。途上国に向いている」 (同)。KDDIでは,世界のデジタルデバイド解消のために,過去15年間にわたり,途上国から技術者を招きトレーニングするような活動を続けたり, ITUを介してこれらの国へパソコンを提供する活動を進めているという。

4.NECが次世代IT基盤構想、「基幹系システムもクラウドへ」(10.8  nikkeibp)
 NECは2009年10月8日、ITプラットフォームの新構想「REAL IT PLATFORM Generation2」と、それに基づいた二つの新製品の概要を発表した。企業の基幹系システムをクラウド・コンピューティングの考え方を取り入れた データセンターで運用可能にするために、技術開発を強化する。

 具体的には、「高効率インフラストラクチャ」「サービス実行基盤」「システムサービス管理」の3領域に力を入れる。今回新たに発表した製品は、データセ ンター内のサーバーの安定稼働を支援するソフトウエア「WebSAM Invariant Analyzer」と、データセンター内のネットワーク構成を柔軟にするシステム「プログラマブルフロー・スイッチ/コントローラ」の二つである。

 WebSAM Invariant Analyzerは、サーバーごとに約170ある監視項目を関係付けてモデル化し、性能劣化や不具合の原因を自動的に分析するソフトウエアである。不具合 が発生したら、どのサーバーのどの監視項目が異常値になったかを自動的に調べ、相関図を画面に表示する。担当者の経験と勘に頼らなくても、原因分析がしや すくなるという。価格は1000万円からで、10月20日に出荷を開始する。

 プログラマブルフロー・スイッチ/コントローラは、スイッチとそれを管理する「コントローラ」と呼ばれるサーバーで構成する、ネットワーク制御システム である。仮想マシンを、異なるネットワークセグメントにあるハードウエアに移動した場合でも、IPアドレスなどを変更する必要なく、プログラマブルフ ロー・スイッチが自動的に通信経路を制御する。

 このシステムは「OpenFlow」と呼ばれる、スイッチ制御用のプロトコルを利用したものである。「従来のルーターやスイッチのトンネリング技術や動 的経路変更技術以上に柔軟性を確保できる」と、渡辺裕之ネットワークプラットフォーム開発本部長は同システムの利点を説明する。2010年度末に製品化す る予定だ。

5.「ポータブル3Gホットスポット」を担ぎ始めた携帯電話事業者 米国でベライゾンなどが提供開始(10.9 nikkeibp)
 第3世代携帯電話(3G)モデムと無線LANルーターを内蔵した「ポータブル3Gホットスポット」が注目されている。5月に米ベライゾン・ワイヤレス, 6月に米スプリント・ネクステルがバンドル提供を開始した。モバイル・ブロードバンドの普及に弾みを付ける一方で,公衆無線LANサービスに少なからぬ影 響を与えそうだ。
 WAN側に3G回線を利用する小型無線LANルーターには,これまでも,イー・モバイルのUSBモデムにも対応した米クレイドルポイント・テクノロジー の「PHS300」など,USB端子やPCカード・スロットを持つ携帯電話対応の製品はあった。そこに,携帯電話のUSIM(universal subscriber identity module)カードを内蔵した3Gモデム一体型製品が登場した。米ノバテル・ワイヤレス製「MiFi 2200」である。

 このいわば「ポータブル3Gホットスポット」とでも呼ぶべき製品を,ベライゾン・ワイヤレスが5月に自社ブランドで販売を開始。6月には,スプリント・ ネクステルが販売を始めた。
クレジットカード大で4時間駆動
 ベライゾン・ワイヤレスはネットブックと無線データ通信のバンドル・サービスを開始した5月17日,同時にMiFi 2200の販売とそれに対応する無線データ通信プランの提供を始めた。いずれも,同社の無線データ通信サービスの需要喚起を狙ったものといえる。

 同社が販売するMiFi 2200は,WAN側がCDMA2000 1xEV-DO Rev.A,LAN側が無線LAN(IEEE 802.11b/g)に対応している。クレジットカードを8枚重ねたほどの大きさ(約90×60×10mm)で,重さもわずか約58gという超小型のきょ う体に,3Gモデム機能とバッテリを搭載。バッテリ駆動時間は最大4時間程度,待ち受けは最大40時間で,Micro-USBポートで充電できる。無線 LAN経由ではデバイスを5台まで同時接続でき,USBケーブルで有線モデムとしても利用できる。

 この小型製品をポケットやカバンに入れて持ち歩くだけで,利用者はベライゾンの3Gサービス・エリア内であれば,パソコンはもちろん,iPhoneなど のスマートフォンやゲーム機を無線LAN経由でインターネットに接続できるようになる。

販売価格は2年契約で100ドル
 MiFi 2200の価格は,ベライゾン・ワイヤレスの無線データ通信サービスを2年契約することで50ドルの補助金が還元され,99.99ドルとなる。通信料金 は,利用上限250Mバイトで月額39.99ドル(超過分は1Mバイト当たり10セント)のプランと,上限5Gバイトで月額59.99ドル(同5セント) のプランを選べる。これは,ネットブックのバンドル料金と同じだが,ほかにも15ドルの1日パスが用意されている。



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