週間情報通信ニュースインデックスno.719  2009/08/15

1.【隠れた世界企業】甲州ワインで欧州酔わせる(8.11  nikkeibp)
 広岡 延隆
 日本の国産品種「甲州」を使った白ワインで海外に挑む。フランスからボルドー大教授を招聘して品質改良を積み重ねた。近隣ワイナリーとの16社連合で欧 州市場攻略プロジェクトにも乗り出した。  「2012年頃にはワインに使える実がなるでしょう」。7月中旬、中央葡萄酒の三澤茂計(しげかず)社長は、 今春植えたばかりで高さが70cmほど伸びたブドウの苗木をいとおしそうに見守っていた。

 「グレイスワイン」のブランドで知られる中央葡萄酒の本社がある山梨県甲州市勝沼町から車で20分ほど。山梨県北杜市明野町に8ヘクタールの広大なブド ウ畑を拓いたのは2002年のことだ。「太陽の村」と称されるほど日本一の日照量を誇る明野村は、ワイン用のブドウを栽培するには最適だと見込んだ。これ までメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルド、ピノ・ノワールといった外来品種を育ててきたが、満を持して国産品種「甲 州」の本格育成に乗り出したのだ。

 「日本食ブームの今こそ世界に通用するブランドを生み出す。それには国産品種の甲州の認知度を世界で上げるしかない」。穏やかな口調ながら三澤社長の思 いは熱い。
 日本のワイナリーの醸造技術は、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シャルドネといった世界で標準的に使われる品種では、本場と遜色ないワインを作れ るところまできた。

 それでも三澤社長があくまで甲州種にこだわるのは、海外の顧客の多くはシャルドネなどの標準的なブドウを使ったワインを日本のワイナリーからわざわざ買 う必要はないと考えるからだ。熱い情熱の裏には「国内市場は輸入ワインやほかの酒とも競合するため市場拡大の余地は少ない。日本のワイン産業の生きる道 は、海外市場の開拓しかない」との冷静な分析がある。

 今回植えた苗は、甲州種では珍しい垣根式で育てる。欧州でワイン用のブドウを栽培する際には一般的な手法だ。国内のブドウ栽培で主に用いられる棚を使う 方式に比べると1本の木から収穫できるブドウの数は少なくなるが、その分、1粒1粒が濃厚になるためおいしいワインに仕上がりやすいという。

 欧州ではワイナリーがブドウ栽培から熟成、出荷まですべて行うのが一般的だ。だが、日本のワイナリーでブドウ畑も併せて持っているところは数少ない。日 本ではブドウは果物として食べるのが一般的で、農家から食用と一緒に作ったブドウを仕入れてワインを作ってきた経緯があるためだ。昔からブドウの産地とし て有名だった山梨県では、なおさらその傾向が強い。

 農家による栽培だけに頼っているとブドウの安定調達や品質面でのきめ細やかな配慮などが行き届きにくくなる問題がある。中央葡萄酒は自らブドウ栽培にも 乗り出すことで、高品質の商品を安定的に作れる体制を目指しているというわけだ。

 並行して追求してきたのが白ワインの醸造技術そのものを高めることだ。2004年から4年間、フランスのボルドー大学から「白ワインの魔術師」と呼ばれ るドゥニ・デュブルデュー教授を招き手ほどきを受けた。フランス産の金属製貯蔵タンクを使用した徹底的な品質管理を習得。「醸造過程での補糖を行わず、甲 州種のおいしさそのものを引き出すワイン作りができるようになった」と自信を見せる。

 こうした取り組みはすぐに客観的評価につながった。2005年、著名なワイン評論家のロバート・パーカー氏が中央葡萄酒の甲州ワインに87〜88点とい う高得点をつけたのだ。同氏が下す100点満点での評価はワインの価格設定にも即座に跳ね返るほど業界で大きな影響力を持つ。


中央葡萄酒が製造した「グレイス甲州2008」 (写真:スタジオキャスパー)
 甲州ワインの特徴は「爽やかでドライ(辛口)」なこと。香りはグレープフルーツや白桃といった果実にも例えられる。世界的に健康志向が高まり寿司などの 日本食がブームになっていることが追い風になっている。

2.NEC、NTTデータ、ユニシス、電気自動車向け充電インフラ整備実証事業に参 加(8.12 nikkeibp)
 NEC、NTTデータ、日本ユニシスは2009年8月12日、電気自動車向けの充電インフラ整備の実証事業に参加することを相次ぎ発表した。NECとユ ニシスはそれぞれ新日本石油と共同で実施。NTTデータはコンビニエンスストアや自治体と共同で実証事業を開始する。

 NECは、電気自動車の内部にあるバッテリーを短時間で充電する急速充電器と、その制御システムを提供する。急速充電器にはNECのグループ会社である 高砂製作所が開発したものを採用し、ENEOSブランドのサービスステーション全国22カ所に設置。 認証・課金システムも提供。

3.IPAがITアーキテクトなど9職種の“理想の人生”を作成(8.11  nikkeibp)
 情報処理推進機構(IPA)は2010年3月をめどに、ITスキル標準(ITSS)で規定された11職種のうち、マーケティングとセールスを除く9職種 のモデルキャリア(標準的なキャリア経歴)を文書化する。モデルキャリアの策定に当たっては、各職種とも10名程度の現役エンジニアにインタビューしてま とめる。モデルキャリアを提示することで、学生や若手エンジニアに広がる将来への不安感の払拭を狙う。

 この事業は経済産業省の「IT人材育成強化加速事業」の一つで、公募によりIPAが受託した。IT人材育成強化加速事業にはITSSの9職種のモデル キャリアの文書化のほか、各職種の人材育成ノウハウ集の策定なども含まれる。2008年に経済産業省が策定したプロジェクトマネジャのモデルキャリアを文 書化したものが好評だったため、対象職種を拡大した。

 モデルキャリアの策定に当たっては、各職種とも40代前後の現役エンジニア10人程度に聞き取り調査する。「ITSSのレベル4に相当するスキルを備え る現役エンジニアにインタビューをすることで、若手エンジニアが身近に感じられるモデルキャリアを作る」(IPAの武井幸三IT人材育成部ITスキル標準 センター企画グループリーダー)。各職種とも女性エンジニアを3人程度含める。調査は8月中旬に9つの職種別部会で構成されるCDP委員会で対象者を決定 し、9月から12月半ばまでをめどに実施する。

4.「Twitter」や「Facebook」へのDoS攻撃の標的はたった1人の 活動家(8.7 nikkeibp)
 Facebookの幹部によると,米国時間8月6日に「Twitter」でサイト全体のサービス停止を,そして,「Facebook」と 「LiveJournal」,Googleの「Blogger」と「YouTube」で障害を引き起こしたサービス拒否(DoS)攻撃は,これらのサイト にアカウントを持つ親グルジア派の活動家ブロガー1人を標的にしたものだったという。

 Facebookの最高セキュリティ責任者であるMax Kelly氏がCNET Newsに語ったところによると,「Cyxymu」というアカウント名を使用するこの親グルジア派のブロガーは,同時に攻撃されたこれらすべてのサイトで アカウントを所有していたという。

 「これは,この活動家を標的として実行された,複数のサイトに対する同時攻撃で,目的は彼の発言を封じることだった」とKelly氏は述べた。「われわ れは,今回の攻撃元を積極的に調査している。そして,われわれはバックエンドに関わっていた複数の人物を特定し,可能であれば,彼らに対して何らかの措置 を講じることを望んでいる」(Kelly氏)

 Kelly氏は攻撃の背後にロシア国家主義者がいたかどうかについて,推測することは避けたものの,次のように述べた。「今回の攻撃を行うことで一番得 をする人物は誰かを考える必要がある。そして,そうした人物たちがしていることや,ほかのユーザーおよびインターネットに対する配慮が全く欠けていること についても,思いを巡らせなければならない」(Kelly氏)

 Twitterは6日早朝以降,数時間にわたってサービスが停止し,断続的な速度低下やタイムアウトが終日続いた。

5.KDDIがモバイルLinuxのLiMo Foundationに加入,「携帯プラットフォーム調査の一環」(8.12 nikkeibp)
 モバイルLinuxの開発推進団体である「LiMo Foundation」は英国時間2009年8月11日,新たにKDDIがLiMoのメンバーとして加入したことを発表した。
 LiMo Foundationは2007年1月に,米モトローラ,NEC,NTTドコモ,パナソニックモバイルコミュニケーションズ,韓国サムスン電子,英ボーダ フォンの6社が設立。Linuxを搭載する携帯電話のソフトウエア共通化を目的に活動している。LiMo Fountationに参加した理由として,KDDIは「端末プラットフォームの動向調査の一環」と答える。

 KDDIは現在,自社で開発した携帯端末プラットフォーム「KCP+」(関連記事)を中心に端末を展開している。その一方で,米グーグルが提供する携帯 電話の開発プラットフォーム「Andorid」の推進団体「Open Handset Alliance」にも参加するなど(関連記事),他のプラットフォームにも触手を伸ばしてきている。

 LiMo FoundationにはNTTドコモのほかソフトバンクモバイルも加入済みで,結果的に日本の大手携帯電話事業者3社が参加する形となった。


 
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