週間情報通信ニュースインデックスno.717  2009/08/01

1.ビジネスモデル転換を強いられる自動車メーカー(7.31  nikkeibp)
製造業とサービス業の融合モデルを確立せよ
宮田 秀明
 最近、あるプロジェクトで、日産自動車本社の役員室を訪れることがあった。その場所には、今からちょうど40年前、私が学生だった頃にも訪れたことがあ る。
 40年前、役員応接室でお目にかかったのは当時の副社長だった岩越忠恕さんだった(後の日産自動車第10代社長)。
岩越さんは、最近の自動車産業の現状を論じだした。
 「政府は資本自由化を強行しようとしている。これはとんでもないこと。今、ゼネラル・モーターズ(GM)の経常利益は約3000億円、つまり日産の売り 上げと同じ額です。資本自由化すればGMは日産を乗っ取ることだってできるのです。こんなことをしてはいけない」

 産業界の反対の声を無視して、政府は翌年の1970年に資本自由化を実行した。そして今、その効果を長い目で見れば、資本自由化によって日本の自動車産 業の国際競争力が高まったと総括できる。  子供の虎を谷へ突き落とすような当時の通産省の政策は、日本の自動車産業を育てたのだ。

 1970年に3000億円だった日産自動車の売り上げは40年間に、連結で8兆円にまでなった。1972年に私が入社した石川島播磨重工業(現IHI) の売り上げは40年間ほとんど同じままだ。  企業にも業界にも、色々なライフサイクルがあるのだ。

 昨今の米国自動車業界の変化は激しい。クライスラーは破産法11条の適用を申請して経営再建中で、GMは事実上、米国政府管理会社になってしまった。米 国の自動車製造業は大きなターニングポイントを迎えているということだ。

 国営企業のようになってしまったGMが、その後どうなるかという議論がかしましい。私の予測は内需中心・大型車中心の自動車会社として縮小して生き残る というものだ。
 小型車へシフトして、改めて世界戦略を描くという説もあるようだが、これは甘すぎるだろう。これまでも世界戦略の小型車プロジェクトは数多く起動され た。クライスラーの「ネオン」プロジェクト、GMの「サターン」プロジェクトである。しかし、ことごとく失敗した。ビッグスリーの凋落の最初の兆しは 1990年代前半のこの失敗に現れていたと言えるだろう。

 大型車と小型車の技術は違うのだ。軽自動車戦略の無かった日産は、軽自動車ビジネスのために、他社製品を使ったOEMビジネスを行っている。日産だって 軽の技術ではスズキに勝てないのだ。

 製造業の力は経営力、技術力、社員力(人間力)が3つの柱だと思う。もっと一般化すれば、構想力、論理力、人間力の3つの力だ。
 低品質高コストの製品しか提供できなくなっているのは、社員力(人間力)が低いからだ。これを改善することは、企業の経営を変えることよりはるかに難し い。永久に無理とあきらめたくなる時だってあるだろう。

 技術力は優秀な技術者の能力が作る。だから優秀な若い人材を集め続けることが大切である。日本の自動車産業に優秀な人材が向かい続けているのに反して、 米国では全く違う人材の流れができている。優秀な若者はシリコンバレーへ向かったり、大手のIT産業へ向かったり、技術や経営のコンサルティング会社へ向 かったりする。自動車産業に限らず、優秀な若者が集まらなくなった産業や企業は衰退するしかない。例外はありえないだろう。

 日本の自動車産業の強みは「社員力(人間力)」と「技術力」にある。ゴーン以前の日産は「社員力(人間力)」と「技術力」は豊かだったのに、「経営力」 がなかったので、ゴーン氏を迎えて「経営力」も高めたのだ。トヨタだって同じだと思う。

 自動車産業はこの先、大きな変化を経験することになる。ハイブリッド車や電気自動車などの環境対応車が主流になっていく方向性はますます強くなるだろ う。 電気自動車はガソリン自動車と比べると、はるかに単純な機械システムである。電気自動車の時代になると、自動車の付加価値が小さくなっていく。当面 は新しい付加価値をハイブリッド・システムや二次電池が作っているわけだが、ハイブリッド車から電気自動車への転換が本格化する時は、二次電池の価格が低 下しているはずなので、自動車は低価格化への道を歩むことになる。今でもクラウンからプリウスへ乗り換える人が多いと聞く。乗用車がどんどん低付加価値化 していく流れは止められそうもない。

 自動車産業の商品モデルがこのように大きく変わる時、自動車会社が行わなければならないのはビジネスモデルの変更である。一言で言えば、製造業とサービ ス業の融合モデルである。電気自動車のための充電インフラ作り、充電サービス、二次電池のリユースビジネスは自動車会社自身がプレーヤーとなれる。

 自動車産業に限らず、製造業は、製造業に徹する企業とサービス業と融合させた新しいビジネスに挑戦する企業の2つに分化していくのではないだろうか。

2.「iPhoneの“脱獄”は多くのトラブルにつながる」,Appleが警告 (7.31 nikkeibp)
 米Appleは米国時間2009年7月30日,携帯電話「iPhone」や携帯型メディア・プレーヤ「iPod touch」に“脱獄(jailbreaking)”と呼ばれる同社未承認の変更を施さないよう,サポート・ページ上でユーザーに強く呼びかけた。そのよ うな行為は利用規約に違反するため,同社のサービスが受けられなくなる可能性があると警告している。

 同社はこれまで,「iPhone OS」を変更するソフトウエアをiPhoneやiPod touchにインストールしたユーザーが多くのトラブルに見舞われたと報告。同社が例として挙げているのは,デバイスやアプリケーションの予期しない終了 やフリーズ,データの消失,不安定なデータ接続や通信の減速,各種サービスの中断,セキュリティ侵害,バッテリ寿命の短縮などだ。

 また,未承認の変更はiPhone OSに復旧不可能なダメージを与える場合もあるため,同社が将来提供するアップデートを受けられなくなる可能性もあるという。

 なお,米メディア(CNET)によると,Appleは先ごろ,iPhoneの脱獄という行為は,国家の脅威を招く危険性があり,iPhoneの通信事業 者である米AT&Tのサービスの信頼性を落とす可能性がある,と主張する書類を米著作権局に提出している。

3.「今までと違うものを」、朝日新聞が利用者参加型の携帯メディアを開始(7. 31 nikkeibp)
 朝日新聞社は2009年7月30日、携帯電話向けコミュニティおよび情報管理サービスの「参考ピープル」の試験運用を開始したと発表した。9月から正式 運用する。利用者が投稿する情報を主体とするネットメディアとしての成長を見込み、3年後に100万人の利用者、2億円の売り上げを目指す。

 参考ピープルは朝日新聞社が運営主体となり、短文投稿によるコミュニティの「ミニブログ」と気になるサイトを記録する「ソーシャルブックマーク」を併用 できる無料サービス。利用者は蓄積する情報をタグで管理する。主要3キャリアの非公式サイトとして展開する。

 システム開発はベンチャー企業の手嶋屋が担当し、同社のコミュニティ構築ソフト「オープンピーネ」で開発した。利用者の情報提供を促す機能もベンチャー 企業の芸者東京エンターテインメントの自動会話ソフトを用いて実装した。

 朝日新聞社の大西弘美デジタルメディア本部長は「今までの朝日新聞と違ったイメージの面白いものができればいい」とサービス内容の狙いを述べた。当初は 35歳前後の利用者を見込む。「運営しながら柔軟に利用者層の需要に合わせて改善していく」(朝日新聞社デジタルメディア本部の洲巻圭介プロデューサー) としている。

4.日本IBMが稼働率99.999%の仮想資源貸しサービス(7.30  nikkeibp)
 日本IBMは2009年7月30日、IT資源を従量制で貸し出す企業向けサービス「マネージド・クラウド・コンピューティング・サービス (MCCS)」を、10月中旬に開始すると発表した。顧客は日本IBMのデータセンターに設置したサーバーやストレージといったIT資源を、インターネッ ト経由で利用。仮想化技術を使って複数顧客のシステムで同一の資源を共用する。99.999%という高水準の稼働率保証を売り物に、大企業の部門システム や中堅企業の全社システムなどの運用を狙う。

 日本IBMがMCCSで提供するのは、x86サーバーの処理能力。プロセサの処理能力を測定する評価指標「SPECint_rate2006」に基づい て料金を徴収する。WindowsなどのOSやデータベースなどのミドルウエアは、原則として顧客企業が用意する。仮想化ソフトには「VMware」を使 う。

 仮想化技術を使った同様なIT資源貸しサービスは、他の大手IT企業がすでに手がけており、IBMは比較的後発だ。同社は99.999%という高い稼働 率を保証して、他社と差異化を図る。加えて3段階の運用サービスを用意する。内容は「監視のみ」のレベル1、「監視、運用、障害の一時対応」のレベル2、 レベル2にSEによるサポートを含めたレベル3である。

 顧客は使用量に応じて料金を支払う。料金の目安は、SPECint_rate2006の値を「5.0」として、OSにWindows、メモリー1Gバイ ト、ディスク容量20Gバイト、運用レベルが1の場合で月額5万円。SPECint_rate2006が5.0の処理能力は、ファイルやプリンタの共有、 部門レベルのアプリケーションが稼働するのに問題のない水準だという。

5.AT&Tの「iPhone」独占はいつか終わる--AT&Tの トップが語る(7.27 nikkeibp)
 カリフォルニア州パサデナ発--AT&Tの最高経営責任者(CEO)Randall Stephenson氏は米国時間7月23日,同社が今後も米国で「iPhone」を独占提供し続けるという考えは現実的でないと述べた。
 Stephenson氏は,Fortuneが当地で開催したBrainstorm Techカンファレンスで講演し,「iPhoneを独占しなくなる日がいつかやってくる」と語った。しかし同氏は,AT&TとAppleの交渉の 詳細についてはコメントを控えた。
 AT&TがiPhoneの独占契約を失うのかどうか,むしろ,いつ失うのかという問題は,同社と同社の投資家にとって重要な問題になっている。
 「すべてを考慮すれば,Appleとの関係は本当にうまくいっていると思う。われわれのこれまでのあらゆる戦略的パートナーシップもそうだろう」 (Stephenson氏)
 FortuneのStephanie Mehta氏に,この関係の本質について完全に満足しているかと尋ねられたStephenson氏は,次のように質問をかわした。「わたしの妻に,わたし についてそのようなことを言ってもらえるかどうか,わたしには分からない。だから,わたしがビジネスパートナーについてそのようなことを言ってもよいとは 思わない」
 23日に発表のAT&Tの業績報告では,同社が新しい「iPhone 3GS」に関する出費で打撃を受けたことが示された。「わたしはこの携帯電話にそんなにたくさん払いたくはない。不思議なことだ」(Stephenson 氏)
 しかしこれは,最終的に,毎月より多くの料金を支払い,携帯電話サービス業者を変更しそうにない顧客を獲得するための,投資なのだと同氏は言う。


 
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