週間情報通信ニュースインデックスno.716  2009/07/25

1.国家技術開発プロジェクトの無様なマネジメント(7.24  nikkeibp)
大切なのは予算獲得後の「変化と成長」
宮田 秀明
 商船の多くはディーゼルエンジンでプロペラを回して推進している。その仕組みは自動車とほぼ同じなのだが、船には変速機がないところが違う。船のエンジ ンとプロペラは直結されていて、ディーゼルエンジンの回転数は毎分100回前後である。

 モーターでプロペラを回す方式の「電気推進船」という船がある。これは、ディーゼルエンジンとプロペラを直結せずに、ディーゼルエンジンで発電機を回し て発電し、電気でモーターを回す。この技術はそれほど難しいものではないので、古くから使われている。戦前は客船によく使われたが、最近の客船でも復活し て、大型のクルーズ客船では定番の推進システムになっている。このシステムを使うと静かで、振動が少なくなるのでクルーズ客船に適しているのだ。

 この電気推進システムを2000〜5000トンの内航船に応用しようというプロジェクトが2003年に始まった。内航船の主な荷物は石油製品と鋼材とセ メントである。国のプロジェクトだった。その頃、国のプロジェクトにはなるべく関わらないようにしていた。ところが国土交通省の担当課長が、この職の人に とっては珍しいことを言うのだ。

 「先生にならついていけそうな気がします」
 そうして、内航船を近代化するこの計画のプロジェクトマネジャーを引き受けた。ところが予算を要求した時の企画案を見て驚いた。技術的に間違ったことが 満載なのだ。

予算のついたプロジェクトは設計を修正できない
 スーパーエコシップ(SES)プロジェクトと命名されていて、骨子はこんな具合だ。
(1) 燃料費の少ないエコな船にする
(2) 電気推進システムを使って、安全で扱いやすく、高齢化の進む船員に合った船にする
(3) 主機関には、別の国家プロジェクトで開発した新設計のガスタービン・エンジン(ジェットエンジン)を採用する

 (2)と(3)は、(1)とは相容れないことである。エンジンで発電機を回して電気を作り、この電気を使ってモーターを回してプロペラで駆動するシステ ムは、エンジンで直接プロペラを回す方式より20%程度効率が悪い。20%ロスが発生するのだ。さらにガスタービンの燃費は普通のディーゼル機関より 20%は悪い。

 エコな船の計画とはまるで反対の条件を2つもつけて国家予算を獲得してきたのだ。そして、一度予算がついた以上、修正はできないのだという。しかも、初 年度だけではない。このプロジェクトが終了するはずの4年後まで、これは変えられないというのだ。

 手かせ足かせをつけて泳げと言われているに等しかった。

 それでもプロジェクトの開始から約2年間、約50回の会議をこなして、何とか成功させようと頑張った。報酬はゼロだった。国立大学の教員が国の研究所の 所員を併任する形を取らされたからだ。

 主機関であるガスタービンを担当するA重工の担当者には何度も聞いた。
 「このエンジン、本当に1年間、延べ5000時間の運転ができますか?」
 自信を持って、大丈夫という答えをほしかったのだが、いつもあいまいな答えだった。生粋の技術者である彼らはウソをつけなかったのだろう。
 「役人の前では言えませんが、本当は自信ありません」
 そう顔に書いてあった。エンジンに関しては素人の私にも、主軸が途中で分断されている構造には疑問がいっぱいだった。

社会普及させるため1つの決断を下す
 プロジェクト開始から1年ぐらいたった時、私は1つの大きな決断をした。電気推進とガスタービンという2つのエコに反するシステムの両方を抱え込んでい ては、結局、大失敗に終わらざるを得ないだろう。片方を早くあきらめなければならない。

 そこで決めたのはフェーズIとフェーズIIの2つの計画を並行して進めることだった。フェーズIは予算獲得の名目を満足させるためにガスタービン・エン ジンを使うことにしておく。しかし、普及用としてガスタービン・エンジンではなくディーゼルエンジンを使って発電するシステムを使ったフェーズIIの設計 を用意しておくことにしたのだ。

 すべての技術開発プロジェクトは成功して社会普及しなければ意味がない。だから社会普及の可能性のほとんどない部分をフェーズIとして切り離し、フェー ズIIで社会普及を実現しようとしたのだ。

 それにしても、電気推進による20%のロスを何とかリカバーする技術を開発しなければ、既存船に経済性で負けてしまう。

 この20%をリカバーしたのは、私自身が行った船の形の最適設計とB重工の2重反転プロペラの採用だった。私は、コンピューターシミュレーションを使っ て、船の形を最適な設計にして、船の抵抗を約10%減らすことに成功した。B重工は2重反転プロペラを採用して10数%の効率向上を実現した。フェーズ IIの船の設計をまとめたばかりか、営業活動まで行ったのはB重工のM氏だ。私とは20年来の盟友である。


 公的な補助が付いたこともあって、スーパーエコシップ、フェーズIIの内航船は、世の中に広まっていった。今では、珍しく成功した国家プロジェクトとし て認められているようだ。
 このプロジェクトを成功させたのは、M氏の大きな力と私の船舶デザイナーとしての少しばかりの力であることは間違いないのだが、このことはほとんど誰も 知らない。

 予算獲得の名目を尊重するために続けたフェーズIはどうなったのか。名目を守るのが役人の仕事だから、国家予算を使ったフェーズIの船も建造された。し かし、ガスタービン・エンジンはデッキ上に搭載され、ほんの数日実験され、このエンジンは撤去されてしまった。フェーズIは予想通り実用性がなかったの だ。


国家技術開発プロジェクトを成功させるために

 技術開発プロジェクトを成功させるためには、日々生まれる新しい知見に基づいてプロジェクトの設計を日々変えていくことが不可欠なのだ。
 技術開発プロジェクトを成功させるためには、しっかりしたビジョンを実現するために、設計を日々変化させ、研究者、技術者が高めていくことが一番大切 だ。例外はないと思う。

2.「Google Docsはオンライン・ストレージへ姿を変える」,Google関連ブロガーが予想 (7.23 nikkeibp)
米Googleに関する話題を取り上げるブログ「Google Operating System」のブロガーであるAlex Chitu氏は米国時間2009年7月22日,オンライン統合オフィス・アプリケーション「Google Docs」でPDF形式以外のファイルのアップロードが可能になる見通しだとする投稿記事を同ブログで公開した。その根拠として,Google Docsの「items by type」メニュー内で「PDFs」だった項目が「Files」に変わったことを挙げた。

 同氏は,アップロードできるファイルの種類に制限がなくなることで,Google Docsが徐々にオンライン・ストレージ・サービスへ姿を変えると予想する。また,以前から「GDrive」や「Google Drive」といった名称で存在がうわさされているオンライン・ストレージ・サービスについて,アップグレード版サービス「Cosmo」に触れた Googleの社内文書を見つけたとしている。その文書には,「Google Docの全ユーザー・アカウントをCosmoに移行させる作業を進めている」と書いてあったという。

 Google Docsのコードには,Webブラウザ「Google Chrome」用のロゴの付いたフォルダ・アイコン画像とビデオ共有サービス「YouTube」用のロゴ画像を参照している部分があるとの情報もあり,同 社のパソコン向けOS「Google Chrome OS」からオンライン・ストレージへのファイル保存や,YouTubeへのビデオ・ファイル・アップロードが可能になるとみている(関連記事: “Google OS”ついに出現,2010年後半デビュー)。

3.「AndroidやWindows Mobile用の統合マーケットを独自に提供する」,ドコモの山田社長が明らかに(7.22 nikkeibp)
NTTドコモの山田隆持社長は2009年7月22日,東京ビッグサイトで開催中のワイヤレスジャパン2009の基調講演に登壇した。この講演で山田社長 は,AndroidやWindows MobileなどオープンOS向けのアプリケーションの流通の場(マーケット・プレイス)をドコモが主体となって統合的に提供する計画を明らかにした。 2009年度中にプロトタイプを作り,その後に商用化を目指すという。

 オープンOS向けのマーケット・プレイスは,米グーグルがAndroid向けに,米マイクロソフトがWindows Mobile向けに,それぞれ用意している。ただ,これらは「基本的にグローバル仕様で英語(を前提としたもの)であり,日本語での検索などが不便な側面 がある」(山田社長)と指摘。オープンOSの市場を拡大するためにも,グローバル・プレーヤーによるマーケット・プレイスと並行して,ドコモ独自の統合 マーケット・プレイスを提供していくとした。

 ドコモのオープンOS向け統合マーケット・プレイスでは,各OS向けのアプリケーションのほか,音楽や映像,書籍などのコンテンツ,Webサービスな ど,多彩なコンテンツやサービスを流通させる計画。課金方法も複数用意する。なお,マーケット・プレイスを利用する端末としては,ドコモのオープンOS採 用端末はもちろん,他社のオープンOS端末もインターネット経由でアクセス可能にしていきたいとした。

4.フェイスとウィルコムがXGP搭載家庭用情報端末を共同開発へ,地域活性化サー ビスに展開へ(7.21 nikkeibp)
フェイス(京都市中京区,代表取締役社長:平澤創氏)とウィルコムは2009年7月21日,高速モバイルデータ通信 「XGP」を搭載した家庭用情報端末の開発を共同で始めると発表した。また,地方自治体向けにも,この情報端末を利用した地域活性化サービスの開発に着手 する。

 今回,両社が共同開発するXGP搭載家庭用情報端末は,テレビに繋げて使用するセットトップ・ボックス型の端末である。テレビの画面上で地域情報や生活 情報などの様々な情報を取得できるようにする。フェイスが情報端末とコンテンツのサービス・プラットフォームを提供する。ウィルコムは,XGPとXGPを 活用した次世代ワイヤレス・ネットワークを提供する。
 
5.H3Cがデータセンター向けスイッチ、100ギガへ拡張可能な高速性売り込む (7.22 nikkeibp)
H3Cテクノロジージャパンは2009年7月22日、データセンター向けスイッチ2製品を発表した。一つはシャーシ型のコアスイッチ「S12500」シ リーズ。将来的に100Gビット/秒のポートを搭載可能な高速性が特徴だ。もう一つはボックス型のエッジスイッチ「S5800」シリーズで、ファイウオー ル機能の統合や大容量バッファの搭載が特徴である。

 S12500、S5800シリーズともに9月に提供を開始する。S12500の参考価格はシャーシ、10Gイーサ64ポートのセットを冗長構成で組んで 4660万円。S5800はポート数などで複数のモデルがあり、参考価格は128万円から269万円となる。販売チャネルは販売パートナー経由の間接販売 である。「国内ベンダーへのOEM提供もしていきたい」(久保田則夫社長)。



 
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