週間情報通信ニュースインデックスno.711  2009/06/20

1.67種類の「おもふ」で憂うマーケティングの今(6.19  nikkeibp)
 白川静さんという「漢字の世界」の学者をご存知でしょうか。 60歳で「漢字」を刊行。そして、何と70歳を超えてから、「字統」「字訓」「字通」とい う膨大な字書三部作を完成させたのです。それから、96歳で亡くなるまで、その情熱は冷めることがなかったそうです。

 なぜ、白川さんのことをつい最近まであまり知らなった私が、このコラムで取り上げたか。その理由は、「おもふ」という言葉には、何と67にも及ぶ「おも ふ漢字」があったということを知ったからです。12世紀の字書「名義抄」には、「念ふ」「思ふ」「憶ふ」「想ふ」「欲ふ」「疑ふ」「謂ふ」「慮ふ」「怨 ふ」などです。

 私たちが思う、「おもふ」をはるかに超えた「おもふ」が存在していたのですね。白川さんの研究は、漢字は単なる言葉を表記するための日常的な道具でもな く、意識から遠のいた記号でもなく、「漢字には、文字が生まれる以前の悠遠(ゆうえん)なことばの時代の記憶がある」というもの。つまり、漢字には人間の 原初の祈念や欲望があるということです。

 もちろん、漢字は世界でも数少ない象形文字であり、表意文字。人は人間の形からきていることは誰でも知っていることです。しかし、白川さんは形以上に、 漢字に込められた「呪能」、人間が文字に込めた原初の働きに注目していたのです。

 白川さんの研究は、漢字の発祥の地、中国でもほとんど取り組まれていないもの。白川さんの着眼と執念には驚かされるばかりでした。
 そうおもいながら、今の社会を見渡したとき、がくぜんとしました。「おもふ」ということが、どんどんと薄らいでいるような気がしたのです。

 例えば、村上春樹著「1Q84」。わずか12日間で100万部を突破。もちろん、村上氏の著書は黙っていても、いずれはベストセラーになるでしょう。読 み継がれていって、感想が世にあふれ、そして広がっていく。これが通常の波及です。

 ところが、覆面マーケティングと称して、ふたを開いた途端の爆発。マスコミの異常反応。それによって、われ先にと書店へ押し掛ける。マーケティングは成 功でしょうが、何か大きくひっかかるものを感じました。

 村上氏は日本における重要な作家ですから、そんなことをしなくても問題ないでしょう。一番の問題は、自分の中で「おもふ」ということをせずに買い求めて しまう行為です。ここには、“はずしたくない”“ムダをしたくない”という現代特有の態度が如実に表れているような気がします。

 また、インサイト、プリウスのハイブリッドカーの人気もそれに似ています。クルマが無関心対象ならそっぽを向くし、人気が回復すれば“エコ”という言い 訳を携えながら集まる。何だか、「おもふ」という日本人が持っていた思考を捨てたとしか思えないような現象です。

 みんなを一斉に振り向かせるのではなく、個々がそれぞれに考え、自分の「おもい」を持ってそれらのことに接していく。そうしていかなければ、本物の価値 は生まれにくいのではないか。少しくらい、時間がかかってもいいのでは。そんな気持ちが強くなっています。マーケティングにおける、ブームのあり方。もう 少し、考え直すところにきているのかもしれません。

 もともと、「考える」ことにはひな型はありません。一人ひとりが、「おもい」をめぐらし、そこから自分の価値を見いだしていくはずです。情報がはんらん しているから、情報の選択が迫られ、そこから危険のないエリアに足を止める。もちろん、そこから得るものも多いでしょう。しかし、そこで批判精神を持つこ とができなければ、均質化された価値観しか生まれません。

 ご存じのとおり、日本には文字の文化はありませんでした。そこに中国から「漢字」が移入され、そこから「真名」「仮名」を生み、独自の音訓法を生み出し た日本人。そこには、間違いなく、「おもふ」という自由に考えるプロセスが存在していたと思います。

 疑いながら「おもふ」、想像しながら「おもふ」、楽しみながら「おもふ」。「おもふ」という言葉に秘められた「おもい」を考えながら、もっともっと、お もわなければならないのでは。自戒を込めて、白川さんからそんなメッセージを受けたような気がしています。

2.「WiMAXと十分競争できる」---イー・モバイルが21Mbps通信サービ ス対応端末を発表(6.18 ITpro)
 イー・モバイルは2009年6月18日,HSPA+(high speed packet access plus)方式のデータ通信サービスに対応したデータ・スティック端末「D31HW」を発表した。8月上旬のHSPA+データ通信サービス開始と同時に提 供を開始する。通常価格は4万1980円。2年契約プラン「新にねん」を申し込んだ場合は1万7980円で販売する。

 HSPA+方式のデータ通信サービスは,データ変調方式を16QAMから64QAMに切り替えることで,受信速度を最大21.6Mビット/秒に高速化し たもの(関連記事)。従来のHSPA方式の最大受信速度は7.2Mビット/秒だった。

 同社が実施したHSPA+方式データ通信のフィールド試験では,日中の横浜駅地下のポルタ街で15.2Mビット/秒,東京駅地下でも14.8Mビット/ 秒の平均受信速度が得られたという。イー・モバイル 執行役員副社長の阿部基成氏は,「モバイル・ブロードバンドで初めて,ADSL並みの高速通信を実現した」と新サービスをアピール。また,7月1日にサー ビスを開始する競合UQコミュニケーションの「UQ WiMAX」に対して,「パフォーマンス,エリア,料金ともに十分競争できる」(阿部氏)と述べた。

 併せて阿部氏は,6月10日に参入が決定した3.9世代移動体通信サービスの提供時期に言及(関連記事)。2010年9月には,受信速度40Mビット/ 秒を超えるLTEの商用サービスを開始する意向を示した。「HSPA+の21.6Mビット/秒はLTEへのステップに過ぎない。我々は,グローバルでスタ ンダードになるサービスをいち早く日本市場に提供していく」(阿部氏)。

3.IBMが企業向けクラウド・サービスを開始,まずソフト開発/試験用と仮想デス クトップ用(6.17 ITpro)
米IBMは米国時間2009年6月16日,企業向けクラウド・コンピューティング・サービス「IBM Smart Business」の提供を開始した。同社の環境を利用して社外向けアプリケーションを提供できる標準メニューと,企業の既存インフラを使って社内向けク ラウド環境を作るプライベート・メニューを用意する。同社の設定済みハードウエア/ソフトウエアを社内に設置してクラウド環境を構築するメニュー「IBM CloudBurst」は6月19日より提供する。

 いずれのサービス・メニューも自動化/セルフ・サービス機能を備え,システム管理の負荷を軽減する。主な用途としてソフトウエア開発/試験と仮想デスク トップを想定している(関連記事:[IBM IMPACT 2009]「開発者はパブリック、企業システムはプライベートで支援」、米IBMがクラウド関連の新製品を披露)。

 ソフトウエア開発/試験用クラウドは,社外に公開可能な標準版と,ファイアウオールで外部から隠して主に試験用とするプライベート版,IBM CloudBurstによるものの3種類。仮想デスクトップ用クラウドは,標準版と社内インフラを使うプライベート版の2種類。

 顧客企業はシステム構築に必要なハードウエア/ソフトウエアの導入や管理作業をIBMに任せられるため,IT関連コストと作業負荷を減らし,ソフトウエ ア開発にかかる期間を短縮できるという。

4.グーグルが目指す検索の進化は「簡単な入力」と「パーソナライズ」、 Twitter検索も対応へ(6.15 ITpro)
 グーグルは2009年6月15日、同社の検索エンジンの進化の方向性とその背景を説明する記者説明会を開催した。米グーグル検索製品およびユーザーエク スペリエンス担当副社長のマリッサ・メイヤー氏は方向性として、「検索の入力を簡単にすること」と、「パーソナライズされた関連性に応じて検索結果を出す こと」が課題と進化の方向性になると説明。また、米国を中心に利用者が急増したマイクロブログサービス「Twitter」の投稿データの検索については、 「(Webサイトと同時に画像や動画などさまざまな検索結果を表示する)ユニバーサル検索に出す方向で考えている」と方針を明かした。

 メイヤー氏はまず、検索技術の進化の背景となるネット上の情報量の急増を説明した。グーグルがインデックスする情報量は5年前が5エクサバイト(エクサ は100京)だったのが、現在は281エクサバイトに増えているという。

 Webページが単純に増えている面もあるが、ユーザー投稿が増えているのが急増の大きな要因だ。動画、写真、ブログなどの投稿量は3年前の15倍になる という。現在、動画投稿共有サイト「YouTube」に1分間に投稿される動画は平均20時間分、写真投稿共有サイト「Picasa」へ投稿される写真は 同4800枚にも上る。急増の結果、ネット上のデータの入れ替わりが激しくなり、Googleの検索結果の20%が過去3カ月に無かったもの、 Googleの検索エンジンロボットが収集するデータのうち15〜20%が新しいデータなどといった統計結果を明かした。

 そうした背景やユーザーの検索への期待が大きくなっていることを受けて、検索語の入力を簡単にすることと、普遍的な関連性でなくパーソナライズされた関 連性に基づき検索結果を出していくことが今後の課題になると説明した。「ユーザーが努力するのでなく、我々が努力して検索を簡単にしていく」(メイヤー 氏)という。

 検索語の入力を簡単にする手法としては、似た画像を検索できる「Google similar images」の機能を使って、月の写真を画像検索で探す例などを紹介した。ユーザーは月の特定の満ち欠けの状況を頭に描いても、検索語では表現できな い。そこでまず「moon」で画像検索して出てきた画像の中から、自分が思い描くものに近い写真を選び、「Similar images」のリンクをクリックする。するとと同様の写真が多数出てくるので、さらに好みに応じたものを探す流れだ。

 パーソナライズされた検索結果については、携帯電話の基地局情報やパソコンのIPアドレスに基づいたローカル検索の事例などを紹介した。IPアドレスで あれば町単位まで判明するという。

 こうして検索が進化し、ユーザーが情報をうまく探し出し出せるようになり、ユーザー投稿や検索語の入力といった「ユーザーの貢献」(メイヤー氏)が増え るという循環が進むことで、ネットの世界、世の中を良い方向へ変えていくことをグーグルは目指すという。

  グーグルがまだ手掛けていない領域として注目されているTwitter検索については、「グーグルのインデックスについてはブログ、ニュースなどでス ピードを重視しており、全世界的に見ても一番速い。マイクロブログの検索もユニバーサル検索に出す方向で考えている」(メイヤー氏)と明かした。ユニバー サル検索は、ユーザーの関心を推測して、ウェブ検索と一緒に動画、画像、本、地域情報、ニュース、米国では製品情報なども交えて出すサービス。現在、 Google検索全体の9〜15%でユニバーサル検索を表示しているという。

5.「笑顔」で自分も仲間も元気にするテクニック(6.19 nikkeibp)
海保 博之
 「笑い」には、実に様々な種類があります。苦笑・嘲笑・冷笑・せせら笑いなどのように「ネガティブな感情の表出としての笑い」から、笑顔・爆笑・微笑 (ほほえみ)のように「ポジティブな感情に伴う笑い」まであります。
 ここでは言うまでもなく、後者の「ポジティブな感情に伴う笑い」を取り上げることになります。

 さて、そのポジティブな笑いにはどんなものがあるのでしょうか。
ポジティブな笑い1:感情の表出としての笑い
 まずは、「感情の表出としての笑い」があります。
 これは、笑いに限りません。気持ちの喜怒哀楽は、顔の表情として表出します。笑いは喜びと楽しさの表出です。しかも、人に固有の表出です。
 怒りなどのネガティブ感情に伴う表出は、犬猫でもあるのになぜでしょうか。(もっとも動物愛好家なら、犬猫も笑うというかもしれせんが(笑))。

ポジティブな笑い2:おかしさの表現としての笑い
 笑いの2つ目は、「おかしさの表現としての笑い」です。
 ポジティブ感情の表出としての笑いと区別しにくいところがありますが、多くの場合、外の世界に原因のある笑いです。
・謹厳実直な上司がオヤジギャグをとばした
・盛装のご婦人のハイヒールのかかとがとれてしまった
・ドアを思い切って引いたらドアノブが取れてしまい、しりもちをついた

 こんな場面を目撃したら笑います。おかしいからです。

ポジティブな笑い3:仲間へのメッセージとしての笑い
 最後が、「仲間へのメッセージとしての笑い」です。
 笑いによって、仲間に自分の気持ちを伝えるのです。笑いをあえて、「仲間を元気にする習慣づくり」に入れたのもこのためです。
 では、この笑いについて詳しく考えてみます。

仲間へのメッセージとしての笑いの効用
 「相手を全面的に受け入れる」「自分が今、ポジティブであることを伝える」「あなたは私の予想を外れた言動をしている」――。
 このようなメッセージを相手に言わずもがなに伝えることは、笑いの一つの効用です。

 この「言わずもがな」が大事ですね。何も言わなくとも、笑いは、これだけのことを分かってもらえるメッセージなのです。使わない手はありません。
 これ以外に、笑いには「相手の気持ちを元気にする効用」もあります。笑いには、感染効果があるのです。ある人の笑いが回りの笑いを誘うのです。この効果 は場の雰囲気を変えます。周囲を元気にしてくれます。

効果的に笑うテクニック
 さて、では効果的に笑ったり、笑わせたりするのは、どんなことに心がけたらよいのでしょうか。 
 いずれの場合でも、気持ちがポジティブでないとどうにもなりませんね。そうでないと、無理な作り笑いになってしまいますから。その上でまず、自分から効 果的に笑うほうから。

 日本では、講義や講演において、学生諸君や聴衆が実にまじめで笑ってくれません。まじめなのは良いのですが、相手が笑わせようとしている時には笑ってほ しいものです。大声で笑う必要はありませんが、せめて顔の緊張をほぐして微笑くらいはするように心がけることが大切です。

 確かにお笑いタレントと違って、講義や講演の本筋にかかわる冗談やユーモアは、自分の予想とのズレが分からないと笑えませんから、きちんと話を聞いてい ないと笑うタイミングがとれません。それだからこそ、笑うということは、「あなたの話をきちんと聞いている」「話が私に伝わっています」というメッセージ を送り返すことになるのです。

 もう一つは、かなり強引な笑いになりますが、ともかく笑う、もっと言うと爆笑することです。さらに言うなら、気持ちに関係なく笑ってしまうことです。
 冒頭で、「笑うから元気なのか、元気だから笑うのか」は、感情心理学の大問題と言いました。それは、

 笑う(身体の末梢反応) → 元気(ポジティブ感情)

という因果を想定するのか、あるいはこの逆なのかということです。
 この答えとして古くからあったのが、「笑うから元気」という因果関係(「ジェームズ・ランゲ説」)です。

 それが最近、少し装いを新たに再登場してきたのです。ちょっとだけ説明します。
 笑う → 「自分は、なぜ笑うのだろう、と推論する」 → 面白いからだ!

 「身体反応」と「感情」との間に、自分の身体反応がなぜ起こっているかを推論する過程が入って、その解釈に従って感情が発生する、というのです。「笑っ ているから、自分は面白いと思っているらしい」というわけです。

 人は何にでも理屈をつけたがる存在であることを考慮した仮説です。
 決着はついていませんが、でも、ともかく笑ってみる。そうすれば、元気になるのですから、試してみる価値はありますね。

 もう一つ、やや邪道なテクニックを。それは「笑顔づくりの練習」です。
 「はい、チーズ」と言われたら、顔に満面の笑みを浮かべることができるように、例えば、毎朝、鏡をみながら、笑顔づくりをしてみるのです。

効果的に笑わせるテクニック
 次は、相手を効果的に笑わせるコツです。
 お笑いタレントの真似をして、「ぼけたり」「突っ込んでみたり」「ダジャレを言ったり」「からかってみたり」は、場面によってはあってもよいかもしれま せんが、普段は、そんなハイテンションは不要です。
 相手を効果的に笑わせるには、結局はここでも、あなたが笑えば良いのです。笑いには伝染効果があるからです。
 あまりにも簡単なことですが、これがすべてです(笑)。
 さあ、あなたも今日からたくさん笑ってみてください。そして、笑いの自分への効果と周囲への伝染効果を体感してください。



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