週間情報通信ニュースインデックスno.707  2009/05/23

1.技術は劣化する(5.22 nikkeibp) 
宮田 秀明
 私は1人で声に出してしまった。 「ひどい! 最悪の設計だ」

 軍艦や商船のマニア向け雑誌「世界の艦船」の表紙を見た時のこと。米海軍の最新鋭の3000トンの沿海域戦闘艦が全力で航走している写真が載っている。 ひどいのはこの最新鋭の軍艦の作っている波だ。  船の波は主に一番先端の船首と一番後ろの船尾から出る。この船の作る波がひどいのだ。船首からの波も悪いのだが、船尾からの波は許しがたいくらいだ。船 は波を作るが、その波を発生させるために馬力が要る。波を発生させなくするよう船の形を最適にしていく技術は「船型学」と言う。

優秀な人材が集まらない分野の技術が劣化

 船型学は30年も続けてきたので、研究の世界でかなり上りつめたのだが、その一方で、船の形を設計するエキスパートになった。だからアメリカズカップの 仕事も引き受けたし、最近ではスーパーエコシップという電気推進の内航船の設計を指導し、波を作ることによる抵抗(造波抵抗)を60%減らすことにも成功 した。

 この「世界の艦船」のページを開いてみると、米海軍の沿海域戦闘艦の建造中の写真がたくさんあった。どこの設計が悪いのか一目瞭然に分かった。明らかに 設計のレベルが低い。私が代わりに設計したとしたら、すぐにエンジンの馬力を20%減らせそうなくらいだ。

 米国では商船を建造するビジネスはほとんどないが、プレジャーボートや軍艦を製造するビジネスは世界トップの規模にあった。だから、米マサチューセッツ 工科大学(MIT)やカリフォルニア大学バークレー校などには造船関係の学科があって優秀な学生が集まり、造船造艦の世界へ巣立っていった。

 ところが、ソ連崩壊の前後から、このような学科がリストラされていき、優秀な人材がこの世界へ向かわなくなっていった。そうして、この分野の技術力が急 速に劣化した。この流れはますます加速し、冒頭のような、ひどい設計をしてしまうだけでなく、誰もその設計の悪ささえ分からなくなってしまったのだ。

 技術は劣化する。このことを知るのは、技術開発に人生をかけてきた私たち技術者にとってつらい現実である。一生懸命支えてきた技術の分野が劣化していく のを目の前にして、何もできないのだ。

 40年前に人類は月に到達した。アポロ11号の偉業である。コンピューターの主記憶容量がわずか50Kの時の偉業である。それから40年、科学技術は大 きな進歩をしてきたはずなのに、一方では技術の劣化も進行させていた。そして今、人類を月へ送り込むことはできなくなっているのだ。

 技術を進歩させたり、技術革新を実現したりすることは難しい。しかし、技術を劣化させることは簡単なことなのだ。


まず創造する能力のある人材を育てよ

 技術の劣化は人材の劣化とともに進行する。米国で有力大学が船舶工学科を廃止したのは20年ぐらい前のこと。日本でも同じ流れが10年ほど前から進行し た。大学が悪いというわけではないだろう。その産業の経営状態が悪く、若者がその産業を目指さなくなるのだ。

 結果としてその産業と深い関係のある工学系の学科は不人気学科となって定員割れし、リストラの対象になってしまう。これが典型的なシナリオである。

 船の設計技術だけではない。あちらこちらで技術の劣化が進行していると言えるだろう。産業界と大学が話し合うべき最大のテーマは、創造する能力のある人 材を育てることと技術の劣化を防ぐ戦略だと思う。

2.日本アバイア、携帯電話に映像を配信できる自動音声応答サービス用ソフト(5. 22 nikkeibp)
 日本アバイアは5月22日、テレビ電話機能付き携帯電話に音声と連動する映像を配信できる自動音声応答サービス用ソフトウエア「Avaya Voice Portal 5.0」を提供すると発表した。電話で問い合わせてきた顧客に対応する際に適切な視覚情報を合わせて表示し、顧客満足度の向上や訴求機会の創出につなげて もらう。

 顧客情報管理(CRM)、企業資源計画(ERP)、サプライチェーン管理(SCM)といった業務システムと連携し、顧客用の音声問い合わせ窓口向け自動 応答システムを構築する。応答音声と連動する形で任意の映像を配信するため、顧客コミュニケーションの効率が高まるとしている。

 例えば、代表電話にかかった通話を振り分けるメニューを音声と画面表示の両方で案内すれば、使いやすい自動応答サービスが実現するという。通信販売サー ビスの注文受け付け番号などでは、音声と連動する商品映像を流すことで商品への理解を深めてもらえるとする。

3.ヴイエムウェア,携帯仮想化プラットフォームを2010年にも投入 (5.22 nikkeibp)
 仮想化製品を手がけるVMwareは,企業のスマートフォンや携帯機器を仮想化する新しいプラットフォームが,2010年にもハンドセットに搭載されて 登場すると明らかにした。
 携帯電話は現在,企業にとってデスクトップコンピュータと同じくらい重要なものになっており,多くの場面で携帯コンピュータとしての働きをしている,と VMwareの最高技術責任者(CTO)Stephen Herrod氏は米国時間5月19日,技術カンファレンスInterop Las Vegas 2009で述べた。

 このプロジェクトはまだ「初期段階」だとHerrod氏は話しているが,VMwareの研究者は,ユーザーが自分の携帯電話を別のハンドセットに移せる ようにする携帯端末対応の仮想化プラットフォーム「VMware Mobile Virtualization Platform」に取り組んできている。

 VMwareは現在ハンドセットメーカーと協議しており,2010年を目処に新しいハンドセットには同技術が含まれる予定だと,同社の製品マーケティン グ部門EMEA(欧州,中東,アフリカ)地域ディレクタを務めるFredrik Sjostedt氏は語った。「この技術は立ち上がっているが,ハンドセットに組み込んで販売するまでにまだ手を加える必要がある」と,Sjostedt 氏は20日,ZDNet UKの取材に答えている。

 携帯電話の仮想化とは,電話機のユーザーデータがハンドセットからハンドセットへ移動可能なファイルになることを意味している。ユーザーが電話を紛失し たり壊したりしても簡単にデータを復元できるようになり,企業のIT部門はサポートで頭を悩ませることが少なくなる,とSjostedt氏は語った。企業 が1台のハンドセットに複数の仮想スマートフォンを稼動させる可能性も秘めている。

4.多くの企業が仮想化技術を導入,しかし過半数が効果の実現に苦慮(5.21  nikkeibp)
  米Network Instrumentsは,ネットワーク機器の総合展示会「Interop」に参加している120人のネットワーク・エンジニア,ITマネージャ,IT部 門幹部を対象に,仮想化技術の導入効果や運用状況について調査した結果を,米国時間2009年5月19日に発表した。それによると,仮想化技術を導入した 企業の多くが,コストやリソースの節約を実現できていないことなどが分かった。

 具体的には,55%の回答者が,仮想化技術を導入して以来,望ましい効果よりも面倒な問題の方が多くなったと述べた。一方で,45%は仮想化技術によっ て得られる利点はほかの問題点を補って余りあると考えている。

 仮想環境におけるトラブル・シューティングで最も困難な点について尋ねると,27%は「可視性とツールの不足」を挙げた。26%は「仮想インフラに関す るトレーニングの不足」,21%は「インフラのセキュリティを確保することの難しさ」と回答した。  仮想化技術に関する最大の問題について,約60%は「仮想化技術を適切に管理する経験の不足」を挙げた。また約50%は,「実装コストが高すぎる」と答 えた。

 調査から,仮想化技術の普及が拡大していることも分かった。55%は,電子メール・サーバーやWebサーバーを含むミッション・クリティカルなサーバー を仮想化している。DNSサーバーやDHCPサーバーなどを仮想環境で実行している企業は50%。デスクトップにも仮想化技術を拡張している企業は39% だった。

 Network Instrumentsのプロダクト・マネージャを務めるCharles Thompson氏は,「たくさんの企業がクリティカルなネットワーク・サービスを仮想マシン上で展開しているが,その多くは適切な監視ツールを導入して いない」と指摘する。「適切なツールがなければ,アプリケーションのパフォーマンスが低下し,ネットワーク担当チームが何時間もかけてトラブル・シュー ティングを行う羽目になる可能性がある」とThompson氏は注意を喚起している。


5.NRIがオープンソースでID管理を支援、シングルサインオンにも対応(5. 21 nikkeibp)
 
野村総合研究所(NRI)は2009年5月21日、企業内のIDを統合管理するシステムの構築サービスを発表した。社内にある複数のシス テムのIDを一つのマスターで管理し、社員の異動時などに一元的に追加・変更・削除できる。加えてシングルサインオン(SSO)の仕組みも一緒に提供す る。シングルサインオンシステムにオープンソースソフト(OSS)を利用することで、システム全体のコストを抑えた。

 構築サービスの名称は「OpenStandiaソリューション / 統合ID管理」。オープンソースのSSOソフト「OpenSSO」と、エクスジェン・ネットワークスのID管理ソフト「LDAPManager」から構成 する。NRIはシステム構成を設計し、二つのソフトをインストールしたサーバーをユーザー拠点内に設置する。

 設計・構築費用は450万円から。保守サポートの年額料金は150万円からとなる。今後3年間で50社への導入を目指す。



 
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