週間情報通信ニュースインデックスno.693   2009/02/07

1.「減らすビジネス」が利益を生む(2.6 nikkeibp)
宮田 秀明

 21世紀には、「減らすビジネス」が増えてくるだろう。これまでは販売数量を年々増やすことで利益増を図ろうとする企業活動がほとんどだった。しかし、 考え方を変えてみようではないか。
 成長や進化は量の拡大によってしかもたらされないのだろうか。もしそうだとしたら、環境問題の解決は永久にないだろうし、地球が持続可能ではなくなるだ ろう。「減らすビジネス」を創造する活動を強めなければならないのではないか。

 富士ゼロックスはオフィスの複写機の台数を減らすことをビジネスにしたそうだ。稼働率の低い複写機を撤去して、そのオフィスにとって最適な台数を設置す ることをコンサルテーションするのをビジネスにしたという。複写機の台数を減らしたからといってコピー枚数が減るとは限らないし、トナー代やメンテナンス で収益を得るという典型的なアフタービジネスである複写機販売ビジネスだからこそできたとも言えるが、それでも「減らすビジネス」の発想は素晴らしい。

環境問題への貢献と新事業創出の一石二鳥となる
 もし、アフタービジネスを含めた複写機ビジネスの粗利が30%で、複写機を減らすコンサルティング・ビジネスの粗利が70%だとしたら、この複写機会社 の利益率は向上することになる。
 通信販売業界では迅速な配達が競われている。東京23区内なら翌日配達だけでなく、午前10時までの注文なら当日配達するサービスもある。このような通 販ビジネスを使う顧客企業の購買行動を解析してみると、年間50万円購入する顧客の注文回数は年10回から年100回までといったように広く分布してい る。

 すぐ配達されることをいいことに、今日お茶を注文して、翌日にコピー用紙を注文して、3日後にはトナーを注文するといった無計画な購買行動も少なくない ようだ。便利な配達サービスに甘えて、計画的な発注が行われないことが多いのだ。高頻度の発注と配達はコストだけでなく資源・エネルギーの面からもムダが 多い。

 もし、注文頻度が低くなれば、それに伴って減る配達費用の低減分の半分を顧客にインセンティブとして与えるというビジネスモデルはどうだろう。売り手と 買い手の両方がWINできて、例えば2%程度のディスカウントになると、このビジネスの価格競争力も高まる。

 新日本石油が三洋電機と手を結んで薄膜太陽電池の合弁会社「三洋ENEOSソーラー」をこのほど設立した。「将来ガソリンの販売量が半分になる」ことを 前提にした長期的視野を持った新日石の経営は素晴らしい。

 「石油精製・販売業は頭打ちなので、太陽電池事業に進出しよう」という戦略も正しいが、「太陽電池を使って石油消費量を減らすことをビジネスにしよう」 という戦略の方が優れているだろう。石油製品の物販に太陽電池の物販が加わるだけなのか、それともユーザーの石油エネルギー使用量を減らすサービスもビジ ネスに取り込むのかという大きな違いがあるからだ。

 リチウムイオン電池は電力使用量を減らすための大きな武器だ。電気を大規模に貯蔵できるようになったので、様々なビジネスが創造されるだろう。家庭の化 石エネルギー使用量を30%減らして家計負担を減らすビジネス、オフィスビルの契約電気容量と日々の電力使用料の両方を減らすビジネスなどは、分かりやす いビジネスモデルなので実現は目の前にある。

 ビジネスを「新しい社会システムを作ること」と考えることが大切だ。環境問題の解決のためには不可欠の考え方と言ってもいい。資源消費を減らすビジネス のWIN-WIN関係を作るということは新しい社会システムを作るということであることが多いからだ。

 環境エネルギー問題は新しい社会システムを作ることによって大きな前進を見ることができるだろう。この時、たくさんの「減らすビジネス」で民間企業が利 益を得ることができると、環境問題の解決と経済成長を両立させることができるだろう。

 「減らすビジネス」を創造しよう。

2.本当のターゲットは、どこにいる?(2.6 nikkeibp)
 関橋 英作
 今、広告・マーケティングの一番の課題は何だと思いますか。未曽有(みぞう)の経済危機、消費への意欲が減退していること、メディア活用の決定打がない こと。課題は満載です。
 それでもマーケッターにとっては、やはりモノが売れないことに尽きるでしょう。これを解決するには、こういう時代でも買ってくれる人は誰?買ってくれる 潜在層は誰?を考えることが必要です。

 “淡々民”と言われて、内向きになっている20代。けん引車になるだろうと期待された団塊世代は、いまだに消費より仕事志向。かすかな望みの“アラ フォー”ですが、多くの40代女性は、子育てと将来への蓄えで切り詰め術を考えているのが実情です。

 頭を抱えるよりしようがないのですが、よーく考えてみると、「ターゲット」という概念についてあまり議論をしたことのないことに気がつきました。
 インターネットで調べてみても、きちんと書かれているものは出てきません。それだけ、ターゲットという概念は常識になっているのでしょうか。

 マーケティング上でのターゲットと言えば、F1(20~34歳の女性)やM1(20~34歳の男性)のように年齢でセグメントするケース。新人類や団塊 ジュニアなどのように世代でセグメントするケース。それから、年収や居住地区などでセグメントするケースなどがあります。

 これらのいずれもが、いわゆるデモグラフィックターゲット。マスマーケティングのにおいが残るターゲットセグメントです。なんだか怪しいと思いません か。

 しかし、マス広告が力を失い始め、インターネットが隆盛を極めると、「インサイト」という言葉が魔法の道具として、一斉に注目を浴び始めました。
 それで、消費者の価値観、ライフスタイル、夢、不安などを基軸にする、サイコグラフィックターゲットに関心が移行。とにかく、消費者インサイトを調べな ければ始まらない、という風潮まで現れ始めました。

 やっとまともなターゲット論議になってきた感じです。もともと、ターゲットにはビジネスターゲット(買ってくれる人)と、コミュニケーションターゲット (広告に反応する相手)があり、伝えるべき相手を絞ってコミュニケーションするのが効果的と言われています。

 キットカットを買ってくれる人は、「子どもからおばあちゃん」までですが、みんなに同じように伝えようとすれば、コミュニケーションは一般的になってし まいます。しかし、「受験生」を相手にすれば、彼らの気持ちの中に入っていく伝え方を採ることができます。これが違い。効果は歴然としていますよね。

 しかも、多くの大人は「受験生OB」。受験生のインサイトが手に取るように分かるのです。不安と希望。結果として、受験生本人よりも、受験生の周りの人 たちがキットカットを購入することで、売り上げが飛躍的に増大したのです。

 しかし、仕事をしていて感じるのが、いまだに「年代」「世代」でターゲットセグメントしている。みなさんは、どうですか?

 たとえば、Aというキャンデーの広告を依頼されたとします。Aキャンデーは、いままでにないほど長持ちするというのが特長。喉にいい、眠気を覚ます、ビ タミンを取るなど機能的な商品が増加しているのが、今のマーケットの傾向です。

 まずやることが、ターゲットの設定。キャンデーだから10代?いやいやビジネスパーソンの20代や30代?熟年もあるでしょう、などと議論の果てに、結 局ビジネスサイズの大きい20、30代のビジネスマンに落ち着く。そういうケース、多くありませんか?

 では、なぜキャンデーをなめる?喉が痛い、風邪気味、気分転換、集中力を上げる、手持無沙汰などなど。確かに、20代や30代のビジネスパーソンにも理 由としてあるでしょう。しかし、これでは、ほかのキャンデーとターゲットがかぶることになりませんか。いってみれば、同じところからの奪い合い。こうなる と、突出した機能をつけるか、価格競争か。いずれにしても、いい結果が出るとは思えません。

 Aキャンデーは、長持ちが売り。しかし、キャンデーに長持ちを求めている人が多いとは想像できません。いわば、変わり種のキャンデーです。
 では、変わり者の多い世代は?20~30代のビジネスパーソンの変わり者はどれくらい?普通ならそう考えます。しかし、「変わり者」はどんな年代にもい ます。とすれば、ターゲットは「変わり者」。つまり、インサイトでターゲットを設定しているのです。

 これが、「インサイトターゲット」。世代で切るのではなく、気持ちで切る。もちろん、10代、20代、30代、40代、50代で変わっている“質”が違 うでしょう。しかし、世の中が決めた標準からはみ出しているという気持ちには共通点があるはずです。

 今までとは異なるセグメントの方法です。もちろん、既にこういう切り方をとっている方も多いとは思いますが、きっと年代、世代を併用しているに違いあり ません。
 それを振り切って、インサイトターゲットでやってみる。隠れていたターゲットがきっと見えてくるはずです。

 この考え方で、なぜ若者はクルマを欲しくないのか?を考えてみましょう。彼らがクルマを欲しくないのは、購買力がないからという理由がすべてではありま せん。クルマに道具以上のステータスなどの意味をまるで感じていないからです。ましてや、自分の城とか自分を表現するものなどとは全く思っていません。

 若い会社に行くと、必ず聞くのですが、クルマに関心のある20代はほとんどいません。女性に至っては、いいクルマに乗っていることをカッコイイとさえ 思っていないようです。オジサンの世代は、ギャフンですよ。

 そういうことなら、若者に合うクルマを開発してもうまくはいきません。それよりも、クルマをステータスや自分の表現と感じていない消費者で切ったクルマ 作りを考えてもいいのではないでしょうか。

 
3.ソフトバンクが好調維持の一方でKDDIは依然苦戦,1月の携帯純増数(2.6  nikkeibp)
携帯電話・PHS事業者各社は2009年2月6日,2009年1月末時点の携帯電話・PHSの契約数を発表した。新規契約数から解約数を差し引いた月間純 増数はソフトバンクモバイルが12万400増と21カ月連続で首位を維持した。2位はイー・モバイルの7万1700増,3位はNTTドコモの6万4300 増。4位のKDDI(au)は,1万2600増にとどまった。

 番号ポータビリティ(MNP)による各社の転入出状況は,ソフトバンクモバイルが4500件,NTTドコモが2500件,イー・モバイルが200件の転 入超過。KDDIだけが7300件の転出超過だった。KDDIの転出超過は4カ月連続となる。

 各事業者の累計契約数は1位のNTTドコモが5421万9400件,2位のKDDI(au)が3056万2800件,3位のソフトバンクモバイルが 2012万200件,4位のイー・モバイルが119万1800件である。PHS事業者のウィルコムは前月比2万800減の454万9000件となった。

4.VMware,オープンソースの仮想デスクトップ・クライアントを発表(2.4  nikkeibp)
 米VMwareは米国時間2009年2月3日,仮想デスクトップ・インフラ向けのオープンソース・クライアント「VMware View Open Client」を発表した。パートナ企業は,デバイスをデスクトップ仮想化ソフトウエア「VMware View」向けに最適化して,低コストのデスクトップ製品を提供可能になるとしている。

 企業のIT部門は,VMware Viewによってユーザーの仮想デスクトップのイメージをデータセンターで安全にホスティングできるようになる。一方,ユーザーは,パーソナライズしたデ スクトップ環境をほとんどのデバイスからいつでも利用可能となる。

 今回発表したVMware View Open Clientにより,パートナ企業はパーソナライズした仮想デスクトップをユーザーに提供するためにVMware Viewのソースコードを使って製品を最適化できるようになる。また,このソースコードにより,数千の仮想デスクトップのプロビジョニングと管理を安全か つ低コストで実行できるようにする製品の開発が促進されるとしている。

 VMware View Open Clientは,SSLトンネリング,米RSA SecurityのRSA SecurIDによる2要素認証,米NovellのSLETC Add-On RPMパッケージ,コマンドライン・インタフェースなどをサポートする。GNU Lesser General Public License version 2.1(LGPL v 2.1)のもとで配布され,VMware View Open Client プロジェクトのWebサイトからダウンロードできる。

 ちなみに,調査会社の米Gartnerは,2013年までに企業が購入するホスト型仮想デスクトップのユーザー・ライセンス数は約5000万件に達する と予測する。また,ホスト型仮想デスクトップ環境においてユーザーが使用するデバイスの約40%はシン・クライアントになると見ている。

5.UQがモバイルWiMAXサービスを2月下旬から試験開始,実効16Mbpsで 月額4480円(2.3 nikkeibp)
 
UQコミュニケーションズは2009年2月3日,モバイルWiMAXを使ったデータ通信サービス「UQ WiMAX」を2月26日から試験開始すると発表した。当初のエリアは東京23区と横浜市・川崎市の一部。6月30日までの試験サービス期間は,希望する モニター5000人に対して端末を無償で貸し出し,サービス料金も無料とする。7月1日からは本サービスを開始。料金プランは定額制で使い放題となる 「UQ Flat」のみで,月額料金は4480円となる。

 UQコミュニケーションズの田中孝司社長は,新たに開始するモバイルWiMAXサービスについて,「(これまで携帯電話事業者などが提供していた)なん ちゃってモバイル・ブロードバンドではない,真の制限のないサービスを提供する」と意気込みを語った。実際,発表会の壇上で見せた実機デモでは,下り 16.4Mビット/秒程度,上り3.9Mビット/秒の実効速度を見せた。

 端末はUSB接続タイプ,PCカードタイプ,ExpressCardタイプなど4機種を用意。価格は1万2800円から1万3800円となる。「当初は UQブランドが付いた端末を用意したが,2009年夏以降にはモバイルWiMAXの通信機能を内蔵したノート・パソコンなどが続々登場すると予想する。 UQ WiMAXはこのようなリテール品もサポートするため,今後はUQブランドの端末は少なくなっていく」(田中社長)という。

 エリアの準備状況は,試験サービス開始時には東京23区,横浜市・川崎市の一部に500局程度の基地局配備が完了する見込みという(屋内基地局を含ま ず)。同社に出資するJR東日本の協力も得て,JR山手線内,京浜東北線(品川〜横浜)の44駅のホーム,コンコースにもWiMAXの基地局を設置する。 ただ実際にはエリアの穴が存在しているといい(写真4),本サービス開始までにエリアのさらなる整備を急ぐ計画。

 UQのWiMAXで当初カバーできないエリア用の対策として,公衆無線LANサービス「UQ Wi-Fi」もオプション・サービスとして2009年秋から提供する。利用料金は無料。空港や鉄道など主要交通機関にて利用でき,東海道新幹線内では前倒 して3月14日から利用可能になるという。


「本命は組み込みデバイス。組み込み開発のしやすさがWiMAXの強み」

 モバイル通信の高速化については携帯電話各社も,2010年以降に100Mビット/秒超の速度を可能にするLTE(long term evolution)を導入する計画。LTEとモバイルWiMAXの違いについて田中社長は,「LTEは電話の延長上の規格でSIMカード・ベースで制御 している。WiMAXは無線LANの延長上の規格でインターネットとの親和性が高いが特徴」と語った。このような違いは特に組み込み機器の分野で, WiMAXの強みとして出せるという。「組み込み機器に携帯電話の通信機能を内蔵するには,ダイヤルアップの制御が必要で開発のハードルが高く,端末の料 金も高騰してしまう。それに対してWiMAXは,MACアドレスで制御できるので開発のハードルが低く,端末の単価も安くできる。将来的に組み込み機器の 通信モジュールは,すべてモバイルWiMAXになっていくのではないか」(田中社長)との見解を述べた。

 

 
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