週間情報通信ニュースインデックスno.691   2009/01/24

1.大統領就任式を見て思う日米の「この差」(1.22 nikkeibp)
政治アナリスト 花岡 信昭氏
 
 米国初の黒人大統領の登場という歴史的瞬間ではある。200万人がワシントンに詰め掛けたというから、その熱気たるや日本では想像もつかないものだ。オ バマ民主党政権は日本にとって必ずしも大歓迎とはいかない側面を持つ。保護主義や国際貢献での対日圧力も強まろう。「ジャパン・パッシング」「ジャパン・ ナッシング」の再来ではないか、といった見方もある。
 ではあるものの、テレビ中継にくぎ付けとなってしまったのは、「アメリカ社会における政治の位置づけの重み」に圧倒されたからだ。

 翻って日本の政治の現状はどうか。解散時期をめぐる攻防戦が展開され、首相の「ホテルのバー通い」「漢字が読めない」といった次元の話が国会審議にまで 持ち込まれる「軽さ」をだれも怪しまない。日米のこの落差をどう見るべきか。

 オバマ大統領の就任演説は、歴史に残る迫力のある言葉を連発するのではないかと予想していたのだが、それはあっさりと裏切られた。選挙戦を通じて世界に 知られることになった「チェンジ」も「イエス ウィ キャン」も飛び出さなかった。たんたんと、落ち着いた、むしろ地味な内容といえた。

政治リーダーに敬意を払う米国

 演説では「責任」という言葉がキーワードになったように思えた。国家の責任とともに、国民の責任をも問い掛けたもので、これは同盟国や国際社会に対して も向けられたメッセージと受け止めることができよう。

 それも「わたし」という表現は避け、「我々」を使った。「我々に求められているのは、新しい責任の時代である」といった具合だ。国に求めるのではなく、 どう貢献できるかを考えようと呼び掛けたかつての大統領演説を思い出す。「我々のなすべきもの」を呼び掛けることで、国民の団結心をかきたてたのである。 おそらくは、使われた言葉の一つひとつにまで周到な配慮が施されたはずだ。

 なるほどアメリカの政治とはこういうものか、とうならされたのは、就任式後に議会内で行われた上下両院議員を中心とした昼食会である。高齢の議員2人が 倒れるというハプニングもあったが、この昼食会は共和党も民主党もない。大統領選挙で敗れたマケイン氏もオバマ氏と抱き合った。

 党派の違いを超えて、米国大統領という存在に全幅の敬意を払う。これが米民主主義の基本中の基本なのではないか。大統領への敬意は国家への忠誠につなが る。星条旗と国歌に象徴される民主主義の大国・アメリカへの忠誠心は、民主党も共和党も同じである。この昼食会はそのことの再確認の場とも思えた。

 日本ではどうか。新しい首相が生まれても、野党まで含めて祝福するといった場はない。日本国総理大臣という「存在」への敬意の表明は見られない。首相と いうのは対抗勢力からすれば、攻撃対象でしかない。

 これは議会制民主主義の本旨からすれば、悲しい事実であるといわなくてはなるまい。日本の民主党は結党以来初めて政権奪取の可能性に直面している。 こ れまで、野党は一時を除いてほとんど野党という立場から脱することはなかった。政権交代が不思議ではなくなる時代になれば、首相の地位に対する扱いも変 わってくるのだろうか。

2.携帯電話の不振はどこまで続く?(1.23 nikkeibp)
買い替え需要が減少、体力のない端末メーカーは市場撤退か

 わずか数カ月前まで、携帯電話業界は世界的な景気後退がもたらす最悪の事態は免れるかと思われていた。何と言っても、新興国市場にはまだ何十億人もの潜 在顧客が眠っているからだ。フィンランドのノキア(NOK)をはじめとする携帯電話メーカーは、欧米での販売不振分は新興国での累積需要で取り返せると考 えていた。

 ところが、そうした期待は急速に薄れている。携帯電話市場の専門家は、ここ数年に爆発的成長を遂げてきた中国などでも、販売台数は予想以上に減速してい ると警鐘を鳴らす。一部アナリストが「壊滅的」と表現した2008年第4四半期を経て、各社が数百万台の売れ残り在庫を抱えていることも考えられる。

 景気後退以前から不振に喘いでいた米モトローラ(MOT)や英ソニー・エリクソンなどの体力のないメーカーは、目標値の大幅な下方修正や市場撤退さえ余 儀なくされる可能性もある。
 かつて人気を集めたノキア株ですら、ここにきてアナリストから格下げされるという屈辱に甘んじている。フィンランドのイーキューバンク(本社:ヘルシン キ)のアナリスト、ジャリ・ホンコ氏も、ノキア株売却を勧める1人だ。「クリスマス商戦は完全な期待外れに終わった。かつてなく厳しい第1四半期となるだ ろう」。1月13日には、ノキア株を「リデュース」に格下げしている。


落ち込みの程度は?

 ここ数週間の携帯端末の販売台数については、まだ断片的なデータしか揃っていない。だが、既に過去最大の低迷期に突入しているという点で、アナリストの 意見は一致している。ただ、減少幅に関しては見方が異なる。

 例えば、米調査会社ストラテジー・アナリティクスは、2008年第4四半期及び2009年通期の世界販売台数について、1%減と予測している。
 だが、同社の無線機器戦略(WDS)サービス担当ディレクター、ニール・モーストン氏によれば、5%減に下方修正される見通しだという。「上昇から下降 へと転じているのは明らかだ」。
 メーカーの中には、さらに悪化して20%以上の落ち込みもあるのではと警戒感を強める見方もある。一方、モーストン氏は、そこまでひどくはならないだろ うと予測する。

  端末メーカーが抱える問題は、世界的な景気悪化以上に深刻だ。携帯電話市場が飽和状態にある欧米では、ここ数年需要が伸び悩んでいる。通話と電子メー ルの機能があれば十分というユーザーに買い替えを促すような大きな技術革新は登場していない。「5年前は、買い替えごとに軽量になり、電池の保ちもよく なった」と、米フォレスター・リサーチ(FORR)のアナリスト、イアン・フォグ氏は振り返る。


「買い替えの強い動機が見当たらない」

 ところが今は、「端末の性能が向上しており、買い替えの強い動機が見当たらない」とフォグ氏は言う。加えて、不安定な経済が問題悪化に拍車をかける。雇 用不安が高まる中、同じ端末を長期間使い続けるユーザーが増えている。割高なプランへの加入を条件として端末を格安で入手できる場合もあるが、機種変更せ ずに安い料金プランを継続するユーザーが多いのが現状だ。

 各社に共通するのは、共倒れを招きかねない価格競争は避けたいという考えだ。世界で40%近い市場シェアを持つノキアも、収益性を犠牲にしてまでシェア を維持する気はないようだ。
 とはいえ、端末メーカーは膨大な売れ残り在庫を抱えており、値下げは必至の状況だ。製品が型落ちになる前に売れるだけ売っておく必要がある。「在庫には 寿命があるので、売りさばくのが賢明」と、米証券会社ブロードポイント・アムテック(BPSG)のアナリスト、マーク・マケクニー氏は言う。1月12日に ノキアの投資格付けを「セル(売り)」に引き下げた同氏は、2009年の総端末販売台数を12%減と予測している。

3.3.9G導入に向けた追加周波数は4枠に,総務省が免許方針案を公表(1.23  nikkeibp)
 総務省は2009年1月23日,LTEなど3.9世代(3.9G)移動通信システム導入に向けた免許方針案を発表した。
 3.9Gの導入に向けては,昨年11月に総務省が開催した公開ヒアリングで,NTTドコモ,KDDI,ソフトバンクモバイル,イー・モバイルの4社が参 入を表明。3.9Gシステム導入のために,追加の周波数を少なくとも10MHz以上欲しいと表明していた。

 こうした意見などを受けて総務省は,1.5GHz帯と1.7GHz帯に新規・既存事業者を問わず最大4社に対して10MHz幅,15MHz幅を割り当て る方針を示した。内訳は1.5GHz帯が10MHz,10MHz,15MHzの3枠,1.7GHz帯が10MHzの1枠。なお1.5GHz帯・15MHz 枠のうちの10MHz幅は,デジタルMCAが2014年3月31日まで部分的に利用中であるため,東北,信越,北陸,四国,沖縄以外では5MHz幅しか利 用できない。全国で15MHz幅を利用できるようになるのは2014年4月以降になる。

 1.5GHz帯と1.7GHz帯の周波数追加割り当ての要件として総務省は,参入事業者に対して,3.9Gシステムや,HSPA EvolutionなどHSPAを高度化したシステムを設定日から5年以内に人口カバー率50%以上とするよう求めた。ただし,3.9Gシステムや HSPA高度化システムを,必ずしも1.5GHz帯/1.7GHz帯に導入する必要はなく,例えば,当該事業者が既に所有する他の周波数帯に3.9Gシス テム/HSPA高度化システムを導入し,追加割り当てを受けた1.5GHz帯/1.7GHz帯を既存の3Gシステムに利用することも可能とした。

 総務省がこのような要件としたのは,1.5GHz帯,1.7GHz帯とも,国際的にLTEが導入される可能性は低く,機器の調達や国際ローミングの面で 困難が予想されるため。例えばNTTドコモは,同社が持つ2GHz帯をLTE向けにメインで利用する考えを示している。「3.9G導入に向けて柔軟に追加 周波数を活用できるような要件にした」(総務省移動通信課)。

4.ひかり電話の障害は装置再起動で20時過ぎに復旧,原因は調査中(1.23  nikkeibp)
 NTT東日本東京支店は2009年1月23日,同日発生したフレッツ 光ネクストのひかり電話の障害が20時8分時点で復旧したと発表した。ひかり電話の呼制御サーバーを再起動することで対処した。ユーザーの申告件数は20 時30分時点で約350件に上った。

 今回の障害は10時17分頃の発生から復旧までに,10時間弱を要する結果となった。NTT東日本東京支店は装置の再起動という対処に時間がかかった理 由を「通話中のお客様への影響,ボイスワープといった網側の登録設定への影響が出ないように作業していたため」と説明している。ただ原因の詳細は不明で, 引き続き調査中である。

5.「インフラの強さを産業力の向上に」,NTT宇治副社長がFOEで講演 (1.22 nikkeibp)
 「通信インフラの世界ランキングは1位。この環境を産業競争力の向上に生かしてほしい」。NTTの宇治則孝 代表取締役副社長は,ファイバーオプティクスEXPO 2009(FOE2009)の基調講演に立ち,来場者にこう呼びかけた。

 NTTグループが今後力を入れるのが,サービスやソリューション事業である。現在は,「レガシー系」(宇治副社長)と呼ぶ通信サービスの売上比率が全体 の約半分を占めるが,2012年までに25%になるよう,サービスとソリューション事業を拡大する方針だ。講演では,米国のオバマ新大統領が,電子カルテ 化率を100%にする方針を示していることなどを挙げながら,行政の電子政府化を含めてICTの利用をさらに増やすべきだと語った。

 NTTグループとしては,有線系のNGN(次世代ネットワーク)を中核に,サービス創造に取り組む。新しいサービスの具体例として,「SaaS (software as a service)」,「テレプレゼンス」,「デジタルサイネージ」,「IPTV」,「高品質ひかり電話」などを,実演を交えながら紹介した。

 インフラ事業については,最近の光ファイバの契約数を報告した。最初の500万契約に達するまでに5年4カ月がかかったが,その後1000万に達するま での500万契約までは1年10カ月しかかからなかったとした。多くのネットワーク・サービスは加入者が増えると加速度的に増えるものだが,現状での光 ファイバはインターネットへの接続や放送向けに使うことが多く,コミュニケーション型が少ない。そのためか,宇治副社長は今後の契約数の推移について注意 深く見ていきたいと慎重な姿勢を示した。

 講演では,アクセス回線の光ファイバの敷設コストが,1回線当たり11万円かかっているとした。これは,全費用を純増数で割ったもの。会場からの質問に 答える形で,「将来的には,メタル回線と同等の水準にまで落としたい」との意向を改めて示した。

 
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