週間情報通信ニュースインデックスno.689   2009/01/10


1.製造業への派遣労働解禁が誤りだったことを認めよ!(1.9  nikkeibp)
経済アナリスト 森永 卓郎氏
 1月5日、第171通常国会が召集された。昨年から続く世界的な経済危機のなか、とくに注目されているのが雇用問題である。
 雇用対策が急を要することであるのは、誰の目にも明らかだろう。だが、こうした緊急雇用対策という話を聞くたびに疑問に思うのは、あわてて何かをやった からと言って、どれだけの効果があるのかということだ。

 現在、これほどまでに雇用情勢が悪化した主要な原因は、1990年代に雇用政策の基本理念が大転換したことにある。そして、明らかにそれは失政であっ た。その反省をしないままに、こうした対症療法を重ねていくだけでは、根本的な解決にはつながらないとわたしは思うのだ。

 1990年代以前は、働く人の失業を防ぐための対策として、現在よりも対象が広く、期間も長い雇用調整助成金制度があった。そうした制度が充実していた ために、企業は不況になっても労働者をクビにすることなく、雇っておくことができたのである。

 そうした政策を「構造改革に反する」として目の敵にしたのが小泉内閣である。その新自由主義のもとでは、それまでの「労働者を企業が守る」という政策か ら、「労働者のクビをどんどん切り、その代わりに再就職を企業が支援する」という政策に一変したのである。

 その思想を広めたのが構造改革派と呼ばれる人たちであり、その中心人物が竹中平蔵氏であった。いったい彼らは、なぜそのような政策をとったのか。

 竹中氏らの理屈では、会社をクビになった人たちを労働市場に吐き出せば、より人を欲しがっているバイオやIT関連の新成長企業に移っていくというもの だった。そうなれば、国民全体の生産性が高くなるというわけだ。

 この理屈は、どう考えても無理がある。失礼ながら、たとえば製造業の派遣労働者がクビを切られて、その人たちがIT業界やバイオ関連企業の技術者になれ るだろうか。まずなれることはない。会社をクビになった人が成長分野に移っていくという図式は、そもそも存在しなかったのである。

 当時、私はその点について竹中氏とけんか同然の論争をしたことがある。私が竹中氏に向かって、「そんな都合の良い話が、うまくいくわけないじゃないです か」と言った。すると、竹中氏はなんと答えたか。「みんながちょっとずつ上にいけばいいんでよ」というのである。「あなたは、日本国民を全員転職させるつ もりか!」と私はあきれはてた。いくらなんでも、そんなことはありえない。

 今考えれば、とんでもない発想であることがよくわかる。だが、当時の日本ではこんな考え方がもてはやされ、経済評論家やエコノミストの大半が支持してい たのである。
 時代は、構造改革派の思うとおりに進んでいった。そして、労働者のクビを切りやすくするために、労働者派遣法の対象となる業務をずるずると拡大していっ たのである。そして、小泉内閣時代の2004年、とうとう製造業への派遣労働が解禁された。

 その経緯および、製造業への派遣労働導入がいかに問題の多いものであるかは、「第145回 『日雇い派遣禁止』の裏に隠された巧妙なからくり」をご覧い ただきたい。
 このとき、財界が望んだ解禁の理由は、まぎれもなく次の二つである。一つは、賃金の低い労働者が欲しいということ。もう一つは、雇用調整がしやすい労働 者−−つまり、いつでもクビが切れる労働力が欲しいということだった。

 だから、今回のように、いったん不況が訪れたら、彼らが真っ先に犠牲になるということは、最初から織り込み済みだったといってよい。
 それでも、竹中氏のいうように、失業した人たちが成長企業に職を得ることができればいい。だが、現実には何が起こったか。レベルの高い産業にいくどころ か、ホームレスになっているではないか。

 今回、与党が示した案というのは、まだまだ新自由主義路線から脱却しているとはいえない。労働者を企業が抱え込むという考え方ではなく、あくまでも「職 を失った派遣社員などを正社員に雇ったら、補助金が出るようにしましょう」という発想だからである。旧労働省のいう「円滑な労働移動の支援」にすぎない。 ここに及んで、それは間違っていたということが明らかになったのではないか。

 たしかに、失業者の生活を当面守るために、住宅を用意したり入居費用を貸し付けたりするという政策は必要だが、それは対症療法にすぎない。今回の雇用問 題についての根本的な解決をするには、まず製造業への派遣労働を禁止すべきなのだ。そして、根っこにある「どんどんクビにしていい」という考え方を転換し なくてはいけない。話はそこからはじめなくてはいけないのである。

2.2009年の経営者に必要な力(1.9 nikkeibp)
知識や専門能力よりも重要なものがある 宮田 秀明

 今から5年前、「科学技術と経済の会」のフォーラムで講演したことがある。この会は簡単に言えば製造業のCTO(最高技術責任者)の会である。この会の メンバーにはその頃までの私の仕事に近い世界の方々が多く、理系の経営をする当事者たちである。

 私の講演内容は簡単に言えば“新しいモデルを創造するためのプロジェクトマネジメント”だった。もちろん、盛り上げるためにアメリカズカップのプロジェ クトの例も話した。
 私とNTTドコモの方が講演した後に、懇親会があった。この懇親会が面白くなく、非常に残念だった。懇親会でお話しした方々の反応は、

 「面白かったです。でも我が社ではできませんね。他社も同じだと思います」
といった声が多かった。その後、この日の参加者約120人の方と再度お会いする機会もないままだ。つまり私の講演はあまり役に立たなかったということだろ う。
経営者に限らず、文系、理系と区別することに意味があるとは思わないが、なぜか理系の方々に元気が感じられないことが多い。

 それから1週間後、今度は「価値創造フォーラム21」という経営者の会の方々に講演した。聴いてくださった方の平均像は有名私立大学経済学部出身の経営 者だと思う。
 こちらの懇親会の雰囲気は全く逆だった。
 「先生、面白いですね。何かウチと一緒にやりましょうよ」
 こんな調子だった。

 この3、4年の間に私が小売り・流通業の専門家に変身したのも、このような出会いが大きく影響した。
 皮肉なことに、5年半前に提唱した「理系の経営学」、つまり科学的論理的な経営の推進に賛同し、仲間になってくれた方には文系出身の方が多いのだ。


経営者に必要なのは、挑戦してみようという力

 経営者には経営者のコンピテンシーがあるようだ。知識や専門能力はそれほど重要ではない。新しいことや新しい考え方を柔軟に受け入れる力、将来本物にな りそうな価値を嗅ぎ分ける力、おぼろげでもいいから未来の完成図を描く力、ともかく挑戦してみようという力が大切なのだ。

 論理力より「構想力」と「行動力」の方がはるかに重要ということだ。これに人を生かす力、人を動かす力である「人間力」が加われば鬼に金棒である。

3.12月の携帯純増数はソフトバンクが20カ月連続首位,ドコモはMNPで初の転 入超過(1.9 nikkeibp)
  携帯電話・PHS事業者各社は2009年1月9日,2008年12月末時点の携帯電話・PHSの契約数を発表した。新規契約数から解約数を 差し引いた月間純増数はソフトバンクモバイルが13万5200増と20カ月連続で首位を維持した。2位はNTTドコモの12万400増,3位はイー・モバ イルの10万8600増,4位のKDDI(au)は3万6000増だった。

 番号ポータビリティ(MNP)による各社の転入出状況は,ソフトバンクモバイルが1万件,NTTドコモが1200件,イー・モバイルが500件の 転入超過。KDDIだけが1万1700件の転出超過だった。 NTTドコモの転入超過は2006年10月のMNP開始後,初めて。一方,KDDIの転出超過はMNPの開始後4度目で3カ月連続となる。KDDIは「お 客様からは『auらしさがない』という声もいただいている。auらしさを築いて端末やサービスでお客様の要望にお応えしていきたい」とした。

  2008年12月末時点の携帯電話全体の契約数は1億582万5200件。各事業者の累計契約数は1位のNTTドコモが5415万5100件, 2位のKDDI(au)が3055万200件,3位のソフトバンクモバイルが1999万9800件,4位のイー・モバイルが112万100件である。 PHS事業者のウィルコムは前月比1300増の456万9800件。なお,ソフトバンクモバイルは同日,1月1日時点で累計契約数が2000万件を突破し たと発表した。

4.ソニー、Atom搭載の「VAIO type P」を1月16日に発売(1.8 nikkeibp)
 ソニーは2009年1月8日、CPUにインテル製Atom Z520(1.33GHz)を採用した、ポケットサイズのミニノートパソコン「VAIO type P」を発表した。まず、ワンセグ受信機能を持つ「VGN-P70H/R・G・W」が1月16日に発売予定で、白と赤、緑のカラーバリエーションを揃える。 続いて、NTTドコモの3Gデータ通信機能を備える「VGN-P80H/W」が2月中旬に発売される予定だ。こちらは白色のみとなる。無線LAN機能 (IEEE802.11b/g/n ドラフト2.0に対応)には両モデルとも対応する。予想実勢価格はすべて約10万円である。

 type Pの最大の特徴は、大きさが幅245×奥行き120×高さ19.8mmというポケットサイズでありながら、1600×768ドットと高解像度の8型液晶を 採用したことだ。この小型高解像度液晶はソニーが独自開発したものである。また、キーボードも使い勝手を良くするため、16.5mmのキーピッチを確保し た。このようにポケットサイズでありながら、既存のノートパソコンに迫る使い勝手を実現した。

 もう一つの特徴は、GPSによる位置情報受信機能を搭載し、取得した位置情報を基に飲食店やホットスポット(無線LANアクセスポイント)などの 情報を検索できるソフトウエア「VAIO Location Search」を搭載したことだ。これにより、通信回線を使えない状況でも、スポット情報や地図を表示できる。

 type PはOSにWindows Vista Home Basic SP1を採用。2GBのメモリーと60GBのハードディスクを搭載する。光学ドライブは非搭載。標準添付されるバッテリーの駆動時間は約4.5時間で、別 売りの大容量バッテリーでは約9時間になる。重さはVGN-P70Hが634g、同P80Hは636gである。

5.グローバルアクセスが商用回線を使った東京−大阪間の100Gイーサ伝送に成功 (1.6 nikkeibp)
  グローバルアクセスが米インフィネラの光伝送プラットフォーム「DTN」を使って,東京-大阪間の商用光回線で100ギガビット・イーサ ネット(100GbE)の長距離伝送試験に成功した。DTNを納入した日商エレクトロニクスが2009年1月6日に発表した。100GbEは,IEEEで 仕様策定中で,2010年に標準化が完了する予定。

 グローバルアクセスは,DTNを使って東京-大阪間に長距離DWDM(dense wavelength division multiplexing)網を構築している。今回,このDWDM網を使って100GbEフレームの長距離伝送試験を実施した。

 試験の内容は,東京にあるDTN伝送装置に100GbEの試作インタフェースを2枚設置し,MACフレームを東京-大阪間を往復させるというも の。往復の伝送距離は1200kmになる。東京-大阪間の伝送には,10Gビット/秒のOC-192を10本束ねて100Gビット/秒を実現した。実験は 12月末に行い,フレームを損失することなく転送できたという。

 グローバルアクセスによると,同社は現在10ギガビット・イーサネットの広域イーサネット専用線サービスを提供しているが,今後2〜3年のうちに 100GbEのサービスも開始することになり,今回の実験はそれに備えたものとしている。


 
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