週間情報通信ニュースインデックスno.682   2008/11/22

1. 三菱航空機「MRJ」市場参入へ背水の挑戦(11.21 nikkeibp)
 「時は到来した。ここを逸すれば、チャンスは二度とない。(三菱)重工にも、そして日本にとっても……」
 2005年のカレンダーも残りわずかなある夜。三菱重工業会長(当時)の西岡喬は、この日までひたすら待ち続けていた。10年などという歳月ではない。 四半世紀、いや「YS-11」から数えるなら、ほぼ半世紀に達する。

 東京大学航空学科を卒業し1959年に入社して以来、経営再建に取り組んだ社長時代(1999年〜2003 年)も含めて、西岡はひたすら待っていた。チャンスが訪れるのを。
「自前の航空機事業を立ち上げる」
 これは、西岡ばかりではなく、歴代の三菱重工トップの変わらぬ思いだったろう。ただし、西岡はいま、次のように話す。

 「(民間航空機に参入することは)“思い”などという生やさしいものではない。産業立国としてわが国が生き 残るため、やらなければならないのが国産航空機事業なのです。航空機には先端技術が採用される。しかも、他の産業への波及効果は絶大。一流の技術立国とし て、日本が将来も輝き続けられるかどうか、生きるか死ぬかがMRJにかかっているのですよ」

 ではなぜ、この時期に決断したのか。
「技術革新が二つあったこと。さらに、原油価格が上昇を続けていた。ここがチャンスと捉えた」と、西岡は話す。
二つの技術革新とは、機体の軽量化を実現する炭素繊維複合材(CFRP)、および新型エンジンである。両技術により燃費を2割から3割向上できる見通しが 立っていた。

 このうちCFRPは、三菱重工が炭素繊維メーカーの東レと組んで加工方法を共同開発し、米ボーイング社が開 発を進める次世代中型旅客機「787」の主翼への採用が決まっていた(この時点で、三菱重工は主翼製作のための工場投資に着手していた)。

 エンジンは、米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)社が約20年間にわたって開発を進めてき たGTF(ギアド・ターボ・ファン)エンジン。エンジンはファンを大きくするほど燃費性能は向上するが、一方で騒音も大きくなってしまうため、ファンの大 型化には限界があった。P&W社が開発中のGTFエンジンは、圧縮機・タービンの主軸とファンの間にギアボックス(変速機構)を介在させること で、ファンの回転数を主軸と独立させて変えられるようにした。これにより、燃費向上と騒音低減を果たし、高い環境性能を実現させたことが特徴だ。MRJに 初めて搭載される。

 一方、1990年代を通して1バレル(=約159リットル)10〜20ドル台と安値で安定していた原油価格 は、2004年には30ドル台後半に、そして2005年10月には1バレル60ドル近くまで上昇する(その後、2008年夏には135ドルまで高騰。秋に なって急速に値を下げた)。

 「原油価格がじりじりと上昇を続けるなかで、燃費性能に優れた旅客機、すなわち、環境性能が高いリージョナ ルジェットは、世界の航空会社から求められていくに違いない」

2.コンビニの24時間営業は必要か否か(11.21 nikkeibp)  
 温暖化対策として,コンビニエンスストアなど24時間営業する店舗の深夜営業 を規制すべきか――。
 ちょっと前まで,この話題はニュース番組などで盛んに報道されていました。最近はテレビであまりニュースを見る機会はありませんが,新聞等ではコンビニ エンスストアなどが検討を進める深夜営業規制への対応方法がちらほらと見受けられます。代表例が,コンビニエンスストアの照明を蛍光灯などからLEDに代 えるというものです。仮に,LED化によって照明の電力使用量が1/3程度減るならば,従来の照明で16時間使う場合(例えば朝7時〜夜11時)と同等の 電力使用量で24時間営業できることになります。LED化した上に深夜営業を止めればもっと電力削減の効果が出るはずですが,「LED化+24時間営業」 というのが24時間営業を続けたい店舗側と,規制によって電力消費量を抑えたい側の落としどころといえるでしょう。「2009年3月以降に新規出店する全 店舗の看板や店内の照明器具にLEDを導入する」というローソンの発表を見ると,LED照明によって照明器具の電力消費量は半分近くに減るという結果に なっています。

 この機を逃がすまいと,LED関連メーカーの動きが活発になっているようです。海外のあるLEDメーカーによれば,日本でのシェア拡大を狙い,コ ンビニエンスストアやファストフードをフランチャイズ展開する企業に,自社製品の売り込みを強めているとのこと。最近の景気低迷の影響は心配されますが, LED業界にとっては今もホットな話題なのは確かです。

 これはあくまで個人的な意見ですが,コンビニエンスストアやファストフード店といった24時間営業する店舗への深夜営業規制はしてほしくありませ ん。深夜に帰宅することが多く,そのために真夜中に買い物や食事を済まさねばならないことがしばしばあります。コンビニエンスストアやファストフード店が 深夜営業しているからこのような状況でも安心できますが,これがなくなってしまうと困ってしまいます。私と同じ状況の人は,決して少数派とはいえないので はないでしょうか。

 確かに,夜間でも周囲の木々が明るく照らされ,それにより夏場は夜中でもセミの鳴き声が止らないという状況を考えると,深夜営業の規制により自然 の姿に戻る効果もあると思いますが・・・。「夜は暗い」ことが「本来あるべきもの」ということは頭の中で理解できていても,現実の生活スタイルを考える と,そうとは言っていられないのは事実です。

 ただ,LEDに代えたからといって「それでおしまい」にしてほしくありません。明かりをインテリジェント化し,もっともっと効率的な24時間営業 ができる余地があると思います。LED化した上に深夜営業を規制してまでの電力消費量削減効果はないかもしれませんが,それに近づけることは可能ではない でしょうか。例えば,照度センサを利用して屋外が暗ければ過度に店内を明るくしない(あるいは外が明るければ室内の照明を絞る),人感センサを活用してお 客さんが居るところだけを明るくするなど,民生機器の技術が存分に生かせると思います。LEDは調光が容易なので,状況に応じた明るさ調整を活用すれば電 力消費量は絞れるでしょう。このような照明は既に実用化されているものもありますが,より広範囲にわたり,より細かく制御するようにぜひしていただきたい と思います。

3.「米国のデータセンターはPUE1.2に近づいている」,米国調査会社の アナリストが講演 (11.21 nikkeibp)
 2008年11月21日,東京・新宿で開催されたデータセンターに関する国際会議「DatacenterDynamics」で,米国調査会社の AltaTerraでプリンシプル・アナリストを務める岸本善一氏が米国のデータセンター事情について講演した(写真1)。

 「米国でデータセンターの電力問題がクローズアップされたのは,2007年に米国環境保護庁(EPA)がデータセンターの電力消費に関する調査報告を公 表してからだ」。岸本氏はこう切り出す。同庁によれば,2000年から2006年の間にデータセンターによる電力消費量は2倍に増加し,このまま何も対策 を打たなければ2010年にはさらに2倍になるというのである。この報告が契機となり,IT各社はこぞって「グリーン・データセンター」をうたうように なった。

 とは言え,現在でもグリーン・データセンターの明確な定義はないという。「IBMは2007年から2008年にかけて,データセンターの処理能力当たり の電力消費量を大きく削減でき,グリーンITが大きく進んだと言っている。だが,ビジネスが拡大したので電力使用の総量は増えたと言うのだ。何をもってグ リーンなのか,という定義があいまいだ」(岸本氏)。

 こうした背景から,データセンターの省電力性能を評価する指標への要求が強くなり,数々の指標が開発された。現在は,業界団体のグリーン・グリッドが提 唱するPUE(電力使用効率)がよく使われているという。PUEは,データセンター全体の電力消費量を,サーバーなどのIT機器による電力消費量で割った 値だ。値が小さいほど,電力効率に優れていることを示す。

 「データセンター間でPUEを競う動きが過熱している。マーケティング・ツールとして利用しようという業者の中には,PUEは絶対に1より小さい数値に はならないのに,0.8だと言って顧客に売り込もうとするところもある」と岸本氏は話す。

 PUEの値は,最先端の技術を駆使しても1.2以下を達成するのはかなり難しいと言われている。「これ以下の数値をうたう事業者があれば,測定方法を確 認した方がいい」と岸本氏は指摘する。

 それでは,米国における優れたグリーン・データセンターはどこなのか。岸本氏は代表例として,マイクロソフト(PUE=1.22)とサン・マイクロシス テムズ(同=1.28)を挙げる。ところが最近になって,グーグルが1.15という数値を出してきた。「おかしいと思って測定方法を確認したところ,グー グルはデータセンターのオフィス部分の電力消費量をどうも算入していないようだ。マイクロソフトとサンはオフィス部分も算入している」と岸本氏は説明す る。いずれにせよ,米国の最先端のデータセンターの省電力性能が,PUE=1.2に近づいてきているのは間違いない。

4.Salesforce.comの2008年8-10月期決算,前年同期比43% 増収(11.20 nikkeibp)
 米Salesforce.comは米国時間2008年11月20日,2009会計年度第3四半期(2008年8〜10月期)の決算を発表した。売上高は 過去最高の2億7649万ドルで前年同期比43%増加した。会計原則(GAAP)ベースの純利益は1012万ドル(希薄化後の1株当たり利益は8セント) で前年同期の650万ドル(同5セント)から黒字を拡大した。

 売上高の内訳は,サブスクリプション料とサポートの収入が2億5340万ドル(前年同期比44%増,前期比6%増),プロフェッショナル・サービ スなどの収入が2310万ドル(同41%増,同1%減)だった。

5.「デルの使命はITをシンプル化すること」---ジム・メリット代表取締役社長 が強調(11.20 nikkeibp)
  「ITの複雑性はITイノベーションを妨げる。我々の使命はITをよりシンプルにしていくことだ」−−。デルのジム・メリット代表取締役社 長(写真)は2008年11月20日,同社が主催するTHE FUTURE OF COMPUTING TOKYOで基調講演に登壇した。そこで,「シンプル化で拓くITの未来」と題して,同社の考えるITの未来像を語った。

 ジム・メリット氏が指摘したのは,複雑なITシステムにより,企業のIT予算の70%がメンテナンスに充てられているとうい現実である。そして,限られ た予算の中でITイノベーションを起こすためには,「ITシステムをシンプル化し,メンテナンス費用を圧縮する必要がある」(ジム・メリット氏)と強調し た。

 ITシステムをシンプル化するためには,「迅速な導入」,「運用・保守の簡素化」,「スマートな拡張性」の3つを実現しなければいけないとジム・メリッ ト氏は主張する。同氏によると,この3つの課題を克服するためのサービスの一例として,デルが提供する「カスタムファクトリインテグレーション」を紹介し た。

 カスタムファクトリインテグレーションとは,PCにユーザーの環境に合わせたディスク・イメージをプリインストールして,設定を完了した状態で出荷する サービスだ。ユーザーは新規システムの構築にかかる労力・時間・コストの大幅削減できる。また,同じディスク・イメージを使って複製したクローン・マシン を一括購入できるため,運用・保守が簡素化される。ユーザーのニーズに合わせてカスタマイズできるため,企業の成長に合わせて段階的にシステムを拡張する こともできるという。「ITのシンプル化により,未来のPCは“モバイルへ”,“グリーンへ”,“仮想環境へ”と変化する」(ジム・メリット氏)とPCの 未来を予測した。


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